咲-Saki- とりあえずタバコが吸いたい先輩   作:隠戸海斗

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能力は俺が作った(キリッ
話の区切りを重要視した結果20000字突破した模様。

注意:今回、「小説としてその表現どうなのよ」って書き方した文章が出てきます。
でもどうしてもやりたかった、後悔はしていない(



05臼沢塞 衝突と告白

東二局0本場 親・塞 ドラ{北}

 

塞 17000

配牌

 

{三四七①⑥⑦⑧1247白發} {中}

 

役牌のタネはあるのだが1枚ずつでは何の役にも立たない。

何とか重ねるか、他の面子が早めに伸びてくれればいいのだが。

まずは浮いている{①}を切る。

 

秀介 25600

配牌

 

{二四(横三)四六七②⑤589東白中}

 

今回も豊音は鳴きで手を進めてくるのだろうか。

山を見てみると豊音の手牌と合わせて平和一通で聴牌できそうだ。

もっともそれは鳴きが入らなければの話だが。

 

(今回彼女の手牌は鳴きに向いていない。

 山の流れを感じ取って面前で進めるのが最善だ。

 だが・・・・・・その場合俺の方が先に上がる)

 

前局の反撃で流れを呼び込めたようだ。

{⑤}を手放す。

 

(エ、エェー・・・・・・)

(何でそんなところから切ってるんだろう・・・・・・)

 

今回は秀介の手牌を見てみようとその後ろに回り込んだエイスリンと胡桃は、やはり揃って首を傾げていた。

熊倉は相変わらず豊音の後ろ。

豊音を見守っているのか、それともその対面で戦っている彼を見ているのか、それはよく分からない。

 

シロ 17000

配牌

 

{一七八八①(横八)②35南南(ドラ)發發}

 

{發}が鳴ければ手が早そうだ。

面前よりも鳴きに向いていそうな配牌。

だがシロはあまり鳴くのは好きではない、面前で進めたい派だ。

鳴くとツキを逃すとかそういうジンクスを信じているわけでは無い、もっともっと単純なこと。

 

(・・・・・・人の捨て牌に手を伸ばすのがだるい・・・・・・)

 

シロは{一}を切りながら小さくため息をついた。

ついでにもう一つ。

 

(・・・・・・「ポン」とか言うのがだるい・・・・・・)

 

豊音 40400

配牌

 

{六③④1235(横4)79南西西白}

 

秀介が、鳴きよりも面前の方で進めるのがいいと断定した配牌、おそらくほとんどの人間が賛成することだろう。

平和一通が容易そうだ。

それでも鳴きで進めるのかというとそういうわけではない。

 

(さっきは上手いことやられちゃったからね。

 今度は別の方法で攻めるよー)

 

{南}を捨て、そのまま素直に平和一通に進める。

 

(心配なのは、そうだねー・・・・・・志野崎さんがどれくらいで聴牌するかかなぁ)

 

2巡目。

 

塞手牌

 

{三四七⑥(横八)⑦⑧1247白發中}

 

面子のタネが増えた。

順調に手が進んでくれれば{白發中(役牌)}はいらないことになる。

だが思い切って捨ててもいいものだろうか。

大切にしたいような、不要だとばかりにぞんざいに扱いたいような、何とも言えない困った奴らだ。

一先ずは{1}を手放す。

 

秀介手牌

 

{二三四四六七②58(横7)9東白中}

 

ペンチャンが面子になった。

こちらも手が順調に進めば役牌は不要そうだ。

チラッと視線を向けたのはシロの方。

 

(・・・・・・姉帯さんが捨てた{南}、鳴かなかったな・・・・・・)

 

役牌ではないから鳴かなくても不思議ではないが、手牌はチャンタ系だし大半の人は鳴くのではないだろうか。

何かを感じ取って鳴かなかったのか、それとも単純に面前が好きなのか。

その辺りも観察しつつ、秀介は{四}を切る。

 

(だから何でそこ切るの!)

(!???)

 

後ろで様子を見ている胡桃とエイスリンの心のツッコミは、見えていない秀介には届いていなかった。

 

シロ手牌

 

{七八八八①②3(横④)5南南(ドラ)發發}

 

チャンタになりそうな配牌だったが余計な牌をツモった。

 

(んー・・・・・・どうしよ・・・・・・)

 

今回は彼女の特性とは関係なく頭を抱える。

鳴くのはめんどくさいし、チャンタにはなるか不明だし。

残るは七対子?

 

(・・・・・・だるい、今回はいいか)

 

迷った挙句に{①}を捨てるシロ。

 

(・・・・・・盛り上がってるみたいだし、トヨネに任せた)

 

人はその行為を「投げる」と呼ぶ。

 

豊音手牌

 

{六③④1(横⑧)234579西西白}

 

このツモは不要か。

{⑧}をそのまま切った。

{白}も不要だがまだ2巡目で役牌は一枚も出てきていないし、あっさり切るのは気が引ける。

それに対面の秀介の捨て牌があまりにも奇妙。

この{白}で手が進んだりするのではないか。

しかしよくよく考えると{白}を鳴かれるよりも怖いものがある。

 

(国士とかはゴメンだよー)

 

そう考えると早めに切った方がいいかもしれない。

有効牌が来たら切ろうと豊音は心に決めた。

 

3巡目。

 

塞手牌

 

{三四七八⑥⑦⑧247白(横9)發中}

 

{7}とカンチャンで繋がったが、あまり有効牌とは言えない。

切ってもいいのだがそれよりも、と秀介の捨て牌に視線を向ける。

 

({⑤四}って・・・・・・どんな手牌なのよ・・・・・・)

 

最も警戒するのは国士無双。

続いて純チャン、チャンタ、混老頭などのヤオチュー牌が絡む役。

あるいはその辺りの役など一切無視した役牌のみ、など。

そう考えるとこの三元牌は切りにくい。

 

(・・・・・・でも、引っ張った挙句聴牌した後の高い手に振り込むよりは・・・・・・)

 

役牌鳴かれるくらいなら許容しよう。

そう決めた塞は{白}を捨てた。

 

秀介手牌

 

{二三四六(横五)七②5789東白中}

 

続く秀介、牌をツモった際に視界に入った次のシロのツモと、豊音の手牌にも視線を向けて小さく笑う。

 

(折角だ、この機会に処理しようか)

 

塞に続いて秀介も{白}を切り出した。

 

シロ手牌

 

{七八八八②④35南南(横白)(ドラ)發發}

 

今しがた二人が切った{白}。

そんなものいらないとばかりに切った。

 

豊音手牌

 

{六③④1234579西西白(横北)}

 

何やらワクワクした様子の豊音。

ツモって来た牌を手牌に加えて即座に{白}を捨てた。

 

(全員が同じ巡で同じ牌を切るって、何か面白いよねっ!)

