魔法科高校の劣等剣士 ~想いはいつも~   作:shinkau

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ずいぶん久しぶりの投稿です。
忘れられていると思いますが、宜しければ読んでみてください。


【入学編003】 入学式から

 

-講堂-

 

講堂に入ると、そろそろ式が始まるという事で座席がほとんど埋まっていた。

 

「どこに座ろうか?」

 

と雫が確認してきたが、ここで一科生の生徒たちは恭次たちを見比べていた。

そしてこう思ったのだろう。

"二科生が俺たちに馴れ馴れしくするな"と。

その状況を表すように、座席の前列を一科生。二科生が後列という別れ方をしており差別意識が如実に表れている。

すると前列に、ちょうど二つの席が並んで空いていたのを確認した恭次は

 

「雫、ほのか。あそこに空いている席があるから、そちらに行くと良い。俺は別の席を探すから。」

 

と二人を席に促すのであった。

 

「……他の席あるかもしれないから、一緒に探すよ?」

 

「私もです。」

 

雫とほのかは、周りなど気にしなくてもと言ってくれるが恭次はそれを遠慮した。

ここで早くも目立ちたくないというのと、面倒事になるかもと考えたからだ。

 

「ありがとう。だがそろそろ始まるからな。一つの席を探すのは難しくないだろうから大丈夫だ。」

 

「……。」

 

雫はつまらなそうにしていたが、ここでほのかがフォローする。

 

「雫、恭次さんが折角見つけてくれたんだから。ねっ?」

 

「……わかった。」

 

そこで納得してくれた雫に恭次とほのかは苦笑いを浮かべていた。

 

「では二人共、また今度な。」

 

と恭次は二科生の集まっている後部座席へ向かって行くのであった。

 

 

 

-後部座席-

 

座席を探すと、一つ空いていた席を見つけた恭次。

そこを利用しようと、隣に座っている男子生徒に声を掛けた。

 

「すまないが、ここ空いているだろうか?」

 

「おう!空いてるぜ!」

 

と男子生徒は答えた。

その返答をもらい、恭次は席に着くと男子生徒は恭次に話し掛けてきた。

 

「随分ギリギリだったな。」

 

「本当に。早く来てはいたのだが、校内を散策した時にちょっと睡魔に襲われてな。気づいたらこの時間だ。」

 

「確かに今日の天気なら昼寝にはピッタリだよな。」

 

「ああ。」

 

「まっ、遅れなくて良かったな!」

 

「いや、個人的には遅れたら出なくてもいいかと思っていたんだが、出ないと後で妹がうるさいからな…。」

 

こんなめでたい日にあんまりな事を口にする恭次。

 

「プッ、はははは!お前、おもしろい奴だな。正直俺もさ~、こういう行事とかってあんま好きじゃないんだ!」

 

同じ考えの人間がいた事に嬉しくなって男子生徒は大笑いした。

ひとしきり笑った後、恭次に向き直り

 

「お前とは気が合いそうだな!」

 

「ああ、そうみたいだな。」

 

二人はここで自己紹介する事にした。

 

「俺は西城レオンハルト!レオでいいぜ!!得意な術式は収束系の硬化魔法だ!」

 

「高町恭次だ。俺の事も恭次でいい。」

 

「OK、恭次!で得意魔法は何よ?」

 

とここでレオは恭次の魔法について聞いてきた。

だがここで恭次は実技も理論も苦手だと伝えた。

なぜなら恭次たちが使う魔法と、この世界での魔法は明らかに違うものだからだ。

第一高校に通う為に、この世界の魔法も学んだ恭次たち。

なのはたちはさすがというべきか、小学生の頃よりAAAクラス以上の魔導師だった為この世界の魔法も鮮やかに使いこなせる。

だが恭次は元々剣士であり、魔法を使いこなすのが苦手だったため覚えるのにも時間が掛かったのである。

 

「意外だな?恭次は実技得意そうだけどな~。」

 

「そうでもないさ。」

 

そんな会話をしていると、入学式が始まる時間になったのであった。

 

 

 

-入学式終了後-

 

入学式が終わり、各生徒に学生IDカードが配布された。

 

「恭次、何組だった?」

 

