ハイ、ウザくてすみません。
これからは定期更新できるように頑張りたいと思います。
改めてこれからよろしくお願いします
クオリティ?ナニソレ?オイシイノ?
間桐邸の地下、蟲倉へ通じる階段。その暗がりの中から二人の人影が浮かび上がってきた。
「おい、大丈夫か?」
「……あぁ、大丈夫だ。済まない」
前を歩いている白髪の青年は体が悪いのか、左半身を引きずるように歩いていた。自分としては、出来れば早く移動して話をしたいが、流石に急かす訳にはいかない。
「いや、気にするな。見たところ体が悪いんだろ?なら無理をさせる訳にはいかないさ」
「……済まないな」
「だから、気にするなって言ってるだろ」
どうもこの男はこっちに大分気を使っているみたいだ。まぁ最初にあれだけやらかしてしまえば、当たり前といえば当たり前なのかもしれないが…。
ふと、目の先に窓が見えた。外を見れば何か此処の場所の手がかりくらいはあるかもしれない。そう思って何気なく外を見るとそこには…。
街灯があった。
「…………はっ?」
なんだあれは?もしかして街灯なのか?少し古っぽいけどあれ街灯だよな?
まさか日本に居た頃と同じようなものを見るとは思ってなかったので動揺してしまったが、決め付けるのはまだ早い。もしかしたら、ここら辺では珍しくない道具なのかもしれないし、寿司や天ぷらみたいに昔の異世界人が作ったものかもしれないし、そもそも電気で動いてるかどうかもわからない。
光の精霊や魔石的なモノで動いてるかもしれないし、未知のオーバーテクノロジー的なものかもしれない。大穴で呪いの道具で出来てるかもしれない。
「……んっ?どうした?」
その声に気付けば青年が少し先でこっちを振り向いていた。少し外の景色を見すぎていたようだ。
「……いや、外にある光っているやつなんだが……」
「あぁ、あれか。あれは街灯って言って、電気って力で動いてるんだ。凄いだろ。お前の居た時代だとあんなの無かったろ?」
「…………」
まさかの候補外であった。
「この国だとそんなに珍しいものじゃないけど、外国だと全く無い地域もあるからな。この国の進歩は本当に凄いよ」
まさかとは思うがもしかして此処は………。
「……なぁ、此処の国の名前を教えてくれないか?」
「構わないぞ?此処は日本って国だ。昔だとジパングとか日ノ本なんて呼ばれてたから、お前ならそっちのほうが聞き覚えがあるかもな」
「…………」
リリィ、フィオナ。どうやら俺は、自分の生まれ育った世界に帰って来てしまったらしい。
「さて、とりあえずそこら辺に座ってくれ」
「あぁ、分かった」
信じられない事実が判明したが、その場で問い詰める訳には行かないので、青年に案内されるままリビングまで移動してきた。
「とりあえず、お互い相手の事を何も知らないんだ。順番に質問し合おうと思うんだがどうだ?」
「そうだな。俺も色々と確認しなきゃいけない事が多すぎる」
黒乃は疲れたように軽く溜息をついた。
無理も無い事である。壮絶な死闘の末に仇敵を追い詰め、逃亡しようとした敵を追っていたと思ったら、相手の姿は何処にも無くその場に居た一人は見た事もない蟲の集合体、その上転移した場所が自分が生まれ育った日本と言われる。こんな混沌とした状況では誰であっても混乱してしまうだろう。
「その前に一つ謝らなきゃいけない事がある。俺が斬ってしまったあの老人の事なんだが……」
正直聞きたい事は山ほどあるが、先ずするべき事はあの老人の件の謝罪である。いくら純粋な人間でなくても、此処が日本なら問答無用で殺人罪である。青年が全く気にしていない様子なのが気になるが、とりあえず謝罪は必要だと判断し、謝ろうとしたのだが……。
「あぁ、あのジジイの事か。それについてはあんたに感謝しないとな。よくあの化物を殺してくれたよ」
「はっ?」
