ガメラ〈4〉 ~再誕する神~   作:ジュンチェ

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さて、ガメラが出るのは何話後か……


調子に乗って2話です。てか、もうこれギャオスの小説だわこれ。


新たなる災い

 

「ねー、ねー、おにーちゃん。なんで、世界には沢山ギャオスが出てくるの?」

 

とある保育園にて、小さな園児がブランコに腰かける大学生らしき青年に話かけていた。すると、青年は園児に対し、大人げなくかったるそうな調子で口を開く……

 

「ん~?それはね、お風呂のカビと一緒なんだよ?地球がきれいじゃないから、どんどんギャオスは増えるんだ。汚いお風呂は人間の身体にとっては毒だけど、カビにとっては住み心地が良い……つまり、人間が地球を滅茶苦茶にしちゃったからギャオスが出てきたの。」

 

「じゃあ、ギャオスはカビなの~?」

 

「…カビじゃないけど、カビなんだ?ドューユーアンダースタンド?」

 

「どゅう…?」

まあ、いい加減に面倒臭くなってきたので適当にあしらおうとする青年。すると、彼の後ろから人影が立ち…グイッと耳を引き上げた。

 

「いででででで!?!?」

 

「兜く~ん?こんなところで私の講義をサボッて何してるのかな?」

 

「げ!?綾奈先生!?」

 

彼女、綾奈を見て顔をひきつらせる『兜 幸一』。ああ、そういえば今日は講義をがあったと思い出したがもう遅い。

 

「はは……そういや、講義ありましたっけね今日…」

 

「あ・の・ね?ちゃんと講義を受けないと単位出せないし……私も貴方のお父さんに顔あわせ辛くなるの!解る!?」

 

「いぇす!?アイアム・アンダースタンドですぅ!」

 

「適当な英語は使わない!」

 

教師と学生という関係なわけだが色々と繋がりがあって、そこそこ仲が良い2人。こんなやり取りは何時ものことなので、園児たちも飽きて離れていく…。何も知らない人が見ると歳が離れた兄弟のようだ。

 

「たく……本当にそれで、兜博士の息子なの?」

「し、失礼な!?私はですねぇ、親が立派だから子供もそれに添う形であるという偏見はいかんと思うです。親父は親父、俺は俺!あんな頭でっかちの夢も希望もドブに棄ててきた人と一緒にしないでください。」

 

「兜博士は立派な人でしょ。今、ギャオスの被害が少なくなってるのも……」

 

「裏を返せば、ギャオスがいなきゃ出世しなかった人ですけど…?」

 

「……よくもまぁ、そこまでひねくれた考え方が出来るわね。ある種、尊敬するわ。」

 

綾奈は仕事上、兜の父親たる兜博士とは顔を知る仲…だが、息子の兜はその父親はあまり好いていない。彼女としては研究者として彼の父親の優秀さは知るだけに、無意識に対比してしまうのだが息子としては凄まじく嫌だった。便所の糞にまみれたネズミくらい嫌悪している……

 

「まず、先生……講義のことは謝ります。完全に忘れてた俺が悪いです。でも、親父と比べんのはやめて下さい。」

「…その点は考えるけど、講義にはちゃんと出る。いつまでも、子供扱いじゃいられないんだから。やれば出来る子なのに……その才能を無駄遣いするのは惜しいから。」

 

仕方ない、ここは厳重注意と綾奈は見切りをつけた。どうも、この変人気質のある教え子は手を焼かされるが、憎めない。割りきって、帰路へ向かおうとしたが……

 

 

 

 

 

ーーウゥゥゥゥゥ~~!!!!!!

 

 

「「!」」

 

突如として鳴る警報。耳障りで今は災厄の襲来を知らせる音に兜と綾奈は身構え、周りの遊具などで遊んでいた園児たちはこれから現れるであろう存在を悟り泣き喚く者もいながら、先生に誘導されて保育園の中へ…

 

「緊急警報!?ギャオス…!?」

 

「兜くん、保育園の防空壕は使えない!近くの公共防空壕に…!!」

 

兜も綾奈もすぐさま、近くに停めていた綾奈の愛車に乗り込み、アクセルを全開にこの場を後にした。

 

 

……そして、上空を不吉な翼が横切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆ ★ ☆

 

 

 

 

 

 

 

「ギャオォ!!!!」

 

夕暮れの街に飛来したのは赤銅色のギャオス…『ギャオス通常種』と呼ばれている個体が1体。今や『進化種<ハイパー>』と呼ばれるより戦闘に特化した個体が主となる中、数は少なくなったが初めてギャオスとして認知されガメラと戦った種と有名である。通常とされるだけ、進化種に比べればやや劣るが人間にとっては充分すぎる脅威だ。

 

