咲-Saki- とりあえずタバコが吸いたい先輩   作:隠戸海斗

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04福路美穂子その1 風呂と食事

透華の案内で無事に大浴場に到着した二人は、さっさと風呂に入るべく服を脱いでいた。

 

「しかし夏に熱い風呂って言うのも・・・・・・冷たいシャワーでも浴びて終わりにしたい気分っす」

 

京太郎がさり気なく呟くと、秀介から手ぬぐいが飛んできた。

 

「バカモノ、君は風呂のなんたるかをまるでわかっていない。

 今日はみっちり教えてやろう」

「ええー!?」

 

風呂好きなのだろうか、この先輩は。

そんな事を思いつつ服を籠に突っ込んで行き。

 

 

「・・・・・・えっ!?」

 

 

それが目に入った。

 

 

「・・・・・・せ、先輩・・・・・・それ・・・・・・」

「ん? あっ・・・・・・」

 

そういえば、と言わんばかりの軽い表情でパッと手ぬぐいをかけた。

 

「・・・・・・これを知らない人間に見せたのは久々だったな、うっかりしてた」

「いやいや! そんな軽いもんじゃないでしょう!

 ど、ど、ど、どうしたんですか!? それ!

 あっ! もしかしてしばらく学校に来てなかったのってそれが原因・・・・・・」

「いや、これは直接は関係ないな。

 見てくれれば分かるがもうだいぶ・・・・・・って見るのも嫌か」

 

ははは、と笑いながら秀介は浴室に向かっていった。

 

京太郎はしばし固まっていたが、やがてそれに続いた。

 

 

 

京太郎が浴室に入ると、秀介は手ぬぐいを泡立てて身体を洗っていた。

その隣に座るのも何だか気まずい。

先に風呂で温まろうかと京太郎は湯船に向かう。

 

が。

 

「須賀君、こういうところでは先に身体を洗うのが礼儀というものだよ。

 こっちに来て身体を洗いたまえ」

 

そんな声が飛んできた。

 

「・・・・・・はい」

 

大人しく従う京太郎。

 

離れて座るのも先輩に無礼だろうと思い、仕方なく隣に座る。

そして同じように手ぬぐいをボディソープで泡立てて身体を洗う。

 

「・・・・・・言っておくがね」

「は、はい?」

 

不意に秀介から声がかかった。

何を言うつもりか?と思っていると。

 

 

「俺がこれについて語ることは無い」

 

 

そう言った後に。

 

 

「だから、今まで通りに接してくれると嬉しいね」

 

 

そう付け加えた。

 

 

「・・・・・・は、はい」

 

京太郎は返事をした。

が、その心中ではまだ悩み中である。

今まで通りに接してくれると嬉しい、そうは言われてもそう接することができるだろうか。

 

 

 

と思っていると、不意に小さいな声が聞こえた。

 

「キャプテーン! お背中流しますし!」

 

 

 

ぴたっと二人の動きが止まり、顔を合わせた。

 

「・・・・・・須賀君、聞こえたかね? 今の声」

「・・・・・・何やら聞こえた気がしますが」

 

少し耳を澄ましてみる。

 

 

 

「まーまー! 遠慮なさらずに!」

「おー、風越のキャプテンさんは後輩にもてもてっすね」

 

 

 

「・・・・・・誰のかは分からんが・・・・・・」

「・・・・・・えぇ・・・・・・女子の声ですね」

 

「・・・・・・そう言えば隣合っていたな、女風呂と」

「俺もそう記憶してます」

 

「俺の予測では今の声は女風呂の誰かの声だと思うのだが、君の見解を聞かせてもらおうか」

「奇遇ですね、俺も同じ意見ですよ先輩」

 

 

二人の表情は、いつになく真剣になっていた。

 

「・・・・・・ということはだ、須賀君」

「はい、先輩」

「ここにいると女子の赤裸々なあんな台詞やこんな台詞が聞こえてくる可能性があったりするわけだな」

「は、はい」

 

秀介の言葉にごくっとつばを飲む京太郎。

 