思わず口にしてしまった。非難か罵りくらいはあると思っていたのが、まさかいきなり斬り付けた事に対して感謝されるとは流石に予想していなかった。
「(いや、そういえばこいつ俺があの老人を斬った時、確か笑っていたな)」
あの地下室であの老人を斬り捨てた際に、近くに居た青年が喜ぶ様に笑っていたのを黒乃は覚えていた。
「もしかして、あの老人とは仲が悪かったのか?」
「そんなもんじゃ足りないくらいさっ」
雁夜が唾を吐くかのように言い捨てた。その言葉には不快感しか感じられなかった。
「あいつの名前は間桐臓硯。俺の戸籍上の父親で、実際は500年以上生きてる吸血鬼みたいな化物ジジイだよ」
「500年!?それに吸血鬼みたいって…」
吸血鬼に会った事はあるが、流石に500年以上生きてるという存在には会ったことが無いので流石に驚いた。
「言葉通りの意味さ。あいつは他の人間の肉やら魂やらを使役している蟲どもに食わせて延命し続けてるんだ。あいつの体はもう人間だった時の名残なんか何処にも無い。吸血鬼みたいに、他人の生血を啜り、肉を貪り、魂を喰らう屑野郎だっ」
「そうだったのか…」
どうやら俺の知っている吸血鬼とは大分違うみたいだ。まぁあいつは吸血鬼のくせに、血を吸わない変わり者?だったから基準にするのは間違いかもしれないが…。
それにしても、俺も散々下種の極みと言うべき輩達に会ってきたが、まさか日本にもそんな奴が居るとは思わなかった。青年からすれば幸運だったみたいだが、俺からしたら、敵だと思って相手を斬ったら実は無関係で、けど悪党だったから喜ばれたという、一歩間違えたら犯罪者扱いされても可笑しくない状況だったのだ、素直に喜べない。
「しかもあいつは自分以外の存在なんか眼中に無い。身内の俺達ですら、あいつにしたら駒みたいなものだ。けど、お前の御蔭でようやくあいつの束縛から抜け出す事ができたんだ。本当に感謝してる。ありがとう。」
そう言いながらゆっくりと頭を下げる雁夜。それを見て少々複雑な気分だったが、相手が気にしてなくてむしろ感謝している以上、俺がこれ以上蒸し返す事ではないか…。
「……わかった、この話は此処までにしよう。じゃあ次に何だが……」
「その前に聞いておきたい事があるんだ」
「ん?」
「いや、お互いの自己紹介もしてないなと思ってな」
「……そういえばそうだな」
状況確認にばかり気を取られてすっかり忘れてた。
「先ず俺から自己紹介するよ。俺の名前は間桐雁夜だ。雁夜って呼んでくれ」
「俺の名前はクロノ、…いや……」
向こうで自己紹介するのと同じように、苗字だけ伝えようとしたが、そういえば此処は日本だったな、と思い久しぶりにフルネームで伝えた。
「黒乃真央だ。よろしく頼む」
「あぁ、こちらこそよろしく」
どうやら無事に伝わったみたいだ。正直本当に日本かどうかまだ若干疑ってたので、向こうみたいに伝わらなかったらどうしようと思っていたが、どうやら大丈夫みたいだ。
「黒乃真央か……。名前の感じからすると日本か東洋圏の人間なのか?」
「あぁ。俺は日本で生まれ育った日本人だよ」
「そうなのか……。すまんが何時の時代の人間なんだ?日本人の英霊でそんな格好した英雄の伝承なんて聞いたことがないんだが……」
「何時と言われてもな……、現代としか答えられないな。それにさっきも言ったが、俺は英霊なんてものじゃないし、そもそも死んでないぞ」
全く。幾ら今の日本では不審人物間違いなしな格好とは言え、流石に亡霊扱いは酷いと思うぞ。
「……はあっ!?」
「どうした?いきなりそんなに驚いて……?」
死んでないと言っただけなのに雁夜の驚きようにはこっちが逆に驚かされた。何か変な事言ったか?
「まっまっ待て!お前今なんて言ったっ!?」
「だからそもそも死んでないって言っただけだぞ?何かおかしいか?」
「…………おかしすぎるんだよ。俺からしたら……」
死んでいなきゃおかしい状況って何なんだ?
