ガメラ〈4〉 ~再誕する神~   作:ジュンチェ

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蒸し暑いです…。 湿度は高いのはやはり辛い。

各地は雨で凄まじいところはあるらしいのですが、私の住む地域は空梅雨なんですね。川が通常以下の水位になってるとか……。今日は雨が降りそうなんですが…





奇妙な男

 

 

新種ギャオス確認より2日後……

 

 

 

大学生内の廊下を堂々と歩く政治家らしき初老に近い黒縁眼鏡の男…。初見、あまり良いイメージを持てない雰囲気だが歳のわりに生真面目な顔つきである。隣には妙に引け腰の秘書が1人……

 

「えぇ、今回は平良坂博士との新種ギャオスとの会談ですが、今後は防衛省とのお話もあります故……」

 

「…少し君は静かにしたまえ。これは重要な案件だ。」

 

 

 

『斎藤 雅昭』…ギャオスとガメラが最初に現れてから尚、その存在と今になっても対面し続ける存在である。今は『対巨大生物課』なる政府の機関の最高責任者となった彼は小綺麗なスーツで周りの学生たちとは太陽の黒点のように異質な空気を放ちながらある部屋へ……

 

「失礼する、遅れて申し訳ない平良坂博士……」

 

「…いいえ、お待ちしていました。」

 

そこは、プロジェクターが稼働する薄暗い会議室。待っていたのは綾奈と兜であった。綾奈は深々とお辞儀をするが、兜としては納得いかないと不遜に椅子に腰掛けふんぞり返っていた。その他にも自衛隊や研究者らしき人間が行儀よくガヤガヤと座っている。

斎藤も席につくと、綾奈はマイクをとってリモコンでプロジェクターを操作して話をはじめた。

 

「皆さん、本日はお集まり頂き感謝します。今回の議題はすでにご承知かと思いますが『ギャオスの新種』についてです…。かつて、姫神島で確認された通常種に今は大多数を占める進化種<ハイパー>…さらに、奇形種やその細胞を摂取したと思われる変異種が確認されてきました…。」

 

プロジェクター画面に映るのは最初に赤銅色の通常のギャオス…次に前者よりスタイリッシュで灰色のボディをしたギャオス…。次には通常種に頭を2つ生やしたようなギャオスにエリマキトカゲのような巨大な怪獣が映された。だが、問題なのはこれらではない…。

 

「そして、先日……新たなるギャオス属と思われる新種ギャオスが現れました。」

 

最終的に出されたのは飛び立つ瞬間の黒のギャオス…あの綾波たちがであった新種ギャオスだ。先の種と比べれば甲殻のような部位に…何より前肢らしき翼が目を惹いた。

 

「この写真はそこの私の教え子兜くんが撮影したものです。外形と行動から察する翼を地上での行動に特化させたものだと思われ、似たような特徴を持つ現存する例で吸血蝙蝠の一種などがあげられており、勿論、飛行能力は健在です。本日は皆様とこの新種について議題していきたいきます。」

 

新たなる災厄…皆が頭を抱えて、ううむ…と唸る。如何にもわざとらしいポーズから兜は嫌悪感を覚える……問題はすぐ目の前にあるのだ。さっさと面と向かえと……

すると、幹部の1人がやっと口を開く。

 

「その個体は複数いるのですかな…?博士…?」

 

「…現状、何とも言えません。ただ、直接見た感想として進化種より明らかな脅威になるかと。ですから、調査チームにもっとサンプルの提供の協力をお願いしたいのですが……」

 

「ううむ……。確かにそれはそうですがなぁ…我々も防衛で手一杯でしてな。余剰にさく人員などは……」

 

余剰だと?兜は思うが、現状として今は国防が手一杯なのが事実だろう。しかし、目の前の災厄の芽を摘まなければ先伸ばしが更なる悲劇を産むだけだろうに…。それとも、血税からまだ安定している払われる給料が大事なのか?こんな無意味な猿同然の演技礼節などは苛々を覚える。

…そういった非難の言葉が喉まで込み上げたが、察してか斎藤がそれを無意味なくだりと共に遮った。

 

