否定者とほぼ無能者も来るそうですよ?《一時凍結かつ作り直し予定》   作:tomlet

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完全にオリなんでうまいことかけてる自信は無しですが(二回目)

では、本編どうぞ!


4話「心と仮面」

また、夢を見る。この世界に来てからみはじめた夢。城と岡と呪いと剣の夢。

「なぁ、あんたは・・・あんたが俺の根源なのか?」

女性に尋ねる。すると女性は首を振る。

「なら、この世界が俺の根源なのか?」

今度は女性は頷いた。なるほど、この世界が俺の根源とやらのようだ。

俺の根源、か。

銀の元で育った俺と、あのクソ親父に育てられた俺、どちらが本当の根源なのだろうか?

 

 

どうやら”審判権限(ジャッジマスター)”によるゲームの中断と話し合い。それによってゲームの再開は一週間後になったらしい。

零斗は一人離れた場所から今は静かになった祭りの会場を眺め、先日の男を思い出す。

(根源を知れ?ハッ、どういう意味だよ。本当に分からねぇ)

あの男の正体は大体わかる。あの男から放たれる呪いのような怨念の塊。あれは多分弁慶そのものではなく・・・

(違う、こんなことは今考えても意味はない。俺とあいつの相性は最悪だ。あいつは所謂、武芸というものを極めてる、おそらく暗殺術とかそういった類のものにも精通してる。俺の中途半端にそういう技能を叩き込まれた戦い方は、あいつにとって予測可能の攻撃(テレフォンパンチ)にしかならない)

ならば、と思案を巡らせる。

「俺が強くなるしかないのか・・・」

(あいつは俺が自分の根源から目を背けてると言った。つまり俺の恩恵(ギフト)にはまだ先があるのか?)

思い立ったなら行動を取ろうと、立ちがる。

(とりあえず、白夜叉に心当たりでもあれば良いんだが・・・)

そうぼやくと、零斗は白夜叉が封印されているという場所へと歩き出した。

街をあるくと街のあちこちに呪いが渦巻いているのがわかった。

(病魔の呪い?まだ大々的に発症しちゃいないな)

自分の無力さが嫌になる。

(俺はあらゆる呪いに打ち勝ったんじゃないのかよ)

目の前の苦しむ人々に何もできない自分、真正面からの殴り合いに負けた自分。どうしようもなく弱い自分。そんなものを認識しながら

「と、言う訳なんだ。白夜叉、なんかそういうものを悟れるギフトゲームはないか?」

どうやらこの封印は否定では崩せないらしく、一瞬はけせてもすぐに黒いもやが白夜叉を包んでしまう。封印されたままの白夜叉に問う零斗、それに対し白夜叉は少し悩むようなそぶりを見せる。

「おんしに質問がある、その質問に私が望む答えを示せれば、おんしにそのゲームを教えよう。それでもよいか?」

いつになく真剣そうな白夜叉。ただ、零斗の答えは決まっていた。

「頼む、俺は今のままじゃ、あいつに勝てない」

零斗の答えを聞くと、白夜叉は零斗に問う。

「自分の大切なものに、自分の心を覗かれる覚悟はあるか?」

白夜叉の問いに、零斗は少し悩んだのち、頷いた。

 

 

白夜叉に言われるがままに桜を連れて移動すると、一つの大きな屋敷にたどり着いた。

(なんだろう?この屋敷、俺は知ってる?)

「ここが、白夜叉さんの言ってたゲームの会場なの?」

あまりにも普通の家すぎて桜も疑問に思ったのだろう。

「まぁ、とりあえず入ってみるか」

そう言って、門をくぐり家の扉の前に行くと、そこに一枚の”契約書類(ギアスロール)”があった。

 

『ギフトゲーム名 "元型を隠す仮面”

 

・プレイヤー

鏡野 零斗

 

・同行者

鏡野 桜

 

・クリア条件 同行者に失望されずに自らの心の闇と向き合い、打ち勝つこと。

 

・クリア方法 自らの見られたくない過去を巡り、記憶をたどり答えを見つける。

 

・敗北条件 プレイヤーが上記の条件を見てせなくなった時。

 

