時を止める魔道士   作:柱の様な男

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精神具現化魔法《スタンド》

ハッピーの飛行能力により、一同は屋敷の屋根に登っていた。

 

「よっと」

ナツが炎の熱により窓ガラスに穴を開け、そこから手を突っ込んで窓の鍵を開けた。

 

「さすが火竜(サラマンダー)ね」

 

「なんでこんなコソコソ動かなきゃいけねんだ?」

不満気なナツ。

 

「決まってるじゃない!依頼とはいえ、どろぼーみたいなもんなんだから。

あんたらが今まで盗賊退治やら怪物退治やら、いくつの仕事をしてきたのか知らないけどね、今回こターゲットは街の有力者!ムカつく変態オヤジでも、悪党じゃないのよ。

ヘタなことしたら軍が動くわ」

 

「何だよ、お前だって怒ってたじゃん」

 

「ええ‼︎あんな事言われたし!!!

だから本を燃やすついでに、あいつの靴とか隠してやるのよっ!!!」

子どものイタズラのような事を、さも凶悪そうに宣告するルーシィ。

 

「うわ…ちっさ…」

 

「あい」

 

「どうでもいいが、早く中に入ってくれないか?

私は一刻も早く、このうっおとしい光から逃れたいんだが」

いまいましそうに顔を歪ませ催促するDIO。

ちなみに服装は元の黄色に戻っている。

 

「そうね」

一同は、ナツの開けた窓から屋敷の中に入る。

 

「ここは物置か何かかしら?」

部屋の中には棚や樽や箱や袋など、古くなった物などが大量にしまわれていた。

 

そんな大量の物を見て、ハッピーとナツとDIOは部屋の中を物色し始めた

 

「ナツ、見て〜」

 

「お!似合うぞハッピー」

ドクロのような被り物をつけるハッピー。

 

「まぁ当然だが、ここには目当ての本は無いみたいだな」

DIOが棚の中を調べながら言った。

 

「そこの扉から出れそうね、行きましょ!慎重にね」

 

ハッピーが扉をゆっくりと開き、隙間から部屋の外を見回した。

「誰もいないよ」

 

「それ取りなさいよ、気味悪いから」

気に入ったのか、未だドクロの被り物をかぶり続けている。

 

「おいルーシィ、まさかこうやって、一個一個部屋の中探してくつもりなのか?」

 

「トーゼン‼︎」

なるべく音を立てずに、見つからないようにするため、壁伝いに移動する一同。

 

ナツの性分には合わないらしく、不満を漏らしている。

 

「誰かとっ捕まえて、本の場所聞いた方が早くね?」

 

「あい」

 

「見つからないように勤務を遂行するのよ、忍者みたいでかっこいいでしょ?」

 

「に…忍者かぁ」

忍者という言葉に嬉しそうな顔をするナツ、乗せられやすいようだ。

 

ゴゴゴゴゴ

 

一同進む廊下の地面が、ボコりと膨れ上がる。

 

ズボオオオオ!!!

 

膨れ上がった地面から飛び出したのは、エバルーの美女メイド(エバルー視点)軍団。

その光景はホラー以外の何者でもない。

 

「うほぉおおおおおおっ!!!」

 

「見つかったぁーーっ!!!」

 

「ハイジョ、シマス」

バルゴという名の、巨大メイドの目が怪しく光る。

 

「忍者ぁっ!!!」

 

ボゴオオオオ!!!

 

メイド軍団はナツによって一蹴された。

 

「はいいいっ!!!?」

 

「まだ見つかるわけにはいかんでござるよ。にんにん」

 

「にんにん」

マフラーで覆面を作り、ナツとハッピーが忍者のようなポーズをとる。

 

「普通に騒がしいから…あんた…」

 

「このままでは誰か来るな、近くにある部屋の中で身を隠すぞ」

そう言ってDIOがすぐそばにある扉を開けた。

 

「そうね、行きましょ」

 

「来るなら来いでござる!!」

 

「いいから隠れるの!!!」

ルーシィがナツを引きずって、部屋の中に入った。

 

 

「うおお!!スゲェ数の本でござる!!」

 

「あい!!でござる」

部屋の壁一面に巨大な本棚設置され、その中にはビッシリと綺麗に本が並べられている。

 

「偶然の産物だな、目当ての本があるとすればおそらくここだろう」

 

「エバルー公爵って、頭悪そうな顔してる割には蔵書家なのね」

早速本棚に手をつけ、日の出(デイ・ブレイク)を探すDIOとルーシィ。

 

