第0話 0 =X×0
―今日も良い天気だ。
そんなことを考えながら俺は博麗神社へ向かっていた。
俺の名前は山数掛。慧音の寺子屋で数学を教えている17歳男子。数学者を名乗っている。幻想郷の人里にすむ人間だ。
最近は仕事帰りに霊夢と弾幕ごっこをやるのが日課になっている。ただの人間の俺がなぜ弾幕ごっこを出来るのか?
そう。俺は他の人間とは違う、特別な能力を持っている。
今日も今日とて博麗神社にやって来た俺はこの神社の主、楽園のすてきな巫女、博麗霊夢に声をかける。
「おーいれーむ~遊びに来たぞ~。」
「また来たの?毎日暇ね。」
「仕方ないだろ。最近慧音に授業減らされたんだ。
」
「あんたが授業進めるの早すぎるんでしょ?。15歳に微分積分教えたって聞いたわよ。」
「俺は10歳で理解した。」
「それはあんたがおかしいだけ。第一そんなの知ってても何に使うのかしら。」
「なにかに使えるよ。それより弾幕ごっこしようよ。新しい技考えたんだ。」
「仕方ないわね。スペカ一枚まで、被弾一回で負けの短縮ルールよ。」
「了解」
「じゃあ行くわよ!」
いうが早いか霊夢は空を飛ぶ。俺もそれに続く。
「先手はもらったわ!ホーミングアミュレット!」
霊夢がお札をまくとそのお札が真っ直ぐ俺を狙って飛んでくる。
「・・・見切った」
そう言うと俺はいつもの戦闘準備を整える。
「座標軸を設定。原点を俺の右前に。X軸を右へY軸を前へZ軸を上へ。一メモリは10センチメートル。」
「弾幕を構築。
X^2+Y^2+Z^2=0.5^2
(X-3)^2+(Y-2)^2+(Z-2)^2=0.5^2
…(以下省略)」
ここまでを瞬きする間に頭のなかで考える。すると俺の前方に球形の弾幕が現れる。再度俺に向かってくるお札を視認、大まかに軌道を計算し、それに合わせて俺の弾幕に飛ぶ方向、初速度、加速度などを設定する。次々に弾幕は飛んでいき、霊夢のお札を全て迎撃、更に残った弾幕は霊夢を目指す。
「あらら、仕方ないわね。」
霊夢はここでスペルカードを宣言した。
「スペルカード 霊符『夢想封印』!」
大きな光弾が7個現れ俺を襲う。前回はここで負けてしまったが…
「ベクトルをマイナス一倍。」
飛んでくる光弾の加速度ベクトルをマイナス一倍する。とたんに全ての光弾が逆方向に飛んでいった。成功だ。
「なっ!嘘でしょ!?」
「なぁに、俺の能力を使っただけだ。さて、次は俺の番だ。」
そう。俺の能力。それは「数式を操る程度の能力」だ。
「スペルカード 関数『グラフ描画』」
さて、霊夢の今の座標はどこかな?
XY座標系で(0,105)か
それなら…「X=0」
俺は関数を指定する。
数秒後ビームの予告線が表示され…
「きゃっ!あぶなっ!」
直前まで霊夢がいた場所をビームが通過する。
「ちょっと!予告線の表示時間が短い!!」
「問題ない。俺は最初にX=0と言った。それが予告だ。」
「わからないわよそんなん!」
「文句いってる暇あったら次行くぞ。Y=X+100 Y=1/5(X-5)^2+100」霊夢が今いる座標(5,105)を通る直線とそれを避けたときに動くであろう場所に向けた放物線を描く関数を指定。数秒後、短時間の予告線のあと、一手先まで読まれたビームが放たれ、霊夢は呆気なく被弾する。ピチューン
「よっしゃ!久し振りの勝利だ!」「やっぱりずるいわよ!それ!」
「ちゃんと弾幕ごっこのルールにはのっとってる。」
「ふん!明日は勝つから。」
霊夢との勝負を終え俺は帰路につく。
「数式を操る程度の能力」
外の世界の数学者に「万物の根源は数なり。」と言った人がいるそうだ。全くその通りでこの世のあらゆる事象は数式を伴っている。俺の能力はその数式を操ることができる。数式を想像することでそれに対応する弾幕を作り出し、相手の弾幕についている数式をいじって軌道を変える。自分自身の運動方程式を操れば空も飛べる。俺は計算能力をもってすれば今あげたことなどを戦闘中に暗算でこなすことはたやすい。まだ子供だった時はあまり使い道がわからず正直微妙な気分だったが今はこのとおり見事に使いこなせるようになった。
俺は家に帰り晩御飯を食べ能力の新たな使い方を考えながら眠りについた。
ちょうどその時、真っ赤な霧が赤い洋館から立ち上ぼり幻想郷の空を染めていった。