魔法少女リリカルなのは~刃の行き着く先~   作:レティウス

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全話にて紅莉は自分のことを剣神《刃》と称していますが、別に神になったわけではありません。


最終回

「それにしても、アニメの世界なぁ」

 

 姉さんとの戦いを終えて約一週間、漸くミッドも落ち着きを取り戻してきた。

 

 落ち着いたためか、漸くこの前のことを聞きだしてきたはやてに、俺が話せることは全て話すと、わりとあっさりと納得した。

 

 まぁ、はやてはこの手の話は結構好きだからなぁ。学生時代も携帯を弄って読んでいたし。

 

 逆に言うと、なのはやフェイトなんかは衝撃を受けている。普通は、こっちの反応だよな。

 

「私としては、クロードもそうやったというのがビックリや」

 

 俺の出生の話についでとばかりにクロードも自分がそうだと告げた。

 

「せやったら、紅莉君やクロードはこの前の事件もある程度予想できたんやないの?」

 

 はやての質問に揃って首を振る。

 

「なんでや?」

 

「俺は、原作をしらないんだよ。神様に、ここに行けって言われて、能力渡されたからね」

 

「なるほどなぁ。紅莉君は?」

 

「物心がついた頃には戦場にいて、そのころから鍛錬に明け暮れていた俺が覚えてられるとでも?」

 

「すまん」

 

 まぁ、俺もクロードと同様に原作なんて知らんかったに近いけど。

 

 そのあとは、落ち着きはしたが、まだまだやることが沢山あるために、解散となった。

 

 

 

 

 

「どこだここ?いや、見覚えがあるな」

 

 気がつけば、かつて転生する時にいた場所にいた。

 

「ふっ!」

 

「あぶねっ!?」

 

 自分の意思で出し入れできるようなった刀を腰から引き抜いて、目の前に思いっきり振るったのだが、避けられてしまった。

 

 かつて、俺が死んだ時に現れた神だ。納刀しながら睨む。

 

「俺は神じゃないよー。神の代理人だよー」

 

「てめぇが天使って面か!」

 

「いやいや、きちんと人って言ってるだろうに」

 

 知らんわ。そんなもの、文面通りに受け取る奴なんて、ほとんどいねぇよ。

 

「やれやれ。個となったから祝福してやろうとしたのにな」

 

「いらねぇ。お前に祝福されるとか、鳥肌が立つわ」

 

「言うと思った。とりあえず、伝えることだけ言うぞ」

 

「そうしてくれ。お前を見ていると、なんか無性に腹が立つからな」

 

 俺としては非常に珍しいのだが、出会った当初からこいつだけはどうしてもダメなんだよな。

 

「まぁ、なんだ?俺も難しい説明って出来ないんだが、とりあえず自己紹介しようか。俺は、紅那岐」

 

「は?」

 

「だから、紅那岐なんだって。あらゆる世界にいる紅那岐の原点とでも言えばいいのかね?とにかくとして、俺から派生した一人がお前さんだったということだ」

 

 やべぇ、話が難しくて分からん。つーか、おい。こいつが俺だと?

 

「元な元。お前は紅莉であって、それ以上でもそれ以下でもないんだって。この前の戦いでお前は紅那岐という存在を捨て、紅莉という新たな存在になったんだよ。それは、理解しているだろ?」

 

「それは、まぁ。自分で選んだからな」

 

 感覚的にそれは理解できる。言葉にするのが非常に難しいが。

 

「まぁ、系統樹のトップとかそんなものだが、それは理解したか?」

 

「なんとなくは」

 

「そいつは重畳。んじゃ、次はお前が殺された理由だがな。俺も元は転生者で、そのころに色々と暴れてなぁ。その後、怨んだ神連中が、俺には勝てんからって俺の並行存在に茶々を入れ始めたんだよ」

 

「結局、お前が原因じゃねぇか」

 

「そいつはすまんかったな。だから、転生させてやったろ?まぁ、こっちの意図した成長の真逆を行ったが」

 

 それはあれか?剣士としての否定か?まぁ、貰った能力がカビが生えていたのは事実だが。

 

「いや、それは別に構わんし、最終的にはお前はお前の望む力を勝ち取ったしな」

 

「まぁ、な」

 

 ブレイミット・レヴ。新たに手に入れた俺のためだけの力。この力の定着はまだまだだが、それでも前以上の力を感じる。

 