 

各々の思惑は違えども、かくしてこの3巡目で{白}が全て捨てられることになった。

 

4巡目。

 

塞手牌

 

{三四七八⑥⑦⑧2479發(横東)中}

 

(今の1巡で国士の可能性は消えたけど、まだ役牌鳴かれる可能性はあるんだよね。

 そう考えるとこの{東}も切りにくいんだけど・・・・・・んー・・・・・・)

 

少し考え、秀介の様子をうかがいながら{東}をツモ切りする。

 

秀介手牌

 

{二三四五六七②5(横⑨)789東中}

 

こちらも不要牌、あっさりツモ切り。

 

シロ手牌

 

{七八八八②④3(横⑦)5南南(ドラ)發發}

 

(んー・・・・・・いらないかなぁ)

 

何を狙っているのか分からないながらも、こちらもツモ切り。

 

豊音手牌

 

{六③(横一)④1234579西西(ドラ)}

 

(今度は全員ツモ切りだ)

 

豊音も同じく{一}をツモ切りした。

はたまたおかしな偶然があるものだ。

 

5巡目。

 

塞手牌

 

{三四七八⑥(横九)⑦⑧2479發中}

 

二面子目が完成。

できれば索子も頭か面子が確定してほしいところだ。

{中}を切ろうかと手をかけ、先程{中}で上がられまくっていたことを思い出して手を止める。

 

(もう無いとは思うけど・・・・・・ま、まぁ、止めておくに越したことは無いかな、うん)

 

誰に言うでもなく一人で自分を説得し、{發}の方を捨てた。

 

秀介手牌

 

{二三四五六七②5(横②)789東中}

 

これで一向聴、手の進みは順調だ。

塞の方をチラッと見る。

 

({發中、迷った挙句に發}を切ったな。

 さっきの俺の{中}がまだ響いてるのかな。

 だったらやった甲斐はあるし、俺もそれに乗らせてもらおうか)

 

{中を切らずに東}を切る。

残りの{中}は裏ドラに1つと、もう4巡程しなければ出てこないところにある。

その前に秀介に聴牌が入り上がれるはずだ。

対面の豊音も今回は鳴きではなく面前で手を進めているようだし、このまま上がれることだろう。

 

シロ手牌

 

{七八八八②④3(横⑦)5南南(ドラ)發發}

 

(・・・・・・さっき切ったんだけど・・・・・・)

 

七対子狙いで{八}を切っておけばよかったかなと思いつつ、{⑦}をツモ切りする。

 

(でも七対子は七対子でめんどうだしなぁ・・・・・・。

 さっきの局で上がれれば楽だったんだけど)

 

でもまぁ、上手くいかないのも麻雀だよなぁ。

などと若くして真理に至った風なことを思いながらシロは背もたれにより深くもたれかかるのだった。

 

豊音手牌

 

{六③④1234579(横8)西西(ドラ)}

 

(よし、一向聴!)

 

ここまでくればしめたもの。

{六}を切り出す。

後は待つのみ。

 

6巡目。

 

塞手牌

 

{三四七八九⑥⑦⑧2(横⑧)479中}

 

塞もこれで手が進んだ。

{中を切って234か789}の面子が完成すれば聴牌になる。

 

({中}・・・・・・切らなきゃだめだよね・・・・・・)

 

むーっと秀介の方を見ながらおそるおそるといった感じで{中}を捨て牌に置いた。

そしてその秀介。

 

秀介手牌

 

{二三四五六七②②57(横6)89中}

 

(・・・・・・よし)

 

この後のツモの流れに視線を向ける。

 

 

{()()([5])()()()()}

 

 

2巡後に上がり牌の{4}をツモれる。

その間の豊音のツモは{五と8}だし、聴牌に至ることは無い。

二撃目も上がらせてもらおうかと{中}を横向きに捨てる。

 

「リーチ」

 

秀介捨牌

 

{⑤四白⑨東} {横中(リーチ)}

 

シロ手牌

 

{七八八八②④3(横⑨)5南南(ドラ)發發}

 

(・・・・・・志野崎さんが先制取った・・・・・・)

 

安牌の{⑨}を切りながらシロは豊音に向き直る。

秀介はそんなシロの視線の動きを見逃さなかった。

そう、豊音に期待をかけているようだがそのツモは有効牌ではない。

残念ながら彼女達には秀介の上がりを見守るしか手は無いのだ。

 

豊音手牌

 

{③④123457(横6)89西西(ドラ)}

 

(・・・・・・ん?)

 

そう思っていたから、秀介は一瞬その光景を見誤ったのかと思って軽く目を擦ってしまった。

 

「んーと・・・・・・」

 

豊音はツモった{6}を手中に収めると、ドラの{北}を抜き出す。

 

(ツモ牌が変わってる、だと!?)

 

「おっかけるけどー」

 

タンッと{(ドラ)}を横向きに捨てた。

 

豊音捨牌

 

{南⑧白一六} {横北(リーチ)}

 

「とおらば、リーチ」

 

それだけではない。

 

 

{()()([5])()()()}

 

 

{()()([5])()()⑤}

 

 

塞手牌

 

{三四七(横六)八九⑥⑦⑧⑧2479}

 

(俺のツモ牌も変わってる!

 彼女のツモ牌は確か{五で、俺の次のツモは一}だったはずだぞ!?)

 

すり替え、ではない。

そんなものを見逃すほど秀介の目は衰えていないし、第一その二牌は別の山にあったはずだ。

であればこれは・・・・・・。

秀介は豊音に視線を向ける。

彼女の笑顔はそのまま、しかし視線は先程よりも鋭くなったように感じた。

 

(これも、彼女の能力なのか・・・・・・?)

 

「ツモ番だよー、志野崎さん」

 

豊音にそう急かされた。

塞は弱気になったのか、それとも豊音の上がりを確信しているからか、秀介の安牌を切って降り打ちしたようだ。

 

まだ何も確信はできない。

彼女も自分同様自由度の高い能力で、裸単騎を必ず上がる能力を装っていたのか。

それとも衣のように複数の性質を自由に操る能力なのか。

確かめる。

その為にも、ここはあえてその掌の上に()()()()()()()()

 

秀介の上がり牌ではない{⑤}。

秀介はそれをツモり、そのまま河に置いた。

 

「ロン」

 

豊音手牌

 

{③④123456789西西}

 

「リーチ一発平和一通。

 裏ドラは無し、8000」

 

豊音の点数の申告と同時に秀介はその点棒を差し出した。

 

満貫止まり。

だが秀介が差し込んだのではなく、振り込まされた。

阿知賀のレジェンド赤土晴絵が決死の覚悟をもってようやくもぎ取った跳満には及ばないが、秀介にとってはそれに匹敵する一撃だ。

 

(・・・・・・確かめなければ)

 

今のが彼女の能力なのかを。

具体的にどういう能力なのかを。

 

そして場合によっては、その能力ごと打ち倒さなければ。

 

 

 

東三局0本場 親・秀介 ドラ{八}

 

秀介 16600

配牌

 

{二四七七②⑤⑦⑧⑧88南白} {白}

 

予定外の最下位、それに加えてこの配牌となれば鳴いて手を進めていきたいところ。

それが一番早い。

だが今回は鳴くわけにはいかない。

彼女の能力が追っかけリーチで先制者から上がりを取るというものならば、こちらもリーチをしなければならないのだから。

となるとこの手は対子をいくつか暗刻にするか、もしくは七対子にするか。

秀介はこの後の山に視線を移す。

 

(・・・・・・今回は七対子に必要な牌が遠い、{白や⑧}を暗刻にする方が早いな。

 もっともそれ以上暗刻は増やせなさそうだし、裏も絡まないから役はリーチ白くらいか・・・・・・)

 

それでもいい、この局は彼女の能力の確認と、それに対抗できるかの確認を行うのだから。

{南}を切る。

 

(今度は普通に{南}切ったね・・・・・・)

(フツウニススメルノカナ・・・・・・?)

