長いんでこれからは「Zライジング」でお願いします。
「現在5回裏の攻撃が終了し、1-0でウィングスがリードしています。」
「一回の攻撃後、ここまで出たヒットは0本。完全に投手戦の様相を呈してきたな。」
「そうみたいですねぇ。それではここで、2回以降の両チームの攻撃を追ってみましょう。」
「3回の表、先頭バッターの夕張さんをZライジング3球で三振に切って取ると続く加賀をピッチャーゴロ、時雨はZライジングにくらいつくも7球目のチェンジアップを引っかけセカンドフライ。」
「その裏の攻撃、ウィングスは先頭バッター瑞鶴からの開始でしたが瑞鶴・響・叢雲をスライダーを主軸に翻弄、三者連続三振。前の回からまたいで六者連続三振と快刀乱麻のピッチング。」
「4回の表、ビックナインズは電からの攻撃でした。Zライジングにくらいつくも5球目のスライダーに空振り三振。夕立はスライダーをとらえるもショートライナー。長門はZライジングに強振するも4球目のチェンジアップにタイミングを外され空振り三振。」
「4回の裏、ウィングスは3・4・5番のクリーンナップでしたが三振・ピッチャーゴロ・サードゴロと打棒振るわず三者凡退。」
「5回の表、ビックナインズは一発の狙える5・6・7番を迎えましたが、Zライジングを主軸に迎え撃つバッテリーにこちらも打棒するわずセカンドライナー・見逃し三振・レフトフライでスリーアウト。」
「5回の裏、足柄から始まるウィングスの攻撃でしたが、加賀の豊富な球種の前に狙いを絞りきれず足柄・空振り三振、暁・見逃し三振、翔鶴・ピッチャーフライと簡単にスリーアウトでチェンジ。」
「以上がここまでの試合展開になります。」
「正直、私が予想していた以上に投手戦だ。両投手共に素晴らしいピッチングだ。」
(まるで本当にプロの投げ合いを見ているような・・・。打者のレベルだって高いはずンあんだがなぁ。)
それほどまでにハイレベルな投手戦。
「ここまで瑞鶴さん、加賀さんともにナイスピッチングですが、どちらかというのなら・・・・提督、どちらのほうがよりいいピッチングをしていますか?」
「・・・。」
(確かに二人とも素晴らしい。しかし・・・。)
「瑞鶴のZライジングはたしかに強大な威力だ。しかし、2順目以降は1順目に比べて圧倒的と言えるほどの威力が出ていないように見える。その証拠に時雨・電などの器用なバッターは徐々に対応してきている。それに対して加賀のスライダーは長門がうまく散らしているというのもあるが、ウィングスの打者はいまいちスイングをさせてもらえていない。先制した時のイメージがあるのならそれは早めに捨てたほうがいいだろう。加賀のピッチングは初回のそれとは別次元だ。」
瑞鶴は球種こそ豊富ではあるが、主軸におけるのはZライジングとスライダーのみ。それに対し加賀はスライダーをはじめSFF・ツーシーム・シュート・ストレートも十分強力な武器になる威力がある。この辺が・・・
(瑞鶴と加賀の差になって今後に影響してくる。)
「プロ野球にも6回からは比較的ピッチャーは撃ち込まれる傾向にある。だからこそ、完投勝利ができるピッチャーは貴重で優れているわけだ。彼女らもこの回からはより一層気を引き締めていってほしい。自分の思う以上にボールが走らなくなり、バッターのスイングに今まで以上に恐怖を覚えるようになるはずだからな。」
「なるほど。この回からは今まで以上にご用心ということですね。」
「ああ。この回以降はおそらく双方にある程度のチャンスが回ってくることになるだろう。そこをものにできればそれはそのまま勝利に直結してくる。頑張ってほしい。」
(・・・大丈夫。瑞鶴の球威は落ちていない。)
先発ピッチャーを預かるのだ。試合後半の疲れによる影響くらいは試合が始まる前から頭に入れている。
(問題はZライジングに段々と対応されていること。)
(まだ攻略されているわけではないし、ボコボコに打たれるようなわけでもない。でも前半のような圧倒は難しい。これからはおそらく安打性のあたりも増えてくる。)
ヒットを打たれるのはいい。では、今の状況からなにをされるとまずいのかというと・・・。
(下位打線からつながれて、ランナーを背負った状態で上位打線を迎えること。)
上位には時雨・夕立・長門に今は抑えているが高雄も控えている。
(ランナーがいると間違いなく失点をくらう。・・・今まで以上にこの回は慎重に攻めないと。)
次は先ほどZライジングで三球三振に切った夕張から。
(さあ、いきましょう瑞鶴。)
(さっき会ってなかったからねぇ夕張さん。)
ロージンをいじりながら翔鶴からのサインを見る瑞鶴。
(一球目はZライジングでカウントをとってそれ以降は変化球を織り交ぜて・・・。まあZライジング一本じゃあいつか打たれちゃうしね。)
振りかぶる瑞鶴。その瞳は今まで以上に闘志にあふれている。
(スパッと抑えるよ!!)
