元野球選手が鎮守府に着任しました。   作:ポンセ

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次のシルバーウィークには試合へと・・・必ず・・・!


赤い月(4)

「月の弧を描くように・・・!」

 

ッシュ! ククッ! パン!

 

1球1球そうつぶやきながら赤城は投げる。

(扶桑が示してくれたチャンス、必ずものにします。)

顔つきが戻る。深海棲艦と対峙していた時のような緊張感のある顔つきに。

(それに・・・)

普段は柔和な物腰の赤城だがその奥底には確かに正規空母としてのプライドがある。

(負けられません!ほかの子たちにはもちろん、加賀さんにも・・・!)

いつしかキャッチボールの距離はピッチャーとキャッチャーの距離へと伸びていた。

 

・・・

 

ッシュ! ククッ! パシ!

 

「曲がりました!・・・けど」

「ええ。この変化は普通のシンカーでしょうね。」

そのためこの球ではない。

そもそもシンカー自体初めて投げる球種だ。それでこの変化ならば・・・

(残り日数を考えればこの滑り出しは上々ですね・・。)

残された日数は約2週間、その初日にベースの変化球をほぼ習得したとなるとかなりいいペースだろう。

あと11日間をクレッセント・ムーンに費やせるとなると少なからず(・・・いけますね!)と慢心が生まれてしまう。

この慢心は赤城だけでなく扶桑にも生まれたようで

「赤城!今日はこのくらいにしませんか。無理ができるとはいえ進んでするものではありません。続きは明日以降にしましょう。」

(・・・)

自分でも慢心だということはわかっている。しかし、そうやって気を張り詰めた結果が

さっきまでの悩んでいた自分だ。

(何事も柔軟に考えることが必要。だとすれば私が今とるべき選択は・・・)

 

「・・・そうですね。扶桑の言うとおり、今日はこのくらいでお終いにしましょう。」

ちょうどお腹もすいてきました。今後のこともかねて今日も扶桑とご飯を食べに行きましょう。

徐々にお互いの距離を詰めていく。ほとんど力を入れずとも相手に届く距離になったところで今日の投球練習は終了。

その後、ダウンをこなしシャワーを浴びた二人は楽しげに会話をしながら帰路につく2人。

なんといっても1日目でベースの変化球を実践レベルまで押し上げたのだ。残りは約2週間、かなり快調なスタートダッシュを切ったと言って間違いはないだろう。

 

「ゆえに今後に憂いなしです!」

居酒屋鳳翔で酒をたしなみながら声高らかに謳う赤城。一緒にいる扶桑もまんざらではなく、酒のせいか顔をほんのりと赤らめながら微笑んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時2人はまだわかっていなかった。ウイニングショットが簡単に編み出せるのなら「決め球に欠ける」という理由で悩む投手はいない。それに加えて特殊な変化をする変化球。簡単に言えば・・・

 

そんなに甘くはないのだ。

 

 




期間が空いてしまいました。まだ覚えている方はいるのでしょうか。
なんとか週一くらいで更新できるよう精進いたします。
これからもよろしくお願いします。
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