魔法少女リリカルなのは~刃の行き着く先~   作:レティウス

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第85話

 さて、どうしたものかね。ローテーションで隊長陣の休みを取ると言うことになり、最初が俺というのは別に問題はない。

 

 ただ、普段の休日にこれと言ってやりたいようなこともあるわけじゃない俺としては、休日の過ごし方なんて普段の鍛錬を長時間やる程度しかないんだが。

 

 今回の休日もそのつもりでいたのだが、リニスに休日は休日らしく休めと町へ無理やりに放り出されてしまった。

 

 なのは辺りが、先日保護した少女の様子を見に行くから一緒にどう?と誘ってきたから、それもありかなぁと思っていたんだが、気がつけば昼まで結局日課の鍛錬をしてしまっていたので、行くことが出来なかった。それもリニスに怒られてしまったが。

 

 なんで怒るかねぇと疑問に思っていたら、新人達が俺の姿を見たら休めないだろと、リニスどころか、ヴィータやフェイトにまで言われてしまった次第だ。

 

 他人は他人。自分は自分でやれば、気にもならないだろうに。

 

 そんなわけで、やることもなしにミッドの街をぶらぶらしているのだが、本当にやることないなぁ。

 

 服なんて、動きやすければ何だっていいと考えている俺だ。センスなんてあったもんじゃないし、あれもこれもと溜めるのは趣味ではない。ぶっちゃけ、戦闘装束も戦闘しなければ、普段着と大差ない俺だ。服なんて、そんなものだろう。

 

 アクセサリーなども戦闘の邪魔になるからいらんし、普段はエアを首に下げているから精々がこんなものだろう。

 

 ううむ、オシャレなんて全くと言って興味はないな、俺は。

 

 だからと言って、食べ歩きも一人でやっても味気ないしなぁ。久遠を連れてくれば、話は変わるんだろうけど。

 

 本を読むことは読むんだが、この世界じゃ電子書籍が一般的だから読む気が起きないし。

 

 兄さん達みたいに、小物を扱う流派ならば、休みを機会に揃えてくるってのはありなんだろうけど、悲しいかな、緋凰にはそんなものはない。

 

 天命流の針は六課に配属される前に、腐るほど仕入れてきたから、当分の間は補充する必要はないし。

 

「本気で困った」

 

「あ、あの~」

 

 町に出てやることが無く悩んでいたら、突如横から話しかけられた。

 

 話しかけられたほうへと振り向けば、そこにはややきつめの釣り目だが、緩いカールの紫の髪を持つ十二分に美人と言える女性が困ったような顔でこちらを窺ってきた。

 

「どうしました?」

 

「ちょっと、手を貸してもらえないでしょうか?」

 

 ふむ?女性の近くを見れば、この女性が持ち切れないほどの荷物が置かれている。

 

「この荷物を運ぶのを手伝えばいいのですか?」

 

「はい……久々に町に出てきたのはいいのですが、少し張り切りすぎまして」

 

 申し訳なさそうに告げる女性に苦笑いしながら、とりあえず重たそうなものを持つ。

 

「構いませんよ。暇を持ちあましていたのも事実ですからね」

 

「すいません」

 

 本当に申し訳なさそうな顔をしながら、彼女の案内に従い、荷物を運んで行った。

 

 

 

 

「ここです」

 

「へぇ」

 

 郊外に位置する場所まで案内された俺は、荷物を限界に置いて去ろうとしたのだが、彼女に止められてしまった。

 

「お礼にならないかもしれませんが、よろしければお茶でもいかがですか?」

 

 彼女の提案に最初は断ろうと思ったのだが、申し訳なさそうな彼女の顔を見ていると、断りづらかったので、お茶の一杯くらいはいいかと考えなおし、彼女の家に招かれることにした。

 

「こちらでお待ち下さい」

 

 案内されたリビングと思わしき場所で椅子に腰かけると、彼女は奥へと消えてしまう。

 

 失礼を承知で部屋を見渡してみるが、殺風景でこれといって娯楽もなさそうだ。

 

 俺もあまり部屋にあれこれと置く趣味はないが、さすがにリビングと思わしき場所までそうなるようにすることはない。

 

 彼女がそうなのか、はたまた彼女の家族がそうなのかは分からないが。

 

「やあやあ、君がウーノを助けてくれたのかい?」

 

 やることもなしに、ぼーっとしていたら、奥からよれよれの白衣を着た釣り目の男が現れた。町にいれば、職質されそうな雰囲気だな。

 

「助けたと言えば、語弊がありますが、荷物を持ってきたというならば、そうですね」

 

「いやぁ、すまないね。こっちは、どうしても外せないことがあって、ウーノに買い物を頼んだまではよかったんだが」

 

 外せないことねぇ。まぁ、ぱっと見だとこのひょろそうな人物が仮に一緒に行っていても、結果は変わらないんじゃないかね。

 

「ドクター、いらしたのですね」

 

「ああ。君の恩人というのに興味を覚えてね」

 

 ドクターね。どうやら、科学者っぽいんじゃなくて、本当に科学者らしいな。

 

「どうぞ」

 

「ああ、どうも」

 

