Fate/zero ~黒の魔王~   作:大嶽

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~注意~
この作品は小説家になろうで連載中の小説「黒の魔王」のクロス小説です。
なので、原作未読の方には分かりづらい表現や用語等が多くあります。
さらに、作者の妄想が暴走した結果出来ているので色々とカオスな仕上がりになっております。

「それでも構わん。お前の恥ずかしい妄想を見せてみよ」という方だけお進み下さい。

それでは始めます。

追記
7/21に予告をプロローグへと変更しました。



本編
プロローグ


「聖杯戦争」

 

日本の地方都市冬木市で行われる、万能の願望機「聖杯」を巡る魔術師達の血塗られた戦い。

 

七人の魔術師(マスター)と七騎の使い魔(サーヴァント)により争われるこの戦いは、最後の一人になるまで戦い続け、最後まで生き残った勝者の前にのみ、聖杯は現れる。

 

聖杯が叶えるのはただ一人の祈りのみ。

 

しかし、過去三度、六十年に一度の周期を持って行われたこの戦いで勝者は現れず、未だに聖杯を手にした者はいない。

 

そしてまた再び、六十年の周期を迎えた聖杯が、四度目となる戦争の始まりを告げようとしていた。

 

様々な思いを秘めた魔術師達が集い始める。

 

魔術師としての名誉の為、一族の悲願たる根源への到達の為、恒久的な平和の為。

 

そして今、第四次聖杯戦争の幕が開き始める…。

 

        

 

 

        Fate/zero ~黒の魔王~

 

聖敗戦争の開催地、冬木市に存在する館の地下室。

 

そこでは今まさに使い魔(サーヴァント)召喚の儀式が行われようとしていた。

 

「雁夜よ、召喚の呪文は覚えてきたであろうな?」

 

「…あぁ」

 

そこには二人の人物が、召喚の為の魔法陣の前に立っていた。

 

坊主頭に顔には深い皺が刻まれており杖を突いている短躯の老人。白髪に死人のような土気色をしており、顔の左側が硬直しているのかまったく動いておらず、左半身を庇うように立っている青年。

 

老人の名は間桐臓硯(まとうぞうけん)。500年以上の時を生きる魔術師である彼は、この館の主である間桐家の影の当主であり、200年ほど前に、後年始まりの御三家と呼ばれる遠坂・アインツベルンと共にあらゆる願望を実現させる聖杯の召喚を執り行い、現在に至るまで聖杯戦争に関わり続けてきた正真正銘の化物と呼ぶに相応しい人物である。

 

青年の名は間桐雁夜(まとうかりや)。戸籍上は臓硯の子であり、本来ならば間桐の家の当主を継ぐ男であったが、醜悪な間桐の魔術を嫌った彼は家を出奔し、各地を転々としていた。だが、ある事情により聖杯戦争に参加する必要ができた彼は、一年前にこの家に戻り、魔術の鍛錬と称した地獄のような責め苦を受けていたが、それを耐え抜き、今この場に立っている。

 

「良いじゃろう。ではこれより召喚の儀式に入るが、その前にお前に二つほど伝えておくことがある」

 

「今更になって何を伝えようってんだ、ジジイ」

 

「なに、単純な事じゃて」

 

臓硯が雁夜の方へと体を向け、その顔に嗤笑を浮かべながら雁夜へと言い放つ。

 

「お主の魔術師としての格は、他の魔術師(マスター)共と比べれば些か以上に劣るのでな。召喚する使い魔(サーヴァント)の基礎能力にも影響しよう。」

 

「……」

 

今まで魔術の鍛錬を行ってこなかった雁夜では、本来聖杯戦争に参加できるだけの力量を一年間という短い期間で身につけることは不可能である。しかし間桐の家にはそれを可能とする魔術があった。

 

それは「刻印虫」と言われる臓硯のみが扱える間桐の秘術。肉を貪り、命を削がれ、絶大な苦痛を埋め込まれた者に与えるが、その代価として魔術師の源たる魔術回路の代わりを果たし、魔力を精製する。正に諸刃の剣とも言える外法の業である。

 

「ならばサーヴァントのクラスによる補正で、パラメーターそのものを底上げしてやらねばなるまいて」

 

「……さっさと本題に入れ」

 

「クカカカッ。そう焦るでない雁夜よ。」

 

何処までも腹立たしいジジイだ。

 

そんな今更言われなくても分かっている事を言っている時点で、この男の性根の悪さが伺い知れる。

 

「その為に貴様には今回呼び出すサーヴァントには狂化の属性を付与してもらう必要があるのでな。まず一つ目として、詠唱の途中でもう二節、別の詠唱を差し挟んでもらう」

 

「……そうか。で?もう一つは?」

 

「何、そこに用意した触媒を使ってもらうというだけじゃよ」

 

その言葉で雁夜は陣の前に置かれていた物に始めて意識を向けた。

 

あのクソジジイが用意したものだ、碌な物じゃない。

 

そう思い、置いてあった物に視線を向けた瞬間、雁夜の背筋に悪寒が走った。

 

「……何だこれは…」

 

「ほう?貴様でも感じ取れたか」

 

「……なんとなくこれが良くないもんだって事くらい分かるさ」

 

「クク、それだけ分かれば十分じゃ」

 

むしろ分かっただけ上出来じゃ。そんなニュアンスを漂わせながら臓硯は嗤う。

 

「…で?何なんだこれは?」

 

「これは昔手に入れたものでな。300年ほど前に村一つを皆殺しにした者が使ったとされておる物じゃよ。これ自体に聖遺物としての格は無いが、これに込められた怨念は時が経っても消えず、むしろ増しておるくらいじゃ。無銘の品にしては破格の一品とも言えようて。」

 