「とりあえず、伝えたいことは伝えたからとっとと帰れ。かみさんといちゃつきてぇ」

 

「死ね」

 

「ひでぇな。まぁ、俺も若いころはそんなもんだったが」

 

 もう一度、斬ってやろうとしたが、結局それは叶わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「んで、紅莉君は結局のところ、誰を選ぶんや?都合よく、今はすずかちゃんもおるし」

 

 にやにや顔でそんなことを訪ねてくるはやてにとりあえずむかついたからデコピンをかます。

 

「ぐぉぉ……相変わらず、手加減が無いな」

 

「アホ言え。今の俺じゃ本気でやったら、お前の頭が弾け飛ぶわ」

 

「怖いわ!?」

 

 額を押さえて椅子に座りながら器用に後ずさるはやてに苦笑いが浮かんでくる。

 

「……そうだな、ちょっと俺について話しておきたいことがあるから、三人を呼んできて貰えるか?」

 

「紅莉君のって転生者以外でか?」

 

「ああ」

 

 俺をしばし見た後、はやてはその場を後にして三人を呼んできてくれた。

 

「まずは、お前たち改めて謝りたい。身内のごたごたに巻き込んで悪かった。怖かっただろ」

 

 そう言って、頭を下げる。

 

「気にしてないよ」

 

「そうだよ。それに、それを言ったら私なんて……」

 

「同じく、人の事言えないんだよね」

 

 頭を上げると、三人が三人とも微妙な顔をしていた。まぁ、確かに身内のごたごたに自ら飛び込んだからな、俺は。

 

「さて、改めて話をすると、ここに呼んだの俺の今後についてを話そうと思う」

 

 そういうと、三人がピクリと反応するが、何かを言うということはなかった。

 

「お前たちが俺に好意を寄せてくれているのは、知っている。それはとても嬉しいし、贅沢なことだと思う」

 

「にゃはは」

 

「えへへ」

 

「ふふふ」

 

 俺の台詞に頬を緩ませるなのフェイすず。うん、ちょっとだらしない顔をしているぞ?

 

「その好意に甘んじて、その気持ちにつかり続けたのもそろそろ終わりにしようと思う」

 

『!』

 

 三人がぱぁっと花が開いたかのような笑顔になった次の瞬間、お互いを目線だけで牽制しだした。

 

「ただ、その前に伝えたいことがある」

 

 次の俺の台詞に、牽制していた三人はそれをやめて再び俺をまっすぐに見てくる。

 

「この前の戦いにおいて、俺は自分を作り変えた。それこそ、普段皆が俺のことを人外だと言っているが、まさにそれに、な」

 

「どういうことや?」

 

 まだ部屋に残っていたはやてが訪ねてくる。

 

「あの戦いで姉さんを倒すには、人間のままの力では不可能だった。だから、俺はレヴを俺に相応しい力にすると同時に、それに相応しい体に俺自身を作り変えた」

 

 もともとが、レヴを解放すると、人間のままでは体が持たなかった。

 

 だから、解放するたびに俺の体は一時的だが、人間ではなかったのだ。

 

 最初の頃は、使ってもまだ人間に戻っていたが、使い続けるうちに、人間ではない何かの体の方に魂が馴染んでいった。

 

「まだ、完全に力が馴染んでいないから多少の成長はするが、恐らく俺はこのまま歳をとらず、死ぬことも無くなるだろう」

 

 つまり、不老不死になったのだ。

 

 それしか、姉さんを止める術はなかったし、それ自体に後悔はない。

 

 そもそもが、エアこそ未だに首飾りとして存在しているが、その実、こいつの中身は空っぽに近い。

 

 魔導師ですらなくなったんだな俺は。改めて確認すると、結構違いが多いな。

 

 セットアップも無くなり、戦闘装束へは意思だけで切り替えられるようになったし、白凰も同様だ。いまは、俺の中に眠っている。

 

 そもそもが、体をつくりかえた時に、魔法の才能を捨ててしまったから、魔法は使えないんだが。

 

 そんでもって、エアはエアで、魔法を使わなくなったことで、その分を全て様々な処理に回すことが可能になったから、それはそれでやりやすくなったそうだ。

 

「そんな俺でもいいのであれば、俺は選びたいと思う」

 

「一つだけいい?」

 

「どうした?」

 

 律義に手を上げて質問してくるなのはに視線を向ける。

 

