半神ショタと黒い雌豹が出合うのは間違っているだろうか?【更新停止】   作:ベクセルmk. 5

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前回までのあらすじ!
投稿の遅すぎるこの作品の打ち切り完結を止めるべく、1ヶ月以内に投稿するという目標を掲げたmk5。はたして、間に合うのだろうか


過去を睨み、今を見ゆ

「がははは!そうか、お主はオラリオに行こうとしていたのか!」

仰々しいにも程がある喋り方をする巨漢の男。

「だとしたら準備不足」

眠たそうな目をした女性が声をかける。

「そうだ、アタシ達と一緒に行こうよ!」

人懐っこい笑顔を浮かべた少女が提案する。

彼女達は主神を失った事でファミリアを失った元冒険者達だ。今では商人の護衛をしている。

リュートは屋敷を出て早々、道に迷った。いつも家の中で勉強と鍛練ばかりしていて、碌に外に出たことがなかったから仕方ない。そんな途方に暮れているリュートがモンスターに襲われた時に助けてくれたのが彼女達だ。

「でも、助けて貰えたのにこれ以上迷惑をかけるわけに・・・・・・」

「別に迷惑ではない」

「そうである!我々もちょうどオラリオへ行く所であったからな!」

「ね?一緒に行こ?」

かくして、彼らはともに旅へと出た。

~~~

彼らとの旅は楽しかった。巨漢の男、ハリル。眠たげな目をした女性、エリナ。このふたりはいつも喧嘩をしているが、喧嘩は最終的に有耶無耶のまま終わるため険悪な空気にならず、戦闘ではよく息が合うところから仲が悪いわけではないようだ。そして最後のメンバーの少女、スズカ。彼女は一で言うならば無邪気だ。悩み事があったとしても、スズカの無邪気に当てられてどうでもよくなってしまうことが多い。そして、何よりもリュートになついていてよく一緒にいた。

こうして、彼らの楽しい旅は・・・・・・終わりを迎える。

~~~

彼らの実力なら、特級危険種位なら倒せた。しかし、超級危険種は倒せなかった。破壊された馬車、傷だらけの仲間、血まみれのリュート。何よりも辛かったのは、その時リュートは何も出来なかった事だった。

