咲-Saki- とりあえずタバコが吸いたい先輩   作:隠戸海斗

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他の人はどんな風に書いてるんだろう?と思って探したけど、宮守女子がメインの麻雀小説がほとんど見つからない、アニメで活躍しているというのに。
阿知賀とか鶴賀とか龍門渕はあるのに何故宮守女子は無いのか。
「熊倉さんが親戚の男子に宮守女子の強化を頼んだ」とか、「トヨネさんが弟を連れてきたら麻雀部員にちやほやされる」とか、「塞のお兄さんが麻雀強くてシロにぞっこんでシロも満更でもない感じで、麻雀部の他メンバーとシロを取り合いしてる」とかいう小説読んでみたいのに。
ま、まさか、みんなは宮守女子のメンバーが嫌いなのか・・・・・・?
だったら俺が皆もらtt(
こほん。
異端が集う岩手の代表校のお話、「アフター宮守女子編」スタートです。



アフター宮守女子編
01鹿倉胡桃 出会いと手合わせ


岩手県、とある駅。

夏にも関わらずこの辺りまで来るとなかなか涼しいものである。

夏は暑いものだという常識のある長野から来た彼にとっては、常時冷房の風に当たっているような心地よさがあった。

 

改札を出て大きなカバンから取り出したのは手紙、それをパラリと広げる。

ずーっと読み進めて行った最後の方、「迎えは出せないので目的地まではタクシーでお願いします」との文章。

なお交通費は出してもらえる模様。

 

はぁ、と小さくため息をついた彼はタクシーを捕まえて乗り込む。

 

「どちらまで?」

 

運転手の問い掛けに彼は手紙の一文を読み上げる。

 

「宮守女子高校まで」

 

その言葉に運転手は怪訝な表情で乗客を見る。

どう見ても高校生か大学生の男子。

女子高に一体何の用が?

そんな運転手の視線を知ってか知らずか、彼は逆に運転手に問いかけた。

 

「どれくらいかかりますか?」

「・・・・・・まぁ、そんなに掛からないですよ、歩いていく人もいますし」

 

おおよその時間を告げると彼はまた小さくため息をついて頬杖をついた。

 

「ちょっと疲れてるんで寝させてください」

「・・・・・・お客さん、どちらから?」

「長野です」

「そんな遠いところからわざわざどうして?」

 

興味本位に聞いてしまう。

彼としては「寝させてください」と言っておいたことだし、今のうちに寝ておきたいのだが。

 

「・・・・・・ちょっと呼び出されましてね」

 

パラリと再び手紙に目を落とす。

 

 

差出人、熊倉トシ。

 

志野崎秀介はまだその人物の事を知らない。

 

 

 

 

 

「ツモ、2000・4000。

 捲くりで終了」

 

いつものまこの喫茶店、靖子は一般客を相手に勝利を収めていた。

対戦相手に秀介を含んでいるにもかかわらず。

 

「残念、二位だ」

 

チャラッと点棒を差し出して秀介は自分の手牌を閉じる。

以前まで一方的にやられっぱなしだった靖子は、今回トップという成績にもかかわらずそれを見て不機嫌そうな表情を浮かべた。

 

「シュウ、お前また手を抜いてるんじゃないだろうな?

 今日も一回も100点棒銜えなかったし」

「酷いな靖子姉さん、その発言は敗者に鞭打つようなものだよ」

 

やれやれ、と秀介は背もたれにもたれかかる。

靖子は変わらず不機嫌そうなまま、しかし一拍置いて真面目な表情で問いかけた。

 

「・・・・・・三度も倒れたから、全力出すのを自重してるのか?」

「・・・・・・おや」

 

その言葉に秀介は意外そうに声を上げる。

 

「麻雀で全力を出したら倒れるとか、そう言う非科学的なこと信じてるわけ?」

「麻雀打って、非科学的なことなんざいくらでも見てきたからな」

「なるほど」

 

コップに残っていたウーロン茶をぐいっと飲み干して秀介は席を立つ。

 