「探すぞーーーっ!!!」

 

「あいさーー!!!」

そして物を探す時すら騒がしい2人。

 

「これ…全部読んでるとしたら、ちょっと感心しちゃうわね」

 

「これだけあるのなら、少しくらい貰っても…」

 

「ダメでしょ」

ルーシィに止められ、少し残念そうな顔をするDIO。

 

「うほっ!!!エロいのみっけ!!!」

 

「魚図鑑だ!!!」

本当に騒がしい2人。

 

「はぁー、こんな中から一冊を見つけるのはしんどそぉ」

 

「何だこれ!!?字ばっかだな」

 

「ナツ…普通はそうだよ」

 

「おおおっ!!!金色の本はっけーん!!!」

 

「ウパー!!!」

 

「あんたら真面目に探しなさいよ!!!

ってかウパー!?」

 

しかしナツの持っている本をよく見ると……

 

日の出(デイ・ブレイク)

 

確かにそう書いている。

 

「見つかったーーっ!!!」

 

「こんなにあっさり見つかっちゃっていい訳!!?」

 

「野性的な鼻というのか、感というのか…まぁ、簡単に見つかるに越したことはない」

 

「さて燃やすか」

 

「簡単だったね」

早速手から炎を出して、本を燃やそうとするナツ。

 

「ちょっ…ちょっと待って!!!

こ…これ……作者“ケム・ザレオン”じゃない!!!」

ルーシィがナツの手から本を奪いとる。

 

「あたし大ファンなのよーー!!!

ケム・ザレオンの作品全部読んだハズなのにーー!!!未発表作ってこと!!?すごいわ!!」

有名人の著冊に、ルーシィが目を輝かせる。

 

「ケム・ザレオンか…その著作の本は私も何度か読んだことはある。

確か魔道士でありながら、小説家をしていた人物だったか」

 

「その通りよ!」

 

「いいからはやく燃やそうぜ」

 

「何言ってんの!!?これは文化遺産よ!!!燃やすなんてとんでもない!!!」

 

「仕事放棄だ」

 

「じゃあ燃やしたって事にしといてよ!!!これはあたしがもらうから!!!」

 

「ウソはやだなぁ」

 

「聞いたでしょ!!?この世に一冊って…燃やしちゃったら二度と読めないのよ!!!」

 

本を燃やすか燃やさないか、この二択で口論する一同。

 

「なるほどなるほど、ボヨヨヨヨヨ…

貴様らの狙いは日の出(デイ・ブレイク)だったのか」

しかしその途中、突然地面からエバルーが現れた。

この屋敷の者達は何故地面の中から現れるのだろうか。

 

「ほら……もたもたしてっから!!!」

 

「ご…ごめん」

 

「ふん…魔道士どもが何を躍起になって探してるかと思えば……そんな“くだらん本”だったとわねえ」

 

「くだらん本…か…(依頼主が200万もの大金を払ってまで消したい本を、所有者までこう言うとはな…)」

 

「も…もしかしてこの本、貰ってもいいのかしら?」

 

「いやだね、どんなにくだらん本でも我輩の物は我輩の物」

 

「ケチ」

 

「うるさいブス」

ルーシィとエバルーの間にバチバチと火花が散る。

 

「燃やしちまえばこっちのもんだ」

 

「ダメ!!!絶対ダメ!!!」

 

「ルーシィ!!!仕事だぞ!!!」

いつまでもグズるルーシィに、ナツが一喝した。

 

「じゃ、せめて読ませて!!!」

 

「「「ここでか!!?」」」

しかしルーシィの予想外の返答、ルーシィはその場で座り込んで本を読み出した。

 

「ええい!!!気に食わん!!!えらーーい我輩の本に手を出すとは!!!

来い!!!“バニッシュブラザーズ”!!!!」

 

ゴゴゴォォォオ

 

エバルーがそう叫ぶと、本棚の隙間から隠し扉が出現する。

 

「やっと仕事(ビジネス)時間(タイム)か」

 

「仕事もしねえで金だけ貰ってちゃあママに叱られちまうぜ」

扉から現れたのは二人の男、どちらも腕に自信ありといった顔だ。

 

「あの紋章‼︎傭兵ギルド南の狼だよ!」

二人の傭兵の肩についている紋章を指(猫なので肉球)を差して叫ぶハッピー。

 

「ボヨヨヨ!!!南の狼は常に空腹なのだ!!!覚悟しろよ」

 

