元野球選手が鎮守府に着任しました。   作:ポンセ

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幕間ばっかですいません。


幕間 北上様とチャンスのススメ
幕間 北上様とチャンスのススメ ①


「頼む!」

「お願いします!」

 

「「チャンスに強くなる秘訣を教えてくれ!(ください!)」

 

 

 

鎮守府の誇る大戦艦が深々と頭を垂れる。

その頭の先には一人の重雷装巡洋艦の姿が。

 

 

 

 

 

 

(う~ん、中々壮観だよね~。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□□□ 北上様とチャンスのススメ □□□

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シミュレーターから一人の艦娘が出てくる。

高い頭身に長いポニーテール。

茶色がかった髪色は整った顔立ちをよりハイカラに演出している。

 

彼女こそは日本最大級にして最高技術の結晶、艦隊決戦の切り札。

そう、大和型戦艦 一番艦 大和だ。

 

 

強く凛々しく美しく。

比類なき火力は不倶戴天の敵を容赦なく撃滅し、厚い装甲は掛け替えのない仲間を幾度となく守った。

先の大戦においては敵中枢戦力との殴り合い(比喩なし)を敢行。

 

最も傷つき、最も敵を討ち、そして最も仲間を守った。

先の大戦のエースオブエース。なのだが・・。

 

 

 

 

「はぁ。」

 

 

ディスプレイに表示された数字を見てはため息が止まらない。

かつての威光は見る影もない。

そこにあるのは背中を丸め、落胆の表情を色濃く顔に映した一人の少女だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□□□

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうにも・・。

どうにもうまくいきません。

 

あぁ、こんにちわ。

私、大和型戦艦 一番艦 大和と申します。

 

いきなりお見苦しい姿を見せてしまって・・申し訳ありません。

しかし・・・あぁ、中々気分が優れませんね。

 

何がそこまで気分を沈ませるのか?

それはですね。野球なんです。もっと詳しく言うと私の野球の成績、です。

 

 

もう一度ディスプレイに目を移す。

大体1シーズン分を体感できる妖精さん謹製のシミュレーター。

今しがた私はこのシミュレーターを使ってプロ野球の1シーズンをこなしてきたんですよ。

 

バッティングはもちろん守備や走塁、活躍すればするほど搭載されているAIが得意不得意を学習、そして対策をしてくるので難易度設定その人次第です。

相手は実在する野球選手の復元データを使用、言い方は少し失礼ですがローテの谷間で投げるピッチャーから球界最高のエースまで搭載されています。

使用者が所属するチームももちろん実在しているチーム。

あまりに成績が振るわないとスターティングメンバーから外れちゃうこともあるんですよ。結構シビアなんです、これ。

 

そんな中、私はありがたいことに5.6番を任せてもらうことが多いです。特に6番が多いですね。

この辺は所属チームのチーム事情で変わってくると思います。

私は大体「読日ドライアンツ」、提督が所属されていたチームですね。ここを選択するので中々クリーンアップには割り込めません。

いつかは・・・そう。いつかは4番に座れるように・・!頑張ってるんです!るんですけど・・・。

 

 

ディスプレイの数字。見れば見るほど「はぁ。」失礼しました。

ため息が出ちゃうんですよね。困ったなぁ。

 

 

「.235 44本 81点」

「得点圏打率は・・・.179ですか。」

 

 

お分かりでしょうか?

そう、自分で言うのは情けないことですが。

私はチャンスに弱いんです。びっくりするほど弱いんです。

 

自慢ではありませんが(謙遜です。)私はホームランをかなり打てます。

今まで5シーズンやってきましたが平均で43本くらい打ってます。

 

そして、こちらも自慢ではありませんが(ガチです。)打点は100点を超えたことがありません。

今まで5シーズンやってきましたが平均で80点くらいです。

 

これ、打撃成績でまとめるとかなり見栄えが悪いんです。

一目で「あ。この子チャンスに弱い子だ。」って悟られるほど。

実際私の成績を見た那珂ちゃんが「ソロアーチストだねっ♪」って。

那珂ちゃんのファンはもちろんやめました。(いつものノリですよ。深刻なものじゃありません。)

 

まぁ。那珂ちゃんは大体「.275 15本 85点」くらいの成績でまとめてますので。

それだけのことを言える成績なんですけどね。

 

夕立ちゃんにも「少ないっぽい」って。

シンプルにショックでした。純粋な子ほど言葉の下に刃を隠し持ってるんですね。

ちなみに夕立ちゃんは直近の成績が「.343 18本 91点」

絶句。絶句です。言語野の機能が停止する音が聞こえましたね。

 

 

まあ、とにかく私はチャンスに弱いんです。

シミュレーション中4番に座ってる皆川選手は大体平均で130点くらい。

1番の提督ですら平均で60点くらいですからねぇ。

 

打線成績でガッと全体を見た時に

 

 

1番 提督   .352 17本 67点

2番      .321 12本 62点

3番      .344 28本 104点

4番 皆川さん .284 53本 127点

5番      .308 37本 112点

6番 私    .235 44本 81点 ←ここです

 

 

なんか凹んでますよね。

上位5人が出塁率高いのでランナーが結構溜まった状態で回ってくるんですよ。

結構得点機会に恵まれてこれなんです。

 

まあ、このチームの6番ならこれで良いと思うんです。

前の5人。特に3.4.5番が強烈に打ってるんで。

 

でもこれはシミュレーション。

この前発表がありました。鎮守府内のリーグ戦「カ・リーグ」の開幕があると。

そのとき私は何番に座るんでしょうか。

 

チームメンバーを見る限りでは恐らく4.5番あたり。

当然ドライアンツの上位打線ほどの打力は我がチームにはないでしょう。望むのも酷です。

であれば得点機会も大分減るはず。

 

あとは想像も簡単です。

打率・ホームラン数・打点が全部悪化します。

ドライアンツでは分散していたマークも大分きつくなると予想されますし。

 

 

兎にも角にも今のままではだめなんです。

チャンスでバッチリランナーを返せるようにならないと。

きっとチームも勝てない。

 

そう思って5シーズン目に臨んだんですけど・・・。

結果はご存知の通りですよ。

 

 

「なんでここまで顕著に弱いんでしょうか。」

確かに私は打率も低い。でも得点圏というだけで低い打率がさらに下がる理由にはならない。

得点圏という状況が何をもたらすのか。

 

(まあ、検討は付いてますけどね。)

 

力が入っちゃうんでしょうね。

一人でも多くランナーを返そうと。それが私のスイングに歪みをもたらしていると。

力が入っちゃわないように意識はしてるんですよ?

でもそんな表層レベルの話では、どうやらないようですね。

ではどうすればいいのか・・。困りました、もうすっかり袋小路です。

 

 

う~ん、と。腕を組んで唸っている私の肩にポンっと手がのりました。

ん?誰でしょうか。

 

 

「おっはー、大和~。相変わらず打点少ないねぇ。」

 

 

手と声の主は北上さんでした。

ちなみに今の言葉。私、グサッときましたよ?

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