 

その普通の切り出しに、胡桃とエイスリンは逆に不安を感じる様子だった。

 

シロ 17000

配牌

 

{一三九①①③(横②)⑧⑨28南西發}

 

純チャン手牌、三色も見えるし悪くない。

ずっとこういう配牌なら悩まなくていいのに、と思いながら{西}を捨てる。

 

豊音 49400

配牌

 

{三四五九③③⑥(横[⑤])⑦⑨77西北}

 

現在トップ、今しがた秀介から上がりを取ったことだし上り調子のようだ。

平和が付くかはまだ定かではないが、タンヤオ系で筒子の多面張が狙えそうな手牌。

 

(「友引」では狙われちゃったけど、「先負」のリーチ合戦なら私の方が有利!

 このままどんどん点差広げちゃうよー)

 

ドラは{八だから九}を手放すのは気が引ける。

それよりも、と期待するところもあり{北}を手放す。

 

(後は()()()()だねー。

 ()()が決まれば、もうほとんど私の勝ちだよー)

 

塞 17000

配牌

 

{一二四五七①②46(横4)67發中}

 

ツモったところで暫し頭を悩ませる。

役牌を切るのもペンチャン整理をするのも勿体無い様な配牌だ。

 

({一二三四五六七八九44678}って感じに上がれればいいんだけど。

 萬子が伸びるかなぁ・・・・・・)

 

まだこの段階では手がどのように伸びていくのかは分からない。

だから少し勿体ないとは思いつつ{發}に手を掛ける。

 

(トヨネの方が支配力が高いみたいだし{中}を切ってもいいんだけど・・・・・・一応ね)

 

誰に言い訳するでもなく自分に言い聞かせながら{發}を切った。

 

2巡目。

 

秀介手牌

 

{二四七七②⑤⑦⑧⑧8(横1)8白白}

 

手は進まない無駄ヅモ、そのままツモ切りする。

 

シロ手牌

 

{一三九①①②③⑧⑨28(横3)南發}

 

純チャン三色に一歩前進だ。

塞も切っているし{發}を切る。

 

豊音手牌

 

{三四五九(横六)③③[⑤]⑥⑦⑨77西}

 

萬子も横に伸びるツモ。

自風だが構わずにここで{西}を捨てる。

 

塞手牌

 

{一二四五七①②44667中(横9)}

 

微妙なツモ。

{8}をツモれば面子になるし、万一萬子が伸びなかった時に助かる。

ちらりと秀介の様子を見ながら{中}を切った。

 

3巡目。

 

秀介手牌

 

{二四七七②⑤⑦⑧⑧88白白(横白)}

 

まずは{白}暗刻、予定通りだ。

{②}を捨てて手を進める。

 

シロ手牌

 

{一三九①①②③⑧⑨2(横1)38南}

 

順調に手が進む。

こちらも自風だが気にせず{南}を切った。

 

豊音手牌

 

{三四五六九③③[⑤](横③)⑥⑦⑨77}

 

筒子面子完成。

ドラそばの{九}と悩んだが{⑨}に手を掛けた。

 

(筒子は{④}が引けたらいいなー)

 

ピシッと{⑨}を切り捨てる。

 

塞手牌

 

{一二四五七①(横八)②446679}

 

{(ドラ)}ツモ、萬子に新たな面子のタネが増えた。

こうなれば筒子のペンチャンは不要だ。

{①}を切る。

 

4巡目。

 

秀介手牌

 

{二四七七⑤(横八)⑦⑧⑧88白白白}

 

こちらも同じく{(ドラ)}ツモ、だがあまり喜ばしくない。

 

(・・・・・・鳴きが入れば別だが、このままじゃ{六-九}はツモれない。

 {⑧と三}はツモるから残るは頭、つまりこの{(ドラ)}は不要なんだよなぁ・・・・・・)

 

ここで切っても鳴かれはしない。

だが妙な警戒心を与えてしまう可能性はあるし、不要なら不要でこのドラは別に使いどころがある。

ここは{8}を対子落としすることにした。

 

シロ手牌

 

{一三九①①②③⑧⑨1238(横中)}

 

無駄ヅモ。

2巡目に塞も切ってるし・・・・・・とはいえ鳴かれる可能性も0ではない。

ちらりと秀介に視線を向けつつ{中}を切った。

 

豊音手牌

 

{三四五六九③③③[⑤]⑥⑦7(横2)7}

 

こちらも無駄ヅモ、{2}を切る。

 

塞手牌

 

{一二四五七(ドラ)②446679(横南)}

 

やはり無駄ヅモ。

渋い顔をしつつ{南}をツモ切りした。

 

5巡目。

 

秀介手牌

 

{二四七七(ドラ)⑤⑦⑧⑧8(横⑧)白白白}

 

{⑧}暗刻、これも予定通り。

{8}を捨てる。

一向聴、準備は出来た。

 

シロ手牌

 

{一三九①①②(横①)③⑧⑨1238}

 

{①}は頭に出来るだろう。

他の{九や⑨}は対子にせず、出来ればカンチャン、ペンチャン待ちでもいいから純チャンを確定しておきたいところだ。

{8}を切る。

 

豊音手牌

 

{三四五六九③③③[⑤]⑥⑦77(横7)}

 

こちらもまた面子が完成、一足先に聴牌となる。

こうなればドラそばだろうが{九}は不要だ。

切り出しながら秀介に視線を向ける。

 

(志野崎さんも聴牌近いかな?

 こっちは準備できたし、いつでもオッケーだよー)

 

秀介がリーチをしてくれば再び「先負」で返り討ちに出来る。

問題はリーチしてこなかった時だ。

「先負」は使えないが、別にこちらが先にリーチをしてプレッシャーをかけてもいい。

まさか豊音同様に「先負」が使えるわけではあるまいし、しっかり上がれれば「別の能力」を発動することもできる。

ただでさえリードしているのだ、引き離すにはうってつけだろう。

自分の優位を確信して豊音は笑った。

 

塞手牌

 

{一二四五七(ドラ)②4(横九)46679}

 

先程の{(ドラ)}ツモに続いて面子完成。

こうなれば思い描いていた一通も期待できる。

先程処理したペンチャンの残り、{②}を切る。

 

6巡目。

 

秀介手牌

 

{二四七七(ドラ)⑤⑦⑧⑧⑧白白白(横西)}

 

さすがに即聴牌とはならない。

{西}をツモ切りする。

 

シロ手牌

 

{一三九①①①②③⑧⑨123(横白)}

 

生牌だが純チャンには不要。

鳴かれてもいいやとそのままツモ切り。

そして秀介もこれをわざわざ鳴いたりはしない、豊音のツモ番になる。

 

豊音手牌

 

{三四(横一)五六③③③[⑤]⑥⑦777}

 

このツモで待ちが変えられるが、形が悪いカンチャン{二}待ち。

折角優位にいるのだ、こんな悪形でリーチをかけて手に蓋をすることはない。

こちらもツモ切りだ。

 

塞手牌

 

{一二四五七(ドラ)九4(横②)46679}

 

先程切った{②}を再びツモ、当然不要。

 

そして7巡目。

 

秀介手牌

 

{二四(横三)七七(ドラ)⑤⑦⑧⑧⑧白白白}

 

とうとう来た、聴牌だ。

 

(・・・・・・さて)

 

秀介は{(ドラ)}を手に取りつつ、山に視線を送る。

 

 

{()()()()東}

 

 

そしてこの先のツモを確認した上で、今度は豊音と目を合わせた。

 

(見せて貰うぞ!)

