否定者とほぼ無能者も来るそうですよ?《一時凍結かつ作り直し予定》 作:tomlet
「んで、何しに来たんだよ。銀」
「いやぁ、息子がどれだけ強くなったのか気になってねぇ、前回までは何勝何敗だったっけ?」
飄々と、掴み所なく笑う銀。
「99回、全部テメェの勝ちだクソッタレッ!」
呪いの王として力を顕現する零斗。
呪いの力を鬼若に向けた時より強く、鋭く研ぎ澄ませる。
「おぉ、そっちはもう開いたんだ」
「余裕ブッコいてんじゃねぇ!」
全力で集まった呪いが剣となり、それを手に取った零斗は銀に向かって振り下ろす。
(こいつの筋力は十六夜並みか、それより少し下、俺よりちょっと高いくらいの筈!ならこれでッ!)
しかし零斗の斬撃は、銀にあたる直前、銀がギフトカードから出した盾で防がれる。
「そんな素敵アイテム持ってるなんて聞いてねぇぞッ!!」
「うん、今まで使う必要なかったんだもん」
発言に対し、更に力を込める零斗。そして、あ、と大事なことを言ってなかっように口を開く銀。
「ちなみにこれ、ビーム打てます」
瞬間零斗の視界を光が埋める。
(あ、死んだ)
※
零斗が気絶から目をさますと、桜が零斗を膝枕していた。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!?)
状況に気づき、赤面して飛び起きる零斗。
「あ、銀さん、零斗くん起きました!」
ビシッと敬礼し、銀に報告する桜。
「あら。じゃあ、桜ちゃん。危ないから元の世界に戻っておいてね」
はい、とゲーム盤から出て行く桜。
「零斗くん、頑張って!」
最後にとんだ置き土産をしていったせいで、零斗の顔はますます赤くなる。
「いやぁ、息子がやっと自覚してくれて嬉しいなぁ」
そんな零斗をからかう銀。
「ぁ、アンタは・・・」
零斗をからかい、そして、途端に銀は真面目な顔をする。
「真面目な話をしようか、零斗くん。君を今のまま収穫祭には行かせられない」
なんとなく、零斗にはそんな予感がしていた。わざわざ世界を越えてきたのだ、何か理由があるのだろうと。
「だからこれからの数日間、零斗くんには君のもう一つの力の根元に向き合ってもらいます」
そう言うと、ギフトカードから天幕のついた巨大なベットを取り出す。
「最近君は、不思議な夢を見るね?」
今更、銀が何を知っていても驚かない零斗はコクンと頷く。
「うん、第一段階はクリアだ!じゃあ、ここで寝てもらいます」
「いや、なんでだよ・・・」
「これが、君をあの剣の元に一番強くつなげるアイテムだから」
初めて会った時、いや、それ以上に真面目な顔の銀。
「あー!もう!わかったよ、寝ればいいんだろ!」
ベットに入ると、なぜか眠くもないのに途端に意識が闇へと落ちる。
「おやすみなさい。零斗くん、きっと君なら大丈夫。ただ、前夜祭には遅れるかもね」
銀のそんな言葉を零斗は聞いたような気がした。
※
また、この世界に来た。ただ今回は夢独特のぼやけた感じも一切しない。これなら。
「あの人とあの剣のこと、何かわかるかもしれないな」
夢の世界からは、呪いの塊が消えていた。
(俺の中にあるからか?)
まぁ、そんなことはどうでもいい、と夢の中でも通った廊下を越えて、あの玉座へとたどり着く。
ただ、その景色は一つだけ違っていた。いつも剣を眺めていた女性が、剣を手に取り、玉座に座っているのだ。
「あんたは・・・俺のなんなんだ」
零斗は玉座へと歩み寄る。そして、数歩歩いたところで、何もなかったはずの空中に、一枚の”
『ギフトゲーム”否定者の責務を担うもの”
・プレイヤー 一覧
・鏡野 零斗
・プレイヤー側 敗北条件
・心が折れた時
・プレイヤー側 禁止事項
・なし
・ホストマスター側 勝利条件
・プレイヤーの心が折れた時
・プレイヤー側 勝利条件
・新たな継承者として自らの背負う責務と、その矛盾に打ち勝ち剣の継承者として認められよ
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。
”剣の継承者”印』
ギアスロールが光り輝くと同時に、零斗の胸はあの白銀の剣に貫かれる。
「なっ・・・?」
不思議と痛みも、生命の危機も感じない、そうして零斗は夢の中で、夢へと落ちていく。
※
5日後、零斗を除く、”ノーネーム”のメンバーは少し早めに”アンダーウッド”に行って、主催者に挨拶をすることになった。
「零斗くん、大丈夫かな?」
桜の呟きは、大樹の間を流れる風にかき消される。
「とりあえず、主賓室に挨拶に行きましょう!」
黒ウサギの先導に従い、主賓室を目指す一同、ただ、桜の心には一つの疑念があるのだった。
(銀さんはなんで、零斗くんをもっと強くするんだろう?)
