(・・・指にかかる。修正するなら電の打席が一案いいんだけど・・。)
次に控える夕立からは主軸に回る以上、余計な不安は取り除いておきたいと思うのは至極まっとうなピッチャー心理である。
(できれば余裕のあるカウントでストレート投げておきたいんだけどなぁ・・・。翔鶴姉のサインは・・・まぁ気分転換にってことか、りょーかい。)
「3球目、真ん中にワンバウンドのチェンジアップでボール!」
「ストレートが指にかかり気味だったからな。それも考慮して一度気分直しの変化球・・・という意味合いが強い一球ではないだろうか。」
電自体、失投があったとしてもそこからピンチを招く長打を心配するようなバッターではない以上・・・
「まぁ、瑞鶴の調整をするならこの打席だろうな。」
(チャンジアップ。これでカウントはツーワンなのです。ヒットを狙いたいのは当然なのですが・・・。あのストレートを気にしながら変化球には今の段階では中々合わせるのは難しい・・・。なんとか粘ってフォアボールを・・・そこまでいけば上々なのです。)
形はどうあれあくまで狙いは「出塁」すること。電はそのことを念頭に構えをとる。自分で模索し獲得した役割、それ故に電の意思は固く揺るがない。
(ツーワン。次は確実にストライクがほしいカウントですね・・・。)
瑞鶴のコントロールはお世辞にも精度の高いものとは言えない以上、「ワンスリー」のカウントは選球眼のいい電が相手ということもありフォアボールの危険が高い。そのためなんとか避けたいところだが・・・。
(とはいえ相手は電ちゃんで、初回なわけで、カウントを恐れているようではこの後が思いやられるわけで・・・色々パターンを試していくのも今が最適ですしね・・・。)
様々な思考をめぐらせながら翔鶴はサインを出し、ミットを構える。
「4球目、内角低めにチャンジアップでストライク!」
「これでツーツーの平行カウント。とはいっても個人的にはバッテリー側のほうが有利なカウントだとは思うがな。」
・・・ワンスリーを避けるためにストレートを置きに来ると思ったがチャンジアップを続けたか・・・。
「強気の表れなのか、試す意味合いのリードなのか・・翔鶴は普段の印象とは違うリードをするな。」
「意外に意地の悪いリードってことですか?」
「いやそういうわけではないんだが・・・。てっきりセオリー通りのリードなのかなと思っていたんだ。そしたら中々裏をかくリードだったので少し驚いている。」
「なるほど、普段とは違う翔鶴さんの一面を垣間見た気がしますねぇ。まぁかなり気合が入っていたようなので色々出てくるんじゃないでしょうか。今後にも期待ですね。」
「まぁ、そうなる・・か。」
(っ・・・チャンジアップ。)
ストレートに比重を置いていたため今のチェンジアップに反応ができなかった。
(・・・追い込まれたのです。まだスライダー・スラーブが来ていない、ストレートにも対応できるか怪しい・・・。)
そして
(なによりもまだ4球・・・。私の仕事はまだ全然こなせていないのです。)
自分で進むと選んだ道。ならばしっかりとこなさなければならない。
(次は多分三振を誘いに来る球。ストレートかスライダーが来るはず・・・なのです。)
これ以上自分に球数は掛けない。おそらく相手バッテリーはそう考えているだろう。だったら次は空振りの取れる「決め球」を選んでくるはず。
カットがうまいとはいえすべてをカットできるわけではない。
覚悟を決め、狙い球を絞る電。
(あのストレートは正直待っても打てる自身がない・・・。だったらスライダーを主軸にほかのボールは徹底的にカットでなるだけ粘る・・・なのです!)
(・・・これ以上電ちゃんに球数を使うわけにはいかない。)
いま電に粘られるようなことがあれば次から迎える主軸との対戦に少なからず影響があるかもしれない。
(低めを見せた。だったら次は・・・。)
翔鶴は腰を上げミットを高く上げる。
翔鶴の要求に対しうなずく瑞鶴。
投球モーションに入り・・・
「ッフ!!」
全力のZUIKAKUライジングを投げ込む。
(!?高めのストレート!このコースは入るのです!!)
意識にはあったためカットをするためスイングモーションに入る。しかし・・・
(ノビて・・・浮き上がるっ・・・!)
ビュンッ!ッバーン!
「5球目、真ん中高めのストレートに空振り三振!!!」
「振った位置が顎の高さじゃまず当てられないだろうな。電はなんとかこらえるべきだったが・・・どうしてもつられがちな球だ。それに加え瑞鶴は今のが一番いいストレートだった。」
「投げきった瑞鶴の勝ち・・・だな。」
更新頻度が・・・しかし来週も2連休があるのでそこで再び更新を・・・。
ペースをつかめるようにこれからもより一層精進していきます。これからもよろしくお願いします。