「まぁ待て、シュウ」

「ちょっと休憩するよ。

 靖子姉さんもほどほどにしておいてお仕事に戻りなよ」

 

靖子はまだ不満そうだったが、それには構っていられないと言うように秀介は背を向ける。

が、靖子は構わずに言葉を続けた。

 

「お前に渡す物がある」

「・・・・・・何さ?」

 

スッと差し出したそれは折りたたまれた手紙。

筆書きの達筆な字で「志野崎秀介様へ」と書かれていた。

 

「・・・・・・何これ、誰からの手紙?」

「熊倉トシさんだ。

 お前あの人とどこで知り合ったんだ?」

 

靖子から受け取った手紙をひっくり返すと、そこには確かに「熊倉トシより」と書かれていた。

 

「・・・・・・ごめん、誰?」

 

知らないんだけど、と靖子に視線を向けると靖子はキョトンと首を傾げる。

 

「熊倉さんがわざわざ私を待ち伏せて「これを渡して」って頼まれたんだが・・・・・・てっきり知り合いかと思ったが違うのか?」

「だから誰さ、熊倉さんって」

 

秀介の言葉に靖子はその熊倉さんの特徴やら身長やらおおよその年齢やらを告げる。

が、やはり秀介は首を傾げるのみ。

 

「・・・・・・じゃあ熊倉さんはどういう意図でお前に手紙を渡したんだ?」

「知らないよ。

 とりあえず読んでみる」

 

パラッと手紙を広げた秀介は、

 

バンッ!と即座にそれを閉じた。

 

「・・・・・・シュウ? どうした?」

 

その表情は忌々しげと言うべきか、苦虫を噛み潰したような表情と言うべきか。

 

「・・・・・・靖子姉さん」

「・・・・・・ど、どうした?」

 

少しして秀介は言葉を吐き出すように靖子に言った。

 

「・・・・・・この熊倉って人のこと詳しく教えて」

「・・・・・・急にどうした? 別に構わ・・・・・・」

 

あっさりと承諾しようとして言葉を止め、靖子はフッと笑った。

 

「教えて欲しければ私に勝て」

「・・・・・・分かった」

 

手紙を懐にしまった秀介はドカッと椅子に座り、100点棒を取り出して銜えた。

それを見て靖子は嬉しそうに笑う。

 

「そうそう、そうこなくてはな」

 

 

その半荘、東三局で親の秀介が靖子に二連続で跳満を直撃させて終了となった。

さっきまでの笑顔もどこへやら、卓に倒れ込んだ靖子は魂の抜けたような表情に変わっていた。

 

 

靖子から目的の情報を聞き出した秀介はさっさと喫茶店を後にする。

そして誰も見ていない事を確認した後に、懐から手紙を取り出して広げる。

 

その最初の一文に、秀介が過剰に反応してしまった言葉が書いてあった。

 

 

 

「新木桂様へ」と。

 

 

 

 

 

「お客さん、着きましたよ」

 

その言葉に目を覚ます。

時間は短かったがやはり車内で寝るのは少し不自然な体勢になってしまったようで、秀介は金額を支払ってタクシーを降りると首を左右に動かす。

 

「・・・・・・さて」

 

まずは熊倉トシの名前を出して入校許可を貰わなくては、と校門に向かうが守衛らしき人物はいない。

龍門渕には当たり前のようにいたのだが、そう言えば清澄にはそれらしき人がいなかったなと思い返す。

となると事務室でも探さなければ。

くるりと見渡す、がどこが入り口なのか。

昇降口は見えるのだがそこに事務室があるのかが不明。

そもそも呼び出しておいて迎えはどうしたのか。

色々と愚痴っぽいものが思い浮かんだがそこは飲み込んでおく。

伊達に二度目の人生というものを経験していない。

おそらくその熊倉という人物より自分の方が年上だろうし、精神的な意味で。

とりあえず今見える昇降口へ行ってみようと一歩踏み出す事にした。

 

ザッザッと足音がしたので振り向く。

 

「・・・・・・ん?」

 