 彼女……このドクターという人物の言葉が正しいならば、ウーノさんから渡されたマグカップの中には黒い液体……コーヒーが注がれていた。

 

「いい匂いですね」

 

 カップから立ち上る香りに思わず感想が零れる。コーヒー党としては、結構こだわりがあるが、香りに関しては相当にいい。

 

「美味い」

 

「ドクターがバカみたいに飲みますので、必然的に腕が上がったのですよ」

 

「ちょいちょい、毒を吐くね、ウーノ」

 

「事実です」

 

 香りも申し分なく、味も大満足で舌鼓を打っていると、なにやらドクターとウーノさんが夫婦漫才を繰り広げていた。

 

「や、やぁ、すまないね。客人を放ったらかしにしてしまって」

 

「どうぞどうぞ、続けてください」

 

「いえ、不快なのでやりません」

 

「本当に酷いね」

 

 ドクターが苦笑いして、俺もそれにつられてしまう。なんとなく、オーリスを思い起こさせるな。クールで毒舌って。彼女の場合は、さらに図太いが。

 

「ところで、柱の影から除く数人と、どうやっているか知らんが、姿を消している一人が俺を殺さんばかりの視線を投げてきているんだが、理由は分かるか?」

 

 俺のこの発言に、柱の影に隠れている数人が反応して物音をたてる。姿が見えん奴は、音こそ立てなかったが、ここから離脱する如くに逃げて行った。

 

「すまないね。ウーノが男を連れてきたというのは、初めてのことでね。恐らくは、邪推しているんじゃないかって推測するよ」

 

「邪推ねぇ」

 

 それにしては、殺気が多分どころの騒ぎでないくらいに含まれているが。まぁ、可愛いもの程度だが。

 

「あの子たちは……」

 

 ウーノさんはウーノさんで、呆れたように溜息をついていた。

 

「この場所に男は私しかいないんでね、これで中々に肩身が狭い思いをしているよ」

 

 やれやれと肩を竦めるドクター。つまりは、ハーレム状態か。

 

「目の保養になっていいじゃないか」

 

「そうなのかね?容姿に関してはあまり興味がなかったから、適当にしたんだがね」

 

「ドクター」

 

「おっと」

 

 ふむ。先ほどからちょいちょい、聞き捨てならないことを言っているな、こいつらは。意図的か?

 

「さて、スカリエッティよ」

 

「何かね?」

 

「ドクター!」

 

「っ!?」

 

 俺がドクターこと、スカリエッティに話しかけると、スカリエッティ自身は普通に返してきたのだが、ウーノさんや他に隠れている数人が反応を示した。

 

「……ああ、なるほど。いつから、気が付いていたのかね?」

 

 どうやら、素で気が付いていなかったようだ。その様子に思わず俺は笑いだすが、周りの空気は険呑だな。

 

「なにか可笑しいのかね?」

 

「いやいや、正体がばれて、本人が落ち着いているのに、周りが焦っているからな」

 

「ふむ」

 

 俺が笑っていることに疑問に思ったスカリエッティが訪ねてきたので、正直に答えてやったら、何やら考えこみだした。

 

「それで、気がついた経緯だったか?最初からだよ。具体的に言えば、ウーノさんが俺に接触した時か?」

 

「えっ!?」

 

「気配は人に限りなく近いが、ちょいと機械的な何かが混ざっているのでな。知り合いに似たようなのがいるからすぐに分かったよ」

 

 そういや、ここ最近はあってないが、どうしているかね。それに、名前なんてもろにそうだ。あいつと同様に数字が由来の名前なんて早々に……やべ、リイン母娘もそうだったな。まぁ、いなくはないが、特徴的なんですぐに分かった。

 

「ふむ、とりあえず尋ねるが、捕えないのかね?」

 

「今は、勤務時間外だ」

 

 なんで、勤務外まで仕事をせにゃならん。戦いならば、考えもするが、それ以外はごめんこうむる。

 

「君は中々に愉快な性格をしているようだね。話やデータでみるのとは大違いだ」

 

「話やデータっていうのも気になるが、まぁいいか。俺はね、一分前まで殺し合っていた奴だろうと、戦いが無ければ平気で酒を酌み交わすような奴だよ」

 

 恨みつらみは、戦い以外には持ってこないようにしている。そうしないと、俺の殺気は色々と危険だからなぁ。それに、切り替えが出来ないようになるのも嫌だし。

 

「逆を言えば、一分前まで酒を飲んでいても、敵対すれば敵だと」

 

「よくわかったな。飴ちゃんをやろう」

 

 ポケットから取り出した飴をスカリエッティに投げ渡す。久遠用に持っているやつだが、ご褒美に色々な奴に上げているから別に問題はない。

 

「ほう、こう言ったものは食べたことなかったが、中々に美味しいものだね」

 

「基本的に添加物が入っていないものは美味いぞ」

 

 まぁ、添加物入っているような奴も、あれはあれで美味いが。

 

「君だからこそ、尋ねても問題はなさそうだね」

 

「何がだ?」

 

「何、君は、アンリミテッド・デザイアという言葉を知っているかね?」

 