そんな思いとともに、桜は過去を思い出す。彼が、零斗が”鏡野の家”に来てからの、あの日々を。
※
吐いてる。銀さんがいってた今日から家族になるという人はどうやら目の前の人らしい。
とりあえず背中さすったら楽になるかな?
「大丈夫ですか?」
背中をさする、ちょっとは楽になってるのかな?
「桜おねぇちゃんばっかりズルい!僕もする!」
即座に私の反対側で背中をさする四希くん、ほんとに落ち着きが無いんだから。
「四希くん、遊んでるんじゃないんだよ」
「遊んでないよ!困っている人は助けてあげる、銀先生がいつも言ってることだもん!」
あ、そういえばそうか。とりあえずは楽になるまで二人で背中をさすることにした。たっぷり10分背中を撫でると。
「すまない、もう大丈夫だ」
よかった、ちゃんと気分良くなったみたい。
「えぇと、それじゃあ、自己紹介しますね。私が鏡野 桜、もう一人の男の子は鏡野 四希くんです。これからよろしくお願いします」
そうして手を差し出すと、彼はしっかり十数秒その手を見つめ、あぁ、そういう意味か、っと納得したように手を取った。
「鏡野 レイトだ、これから君たちと暮らすことになった。よろしく頼む」
私の彼に対する第一印象は『変な人』だった。
それから特に何もなく、2ヶ月が過ぎた。今日は家には私と四希くんしかいない。
銀さんはもともと放浪癖がある方で、よく家を留守にしていた、彼が来てからは彼と二人で旅してるみたいだ。
(ついて行こうとは思わないけど)
銀さんの旅に一度だけついていったことがある。あれは滅茶苦茶だ、やり方がムカつくからとマフィアに喧嘩を売って壊滅させた時は本当にとばっちりで死ぬかと思った。
(あ、つまりあんな旅についていけるレイトくんってすごく強いんだ)
もちろん、物理的な意味でだけど。
すると門のところに二つの人影。
(あ、帰ってきた)
2人のために飲み物を用意して玄関に走る。今回は砂漠に行ったらしいから、きっと、何か飲みたがってるはずだ。
「ただいまー、桜ちゃん、四希くん帰ったよー」
「おい、夜に大声出すな、桜は起きてるだろうけど四希は多分寝てるだろ」
帰ってきた2人を出迎えて飲み物を渡す。
「お帰りなさい、砂漠は暑かったですよね?飲んでください」
飲み物を手渡すと、銀さんは私の頭を撫でてくれた。
「うんうん、桜ちゃんはほんとにいい子だねぇ、どっかの礼儀知らずな子と違って」
レイトくんの方を見ながらニヤニヤ笑う銀さん。その頭を軽くポカッと叩くとレイトくんは。
「アホなこと言ってんな」
と言って飲み物を受け取ってお風呂場へと歩いていく。
「あぁ、忘れてた。桜、コレありがとな」
お風呂場に消えていくレイトくん。もう少しお話ししてくれてもいいのに・・・
「えっと、銀さん。私はもう寝ますね」
「うん、おやすみ。桜ちゃん。にしてもあの子ほんと無愛想よね、お礼くらい目を見て言いなさいっての」
そうぼやく声を聞きながら、私は部屋に戻って、少しだけ彼のことを考えた。
四希くんの遊び相手には良くなってくれてるし、銀さんとは普通に憎まれ口を叩くとはいえ話してるし。
「私とも、ちゃんと話してくれないかなぁ」
そうつぶやいて、私はその日眠りに落ちた。
※
「・・・くら・・・さ・・ら」
あれ?私の部屋に誰かいる?髪撫でてくれてる・・・なんか、あったかい・・・あと五分。
「・・・桜、今日は農園に行く日じゃなかったのか?」
あれ?なんでレイトくんが・・・あれ?ここ、私の部屋だよね?
「な、なんで私の部屋にいるんですかッ!?」
なぜか不思議そうな顔をするとレイトくん。
「あぁ、そっか。女の子の部屋に勝手に入るのはマナー違反だな」
そういうと彼は扉に手をかけ。
「下のリビングにいるから、用意ができたら呼んでくれ」
というと、部屋から出て行った。
「やっぱり変な人・・・」
その日の朝の準備は、いつもより時間がかかったのだった。