両手にコンビニの袋を下げた、白髪でだるそうな表情をした中々長身で半目の少女と目があった。

制服・・・・・・ここの生徒だろうか、と秀介はしばし少女を見続ける。

少女も見知らぬ人物に興味があるのかじーっとこちらを見続ける。

が、やがてふいっと顔を逸らして校舎に向かって行ってしまった。

 

「あ、ちょっと」

「・・・・・・何?」

 

呼び止めると振り向いてくれた。

折角出会った少女なのだ、色々聞いておきたい。

 

「部外者が中に入りたいんだが、事務室はどこか教えてもらえるかな?」

 

制服ということは高校生、最上級生でも自分と同い年だ、遠慮なくタメ口で聞く。

 

「・・・・・・」

 

少女はこちらを探るように半目で視線を送ってくる。

そしてやがて校舎の一ヶ所を指差した。

 

「・・・・・・あそこ、向こうから二番目の昇降口の横が事務室」

「そうか、ありがとう」

「・・・・・・じゃ」

 

スッと少女は行ってしまう。

あ、その前にもう一つ聞かないと、と秀介はもう一度呼び止めた。

 

「もう一つごめん、麻雀部ってどこかな?」

「・・・・・・麻雀部?」

 

相変わらずだるそうに首だけこちらに向けて少女が問い掛けてくる。

 

「・・・・・・そう、麻雀部」

「・・・・・・・・・・・・」

 

んー、と少女は眉をひそめて考え事をしているようだ。

やがて小さくため息をついて、くるっと校舎の方を向く。

 

「・・・・・・ついてきて、案内する」

「・・・・・・ありがとう」

 

速くは無く、しかし遅くも無く、なんとなくゆったりとした歩きで少女は校舎に向かい始めた。

秀介もそれに続く。

 

「・・・・・・はぁ・・・・・・だる・・・・・・」

 

そんな呟きが聞こえた。

 

 

 

 

 

事務室で許可を貰い、少女に案内されるまま学校内を歩く。

今日は休日、誰ともすれ違わない。

外で運動している部活の声が聞こえる程度。

 

のどかでいいところだな、などと秀介は考えていた。

 

やがて一室の前に立ち止まり、少女はそのドアをおもむろに開ける。

 

「おかえり、シロ」

 

中から声が聞こえた。

 

「・・・・・・ただいま」

 

ここが麻雀部の部室か、と秀介も続いて入る。

 

「失礼します」

 

麻雀卓も椅子もある、どうやら部室に間違いなさそうだ。

案内してくれた少女はコンビニの袋を近くのテーブルに置くと、備え付けのソファーに座りぐったりともたれかかった。

 

「・・・・・・ダルかった」

「お疲れ」

 

中にいた少女がシロと呼ばれた少女に声をかけた後、秀介の方に向かってくる。

赤っぽい髪をお団子状に頭の上でまとめた片眼鏡の少女だ。

 

「どちら様でしょうか?」

「熊倉さんに呼ばれて参りました、志野崎秀介と申します」

 

そう言って秀介は折り畳まれた手紙の裏側の「熊倉トシより」という文字を見せる。

 

「話には聞いています、遠いところからわざわざようこそ。

 私は臼沢塞と申します」

「こちらこそ、よろしくどうぞ」

 

お互いにぺこりと頭を下げた。

しっかり者だな、と思いつつ秀介は先程の少女の方に視線を向ける。

 

「・・・・・・あー・・・・・・」

 

相変わらずダルそうだったが、ソファーにもたれるのは止めてくれたようだ。

 

「・・・・・・麻雀部の小瀬川白望です・・・・・・よろしく・・・・・・」

「ああ、よろしく」

「・・・・・・麻雀部と黙っていて済みません・・・・・・ダルかったもので・・・・・・」

「いや、予想付いてたから」

「・・・・・・そう・・・・・・」

 

返事をするとすぐにまたぐったりとソファーにもたれる。

悪く言えば客に対してこの態度、良く言えばいつでも自然体と言ったところか。

 

「どうぞ、座ってください」

 

塞と名乗った少女に従い、秀介は近くの椅子に腰かける。

持ってきた荷物は床にドサッと降ろした。

 