「え、エリナさん!しっかりしてください!」

「あはは、エリなら大丈夫だよ。頑丈だし」

隣にいるスズカが言う。しかし、その足は可笑しな方向へ曲がっていた。

「スズカさん!あ、脚が・・・・・・」

「あはは、気にしないで。ねえ、それよりもまた笑って。君みたいな美少年の笑顔を最後に見て死ねるなら、幸せだと思わない?」

スズカは脚が折れていても、変わらない笑顔で言って見せた。それに対しリュートは泣きながら笑った。

「やっぱり、リュー君の笑顔はいいなあ。あたしも、そんな風に笑いたいよ」

エリナが眠たそうな目のまま言う。

「よし、準備できた。これで大丈夫だ」

背後からハリルの声がした。振り返ると、リュートの荷物の括りつけられた馬がいた。

「ハリル!一体何を!」

「そうだな、リュート。俺たちは死ににいく。だが、お前は生きろ。何があっても生きろ。俺たちの分まで生き続けろ!」

そう言われて無理矢理馬に乗せらる。

「「「我ら、生まれた時、場所は違えど、世界に名を残すために戦う者達。我らはこれから汝に起こるありとあらゆる困難、苦難、試練を祝福しよう」」」

三人が唱える。これは、彼らの主神の女神と結婚した冒険者が新たな団員に対して言う歓迎の言葉である。

・・・・・・たとえファミリアが無くなろうが、我らの盟友が残した意思は生き続ける。

~~~

目を開く。ダンジョンの中で目をつぶるのは危険すぎる行為だ。

それも、今リュートの目の前にいるのは超級危険種と思われる新種のモンスター。逆三角形の形になるように生えた赤紫色の角、四本足の巨大な竜。そして、後ろには蠍の尻尾。周りから溢れ出た紫色の液体が周囲の植物を枯らしていく。

触れわば死す、猛毒の魔竜。それを前にリュートは目を閉じていた。しかし、リュートは慢心ゆえに目を閉じているわけではない。目を閉じるたびに浮かんでくる過去。今までは怖くて何もできなかった。今は違う。

「これから僕は、過去を殺す!」

・・・・・・トラウマ(過去)を睨み現実()を見ゆ!

竜が息を吐いた。リュートに対して猛毒の霧が向かってくるが、リュートは落ち着いたまま一瞥する。

聖武具顕現(リアライズ)『鎧』」

何故武具しか出せないのか。その疑問を得た時に初めて盾を顕現出来た。それは、聖武具顕現が防御の概念を得たからだろう。

ならば、何故手からしか聖武具顕現を出せないのか。攻撃とは言わない。盾を・・・・・・全身に。

「出来た」

毒霧の中、全ての命が死に絶えたなかで、リュートのみがそこにいた。

『ぐるわああああああ!』

リュートが生きていたことが気に入らなかったのか致死の猛毒が込められた尻尾が向かってくる。

「聖武具顕現『城壁楯』」

普通の盾よりも巨大な盾を顕現し、尻尾の刺突を防ぐ。

「<我流刀術肆之太刀>『惨斬丸』」

一太刀が九条の斬撃へと広がり、隙間から毒液の漏れる鱗を切り裂く。しかし、これは聖武具顕現ではない。巨大鋏、『エクスタス』でやってのけたのだ。

「<相対機動(ミュートスクリーム)>」

瞬間、一秒と一秒の間に1分間の時間が生まれる。

「『5つの力、5つの心、5つの思想、5つの根源をその手に収める<フィフス・オリジン>』」

リュートの背後に五色の魔法陣が出現する。そのまま、『ガイアカタストロフ』『インペルブレイズ』『アイスバーグストライク』『ストームダウン』『スターライトカノン』を唱える。

「聖武具顕現五色の絶剣(ファイブソード)

聖武具顕現は魔力を消費して体から武具、防具を出現させるスキルだ。・・・・・・ならば、魔法を練り合わせて武具の形にすることは出来るだろうか。

「出来た」

それによって、五色の大剣が顕現し、振りかざされる

そして、一分が経過し、時が進む。

『ぎゃがああああああああ!』

紫色の液体が収束し、飛んでくる。

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

液体と剣が触れて、液体が蒸発する。そのまま振り下ろし、五色の光が液体ごと竜を斬った。

~~~

「え、この人・・・・・・」

エリーゼロアーは困惑していた。ダンジョンの8階層で魔法の試し撃ちをして、さあ帰ろう。と思い歩いていたら、突然自分の真横に穴が空き、そこから黒髪の少年が現れたのだ。しかも、武器には見えない巨大な鋏と紫色の骨で出来た棍をせよっていたのだ。

エリーゼはこの少年を知っている。

「リュート、様」

リュート・シヴァ。エリーゼの思い人であり、命の恩人だ。吸血鬼症候群(ヴァンパイアシンドローム)の発作を抑え、リュートを介抱する為に抱き抱え・・・・・・ようとしたが、できなかった。

(な、なんでこんなに重いんですか!)

とりあえず、抱き抱えるのは辞めて、膝枕をしよう。そう思い、頭を膝に乗せる。

「ああ、なんて愛しい♡」

瞳にハートを浮かべながら、リュートの頭を撫でる。このまま時間が止まってしまえばいいのに。と思える程の至福の時間は、しかし長続きはしなかった。

「ん?」

突如、リュートが目を醒ます。まだ眠たげな目はしっかりとエリーゼを捉えている。

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「えっと、君は・・・・・・」

エリーゼを見つめるリュート。その視線に耐え切れなくなって、顔が赤く染まるエリーゼ。

「ぴゃ、」

「・・・・・・ぴゃ?」

「ぴゃあぁぁぁぁぁ~~~!」

という叫び声と共にエリーゼは走り去った。

 




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