元野球選手が鎮守府に着任しました。   作:ポンセ

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岬ビックナインズ VS  鶴翼ウィングス 第一回戦 (4)

「時雨さん・・・。」

 

ネクストで待機している電は少し気まずそうに時雨へ声をかける。

無理もない。たった4球で勝負がついてしまった上に内容は時雨の完敗。雰囲気を出さないように努めてはいるもののそれでもやはり重い雰囲気は感じとれてしまう。

 

「あ、あの・・・。」

そんな雰囲気でも声をかけてしまうのは電の優しさゆえなのだろう。

 

「ごめんね電、気を遣わせてしまって。」

不安そうにしている電をみて思わず苦笑する時雨。

(気を使わせちゃったなぁ。)

後輩というわけではないがそんな印象を抱かせる電に悪いと思いつつ言葉を重ねる。

 

「すまない。電が十分にピッチャーを観察する時間を稼げなかったよ。」

「そ、そんな・・・。」

たったの4球で空振り三振。とても1番の仕事を果たしたとは言えない内容。

ただ一つだけ「収穫」と言えるものはあった。

 

「いいかい電。瑞鶴さんの「ストレート」あれは普通じゃない。」

「普通じゃない・・・?」

「ああ。あのストレートは・・・。」

 

「浮き上がる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(少し指にかかったようなストレートだったけど・・・。今のようなコースに決まっているうちはまず心配はいらないでしょうね。次の電ちゃんでしっかりと修正していきましょう。)

時雨を打ち取ったところでまだ試合は始まったばかり。気を抜くような段階ではない。

 

 

 

「さぁ!ビックナインズの2番バッターは「電」!彼女はどういうバッターなのでしょうか、提督?」

「打率.228 4本 27点。決して優れたバッターとは言えない成績だ。しかし、彼女は彼女なりに生き残るすべを模索し、獲得したようだ。「シーズン60犠打」この記録はその努力の証だろうな。」

いなずまのバッティングセンスはお世辞にもいいとは言えない。その代り彼女は「補助」としての2番バッターを自分の生きる場所だと定め、「バントの技術」と「守備」そして「当てる技術」を磨いてきた。

「打率は低いが三振は少ない、選球眼もいい。また、練習を見学した限りではボールとのコンタクトも下手ではない。それに、前に飛ばない打球を打つのもうまい。」

「それはつまり・・・どんなバッターなんですか?」

「まぁつまりは「決定力」を捨てて完全な「サポート」に回ることを電は選んだのだろうな。」

ボールをよく見てファールで粘る。なんとか食らいつきフォアボールを勝ち取る。バントを一発で決める。相手からしてみれば中々に面倒なバッターだ。

「一打席で相手ピッチャーに使わせた平均球数を集計してみると電は平均で「8.7球」。とにかく粘ることに徹底していることがわかる。ここまで粘れていれば打率が低くともチームに貢献できている十分な「戦力」といえるだろうな。」

「打撃以外でチームに貢献している。「フォア・ザ・チーム」を体現しているようですね。」

「まぁ、そうなるな。」

 

 

 

 

(ストレートが浮き上がる。実際に見てみないとわからないのです。)

ふーっと息をつき打席に入る電。球の威力は打席に入らなければわからない。

 

 

 

 

 

(電ちゃん・・・。打率が低くホームランも少ない以上多少甘くともガンガン押して行っても問題ない。)

打率が低いということは甘いコースの打ち損じが多いか、前に飛ばす力がないか意思がないか、もしくはその両方か。

(難しく攻める必要はありません。瑞鶴の修正に付き合ってもらいましょう。)

 

 

(電・・・。翔鶴姉も真ん中に構えてるし成績も怖がるほどのもんじゃない。・・・だったらいっちょ!)

振りかぶりながら瑞鶴は思う。

(気持ちよくアウト!いただきますか!!)

 

 

ッビュ!バーン!

「電への初球!真ん中低めのストレートでストライク!!」

「150キロか。少々指にかかってるように見えるがいいコースに決まっているな。あの特殊な変化も相まってかなりうち辛いだろう。」

 

 

(・・・本当に浮き上がってきたのです。)

驚きを隠せない。こんなボールは今までのシミュレーションにはないものだった。

(でも「打てない」では話にならないのです!なんとか攻略法を掴むのです!!)

最悪でも後続につながる何かを得るため意を決する電。

 

 

(っとぉ。ちょっと指にかかり気味かな~。翔鶴姉もわかってるはずだけど・・・。

ふーん、方針にぶれはなく「強気で押す」かぁ。りょーかいっ!)

全力のZUIKAKUライジングは150キロを記録。決して調子は悪くない。

 

 

「2球目は外角低めにストレート外れてボール。」

「さっきから指にかかるのが目立つな。どこかでいったん修正できればいいが。」

今はまだいいかもしれないが、試合終盤の疲れが出てる状態で指にかかりボール連発ということになると中々厳しい。

(次が夕立ということを考えると・・・修正するときはこの打者の最中だろうな。)

 

 

 

(・・・さっきから指にかかっているのです。失投からの長打を怖がって変化球主体に攻め方を変えてくれればありがたいのですが・・・。)

自分で考えておいてあれだが、そのような攻め方の変化はおそらくないだろう。

(だったらこのストレートをカット。瑞鶴さんのコントロールが悪い以上なんとかフォアボールを狙うのです!)

電は狙いをストレートに、塁に出ることを念頭に置き打席に入りなおす。




中途半端で申し訳ありません。3000字以上の投稿はやはり難しいですね。

なんとか前回よりはテンポ良く進めた・・・はず。
これからも読みやすい文章を書けるように精進いたします。よろしくお願いします。
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