「…博士、君の話は分かった。出来るだけ、早急に対処しよう…。そして、この新種については君に伝えておきたいことがある。実はまだ、極秘ではあるが…先日、中国をはじめとしたユーラシア大陸各地でちらほらと目撃情報が届いている。」

 

 

 

まあ、黙っていてもいずれは届いていただろうがね……と付け加えながら、細やかにどよめく幹部たちを尻目に彼は続ける。

 

「…正式な呼び方は決まっていないが、暫定的に『龍型種<ドラゴ>』と呼ばれて……他のギャオスとは違い、地上での適応や単独で行動するだけではなく…同族の群れを壊滅させたらしいとまで未確認情報もある。日本では今まで確認されてはいなかったが……」

 

龍型種<ドラゴ>……甲殻といったよりワイパーン地味た外見から、さながらギャオスの産み落とした龍の子といったところか。鳶が鷹を産むなら構わないが、怪鳥が龍を産むなんぞたまったものではない。

 

「……人命の被害は?」

 

そして、綾奈の質問に……鼻から溜め息を洩らしながら斎藤は答えた。

 

 

 

 

 

 

 

「……アジアの発展途上国の幾つもの村がそこに生息していたギャオスの群れ諸とも…壊滅したそうだ。」

 

 

 

 

……たったの1羽に…

 

 

 

 

 

 

 

「「!」」

 

 

馬鹿な……知識人である2人は耳を疑った。いくら、ギャオスといえどハイパーですらミサイル数発か戦闘機の機銃で死ぬ。殺せなくはない…くらいだが、そんな耐久力程度の存在が同族の群れを単騎で潰したとは文字通り、一騎当千だ。ただ、ありえないとも言いきれない…綾奈も兜もすでにあの怪鳥龍のおぞましい凶行を見てしまったのだから。

 

「おい、オッサン…1羽って……マジなのか!?」

 

「兜くん!」

 

兜はもどかしさやら何やらも吹き飛び、立ち上がってしまった。そんな教え子の失態を叱咤しようとしたが、斎藤は手をあげてにこやかに止めてこの無鉄砲な青年の顔を眺める。すると、彼の名の響きと面影が口の動きを決めた……

 

「もしかして、君は…兜博士の……?」

 

「…っ」

 

「…御子息です。私が面倒を見ていますし、彼もまた新種ギャオスの目撃者です。」

 

父……という単語に突如、喉を詰まらせたが、すかさず綾奈がフォローに入る。この得られた情報から兜にイメージを固めると続けて言葉を加えた。

「…そうか、君もお父様の後を継いで。立派なことだ…。」

 

斎藤はあくまで、賞賛の言葉をかけたつもりだったが…兜はただ力なく心もとない返事をして急に大人しくなってしまう。そんなことなど、まるで気がつかないといった調子で幹部たちは綾奈と話を進めていった…。幾度か斎藤が兜に発言を求めようとした時もあったが、全てが綾奈が受け答え……会議が終わったあと、青年は忽然と姿を消していた。

 

 

 

 

 

★ ☆ ★

 

 

 

 

 

 

……旧京都

 

 

 

かつて、華の都と呼ばれたその場所は仙台と続いて地図では存在しない京都とされていた場所。今は10年前にガメラとギャオス…自衛隊が死力を尽くした攻防の場所として知名度がある。そして、国連の軍隊により重点的な爆撃が行われ…ガメラもろとも、ギャオスたちを葬ったらしい。

 

…らしいというのはこの文献を図書館で読む兜は真実を見届けていないからである。

核まで放たれたなどが囁かれているが、事実を煽って群衆の興味を惹こうとするマスメディアのオヒレとかと思いつつ、想いを馳せる……

 

「はぁ……」

 

まあ、これも本人しか解らないのだが……

すると、隣に人影を感じてクイッと視線をあげてまた溜め息をついた。

 

「なんだ、親父か……」

 

「…なんだとは、なんだ?」

 

綾奈と同じように、羽咋を纏う髭をたくわえた中年の兜のような男。普段なら兜博士と呼ばれる『兜 賢造』は兜 幸一の父親であって科学者である…ある分野で綾奈と共に功績を残した人物だが、息子は特に父親を好いているわけではなかった。むしろ、節々では敬遠する所すらある…