「これを使えば、触媒を使わないで召喚するより強力なサーヴァントを召喚できよう。どうじゃ?雁夜よ。儂からの贈り物は?」

 

まったくもって気に食わない。何が贈り物だ。

 

この男がそんな殊勝な奴でないことは生まれた時から知っている。この触媒を用意したのも奴なりの理由があっての事だろうが、ろくでもないということだけはあの醜悪な面を見れば察せられる。

 

雁夜は視線の先にある触媒へと意識を向けた。これ以上あの男の言葉を聞いていたら、感情を抑えられそうになかったから。

 

それは錆び付いた刃物だった。形状は途中で折れたのか分からないが鉈に似た形状をしており、柄の部分は腐り、それ以外は完全に錆びついており使い物にならない状態だった。

 

しかし、そのような状態になっても、それからは触れた者を狂わせてしまうような怨念のようなナニカを感じる。

 

これを使えば、確かに狂化のスキルが付いたサーヴァントを召喚出来るだろう。だが、召喚するだけならばどちらか一方だけでも十分な筈。なのに二つも手段を用意したと言うことは…。

 

「(よほど強力な狂化を付与させたいということか。このクソジジイめっ!)」

 

聖杯戦争の予備知識として臓硯から教えられていたが、狂化のスキルはそのランクが上がれば上がるほどサーヴァントの能力を引き上げる。しかし、ランクの高い狂化のスキルはマスターの制御を困難にし、膨大な魔力を消費する。

 

過去三度の聖杯戦争において、狂化のスキルが付与されるクラス「バーサーカー」を召喚したマスターの敗因は、全てこのスキルによりサーヴァントが暴走した果ての自滅である。

 

それを召喚させるということは、臓硯が言った基礎能力の底上げもまた理由の一つだろう。

 

だがそれ以上に…。

 

「(俺が悶え苦しむ様を見たいってのかよっ)」

 

魔力を精製をすれば、その刺激により体内の刻印虫が暴れだし雁夜に尋常でない激痛をもたらす。それなのに魔力の消費が激しいバーサーカーを召喚すればどうなるかは雁夜でも分かる。本来ならば、狙って召喚するサーヴァントのクラスではない。

 

だが雁夜にその意見を否定することは出来なかった。臓硯の言うとおり、一年という短い期間しか鍛錬をしていない、急造の魔術師である自分が通常のサーヴァントを召喚しても勝ち目は無きに等しいだろう。だが、召喚されたサーヴァントがある一定以上の能力を有しているならば、狂化でさらに底上げしてやれば能力によっては他のサーヴァントを圧倒できるかもしれない。

 

雁夜に他の選択肢は無かった。

 

「……ありがたく使わせてもらうさ」

 

「カッカッカッ!随分と素直になったな雁夜よ。」

 

さも可笑しいと言わんばかりに嗤う臓硯に不快感しか湧かないが、ここで反論しても何の意味も無い。故に雁夜は無言でその嗤いを受け流していた。

 

「では、付け加える詠唱について教えよう。それは----」

 

 

 

 

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。」

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」

 

雁夜が魔力を込めながら詠唱を行う。それに呼応するように、目の前の召喚陣が光を放ち始めた。

 

「告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。誓いを此処にっ。我は常世総ての善と成る者っ、我は常世総ての悪を敷く者っ!」

 

体の刻印虫が暴れ回り雁夜を貪り始めた。体に刻印虫が這いずり回り、晒している顔の左半分には動き回る刻印虫の様子が見て取れる。体には激痛が走り、肉体的・精神的に雁夜を追い詰める。

 

しかし、今詠唱を中断する訳にはいかない。雁夜は渾身の力を込め詠唱を続ける。

 

「されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべしっ!汝、狂乱の檻に囚われし者っ!我はその鎖を手繰る者っ!!」

 

臓硯が教えた狂化を付与するための詠唱。この段階で既に雁夜の体力は限界に近かった。

 

痙攣する四肢。流れ出る血涙。挙げればキリがないほどの凄まじさであり、常人ならば確実に失神、あるいはショック死を起こしかねない状況であった。

 

それでも、雁夜は止まらない。

 

自分が背負うと決めたものを想うのならば-----ここで屈するわけにはいかない。

 

脳裏に浮かぶのは、一人の女性とその娘である二人の姉妹の姿。頭の中の彼女達は笑い合い、正に仲の良い親子そのものな姿であった。

 

だが、現実は違う。()()(時臣)父親(臓硯)の手により家族()を失い、彼女は地獄(間桐)へ来たことで感情を失い、彼女はまるで無機質な人形のようになってしまっていた。

 

だからこそ決めた。彼女()を救い出し、また()()と共に暮らせるようにしてあげようと。そう心に誓い決意した。

 

「汝三大の言霊を纏う七天っ!!抑止の輪より来たれっ!!天秤の守り手よっ!!!」

 

雁夜は最後の一節に全ての想いを乗せる。彼は自分の力だけでは、願いを叶える事などできないと当の昔に知っていた。

 

故に彼は求める。奇跡を起こし、救済をもたらす存在の現出を。

 

そして、一人の男の切なる願いは世界へ響き渡る。

 

世界の壁を越え、異なる世界にまで届いたその願いは、ある一人の男の下に届く。

 

その男に召喚される意思も理由も何も無かった。

 

しかし、様々な要因と奇跡により、その男は間桐雁夜の下へ呼び出される。

 

そして今・・・・・・・。

        

異世界より黒き悪夢の狂戦士(ナイトメアバーサーカー)が召喚される・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




黒乃くんへの愛があふれ出した結果、書いてしまいました
因みに二次創作について原作者である菱影代理様の許可はいただいております。

以前投稿していた予告は流石にふざけすぎた内容だったので、改めて作ったプロローグに差し替えました。
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