「そう、例えばだ」

 

フッと笑いながら秀介は言葉を紡ぎ出す。

 

「原村さんとタコスちゃん。

 もしあの二人が同時に風呂に入ったりしたら・・・・・・何も起こらないと思うかね?」

「まさか、先輩。

 あの二人が風呂場で、つまり裸で揃って何も起こらないわけがありません。

 必ず何かが起こります。

 というか、優希が何かを起こします」

「だろうね」

 

俺もそう思うよ、と秀介は笑った。

つられて京太郎も笑う。

 

「ところで須賀君。

 話は変わるんだが、長風呂は得意かね?」

「湯加減によりますが、割と行けます」

「そうか」

 

シャワーでざぁっと身体の泡を流すと秀介は立ち上がり、親指を立てた。

 

「付き合いたまえ」

 

京太郎も身体の泡を流すと立ち上がり、答えた。

 

「お供します」

 

 

 

それから、「夕食の準備ができたので探しに来ましたよ」というハギヨシが来るまでの実に3時間近く、彼らが浴室から出ることは無かった。

 

 

 

 

 

風呂から上がった秀介と京太郎は夕食が用意してある広い部屋へ集まる。

 

「おい~っす」

「あ、シュウと須賀君」

 

秀介が先に来ていた久に向かって手を振ると、久もそれに応えた。

同時に、浴衣に着替えている二人を見ると苦笑いを浮かべる。

 

「須賀君、シュウにお風呂付き合わされたでしょう」

「ええ、まぁ・・・・・・」

 

さすが幼馴染、秀介の行動もお見通しか。

 

「ちなみに久、お前も浴衣だが・・・・・・」

「当然入って来たわよ。

 何年あんたと付き合いがあると思ってるの。

 お説教はもうこりごりよ」

 

秀介の言葉に、やれやれと首を横に振る久。

お説教という辺り、どうやら京太郎以上に何か言われたことがあるらしい。

 

が、その言葉に納得がいかないのか、秀介は「むぅ・・・」と考え込む。

そして。

 

「確かに髪がまだ湿ってる・・・・・・なるほど、別の場所でシャワーでも浴びたか」

 

そう呟いた。

 

「へ?」と久の表情が変わる。

 

「な、何言ってるのよ、ちゃんとお風呂に入ったわよ」

「大浴場にか?」

「そ、そうよ?」

 

何よ?と言わんばかりの表情でそう返す久。

が、秀介はフッと笑うと京太郎に言った。

 

「須賀君、俺はこんなにもバレバレの嘘を聞いたのは久々だよ。

 君はどうだい?」

「ええ、まったくですね。

 こんなに嘘が下手な部長は初めて見ました」

「な、何よ?」

 

ギクッと反応する久。

何故彼らに久がシャワーで済ませたことがばれているのか。

それは彼らと作者と読者にしか分からない事である。

 

「そ、そんなにいうなら証拠でもあるの?」

 

久のそんな言葉に京太郎はビクッとしたが、秀介は変わらぬ笑顔で告げた。

 

「もちろんある。

 見苦しいな、久。

 その上こんなにバレバレなのにそれが分からない姿は見ていて滑稽だ。

 だから証拠は教えない」

「な、何よそれ!?」

 

なるほど、久をからかいつつ手の内を晒さないとは秀介らしい。

京太郎もその話術に感心する。

それはこの事態のカラクリを知っている人間にしか分からない事だった。

 

 

「・・・・・・ところで、夕食の準備ができてると聞いてやって来たのだが」

「話を逸ら・・・・・・もういいわ」

 

問い詰めても無駄と分かったのか、観念して秀介が変えた話題に乗る久。

 

「バイキングだから好きに取ってきて好きに食べなさい。

 ちなみに席は一応割り振られてるけど、せっかくだし好きな席に座って交流しましょうってことになってるわ」

「なるほど、分かった。

 それともう一つ聞きたい」

「何?」

 

まだ何か聞くことあるの?と首を傾げる久に、秀介は真剣な表情で聞いた。

 