「俺はE組だな。レオの方はどうだったんだ?」

 

「俺も同じだ。改めてよろしくな!」

 

「ああ。」

 

こうして第一高校でクラスメイトにして、男子の友人が出来たのである。

今日は入学式のみという事で、各生徒たちは思い思いの時間を過ごしていた。

 

「どうする恭次?クラスにでも寄ってみるか?それとも何か予定あるか?」

 

これからどうするかを確認するレオに

 

「今日はもう帰ろうと思う。だがその前に妹たちを待たないといかんのだが。」

 

と今後の予定を口にする恭次であった。

 

「あ~、そういえば妹さんがいるって言ってたな。双子なのか?」

 

「いや双子じゃないんだ。……まあ家庭の事情でな。」

 

「そうか、悪い事を聞いちまったな。」

 

「いや、そこまでの事じゃない。気にしないでくれ。」

 

「そう言って貰えると、助かるぜ。」

 

聞いてはいけない事なのだとレオは反省していた。

だが恭次はレオの気遣いに、ある提案をするのであった。

 

「レオ、良かったら一緒に帰らないか?妹たちをお前に紹介したい。」

 

「いいのか、恭次?」

 

「お前なら妹たちもいい関係を築けると思うからな。」

 

「そうか、サンキュー!でも妹たち?」

 

「ああ。俺の妹は一人だが、妹の幼馴染も一緒に入学しているんだ。」

 

「そういう事か。納得だ。」

 

とレオは恭次と共に待ち時間を過ごす。

そして恭次の待ち人たちが姿を現した。

 

「お~に~い~ちゃ~~~~~~んッ!」

 

「……はぁ~(-o-;)」

 

と猛ダッシュで掛けてきた少女。

サイドポニーを揺らしながら掛けてくる。

その妹の姿に恭次は溜息をつくのであった。

だがここで気になることが一つある。

まもなく接触しそうな距離になるのにも関わらず、ブレーキを掛けないなのは。

このままでは接触事故になりかねない。

どうして止めようかと、恭次は更に溜息をついていた。

 

 

 

 

「やれやれ。俺がしっかりお前を受け止めてやるぞ、なのは。」

 

そうすると、体当たり気味のなのはを体全体で受け止める恭次。

端から見れば、抱き合っているような状態だ。

その行動になのはは、嬉しさ全開であった。

 

「えへへ~、おにいちゃん、ありがとう!」

 

「あまりはしゃぎ過ぎるなよ?」

 

「うん!!」

 

恭次は苦笑い気味であったが、なのはの頭をなでてやる。

不器用な優しさを持つ恭次だからこそなのだが、これがなのはは嬉しいのだ。

 

「さて、そろそろ帰るか。」

 

「そうだね。フェイトちゃんたちが来てからだけどね!」

 

「わかってる。…とそろそろ離れてくれ。」

 

「もうちょっとだけ…ダメ?」

 

目をウルウルさせてながらお願いするなのはに、恭次は勝てない。

 

「……本当にもう少しだけだぞ?」

 

「ありがとう!おにいちゃん!!」

 

そして、フェイトたちと合流し帰宅するのであった。

 

 

 

というのがなのはの予定である。

 

 

 

"きっとおにいちゃんは抱き止めてくれるよね。……エヘヘ~(///▽///)"

 

兄が大好きな女の子には色々あるのだ。

 

"この状況で、このスピードならもうおにいちゃんは受け止めるしかないハズ。"

 

…黒い考えが見え隠れもしているが。

 

さあいよいよなのはが恭次と接触するまであと僅かとなり、恭次はあきらめたようだ。

 

「やれやれ。俺がしっかりお前を受け止めてやるぞ、なのは。」

 

と苦笑いであったが、なのはを迎えようとする恭次。

その言葉に至上の喜びを感じるなのは。

 

"エヘヘ~(///▽///)おにいちゃ~ん……………ん?"