 

「リーチ」

 

少々気合の入った強打、{(ドラ)}切りリーチだ。

 

秀介捨牌

 

{南1②88西} {横八(リーチ)}

 

ドラ切りリーチと言うだけでも注目を集める中、それまで一枚も萬子が捨てられていない捨て牌だ。

萬子の混一、清一を警戒させる捨て牌だろう。

だがこのメンバーなら肝心の待ちまでは読めなくても、あからさますぎて萬子待ちでは無いということは見抜いてもおかしくない。

 

だからこれは宣言。

豊音と勝負をする、だから二人は下がっていろ、と言う宣言だ。

 

それを受けて、豊音はフフッと笑った。

1000点棒を取り出しながら秀介は山に再び視線を向ける。

 

(・・・・・・やはり、か)

 

 

{()()()()東}

 

 

豊音と秀介のツモが変わっている。

彼女に聴牌が入り、自分がその当たり牌を掴むように。

 

シロ手牌

 

{一三九①①①②③⑧⑨123(横東)}

 

先程の{白}に続いてまたも生牌の{東}。

不要牌だが親番の秀介のリーチを受けてそのままツモ切りは出来ない。

 

(・・・・・・トヨネが追いかければ勝てるはず。

 なら、ここは勝負に出なくていい)

 

秀介の現物、{②}を切って手を崩す。

 

そして豊音。

長身の彼女は手も人より大きい。

牌をツモる為に伸ばしたその手が今、より大きくなったように錯覚した。

 

豊音手牌

 

{三四五六③③③[⑤](横④)⑥⑦777}

 

待ちの変わる有効ツモ。

しかも理想的、{②-⑤-⑧、④-⑦}待ち!

 

「とおらば」

 

豊音は{三}を横向きに捨てた。

 

「リーチ!」

 

豊音捨牌

 

{北西⑨2九一} {横三(リーチ)}

 

先んずれば即ち負ける、「先負」!

 

塞手牌

 

{一二四五七(ドラ)九446(横5)679}

 

有効牌ツモ、だがこちらもシロ同様前には出ない。

このまま秀介にツモ番が回れば豊音が上がれるのだ、無理をするわけがない。

 

(・・・・・・とはいえ、どうしたもんか・・・・・・)

 

秀介と豊音が共通して捨てているのは{西}のみ、そしてそれは塞の手牌には無い。

あれだけあからさまな萬子待ちの捨て牌に対して豊音が萬子を切って追いかけたところを見ると、やはり萬子待ちではなさそうな気はする。

しかし、では何を切るか。

{8}二枚落としを考えてその上の{9}とか平気か?

いやいや、こちらの{9}落としを読まれたら秀介にツモが回る前に上がられる。

そうなっては「先負」も意味は無い。

秀介が捨てていて、豊音の上がり牌でもなさそうなもの・・・・・・。

 

(・・・・・・こ、これしかないかぁ・・・・・・。

 トヨネ、当たっちゃったらごめんね)

 

意を決し、塞が手放したのは

 

{(ドラ)}だった。

 

これなら絶対に秀介は当たれない。

問題は豊音の待ちに{(ドラ)}が含まれた場合だが、どうやら回避できたようだ。

そしてそうなれば次は秀介のツモ番。

 

 

{()()()}

 

 

ツモるのは豊音の当たり牌、{⑤}!

そして秀介の当たり牌でない以上、それをツモ切りするしかない。

 

山に手を伸ばす秀介を見ながら豊音は笑った。

 

さぁ、志野崎さん、さっきとおんなじだよ。

 

もう一度、

 

 

        /んで振り込んじゃいなよ!

私の当たり牌を掴/

 

 

「うあああっ!?」

 

ガタンッと椅子を倒しながら豊音は立ち上がった。

すぐ後ろにいた熊倉に支えられたので転びはしなかったが危ういところだった。

椅子は熊倉にもぶつからなかったようなので怪我の心配はない。

が、豊音にとってはそれどころではないようだ。

 

「・・・・・・え? トヨネ・・・・・・?」

「・・・・・・?」

 

塞もシロも何事かと豊音に視線を向ける。

 

「・・・・・・驚いたわ。

 どうしたの? トヨネ?」

 

熊倉も声を掛けるが、豊音は震えるのみ。

そんな豊音を一瞥しただけで、秀介はツモ牌を晒した。

 

 

{二三四七七⑤⑦⑧⑧⑧白白白} {(ツモ)}

 

 

手牌と共に。

 

「ツモ」

「・・・・・・えっ? ツモ!?」

 

その言葉に塞が声を上げながら秀介の方に振り返る。

豊音の上がり牌を掴んだのかと思いきや、まさかそのままツモ上がり!?

 

「リーチ一発ツモ白、4000オール」

 

点数を告げ、不敵に笑う秀介。

それを直接向けられた豊音は、より一層震え上がるのみ。

 

「・・・・・・トヨネ、手牌見るよ」

 

秀介と豊音の顔を交互に見ながらそう告げたのはシロだ。

右腕を伸ばしてパタンとその手牌を晒す。

 

{四五六③③③④[⑤]⑥⑦777}

 

何度か見直すが{②-⑤-⑧、④-⑦}待ち。

即ち秀介がツモった{⑥}は豊音の待ちに絡んでいない。

それはつまり、どういうことか・・・・・・?

 

豊音は自身を抱きしめるようにしながらその場に座り込んだ。

 

(・・・・・・な、何今の・・・・・・?)

 

恐ろしい殺気・・・・・・いや、刃物だ。

 

大型の刃物・・・・・・例えるならそれは、()()()()()()()()()()()で左肩から右腰まで真っ二つにされたような悪寒!!

 

今にも涙が出そうなほどの恐怖!!

 

その悪寒、そして秀介が豊音の上がり牌を掴まなかったという事実。

この二つから豊音は震えながらも結論を導き出した。

 

(・・・・・・わ、私の「先負」を()()()()()自分の上がり牌を引き寄せた、ってこと・・・・・・?

 そんな、それじゃ・・・・・・この人・・・・・・!)

 

豊音は倒れた椅子に捕まり、未だ震えながらもゆっくりと立ち上がった。

 

(・・・・・・わ、私よりも・・・・・・()()!?)

