私が海底で暮らし始めてから三日目、環境は劇的な変化を遂げていた。
まず、疲労感や睡魔が一切無く、永遠と起きていられる事。艤装の形が知らぬ間に変わっていた事。そして、斥候等の働きが良く、早くも鎮守府からかなりの戦力を引き出せた事だ。
相手が本気で戦う意思を見せているのは確かで、帰ってくる数が日に日に減っている。しかし、未だに主力艦隊は確認できずに居た。
待てども待てども小規模な戦力が分散する形で続き、こちらの戦力だけが確実に減っている。
私が直接出ようかとも考えたが、それではまるで意味が無い。都合の良い餌でもあればいいが、この身以外には何も無かった。
ひたすらにもどかしい。
早く戦いたいが、こうも上手く行かないと動けないのだ。相手が提督ならば、見透かされている気にもなる。実際には、堅実な方法を選んでいるだけでも、それがまた恐ろしい。
本当の意味で、敵に回したくない相手だ。
「……マタカ」
どうしたものか考えていると、一体の駆逐艦が現れ、情報を受け取る。彼等に言葉は無いが、この泊地に来るとなぜが意思が繋がり、全ての情報が貰えるのだ。理由は知らないが、便利な事に変わりは無い。
駆逐艦の報告では、またも同じような相手だったらしい。あまりにもそれが怪しく、何かしらの意味を感じる。
もしかしなくても、相手が私だと分かっているのかもしれない。確信は無いが、タイミングから考えても、そう思っている可能性はある。
だとしたら、何が目的なのだろうか。単純に、戦力を削ぎたいだけかもしれない。しかし、だとしたら駆逐艦が戻るだろうか。情報を制限する意味でおいても、可能な限り殲滅する筈。しかし、必ず一隻は残すのだ。
「シカタナイ……テッタイダ。ハクチニオビキヨセロ」
相手の思惑が分からない以上、不毛な戦いで戦力を減らすべきではない。どちらにせよ、相手は六隻しか来ない。露払いか撹乱を考えても、私と対峙する相手は、必然的に決まってくる。
この際、戦力を削る事は諦めよう。代わりに、提督お気に入りの玩具を剥ぎ取る。主力艦隊が私達に勝てなければ、必然的に六隻で勝てる部隊は居なくなるのだ。そうなれば、残るは総力戦しかない。
総力戦になってくれるなら、こちらの思惑もある程度は通り、少なくとも現状よりは好転する筈だ。
「……」
方針が決まれば、後は相手を待つのみ。しかし、その時間を潰す物は何も無い。
いや、最初から私には無い物なのだから、特に変わりないとも言うのだろう。
近場にあった岩に腰掛け、呆然と海面を眺めた。
時間という感覚は既に狂っているが、太陽を見ればそれがどのくらいかは大体分かる。そして、今は太陽が身を隠しており、代わりに月が微かに世界を照らしていた。
夜は長い。昔はあんなに早く終わったのに、今の私には永遠のようにも感じる。もしかしたら、夜は明けないのではないか。ふとした瞬間に、そんな期待が染み出す。ありえない事なのに、それでもそう考えずには居られない。
そして、そう考えてしまうと、決まって感情が波打つのだ。なぜ私は沈められたのか、私の何がいけなかったのか。その疑問は、完全には消えないのだろう。明確な目的の理由が、それを物語っている。
提督を倒したら、何をしたいのだろうか。認めて貰って、元の生活に戻りたいのか。或いは、謝って欲しいだけかもしれない。
明確な目的とは裏腹に、その後については、信じられないほど無計画だった。
ここは、深海棲艦らしく人間と戦うべきなのだろう。しかし、そもそも深海棲艦らしさとは何だ。私の考えがそうだとするなら、本当に艦娘と違わない。違うとしても、性格程度の簡単な部分だ。根本的な部分は、何も変わらない。
そういえば、提督もそんな事を言っていた気がする。艦娘と深海棲艦は、コインの裏と表。そんな夢見事も、今なら納得できる。提督なりに、色々考えたのだろう。この身でなら納得できる。
実際に私は、艦娘として生きてきた。それが偽りであっても、私にとってそれは、確かな事実。提督や仲間に否定されようと、私は艦娘だった。
夢や幻かもしれないが、私の中では確かに存在した時間。それは、一人のおかげで鮮やかな記憶となっている。
早く会いたい。でも、会ったら何をするのだろうか。この身体では、どこにもいけない。それどころか、曙が私がだと気付かない可能性もある。これは、とても大きな問題だ。
曙は提督が好きなのだから、私の目的としている事を嫌がってしまう。それでは曙と会っても、喧嘩になるのではないだろうか。いや、友達付き合いにおいては、喧嘩するほど仲が良いという言葉もある。
そう、恐れる必要は無い。
曙は分かってくれる。素直になれない性格もあるから、少しだけ時間はかかるだろう。それでも、永遠という訳では無いのだ。
私は空が白み始めたのを見て、そっと立ち上がる。少しだけ早いが、もしかしたらすぐ来るやもしれない。
「シュリョクヲ、ムカエウツ。ザコハチラセ。カクイン、バツビョウセヨ」
私の指示を聞いた深海棲艦達は、六隻ごとの塊でも一斉に動き出した。私も艤装を撫でると、海底を踏み鳴らし軽く確認する。