 

だがなのはは恭次の構えに違和感を覚えた。

思い描いていたものは体全体で、抱きとめようとする恭次の姿。

だがその構え方は左手を開き、自身の前に突き出しているのだ

 

「ヴぇッ!?」

 

ここで、なのはは年頃の女の子が出さないような声を上げた。

恭次の左手の高さは、なのはの頭部と同じ高さで構えられている。

という事は……。

 

「ちょっ!?ちょっとっと、ぶにゃッ!」

 

結果は想像した通りのものとなった。

なのはの顔面が、恭次の左手によって止められたのである。

そして恭次はなのはに声を掛けた。

 

「……なのは、廊下は走るなと教わっただろう。」

 

顔面を抑えられているなのははそんな恭次の物言いにプルプル震えていた。

そしてその左手から剥がれ

 

「うにゃーー!そんな事はどうでもいいよ!!どうして受け止めてくれないの!?」

 

「???ちゃんと止めただろう?」

 

「違うよ!普通、愛し合ってる者同志は体で受け止め合うものなんだよ!!」

 

「そう言うのは将来、お前の相手になる男にでも言え。」

 

「ムーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!(>3<)」

 

その言葉になのはは頬を膨らませ、不機嫌さをアピールしていた。

さすがにこれはと思い、レオは恭次に声を掛ける。

 

「いいのか、恭次?妹さん怒ってるぜ?」

 

「大丈夫だ、レオ。これは一種のスキンシップだ。」

 

と家族のじゃれ合いだと説明する恭次であった。

すると、そこへ幼馴染二人が現れた。

 

「恭次さん、お待たせしました。」

 

「恭次さんお待たせや!しっかし、なのはちゃんは相変わらず恭次さんに対しては超人やな~w」

 

とフェイトとはやての性格を表すような挨拶をしてくるのであった。

そんな彼女たちに恭次はレオを紹介する。

 

「二人とも、お疲れ様。紹介しよう。彼はクラスメイトの西城レオンハルトだ。」

 

恭次の言葉の後に改めて自己紹介するレオ。

そしてレオに対してフェイトとはやてが自己紹介を始める。

 

「フェイト・テスタロッサ・ハラオウンです。よろしく、レオ!」

 

「矢上はやてや。レオくん、よろしゅうな。スリーサイズとかは教えられへんから勘弁してな~w」

 

その言葉に残念そうにしていたのは、恭次たちではなく周りにいた男子生徒だったとか。

ちなみにはやてはこの高校へは、名字の漢字を『八神』から『矢上』と変更していた。

この世界では、名前に数字を持つ家系を『ナンバーズ』と呼ぶ。

数字持ちはこの世界では力の象徴なのだ。

あまりこの世界で目立ちすぎるのは、目的の為に得策ではないと考えた為に偽名を使うことにしたのだ。

最後は未だに膨れっ面のなのはなのだが、中々機嫌が戻らない。

こうなると元に戻せるのは恭次のみだ。

恭次は仕方ないとなのはに声を掛ける。

だが忘れてはいけない。原因は恭次なのだという事を。

 

「なのは、いい加減に機嫌を直してくれ。可愛い妹がいつまでも膨れっ面なのは勿体ないからな。」

 

と恭次となのはの関係を知っている者ならば、どう聞いてもご機嫌取りなのがわかるのだが、それに反応するのがなのはという少女だ。

だがいつもそう言ってごまかされているので、今日はなのはは負けないと決めたのだ。

 

「お兄ちゃんはそう言っていれば、私が折れると思ってるんだろうけど。そうはいかないもん!」

 

と抵抗してみせるが

 

「そんな事はない。俺の大事な人(妹)だからな。膨れっ面よりも笑顔でいて欲しいんだ。」

 

「…………ポッ(///o///)」

 

その言葉になのはの妄想が再び爆発。

 

"お兄ちゃんが大事な人(彼女・恋人・伴侶)って!私を愛してるって!!"