「風呂上りのビールが欲しいのだが」

「高校生でしょ、成人まで待ちなさい」

 

ピシッと言い放たれ、秀介は「はっはっは」と笑った。

 

「安心しろ、半分冗談だ」

「半分本気なの? もういいわ」

 

あきれ顔で久は「何か取ってきて食べましょう」と席を立って行ってしまった。

周りを見るともう食事を始めている人達もいる。

 

「仕方ない、須賀君。

 ビールは諦めて我々も何か食べよう。

 腹も減ってることだし」

「いや、元々俺はビールなんて飲む気ないっすけど・・・・・・」

 

ぶんぶんと手を振る京太郎。

 

「それはそれとして、だ」

 

そんな反応を笑いつつ、秀介はやはり真剣な表情で告げた。

 

 

「水分はしっかり取っておこうな」

「それはもちろんっす」

 

 

脱水症状の恐れがあります、長風呂は止めましょう。

 

 

 

これだけの人数が集まるとやはりそれぞれ好みがあるのか。

魚好き、汁物好き、中華好き、パン好き、ご飯好き。

それぞれ人数がバラけているようで、どの料理も均等に減っている。

が、そんな中でも女子共通の好みがあるのか、サラダはごっそり減っていて肉はあまり減っていなかった。

 

「いかんな、まったく」

 

何を危惧しているのか、秀介が持ってきた皿にはがっつりと大量の肉が積まれていた。

 

「肉もこんなに美味いというのに、女子はあんまり食べていない。

 嘆かわしい」

 

酒が入っているわけでもないのに何やらぶつぶつと呟きながら肉を食べ進めている。

 

「・・・・・・失礼します、ここよろしいでしょうか?」

「む?」

 

声をかけられて振り向くと、そこには龍門渕の黒髪眼鏡、智紀がいた。

その後ろにも二人ほど。

 

「どうも、失礼します」

「え・・・・・・志野崎先輩、なんでそんなに肉ばかり食うとるんじゃあ?」

 

風越の吉留未春とまこだ。

 

「どうぞ、座って下され」

 

秀介の許可を得て一同は同じテーブルの席に着いた。

全員トレイに料理は持ってきている。

智紀は更にその下に何故かノートパソコンを持っていた。

 

「肉は大量に残っていたから大量に持ってきただけだ」

「いや、その理屈はおかしい」

 

秀介の言葉にまこが「いやいや」と手を振って突っ込む。

 

「お肉・・・・・・そう言えば食べていません」

「どうぞ食べてくれたまえ。

 いや、むしろ食べるべきだ」

 

未春の言葉に秀介はずいっと皿を差し出す。

その言葉に押されて思わず肉を一枚受け取ってしまった未春。

仕方なくそのまま食べる。

 

「・・・・・・ん、美味しいです」

「ほうか?」

 

その言葉にまこもすいっと一枚とって食べる。

 

「ん、中々いけるなぁ」

 

ついでに智紀も食べて頷いていた。

 

「あ、申し遅れました。

 志野崎秀介と申します」

「あ、こちらこそ遅れました。

 私、吉留未春と申します」

「・・・・・・沢村智紀です」

 

ぺこりと頭を下げ合う一同。

 

「お近づきの印だ、もっと肉を食べてくれたまえ」

「でもあんまり食べると太る・・・・・・」

「それがいけない、その考えが」

 

未春がボソッと呟くと秀介が口を開く。

 

「今日一食肉をがっつり食べたくらいで太るわけがないだろう。

 むしろちゃんとした食事を取らない方が不健康でよくない」

「そ、そうでしょうか?」

 

急な言葉にたじろぐ未春。

するとまこがため息交じりに助けを出してくれた。

 

「志野崎先輩、旅行とかこういう集まりの時はやけに説教くさくないか?