戦闘態勢に入り睨み合う一同、場には緊張感が伝わってくる。

 

「「「って、おい!!!」」」

しかしその中で一人座って本を読み続けるルーシィ。

全員から総ツッコミを浴びる。

 

「なんとふざけた奴等だ」

 

「これが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士か…」

相手の行動に、こめかみに青筋を立てるバニッシュブラザーズ。

 

「バニッシュブラザーズよ!!!あの本を奪い返せ!!!そして殺してしまえ!!!」

 

「これ…」

 

本を持ったまま、ルーシィが走り出した。

「この本には秘密があるみたいなの!!!」

 

「秘密!!?」

 

「ルーシィ‼︎どこ行くんだよ」

 

「どっかで読ませて!!!」

ルーシィはそう言って、そのまま部屋の外まで走り去ってしまった。

 

(ひ…秘密だと!?わ…我輩が読んだ時は気づかなかった。

こ…こうしてはおれん!!!)

エバルーが地面に潜り込む。

「作戦変更じゃ!!!あの娘は我輩が捕まえる!!!バニッシュブラザーズよ‼︎その小僧を消しておけ!!!」

 

「やれやれ、身勝手な依頼主は疲れるな」

 

「まったくだ」

エバルーの指示に愚痴をこぼしながらナツと相対するバニッシュブラザーズ。

 

「めんどくさいことになったな」

急な展開に、DIOも小言を漏らす。

 

「ハッピーはルーシィを追ってくれ」

 

「あい‼︎任せて!」

ハッピーは空を飛んでルーシィを追いかけた。

 

 

部屋の中にはバニッシュブラザーズの二人に、ナツとDIOが取り残される。

 

「これで二対ニというわけだな。

いや…我々にはまだ味方がいる。そいつを足せば四対ニか…」

 

「味方だぁ?」

 

「知る必要は無い、お前達は我々に敗れるのだからな」

バニッシュブラザーズ兄が巨大なフライパンの様な武器を取り出した。

 

「お前は黄色の大男の相手をしろ!(ミー)は炎の魔道士だ‼︎」

 

「おう!兄ちゃん‼︎」

バニッシュブラザーズ弟が高速でDIOに掴みかかる。

 

「ぬぅっ!!」

そしてそのまま思い切りDIOを投げ飛ばした。

 

「DIO!?」

 

「よそ見をしてる場合か?火の魔道士」

 

「くっ!」

DIOの方に気を取られていたナツに、バニッシュブラザーズ兄がフライパンで攻撃する。

 

「このやろ!」

拳で反撃するナツ。

しかしフライパンによって防がれてしまう。

 

簡単(イージー)だな、相手が(ミー)の最も得意とする火の魔道士とは」

 

「何でオレが火って知ってんだ!?」

 

「全ては“監視水晶”で見ていたのだよ、もちろん、あの娘と猫の魔法もな!」

 

バニッシュブラザーズ兄はフライパンを振り上げる。

それを見たナツは瞬時に足で地面を蹴り、後ろへ飛んだ。

ドゴォン、という音が床から部屋中に響き渡る。フライパンがナツの足元1cm程前に高速で振り下ろされたのだ。

 

バニッシュブラザーズ兄は再び体制を整え、ナツに追撃を仕掛ける。

 

しかし…

 

「腕がっ!!!」

叫び声をあげたのはバニッシュブラザーズ弟だ。

 

「何っ!?」

バニッシュブラザーズ兄はナツへの追撃をやめ、弟の方を見た。

 

右腕が凍らされている。

 

「気化冷凍法」

さっき投げ飛ばされたにも関わらず、ピンピンとした様子でバニッシュブラザーズ弟に追撃を仕掛けるDIO。

 

バニッシュブラザーズ兄は弟に加勢するため、DIOに向けてフライパンを叩き込んだ。

 

ガァン!!!

 

しかしDIOは、振り向きもせずにフライパンを片手で防いでいた。

素手だというのに、ピクリとも動かすこともできない頑丈な防御だ。

 

(何っ!?魔道士は肉体的に劣っていると相場は決まってるはず…!なのになんだこの男は…!?)