 

そんな事は言っていないのだが、なのはの中で今はすごい事になっている。

ひとしきり妄想が終わると咳払いをして

 

「ううん。まあお兄ちゃんがそうまで言うなら今回は許してあげます。感謝してね。」

 

「ありがとう、なのは。」

 

顔を真っ赤にしながらあっさり陥落するなのはであった。

さすがは恭次である。

口の上手さは天下一品だ。

そしてここにいたメンバー全員、なのはに対して揃ってこう思ったらしい。

 

"チョロい"と。

 

「1-A の高町なのはです。よろしくね、レオくん!」

 

「ああ、よろしくな。妹さん!」

 

ようやくここで全員の自己紹介が終わり、これからの話をしようとしていた恭次たちであったが、周りの視線に悩んでいた。

いくら兄妹と言っても、一科生と二科生が仲良く話をしているのは気になるらしい。

講堂でも感じた事である為、恭次はこの場を離れた方がいいと考えた。

視線のほとんどは、なのは・フェイト・はやての三人とお近づきになりたいと考えている一科の男子生徒たちだ。

いくらかの女子生徒が恭次を見ている視線もあるのだが……。

 

「話をするなら、どこかに寄って行くか?折角の入学式だ。俺が全て奢るぞ?」

 

と恭次は提案する。

 

「えっ、いいの!?お兄ちゃん。」

 

「でも。」

 

「な~。」

 

「気にするな。三人の真新しい制服姿を見せてもらったお礼という事にしてくれ。」

 

とかなり無茶な注文であるが、そう言ってくれるならと三人娘は了承した。

恭次はもちろんレオも誘うのであった。

 

「レオも一緒にどうだ?」

 

「いいのかよ、恭次。俺奢ってもらえるってんなら結構頼んじゃうぜw」

 

「ああ、遠慮しなくていい。」

 

「よっしゃーッ!じゃあ遠慮なく一緒させて貰うぜ。」

 

その言葉を聞き、恭次たちは帰ろうとしたのだがそこにある女子生徒と男子生徒が近づいてきた。

二人に、正確には女子生徒に対して周りの生徒たちは目を奪われていた。

恭次たちの前で立ち止まると、女子生徒は微笑みながら声を掛けてきた。

 

「突然失礼します。私は生徒会長を務めている七草真由美と申します。ななくさと書いて、さえぐさと呼びます。」

 

自分を紹介する真由美。

数字持ちの家系はナンバーズと呼ばれるが、その頂点に立つのが十師族と呼ばれる集団だ。

七草家もその一つに数えられる。

そして目の前の女性は、「妖精姫」と呼ばれている存在だ。

 

「そちらは高町なのはさん、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンさん、そして矢上はやてさんですね?」

 

「はい。」

 

となのはが全員を代表して答える。

それを確認すると

 

「本日はご挨拶に伺わせて頂きました。」

 

その言葉に三人はどう反応するか悩んでしまった。

入学初日にいきなり生徒会長直々に挨拶に来る。

つまりは生徒会に入ってくれないかという打診だと分かったからだ。

三人が返答に困っていると察した真由美は、

 

「大丈夫ですよ。本日は本当にご挨拶に伺っただけですから。」

 

と今日はこれ以上は引き止めないという意思を示した。

 

「なッ、会長!?」

 

一緒にいた男子生徒が声を上げるが、真由美は取り合わない。

 

「なのはさん、フェイトさん、はやてさん。詳しいお話を後日改めてさせて頂きたいのですがよろしいですか?」

 

その申し出に三人とも頷いた。

それを確認後、真由美は恭次の方を向いた。

 

「失礼ですが、あなたのお名前は?」

 

「……二科生の高町恭次です。ここにいる高町なのはの兄にあたります。」

 

と簡潔に自己紹介する恭次。

その名前を聞き、真由美は何かを思い出したように声を出す。

 

「そう、あたなが。」

 

その笑顔は何を意味しているのか、恭次にはわからなかった。

 

「それでは皆さん、これで失礼します。高町くんもまたね。」

 

と真由美は一緒に連れていた男子生徒と去っていくのであった。

その時一緒にいた男子生徒に恭次は睨まれたが、その視線の意味も恭次は分からなかった。

 

「…フゥ。予定が狂ったがいい加減行くか?」

 

と恭次は促す。

三人は緊張が解けたようで、恭次の後に続くのであった。

最初から一緒にいたレオは、真由美に声を掛けてもらえていなかったが

 

「奢ってもらえる事に比べれば、大した事じゃないぜ!」

 

と実にあっけらかんとしていた。

そんなこんなで、これが恭次たちと七草真由美とのファーストコンタクトとなったのであった。




またいつ投稿できるか不明ですが、よければ読んでくださいませ。
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