否定者とほぼ無能者も来るそうですよ?《一時凍結かつ作り直し予定》 作:tomlet
農園まで着くと、レイトくんはすぐに自分の仕事をしに行った。ちなみにこの農園は銀さんの趣味だ。
「俺は筋力が必要な仕事してるから、桜は野菜と果物でも取っててくれ」
必要最低限の会話だけですぐお互いの作業に戻る。作業場所が離れててよかった。あんな気まずい空気耐えられないよ。
トマト、ナスなどの夏野菜の類をひたすら収穫する。うん、今年もよく育ってる。
そして、十分収穫できそうなものを収穫し終わり、車に積む。ちなみにここは私有地なので、ある程度車の運転もしてるので、私たちは四希君以外運転できる。
今から帰ろうと思ったところで、レイトくんが。
「すまん、農園に上着忘れた。取ってきていいか?」
と、農園に戻ったので、今は軽トラックの中には私一人だけだ。
「本当に気まずいなぁ」
すると、ミラーに影が映った、もう帰ってきたんだ、急がせちゃったかな?と思ったが、どうにもその影は大きさがおかしかった。軽く見積もっても3メートルはあるような。
「!?」
明らかに人の形じゃない、二足で歩く恐竜のような何かがそこにいた。
鍵は今レイトくんが持っているから車は出せない。私は助手席の下に体を滑らせて身を隠す。私に気づかずに通り過ぎてくれれば!
軽トラックの荷台に乗ったのであろう、とんでもない衝撃が車体を襲う。すると、軽トラックの天井が、障子紙でも破るように引きさかれた。
『GYYYAAAAaaaAAAA!!!!』
怪物と目が合う。獰猛な野生の獣の瞳。殺される、私は今日、ここで殺されるんだ。
なぜか冷静だった、それもそうか。銀さんが拾ってくれなかったらもう死んでるはずの命なんだし。でも、四希くんは泣いちゃうかもなぁ。
凶爪が迫る。目を瞑ることもせず、じっとそんな光景を眺めていた。
「トカゲ、俺の家族に何してる」
そして、その怪物の腕は、私に届く直前に、私との間に割って入った背中にねじり切られた。
『GyA』
「喚くなトカゲ、死ね」
私を守ってくれた背中、レイトくんが怪物の頭を踏み砕く。地面に落ち、血だまりの中心となった怪物のお腹を、またレイトくんは踏み潰す。すると私の方に向き帰る。あ、私、腰ぬけちゃってる。
「桜、怪我はないか?怖かったろ、もう大丈夫だ」
私の頭に手を乗せ、今まで見たこともないような顔で笑うレイトくん。
やっと状況を飲み込み、助かったと分かった私は、泣き出し、そんな私を見て彼は私を抱きとめる。
「もう大丈夫、俺がいるから。もう怖くないよ」
私はその日初めて、彼の優しさとかそういうものを知ったのだった。
「おーい、鏡野。何ぼーっとしてんだ?」
十六夜くんの言葉で現実に戻される。
「あ、ごめんね。ボーッとしてたみたい。それで何の話だったっけ?」
「だから、俺たちがこの前の会議からあげた戦果のうちの一つ。”
あぁ、そうだった、ついでに蛇の神様も服属させたんだっけ?
いつまでも思い出に浸ってると迷惑になっちゃう。頭を切り替えないと。
※
桜たちが収穫祭の主催者に挨拶をしている頃。
「・・・おい、終わったぞ・・・クソババァ・・・今すぐ寝かせ」
とんでもなくしんどそうな顔をした零斗が、ろ、とつなげる前に地面に倒れる。
「うんうん、いいね。こんなに早く終わるとは思ってなかったなぁ」
銀はニヤニヤしながら零斗をベットへ運ぶのだった。
※
次に零斗が目を覚ましたのは3日後だった。
「あ、起きたんだ。ぶっちゃけあと3日は寝ると思ってたよ」
零斗が目をさますと銀がそう言って笑っていた。
「ウッセェ、ババア、精神世界の中とはいえ、何回殺されたと思ってんだ。あの女、あんなおとなしそうな顔で一ミリも容赦なく殺しまくりやがって」
寝ぼけた目を擦りつつぼやく零斗に銀は。
「でも強くなれたでしょ?」
そんなことを笑いながら聞く銀。零斗はその瞳を見つめ。
「あぁ、ある程度の条件さえ満たしてれば、今ならどんな奴にも負けない」
そう自信満々に答える。それを聞くと銀は満足そうに。
「よし、それじゃあ、収穫祭に行っておいで、確かまだ前夜祭まで2日くらいあるはずだから」
と笑う。
「あんたは本当によく笑うな」
それにどんだけ救われたか分からねぇよ、その言葉を零斗は祭りの用意をしながら飲み込んだ。