 

初めてだった、自分の能力(ちから)を真正面から切り崩されたのは。

椅子を起こしそこに座り直し、豊音は秀介と視線を合わせないようにしながら点棒を差し出した。

 

(こ、この人・・・・・・ちょー怖いよぉ・・・・・・)

 

 

秀介は一息つきながら牌を卓に流し込んでいく。

この人生では初めてだった、人の能力(ちから)を真正面から切り崩したのは。

受け流したり回避したり逆手に取ったりすることはあったが、相手の領域だと察した上でそこに自身の能力を行使したのはこれが初めてだ。

咲がカンした時に嶺上牌を入れ替えたことは無かったし、衣の海底牌を入れ替えたこともないし、玄と同卓の時にドラを奪ったこともない。

絶対に麻雀で無茶をしないと誓った今、牌を入れ替えできる枚数には上限がある。

人の領域に踏み込むと消費枚数が増え、結果入れ替えできる枚数が減ることになる。

それは避けてきた、自身を守るために。

だが今はあえてそこに踏み込んだ、後の不利を承知の上で。

そうしなければ豊音の「先負」は破れないと判断したのだ。

 

(・・・・・・もっとも、もうやりたくないがね)

 

出来れば今の一撃で今後の「先負」は控えてほしいと言うのが本音だ。

リーチをしなければいいのだが、まだ点差で負けている以上点数アップの為にもリーチは使いたい。

その時に「先負」で押され続けるとこちらは回数制限のある能力の行使を強制されることになる。

能力が使えなくなるのと相手の点数が0になるのとではどちらが先になるか分からない。

 

(今の反応を見る限り大丈夫だと思うが、姉帯さんがどう受け取るかによるな。

 最悪もう一度くらいは覚悟しておこうか)

 

 

 

東三局1本場 親・秀介 ドラ{二}

 

豊音 44400

配牌

 

{(ドラ)二四八①⑥(横①)36南南西北發}

 

配牌を受け取って豊音は、むむっと表情を顰める。

 

(あんまり良くない・・・・・・これじゃ志野崎さんに追いつけないかなぁ・・・・・・)

 

いや、仮に追いついたとしてどうする?

再び追っかけリーチを掛けるのか? 掛けられるのか?

それで今度は勝てるのか?

 

(うぅ・・・・・・)

 

小さく身震いしながら豊音は{北}を捨てる。

またあんな怖い思いをするかもしれないのだ。

 

(本気で・・・・・・ホントに()()()()かと思ったよぉ・・・・・・)

 

ちらっと秀介に視線を向ける。

変わらず真剣に打っている様子、先程感じた悪寒は気のせいだったのでは?と思ってしまいそうな自然な表情だ。

だが気のせいではない。

確実に悪寒を感じ、だから豊音は思わず椅子から立ち上がってしまったのだ。

その身に植え付けられた恐怖はそう簡単には消せない。

 

(・・・・・・「先負」はちょっとやめておこうかなー・・・・・・なんて・・・・・・)

 

自信の弱気を察しながらも、豊音は一度「先負(それ)」を封印することにする。

何もそれだけが武器ではないのだ、他にもいくらでもやりようはある。

 

(志野崎さんと私の点差はまだ14800。

 それを少しでも詰めようと思ったらここで連荘するのが一番)

 

子と比べれば親の得点力は1.5倍だ、これを生かさない手はない。

 

(なら志野崎さんは連荘を狙ってくるはず・・・・・・。

 今度はそこを狙うよ!)

 

カッと目を見開く豊音。

同時に周囲の気温が下がった気がする。

塞は曇った自分の片眼鏡(モノクル)をハンカチで拭きながら豊音の様子をうかがう。

それは「友引」でも「先負」でもない。

 

(トヨネ・・・・・・今度は何を仕掛けるの?)

 

何なら手伝うよ、というような視線を向けるが豊音は笑顔で返すのみ。

手助けは無用、自力で流れを取り戻す。

 

何事も避けたほうが無難、迂闊に手を出せば自滅を誘う。

 

「赤口」!

 

 

「ツモ」

「ふぇ?」

 

ジャラララと手牌を倒したのは秀介だった。

 

秀介手牌

 

{一(ドラ)①②③③④④④[⑤]⑦⑧⑨} {(ツモ)}

 

「ツモドラ赤、2000オールの1本付け」

 

(え、ちょ・・・・・・!)

 

上がったのはまだ5巡目、圧倒的早さである。

しかも一通や清一になりそうな手にもかかわらず、それらを捨ててツモとドラのみ。

 

「赤口」、それは厄日とされ、何事も避けたほうが無難な日のこと。

また赤という字が入っていることから、火や刃物など死を連想させる物に注意が必要とされる日でもある。

豊音も今それにちなんだ能力を発動していたのだ、が。

赤口は()()()()()吉とされている、つまり。

 

(効果があるのは7巡目以降なのに!)

 

もちろん秀介は豊音がそんな能力を発動していたことなど知らない。

何かあるなと察することはあっても、具体的な能力の内容まで知ることは不可能だ。

だからこれは、普段から連荘の起点に早上がりを使用していることによる偶然の回避。

だが偶然であろうと豊音にとって自分の能力を回避されたという事実は変わらない。

 

(ど、どうしよう・・・・・・「赤口」は連続使用が出来ないのに・・・・・・!)

 

複数の能力を所持するが故の弊害。

「先負」、「友引」は特殊な条件を揃えることで発動する、つまり条件を揃えることが出来なければ発動できないという弱点を持つ能力だ。

だが「赤口」は局の初めに豊音の任意で発動することが出来る能力、それ故に間を一局以上開けなければならないという弱点を持つ。

今の回避が偶然で次の局なら秀介を捕えることが出来るのだとしても、連続して発動することが出来ない以上再び「赤口」を仕掛けることが出来ない。

さらに「赤口」に限ったことではないが、豊音は複数の能力を所持しているもののそれらを同時に発動することもできない。

「赤口」で牽制を掛けつつ「友引」で攻撃を仕掛けるような真似は出来ないのだ。

 

(また別の能力で行かないと・・・・・・次はどうしよう・・・・・・。

 志野崎さんが流れに乗ってる状況で「大安」なんて使ったら逆転されかねないし・・・・・・。

 「仏滅」が使えればいいんだけど、さっきから条件が揃わないし・・・・・・さっき出かけたけど・・・・・・)

 

悩んでいる間にも牌は卓に流し込まれ、新たな山が現れる。

当然豊音の考えがまとまるまで待つ必要はないので、秀介はさっさと賽を回してしまう。

うぐぐー、と悩みながらも豊音は結論を出さざるを得ない。

 

(速さ勝負なら「友引」か「先勝」。

 「先勝」は一回しか使えないし・・・・・・まだ東場だし、もう一回「友引」でいくよっ!)