このことを賢明な科学者は気がついていないだろうが……

 

 

「その文献はこれから先、必要なものだ。渡せ…」

 

「…ほぃ……」

 

「綾奈博士と共に会議へ参加したそうだな?どうだった……?」

 

「……別に。なんにも…」

 

「別にとはなんだ!?ちゃんと答えろ。」

 

「…」

 

綾奈といる時とは打って変わって、さながら気難しい反抗期の少年のような態度をとる兜。お構い無しに矢継ぎ早に言葉の矢を浴びせる賢造……

周りに少しばかりいた読者をたしなみにきた人たちも堪らんとそそくさに去りはじめた…。

 

「別に…報告するようなことはねぇよ。そこは、親父たちのほうが詳しいだろ。」

 

「そういうことじゃない!お前は何を想い……何を考えたか………」

 

「…何処までもついてまわる親父の名前がうざったらしい!それだけだよ、ボケ!!」

 

「待て!?幸一!」

 

とうとう、しびれをきらした兜がその場を去り…父の手すら振り払い、その場を後にした。その様子を本棚の合間からスラリとした奇妙な男が見つめており、その後を追う。

その後、寂れた繁華街の道中は悲惨な有り様……『滅びを受け入れるべき』とか『ギャオスとガメラは神』『信じる者は来世で救われる』だの…云々。終末思想という奴か……そんなことを唱える人間性やらビラやらで吐き気がしそうだった。ホームレス風の女がビラを渡してきたが、苛立つ兜は彼女を突き飛ばしてしまう。少なくとも、人を喰い殺し…踏み潰す存在なんぞ神にする気は彼には無い。

追う人影はそれに、ニタリと笑うとカツカツと歩み寄り…話かける。

 

「やあ、君……少し、私と話をしないかい?」

 

「…」

 

「……知ってるよ?君は比良坂綾奈の教え子…だろ?」

 

「!」

 

最初は無視を決め込もうとした兜だが、恩師の名に歩を止めた。同時にやっと、ジャーナリスト風の黒づくめの容姿を認識した。

 

「何……怪しいもんじゃない。私はジャーナリストだよ…生憎、名刺は今きらしているし……それにあの娘も私とあったとなれば快く思わないだろう。ククク……」

 

自称・ジャーナリスト……怪しいもあるが、妖しい。どことなく不気味さを臭わせる男を睨みながら兜は問う。

 

「なんすか、あんた?先生に用なら直接……」

 

「いや、私は君に興味がある……君も彼女と同じ臭いがする。誰とも距離をとろうとする彼女に……誰よりも近くにいる君がとても気になる……?」

 

「…」

 

「……くわしくは余所で話そう。ここでは邪魔がいささか多い…」

 

見渡せば、ホームレスやあの奇妙な宗教勧誘の仲間やらがウロウロしている。彼等はギャオスをはじめとした怪獣の被害で生活の基盤を失った者たちであり、あまり長居するのは無用な事件の火種になるだろう。現に、少しずつ物陰から不穏な影がちらほらしだした…。

仕方ない、この奇妙な男に兜は同行することにしたのである。

 

 

 

 

 

 

☆ ★ ☆

 

 

 

「……で、君は『ガメラが人を踏み潰す理由』は何だと思う?」

 

「…え?」

 

某所・薄暗いバーに連れ込まれた兜はこの『倉田』なる男から投げかけられた予想だにしないいきなりの質問に戸惑った。むしろ、こうならない人間のほうが稀だろうということ自体…倉田は自らの毒舌と相手の反応に笑う。

 

「いや……出会って早々に重すぎる質問か?ククク…。すまない、君もギャオスやガメラに近い位置にいる人間だろう?それに、彼女の教え子というのなら是非ともこの問いをしてみたくてね……?」

 

そう言われても、兜はガメラなんて資料の中の存在である。巨体たる甲羅と空を飛ぶ能力…炎を吐くと怪獣をそのまま形にしたような存在。最もあくまでイメージであるが……

そんな彼を見かねてか、不気味な笑みで倉田は続けた。

 

