否定者とほぼ無能者も来るそうですよ?《一時凍結かつ作り直し予定》   作:tomlet

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連投です、完全にオリジナルなのでうまいこといってるのかわかりませんが、本編をどうぞ!




3話「武芸者との対峙」

零斗は火龍誕生祭のメインのゲームが行われている場所から、少し離れたところを散策していた。ちなみに桜は”サウンドアイズ”でお留守番だ。十六夜や耀、飛鳥が暇な時に食べ物を届けたりしているらしい。

(おれ単体で魔王退治か・・・できるのか)

零斗は”箱庭”で初めての殴り合いを思い出す。

(今、俺たちのコミュニティで一番強いのは十六夜だ。俺の否定はあいつの恩恵(ギフト)のせいであいつには届かないからスペックで劣る俺はあいつには勝てない。そしてそれは、十六夜クラスの相手に12回の否定を使いきっちまったら・・・)

零斗の頭の中をネガティブな考えだけが浮かんでは消えていく。

(あぁ、そうか。だからイラついてるのか)

自分より強い人が、自分にとって最も大切な人の側にいる。そんな状況に、仲間だから当たり前だ、自分がダメでもアイツが守ってくれるとか、そういう状況にムカついてるんだ。

(そう思ってる自分に、ムカついでるんだ)

少年は桜と初めて会ったその日を思い返していた。

 

 

「さぁ、今日からここが君の家だよ!」

俺を負かした女が、そんなことをほざきながら、俺を自らの孤児院に招き入れた。まぁ、孤児院といっても、俺を含め、三人しか子供がいない粗末なもののようだが。

「おい、オマエ。いいのか?ここにいるのは」

「化け物だって?」

図星をつかれ、少し押し黙る。

「大丈夫だよ、今はまだ私のがはるかに強いし、それに切り札もあるしね」

切り札?なんのことだろう。まぁ、そんなもの使わずとも、俺はこいつに勝てないわけだが。

「オーイ!みんなー!新しいお友達だよー!」

建物の二階、おそらく居住スペースになっているのだろう。そこに向かって大きな声で呼び出しをかける銀。

すると、しっかりした、だけども弱々しい足音と、どうしようもなく階段から落ちるんじゃないかと思うくらい陽気で、しかも段をとばして降りているような足音が聞こえる。先に降りてきたのは、危なっかしい足音だった。

「おにーさん、だれ?」

足音の主人は少年だった。無邪気な瞳、俺が踏みにじってきたもの、その時初めて、俺は自覚した。俺のしてきたことは、こんな目をした少年少女を殺し、嬲り、もしくは保護者を殺すことで間接的に苦しめてきたということを。みんなが不幸になればいいって思ってた。自分より幸福な誰かが許せないから、そう理由をつけて、命じられるがままに多くの人を傷つける。そんなものは、自己の正当化にすらなりはしない。それは唯のクソ餓鬼(不幸気取り)の身勝手なワガママだ。吐き気がこみ上げてくる。そんなことを強いてきた、自分を道具のように扱った悪人たちに。そして何より、そんな頭のおかしい奴らに言われるがままに、こんなに弱い、きっと本来は俺みたいな力を持った人間が守らないといけない人たちを相手にその力を振るっていた自分自身に吐き気がする。

「なぁ、銀」

「なぁに、レイトくん?」

「吐いてもいいか?」

「はい、どうぞ」

バケツを渡される。

「ぅぷ・・・っ・・・げほっごほっ」

俺は吐いた、よく考えたら今、目の前にいる二人とはほぼ初対面だ。

(ダッセェ、初対面で泣きながら吐くとか。こっからどうやって仲良くなれって言うんだよ)

すると、サスサスと背中をさすられるような感触がする。どうやらもう一人が降りてきていたようだ。

「大丈夫ですか?」

横からさすってくれているからか、その顔はうかがい知れない。ただ、今まで自分が聞いたことのないような、透き通った声だなと思った。心のそこから勝手に現れて勝手に吐いてる訳のわからない奴を心配している声だった。

「桜おねぇちゃんばっかりズルい!僕もする!」

男の子の方も俺の側により、背中をさする。

「四希くん、遊んでるんじゃないんだよ」

「遊んでないよ!困っている人は助けてあげる、銀先生がいつも言ってることだもん!」

「・・・ッ!」

それは俺の人生で、初めて向けられた優しさだった。とっくに吐き終えていた俺は涙を止めることが出来なかった。俺はそのまま、人の思惑通りに、道具(悪魔)として生きてきた日々のすべての痛みを吐き出すように、泣き続けた。

思えばあれからだった。力の使い方を銀に教わったのも、その力で俺を利用した悪人共を叩きのめしたのも。あの二人に恥じない年長者になるためだった。

(あ、そうか。だから十六夜に腹が立つのか)

俺は、あの孤児院の中で、桜と四希の中であの二人を守れる一番強い人間で居たかったんだ。

だから十六夜に対してこんな感情を抱くのか、でも。

(本当にそれだけか?)