「先生ェ!見えました、ギャオスっすよ!?ざっと、翼を開けば90メートルくらいっすかね!?ソイツが1匹…いや、1羽かな!?」

「…兜くん、窓から頭引っ込めて。」

 

それは、山添を車で爆走する綾奈らからも目が入った。運悪く、何処もかしこもギャオス避難用の防空壕は満席でさ迷ざらえない彼女らに更に不運なことにギャオスが襲来したのだ。

 

「…でも、1羽って珍しくないっすか?ギャオスって結構、群れでいるイメージがあったんすが?」

 

「考えるのは後!今は逃げる!」

 

 

 

 

 

 

とにかく、逃げることに集中しなくてはと必死だが、案の定…山添の見晴らしの良い場所にいる獲物を飢えた怪鳥は見逃すはずもない…

 

「グルルル…」

 

「うぅわ!?こっち、来た!?!?」

 

「しっかり、掴まって!」

 

一気に滑空してくるギャオスに兜は悲鳴をあげ、綾奈は愛車のエンジンに悲鳴をあげさせる!直後、ギャオスの脚の鋭い爪が通り過ぎたあとを粉砕していった…。

 

「ひゅ~!?あぶっねぇ!?」

 

「五月蝿い、静かにして。」

 

そこから、ギャオスの追撃をかわし…山添の道から市街地に出た綾奈と兜。愛車はお陀仏しかかっているだろうが今は気にしてられない。

ビルが建ち並ぶ大通りの道から、小道に乱暴なハンドル捌きで手頃なビルの地下駐車場に逃げようとするが、いつまでも追いかけることに焦れたのかギャオスが口を開き…超音波メスの発射の体勢に入る……

 

 

「ギャァ…!!!!」

 

ーーキイィィィィィィン!!!!!!

 

 

大気を震わせる耳を貫かんばかりな超音波…。ビルの窓や車の窓ガラスが耐えられず微塵となり、凶器となった破片が雨あられとアスファルトの地面に降り注ぐ…。綾奈は聴覚か訴える悲鳴に耐えながらハンドルを切り、目についたビル駐車場の中へゲートを突き破って飛び込んだ。

直後、超音波メスがアスファルトの地面を切り裂いて、ギャオスは上空へと舞い上がっていったのである。

 

「はあ……はぁ…大丈夫、兜くん?」

 

「ええっと、大丈夫っす。先生の愛車よりかは……」

 

さて………愛車はスクラップ同然になったものの、なんとか生きながらえた。地下駐車場ならば流石にギャオスでも入ってはこれない…。こんな緊急事態にはこんな場所は気休めよりかはマシだがその場しのぎにはなり得る。 後は自衛隊に任せよう…

 

「…ふぅ。じゃあ、どうします先生?自衛隊がその内くるにしても、ここじゃ外は見えませんよ。」

 

「外は確かに出れない…まずは上に出れる階段がるだろうからそこから、1階に出ましょ。」

 

まず、外の様子を窺えればと愛車を放棄し、綾奈と兜は地下駐車場と1階を繋ぐ階段へ向かう。最中、道中で兜は彼女に問う。

 

「よく逃げられましたね。そういえば、あのギャオス…何なんでしょう?通常種にしても、群れを為さないで単独なんて。しかも、旧京都からかなり離れてるこの地域にまで……」

 

「…さぁ?でも、考えられるなら縄張り争いに負けて、群れを追い出されたか……はたまた、餌の不足でこんな所まで来る羽目になったか。」

 

「後者なら、共食いでもしてろこの野郎ですね。」

 

ギャオスは全般として、群れを為すことは多いが多くの生き物がそうであるように仲間意識は薄いかむしろ、皆無。ましてや、飢えれば共食いまでやらかす連中だ…。人も喰らい、仲間すら喰らうこんなモラルの欠片も無い生態は今や周知されるほど。それでも、猛威を振るうのはどんな個体であろうと性転換をして単独繁殖が可能とかいうふざけた能力があるからだ…。

故にこの質の悪さから、兜に限らず全ての人間が嫌悪していた。

 

「にしても、やっぱりここに来るってことは…あの装置がうまく起動してないんすかね……」

 

「…」

 

最後のこれに関しては綾奈はノーコメント。兜はすぐに察して『あ、すんません!?』と謝るがそれでも、彼女は無言……

やがて、1階のロビーフロアに出ると粉砕された回転ガラスドアから外が見えた。

 

「…物音しないっすけど、いないんすかねギャオス。」

 

羽音もあの耳障りな鳴き声もしないことから、諦めたのか…兜は不安がりながら外の様子を窺う。

 

しかし……

 

 

 

 

「グルルルル……」

 

ギャオスはしっかりと遥か上空からトンビのように円を描き……獲物が出てくるのを待っていた。おしくもまだ、自衛隊は到着していない。この機にと兜を確認中したギャオスは翼を閉じて、大気を滑り降りていく……

 

 

 

 

その時だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギャォオン!!!!」

 

ーードゴォ!!!!