「紅莉君が不老不死になっちゃったっていうのは、分かったんだけど、それってつまり、たとえ一緒になっても、私たちは紅莉君を残して逝っちゃうってこと?」

 

「ああ」

 

 なのはの質問に頷いて答えると、皆が皆悲しい顔をする。

 

「どうにかできないの?」

 

「方法はある」

 

 フェイトが質問をしてきたので、正直に答える。恐らく、この方法を伝えれば、三人ともそれを選ぶだろうという核心はある。だが、俺としては選んで欲しくない。

 

「それって、どんな方法なの?」

 

「俺と魂で繋がれば、俺が死なない限りは常に一緒だ」

 

「不老不死やから死なんやん」

 

「まぁな」

 

 ただ、世の中に絶対ということはない。余程のことがなければ大丈夫だろうけど。

 

「選ぶのはお前達だ。俺にもう合わせる必要はない。好きに選んで欲しい」

 

 ここで、三人とも出て行ったとしても、俺は恨むことは絶対に無い。

 

「もし、私たちが一緒にいないことを選んだら紅莉君はどうなるの?一人になっちゃうよ」

 

「久遠やリニスがいるさ」

 

 久遠やリニスにはもう確認済みだ。二人とも俺と共に、永劫とも言える生を一緒に付き添ってくれるらしい。

 

「それで、どうする?」

 

「どうするって」

 

「ねぇ?」

 

「今更だよね」

 

「そうか」

 

 本当に彼女達が言うように今更のようだ。三人とも出て行く気配は無い。それどころか、一生俺に付き添うと目が語っている。

 

「分かった。それなら、俺も覚悟を決めようと思う。そうだな……この場で選ぶというのは、雰囲気がなさすぎるな。六課が解散して、その後に、すずかを送るついでに俺達も休暇を取って里帰りする手はずになっているから、その後、地元の海鳴市で告白したいと思う。後少しばかり、時間をもらえるかな?」

 

 どうせ告白するならば、出会いの地にしよう。俺達の始まりの場所だ。うってつけだろう。

 

 俺の提案に三人もと素直に頷いてくれた。野次馬のはやてだけがじれったい顔をしていが、お前は部外者だから黙っていろ。

 

 

 

 

 

 

 六課最後の仕事も終えて、無事に解散となった。

 

「短い間だけど、貴重な経験になったよ。お姉ちゃんがいたら、興奮して鼻血を流しそう」

 

「向こうに戻って悪用しちゃだめだよ」

 

「あはは、大丈夫。あっちじゃ手に入らないものばかりだから、無理だよ」

 

 それは、手に入るならば再現すると言っているようなものだぞ?

 

「さ、行こうか」

 

「私の勝利のために!」

 

「私だよ」

 

「二人とも、寝言は寝てから言わなきゃダメだよ」

 

 ううむ、最後までこの関係は変わらなかったな。

 

 地球に戻り、なのはが娘を取ったことを報告すると、とーさん達がついに俺がなのはを選んだと勘違いして喜んでいた。

 

 否定しようとしたのだが、なのはがこれ幸いと既成事実をでっち上げようとするのを止めるのに随分と苦労した。

 

「なんだまだ決めてなかったのか。男は度胸だぞ?俺だって若いころはそりゃあ……」

 

「士郎さん?」

 

「つか、母さんという許婚いたのに、その前に別の人に手を出して結婚した人には死んでも言われたくねぇ」

 

 とーさんへのお仕置きは桃かーさんに任せておいた。ヴィヴィオは初めて見る祖父母の行動に目を見開いているが、楽しそうで何よりだ。

 

 俺が名実ともに人外になってしまったと告げた時は悲しそうな表情をしていたが、俺が決めたことだと理解してくれたのは、頭が上がらない思いだった。

 

 その後、俺はこっちにいるときに鍛錬で使っていた丘にやってきた。

 

 魔導師としては、ここで始まったんだよな。感慨深い。

 

 そして、ここで再び始まる。

 

「紅、莉?」

 

 俺が呼び出した女性がやってきて、俺の名前を確認するように呼んでくる。

 

「待っていたよ」

 

 彼女は呼び出された理由は理解しているだろう。けど、どこか自信がなさげである。

 

「フェイト」

 

「は、はい」

 

 そう、呼び出したのはフェイトだ。俺が選んだ女性はフェイトだった。

 

「もし、フェイトがいいのなら、ずっと傍にいてほしい。これからも、これから先もずっと」

 

