否定者とほぼ無能者も来るそうですよ?《一時凍結かつ作り直し予定》 作:tomlet
多分全部正しく直しました。それでは本編へ。
少年は見たこともない世界の夢を見ていた。美しい草原と巨大とまでは言わないが、そこそこに大きな城だか教会だか分からないものがある世界。少年は美しいと思った。
そこにあるのは救いだった。少年はその建物の扉を開く。廊下を歩いて進み、その先にある扉を開ける。
(体の自由がきかない。これは夢なんだな)
扉を開けて、眼に映るのは、玉座と一振りの剣、そしてその剣の横に立ち自分を眺める女性だった。
すると、女性は少年の後ろを指差す。
(そういえば、この城ばっかり見てたけど、外の景色は)
なぜか体を動かせるようになり、少年は外の世界を見る。その世界には、
《呪いが溢れていた》。
※
「夢、だよな?」
少年は目を覚まし、体を起こして伸びをする。あの玉座と剣は、そしてそれを守るように佇む女性は誰なのか、何かがつながりそうで繋がらない。ほんの少し思案して、今日が仲間とガルドとのゲームの日であることを思い出した。
「いけね、着替えとか済まさねぇと」
なんといっても今日は、仲間の実力を確かめる日なのだから。
※
ガルドの屋敷の前に立ち、白夜叉の時ほどではないとはいえ、異様な光景に飛鳥と躍と黒ウサギとジンが息を飲む。
「おいおい、そいつは人型だったんだろ?ジャングルの中で暮らすメリットは何だよ?」
「いえ、おかしいです。“フォレス=ガロ”のコミュニティの本拠は普通の居住区だったはず」
ガルドの屋敷は完全に木々に飲まれていた。
「ジン君、ここに”
『ーギフトゲーム名 “ハンティング”ー
・プレイヤー一覧
久遠 飛鳥
春日部 耀
ジン=ラッセル
・クリア条件 ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐。
・クリア方法 ホスト側が指定した特定の武具でのみ討伐可能。指定武具以外は“契約”によってガルド=ガスパーを傷つける事は不可能。
・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
・指定武具 ゲームテリトリーにて配置。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。
“フォレス・ガロ”印』
「なるほどな、これが”契約書類”か・・・指定武器というのはどこにある?隠し場所には一切触れていないが、それはルールに触れないのか?」
気になった零斗は黒ウサギに質問した。
「いえ、最低でも何らかのヒントがなければなりません。もし、ヒントが提示されなければ、ルール違反で“フォレス・ガロ”の敗北は決定!この黒ウサギがいる限り、反則はさせませんとも!」
なるほど、箱庭の貴族はそんなこともできるらしい。
「ところでお二人さん、お前らの言うそのクズは、こんな知恵を働かせられると思うか?」
と、いう零斗の問いに二人は首を振る。
(なるほど、第三者の入れ知恵か・・・あの呪いみたいな力で無理やり鬼みたいにさせられてる植物も気になるな・・・第三者の入れ知恵なら・・・)
「すまん、黒ウサギ」
真面目な顔をして黒ウサギに呼びかける零斗。すかさず黒ウサギも何事かと彼を見つめる。
「突然ニュージーランドオオウナギが腹ん中で暴れるよりキツい便意が襲ってきたわ。便所行ってくるな」
「YES!いいですよ・・・って、なんでこのタイミングなんですか!?」
黒ウサギがハリセンで零斗の頭を叩く。
「ヤハハ、約2メートルで85キロのブツよりキツイのかよ」
「あぁ、しんどいから行ってくるわ。十六夜、黒ウサギ、桜のこと頼むぞ」
そうして零斗は十六夜たちから離れ。
(さぁ、黒幕のところに行かせてもらうとすっかね)
鬼化のギフトを植物に対する呪いと判断した零斗は”全ての呪いの回答者《アンサラー》”の副産物である、呪いの本質を探る力で、ゲームをめんどくさくした張本人を見つけていた。
「とっととお話しして目的でも聞くかねぇ」
そういって、彼は黒幕のいる場所へと向かった。
※
ゲームの舞台から少し離れた場所に、そいつはいた。
「お嬢さん、こんなとこで何してんだ?君みたいな美少女なら観客として近くで見てくれた方が俺の仲間のゲームも活気付くってもんなんだがね」
零斗はそこにいた金髪の美少女に話しかける。
「これは驚いたな。なんの気配も感じなかったよ。君も”ノーネーム”の?」
「あぁ、それで、なんの恨みがあってこんなことしてるんだ?」
零斗が話しかけている間も、片時もその少女はゲームから目を離さない。
(実力を測ってる?もしかしてコイツ、元ノーネームの構成員?)
