金剛さんは無気力   作:郡山さん

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稲川淳二さんの怪談ばっかり聞いてたから文章が影響されてる気がする…
設定としては造られた艦娘は1度大規模な訓練施設で訓練を受けるという設定です。

今回はシリアスのようなものを拙い文章で書きました。

赤城さんの一人称ですが、話し方ちゃう!とかあると思いますがご了承下さい。


金剛さんは傷心

艦娘共同墓地と書かれた錆れた看板の横を抜け、大きなお墓の前に行く。

お墓と言っても遺骨ではなく艦娘が生前愛用していた遺品が納棺されている。なぜなら艦娘には遺骨というものが無いから。亡くなるのは戦いの最中、例外なくすべて海に沈んでしまうのだ。

鎮守府の裏手の小さな丘の天辺に建てられたそれは、鎮守府の影に隠れ1日中薄暗い様相を呈しているため、一般の人はまず立ち寄らない。

そのため、訪れる者は必然として鎮守府の関係者に限られる。

そんなお墓の前に目当ての人物を見つける。

お墓に手を合わせ、黙想している。

近寄っていくとその人物が黙想をしたまま口を開いた。

 

「あいつらに場所を教えたのはお前だな?赤城…」

 

「…はい」

 

私がそう答えると、閉じた目を開けキッとこちらを睨んできた。

私にはその様子がとても悲しく見えた。

5年前の今日、私と龍田さん、そして金剛さんは大勢の仲間を失った。

彼女は今でも其の事に囚われ、もがき続けている。

私とて忘れた訳ではない。自分たちの目の前で次々と殺されていく仲間。

何も出来すに立ちすくむ私。思い出すと胸が苦しくなる。

私は悲鳴を上げる胸をそっと抑えつけた。

 

「何故教えた…」

 

「…あのままでは金剛さんや龍田さんが助からないと思ったんです」

 

「だからあの2人を危険な場所に送ったってか。あいつらは来たばかりの素人だ。戦場がどんな所かも分かってない。戦列の組み方も。戦い方も。そんな奴らにたった2人で敵が潜んでいるかも知れない海域を進ませる」

 

「…」

 

「俺達がやっているのは仲良しごっこじゃない…戦争なんだよ。命令は遵守する、でないと余計な犠牲が出る。あの時のようにな…」

 

その声は震えていた。悔やむような声に息が詰まる。

あの時…。それは金剛さんが犯した過ち。

彼女はあの呪縛から、未だに開放されていない…いや、自分を開放しようとしていない…。

ずっと自分を縛り続けている。まるでそれが己の使命だと言わんばかりに…。

 

「…処分は後で言い渡す」

 

「…はい」

 

 

私と彼女は同じ日に建造された。

普通艦娘というのは、生前の記憶により口調や大方の性格は決定されている。

が、その金剛は他の艦娘とは違った。

自分の事を俺といい、態度もどこかしら男勝りだ。

だが、戦闘訓練になると怯えてばかりで全く持って訓練にならない。

周りの人達はそんな金剛さんを気味悪がった。

やがてその金剛は『欠陥品』と呼ばれるようになった。

最も本人はそんな事、気にしていなかったようだけれど。

そんなある日廊下を歩いていると、ふと若い男性と中年くらいの男性会話が聴こえてきた。

 

『あの金剛は解体かな…』

 

『ん?ああ…あいつね。仕方ないだろ、こちらとしたらイレギュラーに一々構ってる暇なんて無いんだから』

 

『でも何だかな…分かってはいるけど…』

 

『あいつらは兵器だ。情を持つ必要は無い。それに…いくら大事にしたっていつかは壊れる。…兵器なんだよ』

 

渋い声の男性が自分に言い聞かせるように言った。

自分には全く関係ない。でも、何故かその金剛のことが気になった。

この所耳にしていたからかも知れない。

そのまま立ち尽くしていると、嗄れたお爺さんのような声が聞こえた。

 

『その艦娘は今どこにいるかね?』

 

『…?えっと、多分艦娘の寮にいるかと…』

 

『そうか…いやいや、仕事中すまなかった』

 

そんな遣り取りをボーっと聴いていると目の前のドアから、その嗄れた声の正体が出て来た。

優しそうな雰囲気を纏ったそのお爺さんは、ニコッと笑いこちらに頭を下げて来た。

慌てて下げ返す。

どうやら寮に向かうらしかった。

私はそのお爺さんの背中をずっと見詰めていた。

 

そこでどんな遣り取りがあったかは分からなかったが、やがてその金剛を見かける事はなくなった。

解体されたのかな…。と落ち込んでいると、いつの日か聞いた若い男性の声と中年の男性の声が聞こえてきた。

 

『そういや、あの金剛最近見なくなりましたよね…。まさか…』

 

『安心しろ、金剛は竹内少将に引き取られたらしい』

 

『竹内少将?』

 

『あの時来た老人だよ』

 

よかった…。そんな思いが込み上げてきた。

あの感じの良いお爺さんなら、大事にしてくれているだろう。

何故自分があそこまで彼女を気にしているのか、分からなかった。

けれど、その金剛が無事と聞いた時私は凄くほっとした。

 

 

やがて私も配属先が決定した。

それは偶然にもあの金剛が配属された鎮守府と同じだった。

私は龍田さんと同時期にこの鎮守府に来た。

あの金剛…いや、金剛さんはいい仲間に巡り会う事が出来たみたいであの時とは違い笑顔が見えた。

やがて私と金剛さんは同じ艦隊に組まれる事になった。

扶桑さんをはじめとし、金剛さん、最上さん、妙高さん、筑摩さん、由良さん、夕張さん、鬼怒さん、そして私。

私と金剛さん以外は皆ベテランで、だけどそれを威張ること無く親身になって教えてくれた。

 

訓練をして、色んな所にみんなで遊びに行って、そして戦って、私達は徐々に絆を深めていった。

金剛さんは親身にしてくれる人たちを信頼しそしてとても大事にしていた。

そんな日常が何時までも続くと信じて疑わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そう長くない年月がたった頃 ―それは起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深海棲艦の大襲撃である。

突如として日本列島を囲むようにして現れた深海棲艦の大艦隊。

後に『列島大襲撃』と呼ばれるその戦いは多くの犠牲者を生んだ。

 

そして―私たちの心に深い傷を残していった。

二度と癒えることの無い傷を…

もし、あの時襲撃が無ければ…今でも…




龍田さんは別の艦隊に配置されてるという裏話

次回金剛さん視点。
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