否定者とほぼ無能者も来るそうですよ?《一時凍結かつ作り直し予定》 作:tomlet
ここからさらに遅くなるつもりなので、たのしんでくれてる方がもしいたらごめんなさい。
森を翔ける。全力で地面を踏みしめ、全力で木々を飛び越え、明らかに異質な気配の元へと向かう。
そうしてたどり着いた先にそいつは待っていた。
「やぁ、
それは零斗がずっと殺したかった男。勝手に目の前からいなくなった男。鏡野零斗の父親、黒鉄王華がそこにいた。
「悪いな、人違いだ。白銀は継いだが、俺は白銀でも黒鉄でもねぇ。鏡野零斗だッ!」
そしてぶつかり合う二つの力。大樹を揺るがす戦いの前哨戦が始まる
「それじゃあ、君がどれだけ強くなったのか、採点してあげよう」
どこから現れたのか、黒い剣を手に構え、零斗へと迫る王華。目の前にいるのは明らかに今まで自分が戦った中でもダントツの強者だと零斗は理解する。拳と剣、二つがぶつかり合い、その空間から一瞬にしてあらゆる獣が逃げ出す。当然だ、全てを飲み込む天災を前に巣に帰らない獣はいない、ましてやその天災が二つであったなら、たとえ神格を持っていようが逃げ出すだろう。
ただ拳と剣を打ち合う。先に競り勝ったのは、零斗の拳だった。
(やっぱり俺の身体能力、上がってる)
先日戦った鬼若よりもはるかに強い化け物を相手に、互角どころが有利な戦いを進めていることから、零斗は自分が強くなったのを実感する。
そして、近接で競り負けた王華は、空中に無数の黒い剣を浮かび上がらせる。
「無限の剣よ、逃げ場を埋めろ」
零斗を囲むように無限の剣が渦を巻く。
「射出する。潰せ」
そしてその剣全てが零斗に向けて放たれる。おそらく拳ではいなしきれないだろう。そう悟った零斗は、新しい力を解放した。
※
ノーネーム本拠にて、レティシアは銀と二人で家事をしながら子供達の世話をしていた。
「ところで銀殿、彼の力の大元はなんなのだ?」
話題がなくなり、レティシアは気になっていたが、聞かずにいたことを質問する。
「レティシアちゃんはさ、”箱庭”での鏡野、黒鉄、白銀三家の関わりを知ってる?」
質問に質問で返されたレスティアは自分の中の知識を手繰り寄せる。
「あぁ、鏡野は防具、祭具の類を生み出す家で、黒鉄は自分が一度でも握った武器のレプリカの複製、白銀はたった一本の”最強”と謳われる剣を体のうちに宿す家だったか?」
後者二つはオカルトじみたものだがな、と応えるレスティア。
その返答に銀はクスッと笑う。
「じゃあ、その黒鉄と白銀の家の血筋が交わったのは?」
「いや、初耳だ・・・と言うことはまさか」
銀は説明せずとも答えにたどり着いたレスティアの頭を撫でる。
「うんうん、賢いね。そう、彼はその二つの血筋の混血。と言ってもまだ黒鉄の家の力は継いでないから使えないんだけどね」
そう言って、銀はさらに言葉を紡ぐ。
「もし、彼が、かつて両家が思い描いた通りの存在になるなら」
そこまで言って、言葉を断つ。ただレスティアにもその続きの予想はついた。そんなものが出来てしまえば、”箱庭”そのものを揺るがしかねない怪物に成るだろうと。
※
「こい、
零斗の手に、一振りの白銀の剣が握られる。
「こいつは俺の否定の力の源泉。たとえ神様だろうと何だろうと触れれば切り裂く剣の頂点だ」
その剣をまるで舞でもするかのように横に薙ぐ。その瞬間、零斗と王華の間にある距離が
王華の前に立つ零斗。
「お前を殺して、俺はこれから誰にも縛られない人生を歩く。消えろクソ親父」
その剣に触れた主人が消したいもの、その全てを否定する剣が振り下ろされた。
「もう、王華おじさん。無茶しちゃダメだって言ったじゃないですか」