 

 

 

東三局2本場 親・秀介 ドラ{②}

 

豊音 42300

配牌

 

{一⑥⑦2345[5]8(横7)南西西北}

 

悪くない配牌だ。

索子の混一が狙えそうだし、{⑥⑦}は面子にすると点数が安くなる代わりに手が早くなる。

自風の{西}が対子だしどちらも狙えるこの配牌はありがたい。

 

(スピード勝負、負けないよっ)

 

{北}を捨てる。

 

2巡目、3巡目共に無駄ヅモ。

 

だが4巡目に上家のシロから{西}が捨てられる。

 

「ポン!」

 

豊音手牌

 

{一⑥⑦2345[5]78南} {横西西西}

 

{一}を切る。

面前でも行けたかもしれないが、「友引」を持つ豊音にかかれば鳴いた方が確実だ。

「全員の捨て牌が11個、その間に11回ツモった気分だった」と言う人間もいるくらいだし。

豊音ならばそれくらいに勢いに乗ることもできる。

さぁ、今回は追いつけるかなー?と秀介に笑顔を向ける豊音。

そしてその秀介も豊音に笑顔を返し、同時に告げた。

 

「リーチ」

「・・・・・・え、えー!?」

 

秀介捨牌

 

{7八⑧1} {横東(リーチ)}

 

(早っ! ど、どうしよう、一回鳴いちゃったよー・・・・・・)

 

これでもう「先負」は使えない。

豊音が鳴いて秀介がリーチと言うことは、自分が鳴いたことによって彼に有効牌が入った可能性がある。

しかし面前のままなら追いつけていたかと言うとそれも怪しいところ。

 

(こ、この人速すぎる! 「友引」でも「先負」でも追いつけないなんて!)

 

豊音は揺らいでいた。

最初にリーチを掛けられた時にはもう二鳴きしていたし、負けるものかと突っ込んでいく気になれた。

だが今回はまだ一鳴き、なまじ手牌がまだ多いだけに降りるという選択肢も出てくる。

手牌を減らせばその分降りることが出来なくて、最悪振り込む可能性もあるのだ。

 

(まだ5巡目だし・・・・・・降りる? 攻める? ど、どうすれば・・・・・・)

 

さんざん考えた挙句、塞やシロの捨て牌を参考に安牌を切りつつ攻めていったが、手の内に危険そうな牌が溜まってくると泣く泣く手を崩して降りた。

 

(そもそもなんなのかなー、あの捨て牌は・・・・・・訳が分からないよー・・・・・・)

 

チャンタ系? 七対子?

豊音に限らず塞もシロも、全く訳が分からずにおそるおそる牌を切っていくしかできなかった。

 

そして12巡目、ようやく秀介の手牌が明かされた。

 

「ツモ」

 

秀介手牌

 

{一一三五④⑤⑥⑦⑧⑨567} {(ツモ)}

 

「リーヅモ裏1、2000オールの2本付け」

 

(う、嘘でしょー・・・・・・?)

(それ、リーチかけるの早かったんじゃ・・・・・・)

 

豊音も塞もその上がり形に渋い表情を浮かべる。

5巡目でこの形と言うことは、456の三色に移行したり{一}の頭を崩してタンヤオを付けたり、両面待ちにして平和を付けたりいくらでも高く手替わりできただろうに。

リーヅモタンピン三色で跳満に出来れば一発で豊音を逆転するだけでなく、引き離すこともできたというのに。

 

(・・・・・・もっともその場合は私の方が早く上がれてたかもしれないけどー・・・・・・)

 

結果上がれているのだからその選択が正しかったということか。

 

 

その様子を熊倉は豊音の背後からふむふむと観察していた。

 

(5巡目でリーチが掛かったから豊音は攻めきれなかったわけだけど。

 多分あそこで豊音を悩ませるために聴牌即リーしたんだろうねぇ。

 目の前の点数や手の有利不利だけでなく、相手の心理も汲み取って手を進めるなんて・・・・・・なるほど、高校生レベルじゃないわね)

 

卓上から秀介に視線を移す。

 

(噂に違わぬ、というところね。

 でもまだ全力ではないのではないかしら。

 せっかくだから見せて貰いたいわねぇ)

 

何かを思い出しながら、熊倉はふふっと笑った。

 

 

 

東三局3本場 親・秀介 ドラ{七}

 

先程の上がりで秀介の点数は42500、とうとう豊音を逆転していた。

ここは秀介の流れを断って再逆転したいところ。

なんとか打ち崩さないとと考えながら豊音は山に手を伸ばす。

 

豊音 40100

配牌

 

{二二六(ドラ)九①129(横6)南白白中}

 

第一ツモは{6}、面子になる牌ではないが中途半端に筒子を掴むよりはマシか。

一先ず{①}を切る。

{白}が対子だし鳴いていければ早いだろう、となればここは「友引」の出番。

なのだが、ちらりと秀介に視線を向ける豊音。

 

(早目に鳴いたらまたリーチで手を止められちゃうかもしれないし・・・・・・かといって無理に突っ込んだら振り込んじゃうかもしれないし・・・・・・。

 リーチをさせないためには面前を維持しないといけない、けどそれだとスピードが・・・・・・)

 

むーっと眉を顰めて考え込む。

いっそ秀介が先に鳴いてくれればいいのだが。

何とか突破する方法を見つけなければ。

 

そう思って面前で手を進めて行ってみるが、結局8巡目。

 

豊音手牌

 

{二二五六(ドラ)七[⑤]126(横3)6白白}

 

面前のままそこそこ手がまとまってきてしまった。

ちらりと捨て牌に目を向ける。

 

秀介捨牌

 

{九北南發9八⑦} {6}

 

シロ捨牌

 

{西發北南②西東} {②}

 

豊音捨牌

 

{①南九9東中} {南}

 

塞捨牌

 

{西北發東西中} {⑨}

 

豊音の鳴きの急所、{白}はまだ捨てられていない。

これはまだ鳴きで手が進められる可能性があることを示しており、しかし同時にここまで捨てられていないと誰かと持ち持ちの可能性もある。

ここまで来たらもういっそ最後まで面前で進めようかと考えて{二}を落とすことにする。

直後、塞からも{二}が捨てられた。

 

「チー」

 

そして秀介が{横二三四と晒し白}を捨てる。

 

(この巡目に来て鳴き? ってことは手が悪かったの?)

 

もしそうなら今から鳴いても追いつける、いや追い越せるかもしれない!

咄嗟にそう判断した豊音はシロが山に手を伸ばすのを制して{白を晒す。}

 

「ポン!」

 

{二五六(ドラ)七[⑤]12366} {白横白白}

 

{二}をもう一枚捨てて一向聴。

だが「友引」を発動するなら面子を崩してでも鳴いていかなければならない。

いっそ「友引」でなくともこのまま白ドラドラで上がってもいいかと考える。

次巡、シロからこぼれたのは{四}。

 

「チー!」

 

{(ドラ)七[⑤]12366} {横四五六白横白白}

 

{[⑤]}を切って聴牌。

スピード重視でこのまま上がらせてもらうよ!と秀介に笑みを向ける。

と、秀介と視線が合った。

彼もこちらを笑顔で見ていたようだ。

そして無情にも宣告する。

 

「ロン」

「・・・・・・えっ」

 

秀介手牌

 

{三三③④⑤⑥⑦345} {横二三四} {[⑤](ロン)}

 

「タンヤオ赤1、2900の3本付け」

 

その上がり形に、あわわと声を上げる豊音。

塞やシロもその上がり形に眉を顰める。

上がり形がこの形で捨て牌に{6}があるということは。

 

{三三三四③④⑤⑥⑦3456(横白)}

 

彼がチーをする前はこんな形の手牌だったことになる。

ここから{白ではなくわざわざ6}を切るのも信じられないが、この好形のタンピン三色をチーで崩し、タンヤオのみの安手上がりをしたということが余計に信じられない。

 

(どうしよう、この人・・・・・・何をするのか分からないよー・・・・・・)

 