 おっさんみたいじゃの」

「む、おっさん・・・・・・」

 

それがショックだったのか、秀介はむぅと黙ってしまった。

予想外の反応にまこの方も「あ、あれ?」とすかしをくってしまう。

今度は未春が助けを出した。

 

「え、えーと、志野崎さんはもしかして細い人に苦手意識とか持ってたりするんですか?」

 

異性に体系の好みを聞くとは、中々切り込み隊長なところである。

言うねぇとまこは笑っていたが本人はその自覚がないようだ。

聞かれた秀介は特にそんな事を意識することも無く、少し考えて返事をする。

 

「いや、そんなことはない。

 ただ見ていて少し不安ではあるな。

 抱きしめたら折れてしまいそうで」

「なんで抱きしめる基準なんじゃあ・・・・・・」

 

まこの突っ込みに笑って返す秀介。

いつもの反応だ。

 

「だ、抱きしめ・・・・・・」

 

一方秀介との会話に慣れていない未春は切り込んでおいて何やら赤い顔をしている。

智紀は「貴重な異性の意見・・・・・・」と何やらノートパソコンにメモをしていた。

 

ふと、まこが「ほんなら・・・・・・」と秀介に話しかける。

 

「先輩はふくよかな方が好みなんか?」

「ふくよか・・・・・・そうだな、細いよりは抱き心地もよさそうだし」

「それ基準はやめんしゃい」

 

秀介の感想にため息をつくまこ。

その言葉に、いつの間にか我に返った未春が聞いた。

 

「じ、じゃあ・・・・・・うちの深堀さんなんかは・・・・・・もしかして・・・・・・?」

「深堀さん? どなた?」

 

秀介に聞かれて未春はスッと一人を指差す。

そちらに顔を向ける秀介。

 

「あの・・・・・・志野崎さんが持ってきたのと同じくらいの量のお肉を一人で食べてる人です」

 

該当者一名。

それを見て秀介は「ふむ・・・・・・」と一息つくと、再び正面に向き直った。

 

 

「・・・・・・あれは膝に乗せるのが少しきつそうだ」

「なんで膝に乗せる基準なんじゃ・・・・・・」

 

 

 

「先輩、女子に囲まれてもてもてだじぇ」

 

優希はそんな秀介達の様子を見ながらそう呟く。

手にはバイキングにある食材で作ったタコスっぽい何かが握られていた。

 

「まぁ、女子の方が多いから仕方ないだろう。

 羨ましい・・・・・・」

 

京太郎がそう言うが、彼も優希の他に咲と和と共に食事をしているので女子に囲まれているのに相違ない。

それに気づいているのかいないのか。

 

「盛り上がってるみたいだね。

 何話してるんだろう?」

 

咲もそちらを気にかけている。

と。

 

「・・・・・・み、宮永さんは、志野崎先輩が気になるんですか・・・・・・?」

 

和から声がかかる。

 

「え? 別にそんなことは無いと思うけど・・・・・・」

「・・・・・・ならいいのですけれど・・・・・・」

 

そう言う和は何やら元気がないようだった。

咲は手に持っていた茶碗を置くと和に向き直る。

 

「・・・・・・ごめん、原村さん。

 今は原村さん達と一緒に食事してるんだもんね」

「あ、そんなつもりじゃ・・・・・・」

「ううん、こんな機会あんまりにないし・・・・・・いっぱいお話しよう?」

「は、はい」

 

二人はそう言って笑い合った。

 

 

 

しばらく話が盛り上がっていた秀介達だったが、やがてまこ達はまた別の人の所へと去って行った。

そうしてまた一人で食事をしていると、新たに別の人物がやってくる。

 

「初めましてだし!」

 

なにかうざいのが来た。

しかし言葉には出さず、秀介は笑顔で対応する。

 

「ああ、初めまして。

 風越・・・・・・だったか?」

「はい、池田です。

 3年生だそうですね、先輩。

 ここ座ってもいいですか?」

 

一言ずつ喋ってもらいたいのだが。

そう思いつつ「どうぞ」と着席を進める。

持ってきたトレイをテーブルに置き、池田は席に座った。

その皿の上には何故か魚料理がたくさん乗っていた。

 

「・・・・・・何故そんなにたくさんの魚を?」

「魚がたくさん残ってたからだし!」

 

なるほど、思っていたよりも気が合いそうだ。

 

「そう言う先輩は何故肉をたくさん持ってきてるんですか?」

「肉がたくさん残っていたからだ」

「なるほど! 気が合いますね!