「今お茶でも入れますね。

 シロ、お菓子ありがとう。

 レシート出しておいてくれれば後で熊倉さんが立て替えてくれるって」

「・・・・・・んー・・・・・・家から持ってきた奴だから、別にいい・・・・・・」

 

塞の言葉にシロはぐったりとしたまま答えた。

その返事に塞の動きがぴたりと止まる。

 

「・・・・・・シロ、何でコンビニで買ってこなかったの?」

「・・・・・・ダルかったから・・・・・・」

「・・・・・・シロの家ってここからだとコンビニより遠くなかったっけ?」

「・・・・・・・・・・・・」

 

その言葉にしばし沈黙し、シロはやはりぐったりしたまま答えた。

 

「・・・・・・考えるのがダルい」

「移動の労力は気にしないんだ・・・・・・。

 まぁ、多分熊倉さんの事だから出してくれると思うけど・・・・・・」

 

やれやれとため息をつきつつ塞は秀介にお茶を差し出した。

 

「どうも」

 

ぐいっとお茶を一口。

中々いいお茶だ。

そう思っていると部室のドアがガチャリと開かれた。

 

「タダイマ、デス」

 

そして入ってきた金髪の少女と目があう。

途端、タタタッと壁の影に隠れられた。

 

「どうしたの? エイちゃん?」

 

外からまた別の少女の声が聞こえる。

 

「え? 知らない男の人がいる? 女子高なのに? きっと不審者だね! 任せて!」

 

キュッキュッと何かの音が聞こえた後、そんな声が聞こえた。

そして締まりかけていたドアが再びバーンと開く。

 

「不審者! 大人しくここから出て行きなさい!

 あ、待って! 警備の人を呼ぶから待ってて貰った方がいいのかな?」

 

何やらちっこいのが入ってきた。

そのちっこいのの背中に隠れるように先程の金髪の少女が入ってくる。

当然隠れきれていない。

 

「ともかく覚悟!」

 

何か良く分からないがそのちっこいのがビシッと秀介に指を向けた。

 

「・・・・・・」

 

それを受けて秀介はとりあえずまた一口お茶を飲み、それを近くのテーブルに置いて一息つく。

そしてバッと立ち上がり、適当なポーズをとった。

 

「フハハハ! バレてしまっては仕方がない!

 お前の相手はこの俺、麻雀の神に愛されしヒーロー、大三元戦隊(チュン)レッドが相手だ!」

「大三元戦隊中レッド!? ぐぬぬ、どうりで只者じゃないと思った!」

 

ちっこいのも負けじと適当なポーズで対抗する。

 

そしてそんな様子を塞が「いやいや」と突っ込み切れずに見守っていた。

 

実にダルい。

 

 

 

「どうも初めまして、鹿倉胡桃です」

「ハ、ハジメマシテ・・・・・・Aislinn(エイスリン) Wishart(ウィッシュアート)デス・・・・・・」

 

ペコリと二人が頭を下げるのに合わせて秀介も挨拶をする。

 

「初めまして、大三元戦隊中レッドこと志野崎秀介です」

「その設定引っ張るんだ」

「何と言うか・・・・・・そんな感じの空気だったのでやってみた。

 普段はあんなじゃないんだけど」

 

決して恥ずかしがっているわけではなさそうな立ち振舞いで秀介はそう告げる。

あれから胡桃の方は勘違いだったことに気づいてそそくさと態度を改め、秀介もそれに合わせて悪乗りを止め、互いに自己紹介したという状況だ。

 

「それで」

 

秀介はスッと手紙を取り出して一同に問いかける。

 

「肝心の熊倉さんはまだですか?」

「トヨネを迎えに行ってるから、もう来てもおかしくない時間なんですけどね」

 

秀介が貰ったという手紙を見れば呼び出したのは熊倉先生の方、にもかかわらずその本人が未だに現れずお客さんを待たせてしまっている状況だ。

これはよろしくないと塞が申し訳なさそうに頭を下げる。

もちろん秀介は手紙を完全には渡さずに、呼び出したという所だけを見せた。

でないと「新木桂」の名前からどのようにどんな話が広まるかが分からないからだ。

ましてや自分が「新木桂」だ、などと名乗るわけにもいかないし。

 

