否定者とほぼ無能者も来るそうですよ?《一時凍結かつ作り直し予定》   作:tomlet

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3話「祭りの前」

境界門を通り、南側へとたどり着く。すると、もう連絡が入っていたのか、一匹のグリフォンと耀と桜がいた。

「あ、零斗くーん!こっちだよー!」

桜の姿を見て顔がほころぶ。当然だ、数日間も桜と会えず、殺され続けていたのだから。

「おう、桜、耀。久しぶり。元気だったか」

桜と耀に笑いかけると、その近くにいたグリフォンに一応挨拶をしておく。

「えっと、俺の仲間をわざわざ送ってくれてありがとうな。今日はよろしくたのむ」

すると、まるで乗れと言わんばかりに体制を低くするグリフォン。

「じゃあ、グリーお願いね。零斗も乗る?」

耀にそう問われるが。零斗は呪いによる羽を広げて。

「いや、先導してくれればいいよ。体動かすのは久しぶりだから、ちょいと準備運動しないと祭りでばてちまう」

「そっか、じゃあグリー。また2人お願いね」

すると嘶くグリフォン、グリー。

「それじゃあ」

「うん、零斗くん。大樹を目指そう!」

そうして1人と一匹は風をきる。

「ハハ、いい風だ。今ならどこまででもいける気がするぜ!」

大声で心底楽しそうに笑う零斗。

「付き合うよ」

そう返す耀に、桜は。

「あんまり黒ウサギさんたちに迷惑かけないようにね」

と苦笑する。それから数分。三人と一匹は大樹の上にいた。

「じゃあ、グリー。ありがとね」

耀がそう言うと、どこかへ飛び立っていくグリー、狩りにでも行くのだろう。

「にしても祭りの前っていうのは最高にいい空気だな」

なんでもここは魔王に襲われてから復興した都市らしい。

「うん、そうだね。私たちもこのレベルのお祭りを開催できたらいいね」

ギュッと零斗の手を取る桜。

「あぁ、そうだな。なんであれ、民衆が笑顔で行事に浮き足立つってのはいいことだ」

談笑し合う桜と零斗。

すると向こうから耀にとっては見知った、2人からしたら初めて見る顔がやってきた。

「あー!誰かと思ったら耀じゃん!何、お前たちも収穫祭に」

「アーシャ。そんな言葉遣い教えていませんよ」

そこにいたのは北側の魔王襲来の時に知り合ったらしい”ウィル・オ・ウィスブ”のジャックとアーシャだった。

「アーシャたちも来てたんだ」

アーシャが耀の前に立つ。

「ところで、耀はもう出場するギフトゲームは決まってるの?」

「ううん、今着いたところ」

「なら“ヒッポカンプの騎手”に必ず出場しろよ。私も出るしね」

「ひっぽ……何?」

女の子同士のお話はまだまだ続くようだ。

「俺たちは祭りの直前の空気を目一杯楽しんでくるな。行くぞ、桜」

「うん!屋台の準備中の慌ただしい感じとか好きなんだけど見れるかな?」

零斗と桜はとりあえず大樹の街の前夜祭を回ることにした。

とりあえず目につく屋台だけでもかなりの数だが、本祭はさらに増えるのを予想させるように割とスペースが空いている。

「色々と楽しめそうだね」

桜と談笑しながら全力で景色、雰囲気、料理、その他もろもろを味わう。

「あ、そうだ。これ渡しておくね」

桜が何かを思い出したように零斗に腕輪を渡す。

「なんだこれ?」

「幻獣とお話できるギフトみたい」

「へぇ、じゃあ試しに」

零斗は空を飛んでいる幻獣の一団を見つけ、話しかけに行く。

桜は少し長くなるかなぁと思ったが、零斗はほんの数秒で、若干怒りながら降りてきた。

「あの畜生どもいつか殺す」

降りてきて、いきなりの発言に桜はおどろく。

「何を言われたの?」

「あの畜生どもとことん人類を卑下してやがる。危うく新しい力も使って殺してやろうかと思う程度には舐めてやがる」

そう言って多少は怒っている零斗を桜はなだめる

「まぁまぁ、せっかくのお祭りなんだから、楽しまないと。あ、そうだ」

「ん?どうした?」

「十六夜くんのヘッドホンがなくなったらしいんですけど知りませんか?」

そんなことになってたのか、と思いつつ、零斗は。

「いや、見てない。それに盗んだやつは相当な奴だな、俺なら怖くてできないよ」

彼がわざわざ身につけているのだ、思い入れがあるのだろう。

「まぁ、見つけたら届けてやるとするか」

そうして、しばらく一通り祭りを楽しんでから、”ノーネーム”が招待された宿泊所に向かうのだった。

 

 

「のはいいとして、どうして2人部屋なんだ」

(桜は今風呂に入ってるから今はいいが、帰ってきたら果たして俺の理性は持つのだろうか、ていうか、部屋が足りないなら仲良し女子グループか、俺と十六夜で組ませればいいのになぜ俺たちなんだ)

零斗は桜より先に風呂から帰っていた。

ちなみにこの時、2人が相思相愛かつ変に拗れているのを”ノーネーム”の主力全員が知っていた。なのでこれは彼らなりの気遣いなのだが、当人からすれば明らかに問題しかなかった。

(すげぇな、自覚する前の俺。あんな無自覚に桜の手を取ったり、一緒に寝たりとメチャクチャだ。とりあえず、水でも飲んで落ち着こう)

ベットから立ち上がり、水を飲みに行こうとした時、桜がちょうど帰ってきた。

「いいお湯だったね、零斗くん」

「あぁ・・・」

零斗は部屋に入ってきた桜に完全に一瞬見とれた。

おそらく貸し出されたものであろう浴衣、まだ乾ききっておらずわずかに濡れる髪、わずかに上気した頬。そのすべてに零斗は見惚れる。

「あぁ、自覚した途端にこれか」

「?」

不思議そうな顔をする桜、なんでもない、と言おうとすると、大樹が揺れた。

とっさに桜を抱きしめる零斗。

「桜、大丈夫か!」

「ぅ、うん」

桜に怪我がないことを確認すると、零斗は外の様子を見る。

「巨人?なのか」

その程度なら十六夜たちで十分か、と思ったその瞬間、大樹から遠く離れた場所に何かがいる、と悟る。

ため息をつき、呪いの布と、呪いの王冠を使用権も含めて桜に渡す。

「桜、俺が使うのよりは使いこなせないだろうけど一応護身用にこれ置いとく」

「零斗くんは・・・?」

心配したように尋ねる桜に零斗は笑って答える。

「大丈夫だよ、俺はみんなを守る力を手に入れたから」

ポン、と桜の頭に手を置いて。

「じゃあ、行ってくる」

というと、零斗は全力で窓から飛び出し、森を駆け抜ける。

何が来ようと桜を守る。ただその覚悟だけを固めて。

 

 

 

 

 

 

 

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