「もうすぐゲームも終わりそうだよ。君はお仲間のところに行かなくていいのかい?君が回復の
少女はゲームから目をそらさずに零斗に問いかける。
「あー、確かに俺は治療はできるが、俺の場合視認できてるなら距離なんて関係ないんでな、せっかくだからゲームを楽しくしてくれた君の思惑が知りたくてね。未来の同士の実力査定にしては突拍子も無すぎるんじゃないか?」
零斗がそういうと、彼女は零斗の方をやっと向き。
「なるほど、なんの恩恵かは知らないが、いい目をしてるじゃないか」
「まぁ、俺がここにたどり着いたのはチョットした裏技だが・・・君みたいな美少女に賛辞をもらえたんだ、素直に喜んどくよ」
「君は回りくどい言い方をするんだな。レティシアだ。ところでいいのか?ゲームは終わって、君の仲間は負傷しているぞ?」
確かに耀が負傷しているようだ。それも、あの傷は割と深い。
「君を縛ってでも連れて行きたいとこだが、今は止めとくよ。鏡野 零斗だ。じゃあまたいずれな。春日部 耀との距離を『否定する』」
そう呟くと零斗の体が消えて耀の目前に現れる。
「『否定する』・・・か。それが文字通りなら確かに魔王にも打ち勝てるかもしれないな」
レティシアはそう呟くと、その場を後にした。
※
「・・・あれ?・・・ここは?私の部屋?」
春日部 耀は自室のベットで目覚めた。するとそこには本をよむ鏡野 桜と鏡野 零斗がいた。
「起きましたか?体に異常はないですか?」
桜が目を覚ました耀に心配そうに問いかける。
「うん、もう大丈夫。あれ?私、怪我してなかったっけ?」
耀は不思議そうに首をかしげる。
「それなら直させてもらった。1日に12回しか使えない貴重な力だからな、これで異常アリとか言われたらどうしようかと思ったよ」
「零斗が直してくれたの?あんなに血がなくなってたのに何ともないってことは零斗の恩恵は治療系なの?」
耀は重症の自覚はあったらしく零斗に尋ねる。
「その辺の説明は面倒なんだが、仲間に手の内くらい晒しとくか。俺の恩恵は見ての通り二つだ。」
そういって、零斗はギフトカードを春日部に提示する。
「耀を直したのは”
零斗が自分の恩恵について説明すると、耀は零斗に問う。
「便利そうな恩恵だね。じゃあ、もう片方は?」
「あー、こっちに関しては良く分からねぇんだ、呪いと言われる類のモノの本質とか、性質とか、解除方とか、そういうのが分かる力と、あと俺の身体能力のソースにもなってるらしいが、本当によく分からん」
「そうなんだ。ところで黒ウサギたちは?」
「そういえばあいつら急に居なくなってたな。どこ行ったんだ、桜?」
零斗が桜に尋ねると。
「元々仲間だった人がなんか人身?売買みたいなのにかけられるらしくて。その人を確保するための交渉に”サウザンドアイズ”に行ったみたい」
「あー、なるほど」
すると、いつも敬語の桜が零斗に対して普通に話したことに耀はやっぱりかという顔をしながら。
「ねぇ、桜」
「はい?なんでしょう?」
「桜は普通に話してる方がいいよ。私、敬語とかそういうの苦手だし」
耀からの意外な申し出に桜は。
「あのぅ、えっと・・・いいの?」
「うん、良いよ。飛鳥や黒ウサギとも話してたんだ。桜が敬語なのは多分緊張してるせいだからいつかほぐしてあげようって」
「すみませ・・・じゃなかった。ごめんね、気を遣わせちゃって」
そんな光景を見ながら零斗は桜に友達が出来たのを喜んでいた。女の子が仲良くなるのは早いものである。
そうこうしていると、交渉に行っていたメンバーが帰ってきた。
「おう、春日部起きてたのか」
「十六夜、交渉はどうだった?」
零斗がそう聞くと暗くなる室内。どうやら交渉は芳しくなかったらしい。
十六夜達が事態を説明するところによると。
・“ノーネーム”敷地内に“ペルセウス”の部下が侵入し、昔の同士であるレティシアや自分たちに無礼を働いたにも関わらずに非礼を詫びなかった
・“ペルセウス”のリーダー、ルイオスと言う男と“サウザンドアイズ”で交渉をした