「・・・・・・とにかく麻雀部に呼び出されたってことは麻雀すればいいんじゃない?」

 

シロが相変わらずソファーに寄りかかりながらダルそうにそう言う。

目的は分からないが一理ある、と塞もそれに頷く。

 

「肝心の熊倉先生がいないけど、とりあえずそうしてみましょうか」

 

そう言ってガシャッと山を崩して{東南西北}を取り出し、裏返して軽く混ぜる。

 

「さ、まずはお客さんである志野崎さんからどうぞ」

 

スッと塞は当然のようにそう進めてくる。

胡桃もエイスリンも同様だ。

 

「・・・・・・」

 

どの牌が何かが分かってしまう秀介としては断りたかったのだが仕方なく、スッと一枚引く。

それに合わせて塞、胡桃、エイスリンが牌を引く。

 

「・・・・・・そちらの、小瀬川さんはやらないのかい?」

「・・・・・・・・・・・・ダルいんで」

 

ずっとそれか、と秀介は苦笑いで引いた牌を表にする。

 

「{北}」

「私が{東}」

「私が{西}だね」

「{南}、デス」

 

 

親順

 

塞→エイスリン→胡桃→秀介

 

 

山を崩して全員が席に座る頃には新たな山が現れる。

 

「では、手合わせ願いましょうか」

「よろしくお願いします」

「ヨロシク、オネガイシマス」

 

三人の挨拶を受けて、秀介は深呼吸した後に頭を下げた。

 

「よろしくお願いします」

 

 

 

 

 

一台の車が宮守女子高校を目指して走っている。

距離は後10分もしないうちに到着するだろうと思われる辺りだ。

一人は年配で背は低く、もう一人はまだ若くおしゃれな帽子をかぶり背がものすごく高い。

秀介をここ宮守女子に招いた熊倉トシと、その熊倉が迎えに行ったというトヨネこと姉帯豊音である。

 

熊倉はチラッと時計を見る。

 

「・・・・・・少し遅れてしまったかしらね。

 彼の方が遠いところから来ているというのに遅れてしまうとは申し訳ないわ」

 

そんな呟きに、それまで上機嫌そうだった豊音の雰囲気がどよーんと落ち込んだ。

 

「・・・・・・ごめんなさい、私がこっちに移れればいいんだけど、そう言うわけにもいかなくて・・・・・・」

 

それを見て熊倉も「あらあら」と慌てる。

 

「こちらこそごめんなさい、あなたのせいだって言いたいわけじゃないのよ。

 始発バスと始発電車でこの時間だったんでしょう?

 むしろそんな無茶をさせてこちらこそ悪かったわ。

 お互いにごめんなさいってことで、この話は終わりにしましょう」

 

笑顔でそう言うと豊音の表情もいくらか柔らかくなる。

そして話題変更の為に、と新たな話を振るのだった。

 

「ところで、その志野崎秀介ってどんな人なんですか?」

 

わざわざ麻雀を打ってもらう為に熊倉が呼び寄せたというその人物、豊音は興味ありげに楽しそうに聞いた。

 

「そうねぇ、うーん・・・・・・」

 

少しばかり思い悩み、熊倉は告げた。

 

「義理堅いし頭もいい、でもわりと自由気ままでたまに子供っぽいところを見せる。

 彼を知っている人は敵であってもみんな彼に憧れたわ」

「へぇー」

 

わくわくという気持ちが伝わってくるような満面の笑顔で豊音は聞き入る。

そしてそんな反応を見て熊倉も楽しそうに笑うのだった。

 

「それからもう一つ、彼には面白い癖があるの」

「癖?」

 

首を傾げる豊音に熊倉は告げた。

 

 

「100点棒を銜えるのよ」

「なんで?」

「タバコの代わり」

 

 




熊倉さんマジ策士。
秀介さんマジキャラ崩壊(

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