人にはそれぞれ打ち方に癖と言うものがある。

平和手が好きな者、チャンタが好きな者、鳴きが好きな者。

そして「能力」を所持し、それを利用する者。

もっともそう言う癖と言うのは悪いことばかりではない。

何かに()ることにより安定し、勝ったり負けたりではなく安定した勝ちを得ることが出来るようになるのだ。

複数の性質を使い分けることができる豊音にとっては、相手の拠り所見抜くことが出来ればそれに有利になる「能力」を行使することが出来る。

時に攻撃的に、時に防御に回り、豊音率いる宮守女子は岩手代表として全国大会出場を果たしたのだ。

 

だが秀介の打ち方は未だに予想もつかない。

早上がり、鳴き、こちらの待ちを見抜いてロン上がり、ツモ狙いで腰を据える。

まぁ無理もない、秀介の最も身近な存在(幼馴染)でも未だに見抜けていないのだから。

初対面の初対局ともなれば混乱するに違いない。

そう言った自信の喪失や不安を重ねることで「勝てない」と思ってしまったら、これ以降はもう完全に秀介の独壇場になるだろう。

 

(・・・・・・トヨネが弄ばれてる・・・・・・)

 

塞もそんな豊音の様子に不安を抱く。

豊音と言えども彼には勝てないのか?

 

(なら・・・・・・)

 

豊音ならやってくれると期待していたけれども、豊音にばかり頼るのはよくない。

仮に豊音一人では無理だとしても、自分が援護すれば何とかできるかもしれない。

 

軽く片眼鏡(モノクル)を拭いて掛け直す。

もう4本場、これ以上は上がらせない。

牌を卓に流し込んで、新しい山が上がってくる。

彼の能力が分からずいつ上がられるのかが不明な以上、この時点から秀介に視線を送る。

 

(()()!!)

 

明確な意思をもって塞は秀介を睨みつけた。

 

 

途端。

 

 

「がっ!?」

 

 

彼は頭を抱えて蹲った。

肘が卓にぶつかりガタンと揺れ、何ヶ所か山が崩れる。

 

「・・・・・・え? え? な、え?」

「ど、どうしたの? 大丈夫ー?」

 

睨みつけた本人塞もおろおろと秀介に手を差し伸べ、対面で少し萎縮し始めていた豊音も何事かと立ち上がって肩を揺する。

めんどくさがりのシロすらが心配そうに顔を覗き込んでいるし、呼び出した熊倉も想定していなかったようで慌てて駆け寄ってくる。

 

「大丈夫かい? しっかりして。

 誰か飲み物を買って来ておくれ」

「じゃ、じゃあ私が」

 

タタタタッと駆けていく胡桃。

そんな胡桃の背中に声がかけられた。

 

「・・・・・・リンゴ・・・・・・」

「え?」

 

未だ辛そうにしているが、薄目を開けた秀介が胡桃にそう告げていた。

 

「・・・・・・リンゴジュースを頼む」

「・・・・・・何故リンゴジュース? まぁ、いいけど」

 

注文を受けて買いに走った胡桃。

5分もしないで帰ってきた辺り近くに自動販売機があったらしい。

 

「はい、買ってきたよ。

 大丈夫?」

 

さっとペットボトルのリンゴジュースを差し出す胡桃。

秀介はそれを受け取ると蓋を開け、がぶがぶと一気に飲み干した。

 

「・・・・・・・・・・・・ぷはぁ・・・・・・」

「いい飲みっぷりだねぇ」

 

落ち着いたと判断したのか、熊倉がそんな軽口を叩く。

秀介は椅子に首までもたれ掛って胡桃の方に向き直った。

 

「・・・・・・スマン、助かった」

「もう大丈夫? なんでリンゴジュースなの?」

「そういう体質なんだ」

「・・・・・・バカみたい・・・・・・」

 

そんなこと有り得ないでしょと言いながらも、胡桃は空になったペットボトルを片付けてあげていた。

面倒見のいい胡桃に感謝をしながら、秀介は改めて一同に向き直る。

 

「お騒がせしました、もう大丈夫です」

 

その笑顔に宮守メンバーもほっと胸をなで下ろす。

 

「大丈夫ならいいけど。

 何か持病でもあるのかい?」

「・・・・・・そうですね、以前はありました。

 ただ少しばかり久々なので何が原因なのやら・・・・・・」

 

(・・・・・・私のせいじゃないよね・・・・・・?)

 

熊倉と秀介の会話を聞きながら視線を逸らす塞。

今までやっていなくて今やったことと言ったら真っ先に自分が塞いだことに思い当たってしまう。

でもまさか、上がりを塞いだらダメージを受けるとか有り得ないし。

そう思いつつ塞は秀介の様子を見ていた。

 

(・・・・・・だ、大丈夫かな? もう一回塞いでみて・・・・・・)

 

しかし全く心当たりはないが、もしこれが原因だったらまた秀介にダメージを与えてしまう。

 

(こ、これでダメだったら、本当にもう何もしないから・・・・・・)

 

誰に言い訳するでもなく、塞は深呼吸をして心を落ち着けていた。

 

 

結局山は崩れたがまだ誰も配牌を取って行っていなかったので、積み棒はそのまま山を崩して続行となった。

新しい山が現れる、そのタイミングで塞は改めて秀介に視線を向けた。

その上がりを()()為に。

 

「・・・・・・っ!」

 

一瞬辛そうな顔をした秀介。

だが眉を顰めただけで倒れる様子はない。

 

(・・・・・・だ、大丈夫なの、かな?)

 

そして山が現れ、

 

(・・・・・・・・・・・・え・・・・・・?)

 

秀介は驚愕した。

 

 

 

{()()()()()()()()()()()()()()()()()}

 

 

 

(・・・・・・見え・・・・・・ない・・・・・・?)

 

「・・・・・・サイコロ」

「志野崎さん、大丈夫? まだ具合悪い?」

 

シロと豊音に声を掛けられて、秀介はようやく賽を回すために手を伸ばした。

出目は6、シロの山からの取り出しだ。

 

 

{()()()()()()()()()()()} {()()()()()()}

 

 

配牌を受け取って手元で起こす。

 

{②5中五}

 

(・・・・・・・・・・・・は・・・・・・はは・・・・・・)

 

下家のシロに視線を向ける。

だるそうに配牌を受け取っていた。

対面の豊音に視線を向ける。

こちらに注意している様子はない。

上家の塞に視線を向ける。

怪訝そうな表情をした塞と目が合った。

同時に秀介が口を開く。

 

「・・・・・・これは、君の能力(しわざ)か」

「・・・・・・え?」

「・・・・・・いや、いい」

 

秀介はそう言って配牌の続きを取っていく。

 

(相手の能力を封じているのか、この能力は・・・・・・)

 

秀介が視線を向けた時に、シロも豊音も自分の配牌を注視していた。

そんな中で塞だけが秀介と視線が合った。

つまり塞は今このタイミングで唯一秀介に意識を集中していたのだ。

だからこの原因は彼女。

 

(まさかこんな能力があったとは・・・・・・。

 そして・・・・・・まさかこんなことになるとは!)

