いつか救われたかった英雄譚   作:英雄好きの馬鹿

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書きたくなった……!

それだけです。


斯くして少年は魔王と出会う

「よう、死にたての所悪いな」

 

 ーー首を吊った筈だった。

 

 意識が飛ぶのも分かったし、この近くに人が居ないことなんて当たり前のように確認していた。

 

 だが、そんなことは関係ないとばかりに、一冊の本を持った黒髪の青年が目の前に居る。

 

「そう警戒すんなって、せっかく蘇らせてやったのに」

 

「警戒しない方が可笑しいだろう」

 

「ははっ! 確かに。それじゃあ自己紹介から始めるか。俺の名前は佐藤 光一。ーー木漏れ日現象を起こしたモノだよ」

 

 瞬間。

 

 俺は異能を発動して切りかかる。

 

「おいおい、気持ちは分かるが話を聞けよ」

 

 当たり前のように避けられる。

 

 そして佐藤 光一が何かを呟いた瞬間に俺は唐突に出現した十字架に張り付けにされる。

 

「巨悪を屠れーー『異能殺しの聖剣』」

 

 光が溢れて十字架を消滅させる。

 

 ボクシングで鍛えた足腰は、神速とも言える速度で距離を潰すことに成功する。

 

 この狭い山小屋ではこれ以上交わすことなど出来ない。

 

「お前はアルルを救いたくはないか?」

 

 青年の首に触れる直前、俺は剣を止める。

 

「知っての通り、アルルは木漏れ日現象によって生まれた人間だ。つまり、木漏れ日現象を起こした上で世界の滅びだけを止めなければならない。俺は神の力を使えるが、そんな能力だけは存在しないんだ。俺に出来るのはおまえと同じ様に、木漏れ日現象ごと消滅させることだけだ」

 

 青年の言葉を聞いて察する。

 

 こいつの目的は俺と同類か、俺をもて遊ぶだけだと。

 

 しかし、木漏れ日現象を発生させることが出来るのならチャンスの幅は広がる。

 

「俺が協力すれば、アルルは日常を過ごすことが出来るようになるのか?」

 

「それはわからん。だから、お前には能力の調節が出来るようになってもらわなければならない。アルル以外の木漏れ日現象を消滅させることが出来るように」

 

「出来なかった場合はどうする?」

 

「アルルを殺して能力を強化しろ。恐らくお前はこの、木漏れ日現象を消すために、悪魔が用意した人間なのだろうよ。つまり、お前はアルルを殺す事が義務づけられているのだろうが、30億以上の世界でもお前ほど芽のある人間は居なかったから俺が直々に声をかけている」

 

「最後の質問だ。嘘をついたら殺す。おまえの目的は何だ?」

 

「アルルを救うことだ。ただし、俺が生まれた世界のな。つまり、お前はお前の世界のアルルを救う。その後で俺の世界のアルルも救ってもらう。その後でこの世界に返してやるよ」

 

 ーー斯くして少年は魔王と出会った。

 

 出会ってしまったのだ。

 

 この少年に残された未来はアルルを殺し続けて、いつか擦り減るまで世界とアルルを救う光に身を焦がすのみ。

 

 悪魔の契約は絶対である。

 

 故に抜け道などを無く、来るかも分からぬ終わりを待ち望みながら擦りきれるまで、ーーいや、擦りきれた後も守ると誓った少女を殺し続けるのだろう。

 

 それでも、助かる可能性が僅かでも有るのなら。

 

 いつか平凡な日常に目を輝かせていた少女が救われるのならば、世界を敵に回しても、全てが朽ち果てるほどの永劫に苛まれようとも歩み続ける。

 

 それを全て理解した上で、折木 竜童は地獄へと歩み始めた。

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