・同行者がプレイヤーに失望した時。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“鏡野 零斗”はギフトゲームに参加します。"ペルソナ"印』

 

「・・・ッ・・・行くぞ、桜」

桜の手を握り、家の中へと入っていく。

(なるほど、白夜叉が言っていたのはこういうことか。確かにこれは)

そこまで考え、零斗は桜を見る。

(クリアできないかもしれないなぁ)

家に入ると矢印が道を示す、これに従い、歩けばいいらしい。そして零斗はこの場所の意味を理解していた。

(ここは、俺の家だ。あのクソ親父が俺に呪いを埋め込んだあの場所だ。過去を巡る・・・そういうことかクソッタレ)

そうして矢印が示すままに地下へと向かう。

そこには二人の人間がいた。一人は零斗の父親、そしてもう一人は、幼き日の零斗そのものだった。

その光景をみた零斗は正直もう限界だった。目の前にいるのはおれの人生を狂わせた元凶。そして、もう一つ目の前にいるのは今まさに人生を狂わされようとしている自分自身。

(けど、多分干渉できないようになってるんだろうな)

これは過去の記録だ、補正された思い出ではなく。零斗の魂が記憶していた記録そのもの。零斗の過去を一部の狂いもなく映し出すビデオテープは彼が呪われていく記録を映し出していた。

「・・・」

桜が横で息を飲む。

(そりゃそうだ、そりゃ引くわ。)

目の前の映像は様々な呪いを受ける零斗を映し出す。ある時は呪われた死肉を喰らい。またある時は蠱毒に犯される。そうして零斗が心を壊される場面が次々移り変わり。舞台が唐突に変わった。

そこは零斗の二番目の家だった。

零斗は桜の目を閉じようとする。しかし、体も動かず、声も出ない。

(やめろ・・・頼む・・・こっから先を見せないでくれ・・・俺が殺しを楽しんでる姿なんて・・・この娘に見せないでくれ・・・)

それは零斗の二番目の行き方だった。自分より幸せな弱者を、依頼されれば欲望のままに殺す死神。

消えかけている命にほんの少しの希望を示し、その希望を自らの手で叩き壊す。ただ殺すのではなく、痛めつけ、心を蹂躙し、楽しんでから殺す。対象がもう殺してくれと泣きわめき、その悲鳴が聞こえなくなるまで楽しんでから殺す。

(もう・・・終わりだろうな・・・。俺は間違いなく失望された)

すると場面はまた途端に切り替わり、今度は零斗には見覚えのない部屋に変わる。そこには軽薄そうな笑みを浮かべた、スーツの男が座っていた。

「やぁ、ようこそ。僕のゲームに。僕はペルソナ、人の心の仮面の象徴だよ」

ペルソナと名乗る男、しかし零斗にはもうそんなことはどうでもよかった。

「この、ゲームはもう俺の負けか?」

しかし、ペルソナは笑いながら零斗に答える。

「君は三年近くも一緒にいて、その子の心に気づいてないんだね」

「なんだと?」

「ちゃんと見てあげてよ、その子の涙を、その意味をさ」

その言葉に後ろを振り向き桜を見る。すると、涙を流す桜の姿があった。

「ごめんな、桜。こんな化け物の仲間なんて嫌だよな」

するとフルフルと桜は首を横にふる。

「まだ分からないのか、プレイヤー。その娘は君を失望なんてしちゃいない。なのに、君が勝手に絶望してどうする!」

桜が俺の手をギュッと握る。

「零斗くん辛かったよね。零斗くんの過去を聞いた時、私はその重さに気づいてなかった。私は」

「やめろ、桜。こんな化け物に気遣いなんかいらない。俺は」

しかし、桜が零斗の言葉を遮る。

「零斗くんは零斗くんだよ!あんなにたくさん苦しんで!あんなにたくさん壊れて!それでも罪を償おうって!踏みつぶされる弱い誰かの前に立とうって、そう決めたあなたの事を、あんな過去なんかで嫌いになれないよ!」