イライラもモヤモヤも消えない。こんなザマじゃいつまでたっても気分なんか腫れない。

 

そう思った瞬間、空から黒い”契約書類(ギアスロール)”が舞い降りた。

 

「ッ!?」

空を埋めるように降り注ぐ黒い紙片。

(桜のところに戻らねぇと!)

”サウンドアイズ”の支店にいるとはいえ、その守りが絶対だとは思えない。

すると、零斗の進む軌道上に薙刀と大量の刀を持つ男が立っていた。

「お前は、昨日の」

「いやぁ、怖いなぁ、睨むなよ。今日のところは俺の目的はお前と戦うことじゃねぇんだわ」

「なに?」

「あの魔王がお前のお仲間と戦ってる間、足止めして欲しいんだと・・・まったく、面倒な雇い主だ」

肩をすくめ、言葉とは裏腹に笑みを浮かべる男。

(今日のところは?いや、そんなの気にしてる暇はない。どうせ逃げても追ってくる。それなら)

「彼我の距離を『否定する』」

男の眼前まで一気に詰め寄り、殴り飛ばすため迫る拳。

(スキもついた!いける!)

しかしその拳は、男に簡単にいなされる

「・・・なッ!?」

驚愕する零斗に薙刀ではなく刀が迫る、回避しようと後ろに下がる零斗、しかし。

「遅いなぁ」

零斗の体が十字に切り裂かれる。しかし零斗は冷静にその反動で距離を取る。

「傷を『否定する』」

傷を治す零斗、それを見て男が笑う。

「これで二回、あと10回だな」

男の発言に零斗は激しく動揺する

(こいつは俺の弱点を知っている。おそらく身体能力は俺や十六夜よりは低い。でも、こいつは場数を踏んでる、さっきのも多分経験による勘みたいなもんだろう、どうする!?こいつに勝つために、俺は何をすればいい!?)

焦る零斗、シンと二人の間の空気が静まる。

すると、どこかから響く雷の音。それと同時に目の前の男から殺気が消える。

「うん、足止め完了だな」

「は?」

「だから、足止め終了だってんだ俺はお前が俺の雇い主とお前のお仲間とのゲームを邪魔するのを止める足どめ役だったんだよ」

「どういうことだ?ゲームが終わるには早すぎるぞ」

まだあの紙が配られて半刻もたっていなかった。

「正確には今日はお前の仲間が”審判権限(ジャッジマスター)”を使うまでだけどな」

(いうことはあの雷は黒ウサギで、ゲームは一時中断ってことか?つまり)

「つまり、ゲームが再開されたら、俺はまた、お前に挑みに来るぜ、まぁ、拍子抜けだったがな、もっと呪術師らしいせこい方法で来るかと思って、警戒してたんだがなぁ”呪いの王”」

皮肉げに零斗を挑発する男。おそらく零斗を指しているのだろうが、そよ発言に零斗は違和感を覚える。

「”呪いの王”だと?俺の恩恵(ギフト)は、呪いじゃなく、呪いを受け付けない力だぞ、人違いじゃないのか?」

零斗の発言に意外そうな顔をする男。

「チッ、自分の根源にも気づいてねぇのかよ、いや、知ってて自己否定してんのか?やめだやめだ、白けたから帰らせてもらうぜ」

「な、待て!」

発言の真意を確かめるべく、引き留めようとする零斗。しかし男は零斗を無視して歩み去る。

「次は自分の力の起源くらいは把握してくるんだな、鏡野 零斗」

「まちやがれ!お前は!」

「お前じゃねぇよ。まぁ、お前が次会うときもう少しマトモに根源に向き合ってたら名乗ってやるよ。もう気づいてるだろうがな」

余裕を持って歩み去る男を、零斗はただ睨むことしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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