・ルイオスに決闘を申し込んだが、ルイオスは受け入れなかった。しかもレティシアを返す代わりに黒ウサギを渡すなら交換に応じる
・交換の場合一週間以内に申し出ろ
という事らしい。
(なるほどな、飛鳥と黒ウサギが険悪なのはそのせいか)
「ふむ、とりあえず黒ウサギ。間違っても奴の誘いを受けるなよ。お前は俺たちをこの世界に呼んだんだ、”ノーネーム”が目的を果たすまで、決して勝手は許さない」
いつもはふざけている零斗の真面目な発言に黒ウサギは麺を喰らうが、反論する。
「ですが・・・ですが!黒ウサギはレティシア様に」
しかしその言葉は途中で止められる。
「なぁ、黒ウサギ。俺たちがそいつらに合法的にゲームを吹っかける方法はないのか?それもレティシアを取り返せるほど奴らが尊厳をもっているゲームをだ」
「それは・・・
黒ウサギは悔しそうにそう語る。だがその話を聞いて、逆廻 十六夜と鏡野 零斗はジャンケンを始めた。勝った鏡野 零斗は嬉しそうにニコニコしている。
「な、何をしているのです?」
黒ウサギが怪訝そうに二人に問うと、零斗は。
「いや、グライアイってなんか地味じゃん?ネタ割れてるしさ。殴り合いして楽しいのは海魔だろうから、勝った方が海魔ってことでジャンケンしてたんだ」
「お二人は、話を聞いていたのですか!ここからどれだけ遠いと!」
黒ウサギは二人を怒鳴りつけるが、彼らは平然としている。
「なぁ、黒ウサギ」
十六夜の言葉に零斗が続く。
「お前は俺らの殴り合いを見てただろ?無理だと思うか?もっと分かりやすく聞くぜ、俺たちはその幻獣より弱いか?」
確かに、と黒ウサギは初日の2人の攻防をみて、彼らなら出来るかもしれないと思った。そして、そう思ったことは二人に悟られてしまった。
「決まりだな、悪いなみんな。みんなは黒ウサギが勝手をしないか見ててくれ」
そういうと、ジンと他の三人も頷く。
「さぁ、待ってな”ペルセウス”。テメェらの神話に挑ませてもらうぜ」
そうして二人は地図を手に取り、二体の幻獣の討伐に出かけた。
※
鏡野 零斗は目的地にたどり着いた。
「でてこいよ、化けイカ」
その言葉に呼応するように海がせりあがり、巨体が浮かび上がる。それと同時に海魔の触手が零斗を襲った。立ち上る煙。そして煙の晴れた先に零斗は無傷で佇んでいた。
「なんだよ化けイカ、全くたいしたことねぇじゃねぇか・・・見掛け倒しにもほどがあるぞ」
この程度ならペルセウスもそこが知れる。そうぼやくと、彼は海魔の触手を掴み空へと放り投げる。
「すまんな、手加減してる時間はなさそうだ」
そう言うや否や、まるで白夜叉の前で暴走した時のように彼の体は白の光を放つ。ただその瞳にはしっかり理性が宿っていた。
「距離を『否定する』」
すると零斗はその場から消え、海魔の目前まで迫っていた。そしてそのまま全力の拳を叩き込む。
『__________!!!』
声にならない悲鳴をあげる海魔、しかし彼の攻めはまだ終わらない。零斗は海魔を掴むと、全力で、地面に向けて投げ飛ばした。
敗北を認めたのか、ボーリング玉のような球体をその場に残して去る海魔。その球体には何かのマークが刻まれていた。
(これが”ペルセウス”のマークか)
そして、彼はその球体を回収し帰路につく。
(十六夜の方ももう終わってるといいなぁ)
と、考えながら。
※
零斗が”ノーネーム”の本拠に着くと、風呂敷を持った十六夜が帰ってくるところだった。
「よう、十六夜。なんでギフトカードに入れずに風呂敷なんだ?」
「ヤハハ、そういやそうだな。零斗、首尾はどうだ?」
問われて零斗もギフトカードから球体を取り出す。
「それじゃあ、さっそくお姫様方に報告しますかね」
二人はおそらく全員が集まっているであろう黒ウサギの部屋に窓から入り込む。
「おう、黒ウサギ。帰ったぞー」
零斗の言葉に室内にいた全員が真剣に零斗達の方を向く。
「それじゃあ、ボンボンのクソゲスぼっちゃんに挑もうじゃねぇか」
今回少し長めです。
感想等募集してます!
それでは今回はこの辺で。