「…まあ、君の世代となっちゃギャオスと同じが関の山か。今やガメラも文字通り、幻想の獣になってしまったしね。」

 

「……あの一体、なんなんすかアンタ?俺に何を求めてるんです?」

 

「おおっと、いやすまない。つい、話が逸れてしまった……本題に入ろう。」

 

はっきり言って、今までの様子からやりとりといい 、倉田の人物は好感は持てそうにない。この手の人間は頭に独自の…更に、独創性の高い方程式を持っていて人間の群の中では歪に浮き出てくる。兜自身もどちらかといえば、その部類に傾くが倉田は群衆の中に紛れても融け合うことの無い存在だと感じる。その男が出す話とは……

 

「…君はどれだけガメラやギャオスについて知っている?」

 

「……え、えっと…どっちも同時期に現れた怪獣で、どっちも人間に甚大な被害を与えたってことくらい…」

 

「ふん、間違ってはない。だが、僕が聴きたいとはそこじゃない。仮にも彼女の弟子だというのならもっと踏み込んだところまで話してくれ。」

 

なんだ、この男?ガメラとギャオス…加え、自分の師が絡まるとその口調は不可思議な熱を帯びる。兜は全く、彼の真意が読めず…内心、恐怖に近いものを抱きながら更に話を続けた。

 

「ガメラは…ギャオスをはじめとした怪獣たちを退け、人によっては『守護神』と呼ぶ者までいます。その生態は…今も尚、謎に包まれ地球を循環するエネルギー『マナ』との関連を指摘されていますが……10年前の戦いでギャオスに喰い殺されたと…」

 

「…ふむ。じゃあ、ギャオスは?」

 

「…えと、ギャオスは最初に確認されたのは姫神島と呼ばれる孤島で…そこから爆発的に増え、進化を重ね、今や人類を滅ぼす脅威に……」

 

「…ふむ。フムフムフムフム……」

 

これで良いのか?ぶっちゃけガメラは人から聞いた話や軽く文献を漁った程度なので深くつっこまれては兜としても応対が困るが…今は倉田のリアクションの一つ一つが嫌な汗を滲ませる……。正直、ここから逃げ出したい気持ちが胸に込み上げてきた兜を察してかこの場に縫い留めるようにはまた喋りはじめた倉田。

 

「成る程ね、やはり彼女は話たがらないのか……ククク。でも、君はもう少し知るべきだと思う。この世界について…君の恩師・比良坂綾奈について……」

 

「…先生がなんだ、って言うんですか?」

 

「それを語るに相応しい場所はここじゃない。もし、気が向くから『旧京都』に私と共に来ないかい…?」

 

 

 

どうやら、この男は無垢な学生より深層に深く…禁忌に近い何かを知り、これを予感させる。知ってはいけない…心の何処かが叫ぶが、重い好奇心が彼を駆り立てた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆ ★ ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、自らの薄暗い研究室でいち早く届いた龍種の細胞サンプルを機械類にかけ、分析をしていた。そして、顕微鏡を覗いて観察をするとあることに気がつき手元のタブレットを弄り、『GAMERA』と表記された資料と照らしあわせる。

 

「…どういうこと?何故、ギャオスの肉片からガメラの遺伝子が…?」

 

 

 

 

 

 

 

……つづく

 

 





☆倉田
ガメラ3に出てきたギャオスの在り方について語っていた人物。原作では死んだことにされたが、本作では重症を負いながらも生きながらえた。毒舌と独自は健在であり、兜に興味を示す。



★ギャオス龍種《ドラゴ》
新種ギャオスの正式な呼び方。数は少ないが、ガメラの遺伝子を持つことが確認された。まだ、謎が多い。


★ガメラ
ギャオスや怪獣たちを退けてきたとは認知されているが、人間に与えた被害も大きい。守護神と呼ぶ人間もいる中、ギャオスと同様に考える人々もいる。
10年前の戦いでギャオスの大群へ人類と共に挑み、喰い殺されたとされ以降、存在は確認されていない。




…やはり、人のやりとりは書くのは難しいですね。ううむ。

では、感想をお待ちしてます。
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