 

「さっき自分で言っといて、なによそ見してんだ!?」

バニッシュブラザーズ兄の背後に立つナツ。

 

「しまっーー」

 

「“火竜の咆哮”!!!」

ナツの口から凄まじい炎のブレスが吐き出される。

 

「が、言ったはずだぞ!!!(ミー)に炎の魔法は効かないとっ!!!」

フライパンをDIOから離し、炎に向け構えるバニッシュブラザーズ兄。

 

「マヌケがっ!何をするかは知らんが、背後がガラ空きだ!」

自分への注目を完全にナツへ向けたバニッシュブラザーズ兄の背後から、攻撃を仕掛けようとするDIO。

 

「ぐっ…!?」

しかしそれは、バニッシュブラザーズ弟の投げ飛ばした本棚が直撃したことによって阻まれた。

 

「対、火の魔道士専用…兼、必殺技!!!火の料理(フレイムクッキング)!!!

(ミー)の平鍋は全ての炎を吸収し…」

フライパンがナツの炎を吸収していく。

 

「威力を倍加させ、吹き出す!!!!」

そして吸収された炎が更に大きさを増して、フライパンから放たれた。

 

「妖精の丸焼きだ!!!飢えた狼にはちょうどいい!!!」

凍らされた腕を庇いながら、バニッシュブラザーズ弟が叫ぶ。

 

「炎の魔力が強ければ強い程、自分の身を滅ぼす。

グッバイ」

 

自分の放った炎の倍の火力に焼かれるナツ。

 

しかしナツは炎の魔道士。

炎など効かなかった。

 

「何!!!?」

 

「火が効かねえ!!!?

いや…いくら火の魔道士でもそれは…!!!」

動揺を隠せないバニッシュブラザーズ。

 

ナツは炎を纏ったまま、ニヤリと笑ってバニッシュブラザーズ兄に攻めかける。

 

 

ズガンッ!!!

 

 

ナツがバニッシュブラザーズ兄のすぐそばにまで接近した瞬間、辺りに銃声が鳴り響いた。

 

そして一発の弾丸が襲いかかり、ナツの額を掠めた。

 

「うおっ!!?」

弾丸を掠めた額からは、タラリと粒ほどの血が流れた。

 

「おいおいおいおい…やられてるじゃねぇかよ…」

弾丸を撃ったと思われる男が、何かを握っていたであろう形になっていた手で、帽子を深く被った。

 

「ホルホース」

 

(ホルホース…こいつがさっき言っていた、奴等の味方という訳か…)

DIOが本棚から流れ出た大量の本を払い除けながら、突然現れたカウボーイ風の男を睨みつける。

 

「いつつ…なんだお前の魔法…銃か?」

 

「敵にわざわざ自分の魔法を教えるか。

…って言いたいとこだが、もう使っちまったもんは仕方ねぇよなぁ」

 

メギャン

 

「正解だボウズ。俺の魔法はハジキだ」

ホルホースの手が銃を握る形になった瞬間、半透明な拳銃が現れた。

 

「一瞬にして銃が…!?魔法銃を換装したのか」

ホルホースに対し警戒心を向けたまま、DIOが尋ねた。

 

「いんや、そんなもんより俺の魔法はもっとレアさ…

“精神具現化魔法”ってのは聞いたことあるかい?」

 

「生命エネルギーにより(ヴィジョン)を生み出す魔法……だったか?」

 

「ほぉ…随分と魔法について勉強してるじゃあねーか」

ホルホースがよくできましたとばかりに、わざとらしい拍手を送る。

 

「なるほど…貴様の魔法こそが、その精神具現化魔法とやらか」

 

「その通り、精神具現化魔法…またの名を“スタンド”。

それが俺の魔法よ‼︎」

ホルホースがナツに向けて弾丸を発射した。

 

「!!?」

不意をつかれたが、ナツは驚異的な反射神経でなんとか弾丸を回避した。

 

「なんだありゃ…すげえ威力だ」

弾丸により抉られた壁の穴を見てナツが言った。

 

「オレの皇帝(エンペラー)を、そこらの銃と一緒にしちゃあいけねーよ?

使い手の魔力や精神力によっていくらでも威力はますんだから…なぁ‼︎」

ホルホースもうナツに向けもう一発銃弾を放った。

 

「何度来ても同んなじだ!全部よけてやる‼︎」

そう言ってナツが体を傾けた瞬間…

 

「なっ!!?」

銃弾がグニャリと起動を変えた。

 

「弾丸だってオレのスタンドなんだぜ〜〜っ!」

 

完全に隙を付かれ、よけることが不可能な姿勢になってしまったナツ。

 

弾丸は容赦なくナツへと前進し続ける。

 

そして…

 

 

 

真っ赤な血液が地面に降り注いだ。

 

 

 

 




ちょっと急ぎ足すぎて細部がてきとーになってしまいましたかね?
では次回。
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