ランナーを二塁に置き、3番愛宕が打席に入る。
(加賀さん・・・普段と変わらずのポーカーフェイスで。得点圏で中軸を迎えて焦りも見せないなんてね。点さえ入らなければ・・・なんて思ってるのかしら。)
いつも通りの威圧感ともとれる雰囲気を醸し出しマウンド上に立っている加賀。その加賀を見据え普段通りの笑みを崩さないのは打席の中の愛宕。
(加賀さんの使う変化球は~・・・スライダー・シュート・SFFとツーシーム。外のストレートを叢雲ちゃんに痛打されてるから~・・・。)
(初球にもう一度ストレートを選ぶのは長門ちゃんの性格上考えにくいし~)
(かといってあのスライダーを一球目から狙っていくのはなんか違うし~。)
(でも長門ちゃんのことだから加賀さんの『全力』で抑えに来るはず。だったらやっぱりスライダーを狙い打とう!)
(さっきは様子見のストレートで叢雲に長打を食らってしまった。そして得円圏にランナーを置いてバッターはポイントゲッターの愛宕。・・・だったら!)
(次の失態は点につながる。ここは全力で抑えに行く!!)
「打った―!!愛宕!初球の外角スライダーをライト前に痛烈なヒット!!これでランナーは1・3塁!」
「愛宕は狙い澄ましたようなスイングだったな。スライダーを無理に引っ張らずライト方向に流して弾き返している。ナイスバッティングだ。」
「叢雲の足を考えれば一点入っててもおかしくなかったがそこはライトの大井が好返球でなんとか制したな。」
「すごい形相からのすごい返球でしたね~。まるで誰かへのアピールチャンスのような気迫でしたよ。」
「大井がアピールする相手・・・ああ、北k」
「ストップ!!提督!それは公言してはいけません。なんか大井さんは隠しているみたいなので。」
「そ、そうなのか。それならまあ控えておこ・・・いやもとはと言えば青葉が妙なことを口走るから私がこのことに言及したわけであって・・」
「ま、まあまあそれはおいておいて・・・。次のバッターは4番金剛!!提督、金剛さんはどんなバッターですか!?」
「ん、ああ。金剛は.303 30本 97打点 ウィングスの打撃陣の特徴は『万遍なくそこそこ長打を打つ』だ。ほかのチームには40・50本ホームランを打つバッターがいるがこのチームは今打席に入る金剛がチーム内本塁打王となっている。」
「そのかわりチーム打率は4チーム中最高の打率を誇る。いうなれば「マシンガン打線」が近いかな。」
「連打が多いってことですね。」
「ああ。この金剛にタイムリーを浴びるようなら・・炎上も頭にいれたほうがいいな。」
「加賀さん・・・調子があまり良くないのでしょうか。」
「ん~・・・。」
(調子に関しては特にいうことはない。可もなく不可もなくというところ、つまりは普通だ。問題は・・・)
私はマウンド上の加賀ではなく、長門に目を向ける。
(少しでもピッチャー不利になるカウントは嫌なのか。加賀は不利なカウントからでも十分に勝負していけるピッチャーだぞ。)
(あまりにも簡単にストライクを取りに行きすぎだ。2者連続でファーストストライクを打たれるのはリードも疑ってしまう。)
(この打席。最高の結果は『ゲッツー』だ。だが金剛もそこは確実に抑えている。安易にゲッツーを取りに行くリードは危険だぞ。)
(1・3塁。先ほどよりも守りやすくなったのはせめてもの救いか。愛宕はあまり足が速くない。加えてうちの内野陣は優秀だ。ならばここは併殺を取りに行くリードを。)
「ちなみに私が見る金剛という選手は「打てるショート」ではなく「スラッガーがショートを守っている」という感じだ。」
「ショートの守備はあまりうまくないんですか?」
「巧くないわけではない。ただ他3チームのショートに比べるとショートらしくない。まあ私個人の感想だがな。」
「・・・確かにシミュレーションの失策数は夕立ちゃんを抑えて堂々の一位ですねぇ。」
「難しい打球はうまく処理するんだがな。簡単なところでくだらないミスが多い。そこを詰めればよりよくなるんだが・・・。まあこれはどうしようもないんだろうな。」
「有り余る身体能力で豪快にショートをこなしてる、という感じですね。」
「言いえて妙だ。そんな感じだな。」
「金剛さんらしいですねぇ。」
「ああ。だがその身体能力もあってか打撃面に関しては他のショートを抑えてトップを誇っている。内角を捌くのは夕立とタメを張れるほどうまい。また状況に応じたバッティングもできる、積極的にマウンドへ声をかけに行く、など意外に周りをよく見れている。流石は年長sy」
「提督!!」
「・・・気配りが上手なリーダーシップのある選手だ。間違いなくウィングスの中核をなす選手だろうな。」
「今回は私関係ありませんからね。」
「・・・今度からは気を付けよう。」
「ヘーイ!!!テイトクゥー!!この打席をあなたに捧げマーッス!!バーニングッラーッブ!!!」
「相変わらずの直球ガールですねえ。」
「まあ、行為を向けられること自体は悪い気は起きない。それが金剛のような見た目麗しい女性ならなおさらだ。」
「お!これはスキャンダルの時間ですか!?」
「だがまあ私たちは『上司と部下』だ。答えることは中々『バーニングラーッブ』・・・・難しいな。」
「それは残念ですねぇ。まあ金剛さんと提督に関しては今後に期待というわけで。」
「今は金剛の打席に注目しよう。」
「ですね。」
最上段にバットを置き、金剛は構える。
(バッテリーが狙ってるのは『ダブルプレー』デスネー。選択肢は王道に「外角を引っかけさせる」?それとも「内角を詰まらせる」?私は内角が得意ってことは当然長門も織り込み済みのハズ。そして『今の長門』はインコースをアグレッシブにアタック!・・・なんてできないでしょうネー。だったらこの場面は・・・アウトコースに集めてくるはず。狙いはアウトコース!外れたら次の那珂チャンにお任せネー。)
あまり気負わない金剛。その楽観的な考えは意外に4番にあっているのかもしれない。
(さあ!張り切っていきマスヨー!)