 

秀介は嬉しそうに配牌を取っていく。

 

彼は死神に授けられたその能力で牌を見通す。

今でこそ楽しめているがその能力に絶望を抱いたこともあった。

 

それが今、完全に封じられているのだ。

 

つまり。

 

(・・・・・・牌が見えない・・・・・・これが・・・・・・やっぱり、これが麻雀だよなぁ・・・・・・!)

 

今、彼の胸には希望しかなかった。

 

 

一方言われた塞としてはたまったものではない。

 

(な、何で分かったの!?)

 

自分が何かをしたということは仮にわかったとしても、今の言い方はまるで何をされたかまで全て察しているかのようではないか。

塞の能力は「上がりを塞ぐ」。

手が進まない、裏目を引くなど様々な要素により上がりを封じ、その間に自身が上がるのが塞の能力だ。

なのに秀介は今、配牌を受け取っている最中にもかかわらず塞の事を鋭く見抜いてきた。

 

(何なのよこの人は!)

 

{中}を頼りにさんざん上がられまくったと思ったら、頼りにしていた豊音もへこまされ、おまけに自身の能力を一発で見抜かれた。

不安を抱かないはずがない。

塞ぐのが効いてないとか無いよね・・・・・・?と不安に思いながら配牌を取っていき、理牌する。

 

 

 

東三局4本場 親・秀介 ドラ{③}

 

5巡目。

 

塞 8700

手牌

 

{一一二二六七九九①(ドラ)8西(横西)}

 

七対子手牌。

ここまでノー和了の塞としてはそろそろ上がっておかないとまずい。

だが流れに乗っているであろう秀介は今塞いでいるから、彼女が上がれる確率は上がる。

豊音が高い手をツモ上がりしたりしたらそれも良くないが、さすがにこの状況でそんなことはしないだろう、多分。

シロも自分と同じくノー和了なので、この局は自分かシロが上がるのが理想。

ここは{七}を捨てる。

七対子は必ず単騎待ち、上がりを確実に回避するにはありかが4枚見えた牌を切る以外ない。

それに七対子は捨て牌に迷彩がしやすい。

混一を装ったりチャンタを装ったり、そうしておいて安牌のはずの牌で待つということがしやすい。

塞もそれを狙って、まだ5巡目なのに面子のキー牌となる3・7をこのタイミングで手放した。

これでねらいは絞れまい。

対子被りもまだしていないし、手の進行に関しては何も問題はない。

 

問題があるのは、秀介なのだ。

塞はちらっと彼の様子をうかがう。

彼が親番なのでこれで6巡目。

さすがに6巡目ともなれば今までよりも手の進行が悪いとか、塞がれていることによる違和感を感じてもおかしくない頃合いだ。

にもかかわらず、彼は全く意に介さない様子でスムーズに摸打を繰り返している。

その動作を見る限り、上がりに向かって最短で突き進んでいるようにしか見えない。

その上がりは塞が押さえているはずなのに。

 

(まさか・・・・・・塞げていない!?)

 

県大会で遭遇した猛者、いや、それ以前からも強い相手と戦った時にその手を塞ぐことは多々あったが、今まで塞げなかったことは一度も無い。

豊音や熊倉さんを相手にしても塞ぐことが出来たのだ。

だからそう、封じられないはずがないのだ、それだけの自信もある。

しかし今の彼の自信有り気な、というより楽しげな笑顔を見ているとどうしても不安を抱いてしまう。

豊音の「友引」も「先負」も効かなかったし・・・・・・。

 

(い、いや、違う、そうじゃない。

 志野崎さんは豊音がそれらの能力を使えないような打ち回しをしていただけだし。

 何も能力そのものを無効にしているわけじゃない)

 

でも一度「先負」を真正面から打ち破った気もするけど。

ダメだったら考えるから!と問題を先送りにしつつ、塞は手を進めて行った。

 

結局この局、秀介は特に目立った動きをしなかった。

鳴きを入れて手を進めるわけでもなく、こちらの手の進みを妨害するわけでもなく。

かと言って誰かに鳴かせる有効牌も切らず、ただ淡々と手を進めているように見える。

塞がれていることを全く意に介していないような打ち筋をしながらも、結局上がりを取ったのは塞だった。

 

塞手牌

 

{一一二二九九①①(ドラ)③6西西} {(ツモ)}

 

(・・・・・・上がっちゃった)

 

秀介からのロン上がりを狙っていたのだが、そのまま上がり牌を引いてしまった。

点棒が少ない身だし無理にロン上がりを狙う必要はない、塞はそのまま

 

「ツモ上がりかい?」

 

上がりを宣言しようとした瞬間、秀介から声が上がった。

 

「・・・・・・え?」

「七対子ドラドラで2000(にー)4000(よん)の4本付け、だろう?

 それとも、誰かからのロン上がり狙いで手を崩すのかな?」

 

その言葉に、塞は思わずツモ牌をコトンと落としてしまった。

まだ自分は上がりを宣言していない。

それどころかリーチもかけていないから聴牌すら告知していない。

なのに何故!?

 

「手牌は・・・・・・{一一四四九九①①(ドラ)③6西西} {6}」

 

(・・・・・・嘘、でしょ・・・・・・?)

 

塞はパタリと手牌を晒した。

それを見て秀介は、ははっと笑う。

 

「{四じゃなくて二}だったか。

 いかんな、久々で鈍ってるようだ」

 

残念残念と秀介は自分の手牌を伏せる。

が、塞にとってはそれどころではない。

もちろんほかのメンバーにとっても。

 

手牌のほとんど、そして上がりのタイミングも見抜かれた。

 

これは何だ、人間に出来ることなのか・・・・・・?

 

そんな疑問をぶつけることもできないでいる塞に、秀介は告げた。

 

「臼沢塞さん」

「・・・・・・は、はい・・・・・・?」

 

満面の、最上の笑みでもって。

 

「うちに来てくれないか?」

「ヘッドハンティング!?」

 

はわっと声を上げる豊音。

塞も突然の言葉に驚きつつ首を横に振る。

 

「せ、せっかくのお誘いですけど、全国行きも決めてますので宮守女子から離れる気は・・・・・・」

「いや、うちにってうちの学校にじゃなくて・・・・・・」

 

塞の言葉を否定しつつ、秀介は手を差し伸べながら再び最上の笑顔で告げた。

 

 

「俺の家に来てくれないか?」

 

 

「・・・・・・プロポーズ?」

 

だるそうな表情をしたシロの呟きに一瞬遅れて塞の顔が真っ赤になった後、ボンッと頭から煙を上げると彼女はガターンと卓上に倒れこんだ。

 

そこから復帰するのに軽く10分以上を要したという。

 

男子と接点がない女子高に所属しているとはいえ初心な反応である。

 

 

 

豊音 33900

塞  17900

秀介 41900

シロ  6300

 

 




えんだー(偽

塞の能力は上がりを封じる。
弱体化したとはいえ牌が見える上に未だに牌を入れ替えられる秀介の上がりを封じるとなったら、これはもう能力そのものを封印するしかないと思ったのです。
逆に秀介にとっては上がる上がらない以前に、記憶が無い時に死のうとすら思った程待ち望んだ「麻雀を打つ」ことができたので感謝しかないわけです。
だが今更久を差し置いて「俺の嫁になってくれ」と言わせるわけにもいかないので(

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