 お近づきのしるしに魚を一匹どうぞ」

「ならば肉を・・・・・・まぁ、何枚かどうぞ」

 

すいすいっとお互いに料理を交換し合う。

こんな些細な交流もありかもしれない。

そう思っていると、また新たな人物がやってくる。

 

「失礼します、私もよろしいでしょうか」

 

やって来たのは風越のキャプテン美穂子だった。

 

「キャプテン! どうぞ座ってください!」

「・・・・・・え、えっと・・・・・・」

 

華菜に聞いたんじゃないんだけど、と言いたげに秀介に目をやる美穂子。

 

「どうぞ」

 

助け船を出してやると美穂子は安心したように座った。

持ってきた料理は肉も野菜も魚も揃っておりバランスがいい。

秀介も文句のつけようがなかった。

 

「・・・・・・して?」

 

何か用ですかな?と美穂子に視線を送る秀介。

それを察し、美穂子は単刀直入に告げた。

 

「よろしければ、このあと私達と少し打ってもらえませんか?」

 

ついっと眉を上げた後、ふむ・・・・・・と考える秀介。

 

「明日になれば存分に打てるかと思いますが」

「・・・・・・まぁ、そうなんですけれども」

 

それでも、と言いたいのか。

美穂子は笑顔を崩すことなく秀介の言葉を待つ。

何を言っても似たような言葉が返ってくるな、と思った秀介は肩をすくめて返事をした。

 

「いいでしょう、半荘一回くらいなら」

「ありがとうございます」

 

 

 

食事を終えると片づけをする。

そしてまた自由時間だ。

ポンと久が秀介の肩を叩く。

 

「シュウ、この後ちょっといいかしら?」

 

にこっとほほ笑むその笑顔、何かを企んでいる。

が、決して悪いことではなさそうだ。

乗ってもいいのだが、秀介は首を横に振った。

 

「悪いな、先約がある」

「先約? 誰と?」

 

むむ、を笑顔をやめて問いかける久。

だが秀介はフッと笑うと告げた。

 

「教えない。

 なんかその方が面白そうだから」

「何よそれ・・・・・・」

 

しかめっ面で文句を言う久。

が、これ以上突っかかっても企み通り秀介を楽しませてしまいそうだったので止めておく。

 

「まぁ、いいけど・・・・・・明日の朝食遅れたら抜きだからね」

「む、それは困るな。

 優しい久は俺の為に残しておいてくれたりしないかね?」

「・・・・・・考えておいてもいいけど」

 

優しい久と言われて悪い気はしないのか、ダメと言えずにそう返してしまった。

 

「助かるよ、ありがとう」

 

秀介はそう言ってその場を後にした。

 

(ヤスコはシュウが復帰してここに来てるっていうのを知らないみたいだし、会わせて驚かせてやろうと思ったんだけど。

 まぁいいわ、どうせ明日には嫌でも顔を合わせるでしょうし)

 

余計なお世話かな?と呟きつつ久もその場を後にする。

 

 

 

やって来たのは麻雀卓が設置された部屋。

今は他に誰も使っていない。

秀介と卓を囲むのは風越の美穂子、池田、そして先程の未春である。

 

「では、始めましょうか」

「お手柔らかに」

 

美穂子の言葉にそう返す秀介。

 

「「「「よろしくお願いします」」」」

 

挨拶を交わし、四人は席に着いた。

 

(さて)

 

くすっと美穂子は笑みを浮かべる。

 

(お手並み拝見と行きましょうか)

 

 

 

対する秀介は、そういえばと。

 

(・・・・・・さっき風呂場で聞こえた「風越のキャプテン」・・・・・・あれはこの人か・・・・・・)

 

今更どうでもいいことに思い至るのであった。

 

 

 


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