「とりあえず、説明してくれないか?正直何に驚いてるのかさっぱりわからない」
「……そうだな。とりあえず説明するよ……」
説明する前から、疲れた表情を見せる雁夜だがそれも仕方ないだろう。遥か昔に生きた英霊を呼び出す儀式を行って呼び出されたのが、現代でまだ生きている西洋風の格好をした日本人だったなんて信じられる事ではない。むしろ格好だけみたら、コスプレしてるようにしか見えないだろう。中の人間を見たらコスプレと言うより裏社会の殺し屋と言われそうだが…。
「先ずは黒乃を召喚した経緯から話そう。今この町では、どんな願いも叶える聖杯と呼ばれる願望器を巡って、魔術師達が殺し合いを始めようとしてるんだ」
「…………」
なんか少し前に流行ってそうな現代ファンタジー小説みたいな言葉が出てきた。向こうの世界でならまだ理解できるが、日本でそんな事があるなんて正直信じられない。
「それで自分たちの願いを叶える為に、聖杯に選ばれた七人の
「呼び出されるサーヴァントは、昔活躍した英雄や偉人なんかが召喚される。有名な所だと、アーサー王とかジークフリートとかなんだが、そんな有名過ぎる存在を呼び出そうとしたら、余程その英霊と縁のある遺物を触媒として用意しないと、狙って召喚なんて出来ないけどな」
「それで、召喚されたサーヴァントにはそれぞれにクラスが割り振られる。
「バーサーカー……か?」
「なんだ、知ってたのか」
本当ならキャスターが本職なんだが、やはり俺は知らない相手からも
「いや、本当ならキャスターのクラスが該当するんだが……。やっぱり俺は此処でもバーサーカーなのか……」
つい口に出してしまったが、それぐらい嘆いているのだ。故郷らしき場所でもバーサーカー扱いなんて、運命はどうしても俺をバーサーカーにしたいらしい。まぁ今までしてきた事を思い出したら、あまり否定できないが……。
「此処でも?もしかして二つ名みたいなのでも持ってるのか?」
「一応……な。」
「へぇ。何て呼ばれてたんだ」
「…………」
自分の口からあの名前は正直あまり出したくないが、既に向こうだと周知の事実で、自分でも名乗りで言った事もあるから、手遅れだし素直に話そう。何でもない様子を繕って言ってやった。
「
「…………えっと」
雁夜。そんなに呆けた顔をするな。眉間を揉むな。頭を振るな。耳を掻くな。
「すまんがどうもまだ体の調子が悪いみたいだ。もう一度言ってくれないか?」
「
何回聞いても変わらないんだ。だからこれ以上聞き返さないでくれ。
「黒乃……、幾らなんでもいい大人がそんな痛い名前をつけるのは流石にヤバイぞ……」
「別に俺が自分で付けた訳じゃない。俺の友人が最初に言い始めて、そしたらいつの間にか他の連中にも伝わってそうなったんだ。最初は黒魔法使いで通ってた筈なのにいつの間にか
本当にどうしてこうなったのか……。
「これ以上は聞かない事にするよ……」
「そうしてくれ……」
今更、口にしたくらいで心にダメージなんて受けないが、それでも生暖かい目線で見られると流石に堪える。向こうだと逆に盛り上がるか怖がられるかのどちらかだったから、耐性が付いてない分ダメージはでかい。
「……後もう一つ言っておく。俺はまだ成人してないからな」
「……話を戻そうか」
逃げたな。いや、許容しきれなくなったと言うのが正解か。なんかもう頭が痛いみたいなポーズをしてるが俺も同じなんだ。我慢してくれ。
「七人のマスターとサーヴァントが殺しあうこの戦いは聖杯戦争と呼ばれてて、六十年に一度の周期で開催されているんだ。それで、今この聖杯戦争が始まるところで、選ばれたマスターの一人が俺なんだ」
そう言ってから雁夜は右手を上げて、手の甲にある紋様を見せた。
「これは令呪っていって、サーヴァントを制御するためのものであり、三回だけだが強制的に命令を聞かせる力があるんだ」
「……強制的にか………」
つまり俺は雁夜がそう命じたら、自分の意に反する事でも無理やりやらされるってことか。