 

 

「ギャァ!?」

 

不意を突くように横から加えられた攻撃に、ギャオスはバランスを崩して不様に落下した。何事かと、ビルに叩きつけられながら自らを襲った相手を見ると………

 

「ギャォオン!!ギャァ!」

 

 

…それは、明らかに自分と『同属』であった。

 

 

 

 

ただ、体は背など一部が黒がかった甲殻に覆われており血走る紅い眼光が尾を引く…。翼はブレードのようになり、加えて前肢として機能するように見えるほど太い。

そして、剥き出しまでの敵意。

 

「ギャァ!」

 

この謎ギャオスに、警戒して翼を拡げて威嚇をするギャオスだが、謎ギャオスは怯むどころか嬉しそうに飛び上がり甲殻を展開して咆哮で返した。

これに、ギャオスは萎縮してしまい…タジタジと後ろに下がって空へ逃走をはかるが謎ギャオスは逃すものかとそれを追う。

 

「あ、あれ?増えてません…?」

 

「…!」

 

兜と綾奈も物陰に隠れながらも、その様子を確認したが…現れた新たなギャオスは兜は愚か、綾奈すら知ることの無い姿であった。

 

「…新種?」

 

微妙に異なるシルエット…ギャオスを追う様から垣間見える執拗さ。安直だが、進化種<ハイパー>の他に現れた新たなる禍の影。詳しくは教鞭をとる綾奈でも見ただけではなんとも言えないが、暫定として『新種ギャオス』と心の中で呼ぶことにした。

 

「…ギャァォ!ギャァ!!」

 

「グルルル…」

 

当初、獲物の奪い合いかに見えた大空の争い。しかし、ギャオスが逃走をはじめたことにそれは新種ギャオスの『狩り』へと代わる…

ひたすら、ギャオスを楽しむかのように追いかけまわし…手頃なところで超音波メスらしき光線で右翼を切断。墜落したその背にマウントすると尚も逃げようとするギャオスに翼…いや、前肢を降り下ろす!

 

 

ーーグシャ!!!!

 

 

「ギャ!?」

 

飛び散る、ギャオスの頭蓋にその中身。でも、尚も生きる獲物に新種ギャオスはひたすら、遊ぶように拳を放ちまくる…!

 

 

ーーグシャ…グシャ…グシャ…グシャ…グシャ!!!!!!

 

「……!……!…!」

 

 

いくら、ギャオスといえどこの解体されていく光景は直視に耐えない…。血が…臓腑が…肉片が……夕暮れの街をグロテスクに染めていく……。やがて、ギャオスも動かなくなり、新種ギャオスもこれを確認すると前肢で目玉がこぼれる頭をひっ掴んでバリバリと貪り始める…。

 

 

 

「グルルルル……ゲブッ…」

 

すると、ゲップをしながら彼方の方向に戦闘機が2機近づくのを見て……ある程度、満腹になったのか新種ギャオスは翼を拡げて飛びたち……遅れてやってきた防人たちを嘲笑うように頭上をすれ違い、去っていった。

 

「先生……アイツはいったい…」

 

「…少なくとも、味方ではないのは確か。」

 

兜と綾奈は唖然とただ見送るしかない……。ただ、これだけは理解は出来る。

 

 

 

 

……人類の新たな敵が現れたのだと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…つづく

 

 





☆登場人物

・兜 幸一
綾奈の教え子である大学生。本作のもう1人の主人公。
博士の父親を持つが、あまり好いておらず受け継がれた才能も努力しないから目覚めない変人気質のにくめない青年。綾奈からはなんだかんだで可愛いがられており、この点は本人は感謝している。


★独自設定

・ギャオス通常種
人類にはじめて確認されたギャオス。平成一作目のギャオスと同じ外見をしているが、ハイパーに圧されてその数は少なくなった。主にギャオス種はここから派生する。

・ギャオス進化種<ハイパー>
より戦闘に特化したスタイリッシュな外観のギャオス。灰色で世界の各地に生息している個体。ガメラを追い詰めたのもこの種の群れであり、数の暴力は凄まじい。性転換による単独繁殖であっという間に世界に拡散した。

・新種ギャオス<?>
鳥か蝙蝠に近い外観が特徴のギャオスだが、突如として確認された新種ギャオスは身体の周りを覆う甲殻から龍<ドラゴン>のような風貌である。翼が発達して前肢とブレードになり、通常種や進化種が苦手な地上での適応を見せているようだ。ギャオスの中でも更に、狂暴な性格で単独で行動し群は為さない様子。




……いかが、でしたでしょう?

では、感想やらご意見やらお待ちしてます!


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