 この日のために買っていた指輪を取り出して彼女の前に差し出す。

 

「私を選んでくれて、とても嬉しい。でも、理由を聞いてもいいかな?なのはでも、すずかでもなく、私を選んでくれた理由を」

 

 選ばれて嬉しいのだろう、目の端に涙を溜めているフェイトだが、ハッキリとした言葉で理由を尋ねてくる。

 

「そうだな……俺は、誰かのために剣を振れないってのは言ったことあったっけ?」

 

「ううん」

 

「そうか。俺はね、騎士でも武士でもなく剣士なんだ。騎士や武士は仕えるべき人のためにその剣を振るうけど、ただの剣士に過ぎない俺は、誰かのためじゃなく、俺自身のためにしか剣を振れない」

 

「でも、今までずっと私たちを守ってくれてたよね?」

 

「そうじゃないよ。それはね、あくまで俺のためなんだよ。フェイトやなのは、すずかを害する奴らは俺が斬ると誓っていた。その誓いに従っていたにすぎないんだ。

 もし、俺が誰かのために剣を振るうのは生涯でただ一人のためにするって決めていた」

 

 俺はちっぽけな奴だ、誰も彼も守るとはとてもじゃ言えない。そもそもが、俺の腕は二本しかないのだ。片方に刀を持つのならば、結果、抱えられる人間も一人しかいない。

 

 今までは、それでもなお、三人を守ってきた。けど、それは三人のために振っていたわけじゃない。

 

「もし、俺が誰かのために剣を振るならば、と思って最初に浮かんできたのはフェイト、君だったんだ」

 

「でも、なのはは?なのははずっと一緒にいたんでしょ?」

 

「ああ、そうだな。きっと、始まりはフェイト、君だったからだと思う」

 

「始まり?」

 

「ああ。ここでリニスと会い、魔導師として始まり、そして初めて俺が剣士として動くと決めたのはね、フェイトのためだったんだ。だからかな、なのはよりも先にフェイトの顔が浮かんだのは」

 

 なのはを守ると決めたのは、俺が救われたとき。フェイトよりも先に決めていた。けど、それは兄さんとともに誓ったに近い。その後、俺がある程度になったころ、兄さんに完全に託された。

 

 だからこそ、一人の剣士として誓った存在として浮かんだのはフェイトなんだろう。

 

 剣士としてたらればを言いたくはないのだが、こればかりは仕方ない。戦いではないのだ。

 

「今の理由じゃダメかな?自分では器用な人間と思ったけど、いやはや、実際はここまで不器用だとは思わなかった」

 

「それじゃ、私がずっとずっと、紅莉がどんなに疲れようとも、紅莉がどれだけ苦しもうとも、ずっとそばにいてサポートしてあげる」

 

「そうか。ありがとう」

 

 フェイトが差し出してきた手に指輪を嵌めた後、そっと抱きしめて口づけをする。

 

「死にたくなったら、俺に言え。俺が責任を持って送ってやる」

 

「ふふ、これが本当の殺し文句だね」

 

 目の端の涙を拭って笑みを浮かべながらいうフェイトのセリフに、思わず笑いが漏れる。

 

 つられて、フェイトが同じように笑い、俺たちの笑い声は澄み渡る空に溶けて行った。

 

 

 

 

 

 

~fin~




†久遠放送局†

久遠「これで、魔法少女リリカルなのは~刃の行き着く先~は終わり!みなさん、今までご愛読ありがとうございました」

リニス「長きにわたる、ご愛読ありがとうございました。次回作もご期待ください」

久遠「とはいっても、この後コラボをするから完結はもう少し先になるよ」

リニス「それにしても、フェイト選びましたか。嬉しいですが、少し意外ですね」

久遠「作者も大いに悩んだそうだよ?特になのはとどちらにするか悩んだようだよ」

リニス「すずかさんは?」

久遠「この作品だと出番の関係と、作者の力量で関わらせづらくなっちゃって、stsに入ったころには候補から外していたみたい」

リニス「不憫な」

久遠「でも、これで紅莉もふらふら野郎から解放されるね。女好きは変わらないだろうけど」

リニス「あれは、病気の一種ですからね」

久遠「では、みなさん。今までありがとう!」









作者「設定集とかいります?ぶっちゃけ、最初と最後のころの設定が結構変わってしまったので、当初の予定よりも斜め上にぶっとんでしまったというのと、うまく纏める自信がありませんが」
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