昔、十字教に捕まってた時の事を思い出した。頭に嵌め込まれたあの忌々しい装置の所為で自由を奪われ、非道な実験ばかり繰り返していたあの時のことを…。
「おっおいおい!そんな怖い顔するなよ!確かに誤解されるような言い方だったけど、これはサーヴァントの強化とかにも使えるんだ!」
雁夜は慌てて言った。黒乃から殺気を浴びせらているのだから無理もない。さっきまでの様子が一変して不穏な空気になってしまった。有り得ないかもしれないが、もし黒乃が逆上して襲い掛かってきたら雁夜に成す術など無いのだから、それは必死に弁明した。
「強化?」
「あぁ、例えば避けられない攻撃とかに対して「その攻撃を避けろ!」って言って回避したり、攻撃する時に「全力で攻撃しろ!」って言って攻撃を強化したりできるんだ。むしろ、そっちの方が効率的な使い道だろ?」
だから、俺には無理な命令はするつもりは無い。雁夜はそう気持ちを込めて言った。
「……まぁ今は信じておこう。けど、もしそんな命令をしたら全力で抵抗するからな」
俺が使える加護の一つ「
「俺もそんな命令するつもりはないよ。それで続きなんだが、さっき居たあの地下室でサーヴァントを召喚する儀式を行って現れたのが黒乃だったんだ」
「そういう経緯だったのか……」
話を聞く限りだと、俺が召喚する意思は無かったって事か。
「まさか古代の英雄を召喚する儀式で、現代のまだ生きてる人間が召喚されるなんて思わなかったよ」
肩を竦めながら雁夜は言った。まぁ俺もまさかこんなところに来るとは思わなかった。
「しかし、なんで黒乃が召喚されたんだろうな?やっぱあの触媒の所為なのかな…」
「あぁ、さっき言ってたやつか。一体何を触媒にしたんだ?」
俺に縁のある物なんてそんな偶然手に入るような物ではないだろうし、気になる。
「俺じゃなくて臓硯の奴が用意したんだが、確か300年くらい前に村人を皆殺しにした凶器らしい」
なんだろう。凄く聞き覚えのある事なんだが。
「……どんな代物だったんだ?」
「見た目は完全に錆びてたけど、形は鉈みたいな感じだったな。あと触ったら呪われそうな雰囲気だった」
完全に首断と同じじゃないか。
「……そういう事か」
納得した。恐らく『
「何か心当たりでもあるのか?」
「俺の持ってる装備に似たような武器があるからな。多分それの所為だろう」
「もしかしてさっき持ってたでかい鉈の事か?」
蟲倉で召喚された時に手に持っていた為、雁夜は見当がついた。
「それだ、アレも同じような理由で呪われてるからな。多分俺が転移しようとした時に、偶然雁夜が召喚の儀式をしたから、条件に合った俺がこっちに飛ばされて来たんだろう」
「……呪われてるのか。大丈夫なのかそれ」
「安心しろ。触らなければ害は無い」
「……もし触ったら?」
「適正が無かったら、一生狂ったままだな」
「……絶対に触らない」
それが賢明だ。呪いの武器は適正の無い者が触ったら最後、一生戻る事はない。あらかじめ対策しているのなら別だが、していないのならどんな方法でも戻る事はない。ゲームであるような教会でお布施をして解呪するなんて手段は無い。膨大な資金で貴重なアイテムや薬をかき集めれば可能かもしれないが、そんなことが出来るのは王族か一部の大貴族くらいなものだ。現実的には不可能と言ってもいい。
「まぁ普段は仕舞ってあるから大丈夫だ。それじゃ次は俺の事を話そう。長くなるからある程度掻い摘んで話すよ」
「そうだな、思ったより時間が掛かったからもうこんな時間だ」
ちらりと壁に掛けてあった時計を見ると、時刻は三時を示していた。確かに普通の人ならこの時間まで起き続けるのは辛いだろう。
「なるべく簡潔に話すよ。俺は……」
自分の経歴について話そうとした時、後ろからドアが開く音がした。それに気がついて振り返るとそこに居たのは……。
「……だれ?」
薄い紫色の髪と目をした少女がドアの間からこっちを覗きこんでいた。
自分で書くとちゃんと書けてるかわからない……。
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