「いや」

 

「では、この言葉をどう思う?」

 

 ふむ。アンリミテッド・デザイアねぇ……直訳するならば、限り無き欲望……いや、さらに素直に言うならば、無限の欲望か。

 

 それを、どう思うかねぇ……

 

「別にいいんじゃないか?」

 

「どうしてだい?」

 

「人間なんて、多かれ少なかれ、欲望にまみれているさ。特に、俺なんかには否定的な言葉は吐けんよ」

 

 つか、俺が頂きに上りたいという願望はまさにそれじゃないか?尽きぬ欲望、無限に等しい欲求。

 

 それが、俺の原動力である。

 

「周りからみれば、やれ狂人だ、やれ人外だなんて言う奴らもいるが、好きに言わせておけばいい。それが、我慢できないのであれば、その言葉は口にしないことだね」

 

 普段から人外だのなんだの言われ続けられては否定しているが、まぁあれだ、言われてもやめる気はさらさらないだけだな。

 

「そういや、俺もお前に聞きたいことがあったんだ」

 

「何かね?私も質問をした身だ、出来る限り答えよう……ああ、流石に目的は答えられないよ」

 

「そんなものに興味はない。俺が聞きたいのは、あの銀髪連中について知っているかってことだ」

 

「カダージュ一味かい?イエス・ノーで答えればイエスだね」

 

 ふむ、やはり知っていたか。マテリア強奪事件の犯人以外にも色々と特徴的な部分で、俺の予想通りならば……

 

「では、ソルジャー計画については?あいつらとの関わりは?……って、質問が多いな。フェアじゃないか?」

 

「構わないよ。今は気分がいいのでね、答えてあげよう。まぁ、ある程度はぼかさせて貰うが」

 

「それこそ、構わんさ」

 

 むしろ、答えてくれるとは思ってなかったし、ここで、手に入れられなくても、やることは変わらん。

 

「そうだね、ソルジャー計画の発端は知っているようだし、彼らの関係だけを答えようか。

 彼らは、成功体だね。そして、彼らに適合した因子だが、あれは君が関わった事件……闇の書事件だったかね?あの時、アルカンシェルで吹き飛ばしたモンスターの破片が戦艦に多少だが付着していたのを回収し、培養した物だね」

 

「マジか」

 

 あの時に吹き飛ばしたと思ったら、別の奴に変異したはずだが、それ以外にも残っていたとは思わんかった。てか、回収したのは誰だ?しかも、培養だと?

 

「とにかくとして、成功したのはいいのだがね、ただしあくまで適合しただけで、副作用があった。身体組織の崩壊だね。因子が思いのほか強力だったのか、はたまた、別の要因かは私が関わってないのでしらないがね」

 

「なるほど。クロードを求める理由は……クロードの組織データか?いや、それならば、既に手に入れているだろうし」

 

「鋭いね。恐らくだが、彼を取りこむなりなんなりするつもりじゃないかね?あと、私たちの関係は協力はしているが、連携はあってないようなものだよ」

 

「そうか」

 

 さてと、聞きたいことも聞けたし、コーヒーも飲み終わったことだしお暇させてもらうとしますかね。

 

「ごちそうさん。美味かったよ。それに、いい暇つぶしにもなった」

 

 こんな所で会えるとは思ってなかった人物とあって、実際にデータ以上のものを手に入れたのは大きいね。まぁ、狂人だったけど。目がやばい感じがしたし。

 

「じゃあな。今日は捕まえる気はさらさらないが、手を出してきたら、潰すからな」

 

 後ろでに手を振ってその場を後にする。そういや、コーヒーに自白剤が入っていたって突っ込むの忘れたな。味の変化はなかったし、俺には効かんから思いっきりスルーしちまっていたが。

 

 玄関から出ると、何やら銀髪っ子が俺を睨んでいた。

 

「いいか、今日は見逃してやるが……次に会った時は貴様を殺す。そして、貴様の次は5番目を殺し、私の存在意義を証明してやる」

 

 いきなり宣戦布告された。まぁ、仕掛けてくるならば、相手をするが、今はその気がないようだ。

 

 まぁ、とにかく帰るとしますか。どうせ、この場所はダミーだろうし、次に来たらもぬけの空か自爆されるのがオチだから黙っているかね。

 

 

 

 

 

 

「は~い、ヴィヴィオ。この人が、パパですよ~」

 

「パパ~」

 

「はい?」

 

 そして、帰ると何故かなのはに抱きあげられている先日保護した少女が俺のことをパパと呼んできた。




†久遠放送局†

久遠「なんか、紅莉が仕事をしない」

リニス「紅莉なんてそんなものです。勤務内容にそった内容しか働きません」

久遠「てか、スカリエッティと仲良くお喋りとか」

リニス「あらかじめ言っておくと、この小説のスカリエッティは敵です。どうやっても、敵です」

久遠「まぁ、綺麗なスカリエッティも嫌いじゃないらしいから、あんな性格にしたらしいけどね」

リニス「てか、最後のが気になりますね」

久遠「まぁ、それは次回に説明できればいいなぁ。では、次回もお楽しみに」
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