(・・・さっきはあのZなんちゃら3球で三振だった。あんまりにも簡単だったから次もうまくいくと思ってるのかしら。)
バットを引き、トップの形を作る。
(あれだけ手も足も出なかったら狙いを変化球に切りかえると。完全に白旗を挙げて私がこの打席に臨むと。そう思ってのこの一球なのかな・・・。だったら。)
スイングのタイミングは・・・。
(なめんじゃないわよ!!!)
Zライジング。
「打ったー!初球の真ん中高めZライジングをレフト前にクリーンヒット!」
「うまく上からたたくことができたな。特殊な変化や球速にも負けずしっかりと振り切ることができた。」
まさにドンピシャリ。
(最初からZライジング一本を狙い撃つ予定だったのか。・・・なかなか夕張も意地を見せてくれるじゃないか。)
(・・・迂闊だった。)
夕張は.283 7本 52打点とそこそこ打てるバッターだ。こういうバッターは大抵二線級のピッチャーから打率を稼ぐ。一線級には基本太刀打ちできない。翔鶴は一打席目の三振を見て「夕張では瑞鶴に及ばない」と判断した。それほどの圧倒した内容だったのだ。しかし・・・。
(試合中に学習、修正をそれもこんなにはやく。いえ・・・甘く見すぎていた、それに加えて私が瑞鶴を過信しすぎた。)
(次は加賀さん。・・・これ以上の連打はいけない。)
「9番はピッチャー加賀。早速バントの構えをしていますねえ。」
「確実にランナーを進めて上位陣に繋ごうという考えだろうな。いいピッチャーはバントも簡単にこなす。ここはビシッと決めてほしいな。」
「しかし・・・変化球をバントするのはちょいと難しい。かといってZライジングは速いうえにせりあがる変化。加えてバッテリーも簡単にさせるとは思えないし・・・。」
「確かに難易度は高い。だがここで決めなければワンアウト一塁はゲッツーでチェンジの危険がある。まあ・・・難しくても決めることだな。」
「なるほど。」
コンッ
(やりました。)
「ピッチャーとファーストの間に絶妙な威力のバント。9番加賀、バント成功です。」
「初球のZライジングをサクッと決めたな。難しいと思ったんだがなあ。」
「拍子抜けするくらいサクッと決めてましたねぇ。無表情で自軍ベンチに向かってピースしてましたし。」
「まあ、加賀は打席数が少ないながら.280くらい打ってる。そもそもバッティングがうまいんだろうな。そしてバッティングがうまい打者はバントもうまい。しかるべき結果だったんだろうな。」
「これで状況はワンアウトランナー二塁。そして迎えるは一番時雨。」
「彼女はクラッチヒッターだ。さらにさっきの打席ではZライジングに対応していたように見える。簡単にはいかず、よく考えて勝負に臨むことだな。」
(・・・・さて、後半最初の山場だな。)