しかしその一振りは空を切る。
現れたのはノースリーブを着込み、腰まで伸びる艶やかな黒髪の少女。腰から下げている革のベルトには何本もの短刀を収めている。
「おい、メスガキ。今すぐそのゲスを置いて消え失せろ」
圧倒的なまでの威圧と怒気。桜には一度も見せていないような表情をする零斗。その目に宿る覚悟は、過去の自分を切り捨てること、この程度で許されるとは思っていないが、これから自分が殺した犠牲者の何倍もの数の人々を救えばいい。
「そのためには、そこのクズが邪魔だ」
剣を振り上げ、狙いをつける。
「ごめんなさい、彼は私たちの大事な協力者なので」
少女が謝る。
「そうか。まぁ、それならお前ごと斬り殺すだけだからそれでいいや。もうネタは割れたし」
今度はこの少女の能力ごと殺そう。そうして攻撃しようとして。
「もう、遅いよ殿下」
とんでもないスピードで側面から飛来した何かが零斗を吹き飛ばした。
森の木々をなぎ倒し、ひたすら飛ばされていく。
「さっきまで俺を殴り飛ばせるような奴の反応なかったんだけどなぁ。あ、境界門使える奴が敵にいるのか」
ひたすら飛ばされ、止まった先で剣は光へと還元され消えていく。
「今の俺の限界は5分ってとこか」
それこそが彼らを追撃せずに飛ばされるがままに飛ばされた理由だった。
「覚えてろよクソ親父、次は殺す」
そう言うと零斗は一切の怒気を消し、普段の少し柔らかい態度に戻る。
「とりあえず桜のトコにいかねぇとな」
そうして、大樹へと足を向けるのだった。
※
翌朝、零斗が帰る頃にはもう眠っていた桜に昨日のゴタゴタで十六夜のヘッドホンが壊れたりと、いろいろあったらしい事を聞いた零斗は、要件を思い出した。
「桜、昨日渡した呪いの方の力だけどさ。あれ、完全に貰ってくれねぇか?」
驚いたような顔をする桜。それに構わず零斗が続ける。
「俺は今回かかりきりにならないといけない奴がいる、だから桜のことを守りに行ってやれない」
「それはお父さん?」
桜は心配そうな顔をする。
「やっぱり気づくか」
できれば零斗は王華にあったことを告げずに王華との因縁を終わらせるつもりだった。
「大丈夫だ、きっと大丈夫。俺はアイツをぶっ飛ばしてすぐに帰ってくる。だからそれまでの護身用に持っといてほしい。それにこの世界は危ないことが沢山あるから、できればそれを持っててくれると俺も安心できる」
零斗の言い分に桜は納得したらしいが、不思議そうに首をかしげた。
「なんでいつも大丈夫って言うときは頭撫でてくれるのに今日はしないの?」
その仕草と言葉の可愛さに零斗は理性を壊されそうになるが、全力でそれを抑える。
(はぁ?なんだこれ可愛すぎか。ヤバイなマジで。ていうかこんな天使と俺じゃ釣り合わないだろ。落ち着け、冷静になれ)
零斗はなんとか全力で理性を保ち、桜の頭を撫でる。
「良かった」
不意にそんなことを言う桜。
「何がだよ」
「嫌われたのかと思っちゃった」
(あ、これあかんやつや)
このままこの部屋にいると理性なんて持つはずがない、そう理解した零斗は早足に部屋から出る。
「と、とにかく、俺は飯食ってくるからギフトの引き継ぎはその後だ、待ってろよ」
零斗はバタンと扉を閉め、部屋から出てしばらく歩き、壁に手をついてうずくまる。
「_______まじなんなんだアイツ、可愛すぎか」
零斗は火照った顔を冷ますため、普段より少しのんびり歩いて食堂へ向かい、普段より少しゆっくり朝ごはんを食べるのだった。
今回はここまでです。
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では、今回はこの辺で