それは三年間一緒にいて、初めて聞くような大声だった。

「あなたの、零斗くんの過去にどんな呪いがあったって、今のあなたにあるのは銀さんの、私を救ってくれた人と同じ優しさだもん・・・嫌いになんて、なれるわけないよッ!!」

その涙は、軽蔑でも、同情なんかでもなかった。それは、今まで側にいて、零斗の辛さに気づくことのできなかった自分と、零斗にそんなことを強いた者達に対する悔し涙だった。

「化け物気取りもそこまでにしなよ、プレイヤー。あんな過去を受け止めてくれる同行者なんて初めてなんだ。早く答えを見つけなよ。それとも、この世界の方が分かりやすいかな?」

すると世界がまた切り替わる。

そこはいつも夢に見るあの世界。空に、大地に呪いが満ち、城とその周りの草原だけが呪いに侵さていない世界。ただ、城の門だけは閉ざされていた。

「ごめんね、プレイヤー。君にあの城の中身も示してあげたいんだけど、それは僕には無理みたいだ」

零斗は桜の手を強く、強く握り返し、ペルソナに問いかける。

「あの城にも、意味はあるのか?」

「あぁ、あるとも。君が被っている仮面はあの城だ、そして君の元型はこの呪い、そしてあの城の中にあるものだ。今回は城の中身は示してあげられそうに無いけどね」

その言葉を聞くと、零斗は桜の手を一度強く握り、その手を離す。

「なぁ、ペルソナ。この世界から、桜だけ外に出せるか?」

「あぁ、可能だよ。過去に同行する役目は終わったからね」

何かに掴まれた気がして、零斗が後ろを向くと零斗のシャツの裾を掴む桜がいた。

「零斗くん・・・」

不安げな顔。守るつもりで、だけど苦しい思いをさせてしまった女の子。それは自分が弱いから。それは自分が自分自身に向き合えなかったから。

「桜、ごめんな。もう大丈夫だよ」

桜の頭に手を乗せ、クシャクシャと撫で回す。

「もう、あの親父から、あの呪いから逃げ回るのは終わりだ。そのために、ちょっとこっ恥ずかしいこと言うからさ、先に戻っててくれ」

零斗の言葉に桜が頷くと、光に包まれ、零斗の世界から桜が消える。

「さぁ、仮面を脱いで、君の心を聞かせてごらん。ついでにそのこっ恥ずかしいものとやらも聞きたいな」

「ハッ、ぬかせ仮面屋」

零斗は己の全てに向き合う。

「銀のところで、優しく強いそんな生き方に憧れた自分も俺で、あのクソ親島に呪われて、壊れてしまった俺も俺で、それはきっと二つ揃ってないとダメなものだから。それはきっと全部が俺を肯定するものだから。あの少女が、さくらが肯定してくれる俺の源だから」

するとその世界に満ちていた呪いが彼の元へと集まる。その呪いはまるで受け入れられるかのように零斗の中へと入っていく。

「だからもう、こんな呪いでも否定なんかしやしない。俺を肯定してくれる、世界で一番大切な人を守るために、くだらない意地なんか張ってられるか!」

瞬間。世界に光が満ちる。その光の中で、零斗は確かに、ゲームクリアの声を聞いた。

 

 

意識を取り戻すと、そこは”サウンドアイズ”の寝室だった。

「あれ?俺は・・・」

すると、すぐ横に、桜が座っていた。

「零斗くん、ゲームが終わっても目を覚まさなくて、ペルソナさんが運んでくれたんだよ」

(まさかあいつに手助けされるとはな、まぁ、俺の心を覗いた上に、あんな恥ずかしい物も見られたんだ。見物料ってことでいいよな?)

起き上がる零斗と心配そうな顔をする桜。すると、桜の右手には零斗のギフトカードが握られていた。

「零斗くん、これ」

手渡され、カードの書き換えられた内容を見る。

 

鏡野 零斗

全ての呪いの王(ロード・オブ・クルーエル)

否定者(キャンセラー)

 

「看病ありがとな」

ギフトカードを眺めながら、桜の頭を撫でる。

「待ってろよ、亡霊」

零斗は来るべき再戦を覚悟の決まった瞳で待ちわびる。

もう、絶対に負けないから、と。

 

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