ここに来てから、初めて海上へ向かう。これから見る景色は、一体どう映るのか。少しだけ怖かった。
「シュツゲキスル」
地面を蹴り、ゆっくりと海上へ向かう。体に風船を付けたように、意識せずとも上っていった。少しずつ光が近くなり、あまりの眩しさに目を覆う。
世界はこんなに明るかったのか。深海に居た私は、そんな事も知らなかった。
海面に顔が出ると、そこで浮上は止まる。どうやら、一回で出るにはコツが要るようだ。
海面に手を付き這い上がる。すると、まず久方ぶりの空気に戸惑った。何より、呼吸の仕方が分からない。
少しだけ考えると、やっとその答えが見つかる。呼吸はしていないのだから、やり方は元より必要無いではないか。そんな当然に対して、何を疑問に思ったのだろう。
目を閉じ、濡れた髪が微かに揺れるのを感じた。
そうか、ここには風がある。塩っぱくて、少しだけ肌寒い。どちらかと言えば無い方がいいのに、とても愛着が湧く。
外の世界を肌で感じていると、五隻の深海棲艦が海面に顔を出した。編成としては、戦艦一隻と駆逐艦一隻、それに空母二隻に雷巡一隻。それに足して私だ。
装備までは分からないが、そもそも私のすら分かっていない。それでも問題無いと思えるのは、これまでもそうだったからだ。
装備の意味は知る必要が無い。私が使いたいと思った物が、自動で選ばれる。どうせ他の艦も同じだろう。
「ハヤイナ……」
味方を見ていると、不意に聞き慣れた音が聞こえて空を見た。
そこには艦載機が飛んでおり、近くに相手の艦が居る事が分かる。おそらく、偵察用の艦隊だろう。逃げて行く艦載機を追おうとも思ったが、わざわざ回収するか少し怪しい。
何よりも、敵艦を沈める事が目的ては無いのだから、帰してやった方が何かと役に立つ。
「イクゾ」
しかし、何もしないと放置されかねない。相手の方向へ向かうとしよう。
意識を集中し、深い水底へ落とし込む。四時の方向に六隻の艦娘を感じた。艦娘の時からあったが、これはソナーのような物らしい。一度補足すると、どちらに逃げて行くかまでハッキリと分かる。
そちらへ向かい、私はゆっくりと進み始めた。主力が近付いたのが分かれば、動くしかない。動かなければ、鎮守府が一つ地図から消されるだけの事。
どのくらいで来るだろうか。鎮守府までの距離は分からないが、流石に三時間もあれば逢えるやもしれない。だとすれば、三時間とはどのくらいだろう。一日が二十四時間なのだから、八分の一日とも言える。そう考えると、時間はすぐに過ぎ去った。
体感では数分しか航海していないのに、見覚えのある艦載機が数機視界に映る。それはすぐに引き返して行き、私はまた意識を集中させた。
六隻と、その後にまた六隻の艦隊。出雲に聞いた気がするが、これが連合艦隊か。大層な名前の割には、大したことのない数しか居ない。
しかし、戦いに水を刺されては困る。
「ゴエイカンヲ、ハラッテコイ」
私が指示を出すと、次々に深海棲艦が浮上し、真っ直ぐ相手の方へ向かった。黒い塊が波に揺られる姿は、まるで恐怖を形にしたように見える。
少しすると爆発音が響き、私は口元を緩めた。爆撃機か主砲か、何にせよ接敵している。それでは、おびきよせるとしようか。
「ハッカンセヨ」
手を前に出して指示すると、艤装の口から粘り気のある音がした。
飛んでいく球体は相変わらず可愛らしくて、他の深海棲艦とは違う形状をしている。他の艦も飛ばしているが、それは飛行機の形をしていた。
少しすると向うから爆撃機が現れ、こちらの放っておいた艦載戦闘機によって全て叩き落とされた。やはり、艦載機の扱いに関しては遅れをとっていない。数で負けなければ、どうということもなさそうだ。
それから暫くして、爆発音や発泡音が聞こえなくなり、水平線の向うから見覚えのある六名が姿を現す。
そして、その姿に私は動揺を隠せなかった。隠せるわけがない。
「アケボノ!」
狂おしいほど嬉しくて、また、悲しかった。それは、曙の表情がとても険しかったからである。
なぜ曙は最初から不機嫌なのだろう。もしかしなくても、私が誰か分かっていないのかもしれない。
「敵艦隊を視認しました。只今より、戦闘を開始します」
「ムミョウダ、アケボノ、ワカラナイノ?」
ある程度の距離に近づくと、大和ではなく曙が指示を出した。その姿が、私にはとても信じられない。それは、曙が自分の意志でそこに立っている事を、暗に示しているからだ。
私が何をしたのだろうか。提督から、何か悪い事を吹き込まれたのかもしれない。
「ユルサナイ……ヤツラヲ、シズメロ」
私と曙を戦わせようとは、提督は何て残酷な事をさせるんだ。こんなにひどい事、この世界に存在し得ない。
曙はきっと分かってくれる。でも、今はまだ無理なのだ。
徹底的に叩き潰して、五人の首を鎮守府へ送ってくれる。
「砲雷撃戦開始!」
「チリモノコスナ!」
お互いの合図で一斉に砲弾が飛び交い、私は真っ先に艦載機を加賀へ集中させた。他の艦娘は私の意志を一瞬で受取り、同じように加賀へと艦載機を飛ばす。
まずは加賀から、彼女は私を沈める時に賛成していた。あいつから沈め、次は赤城にしようか。
「やはり、私達だけでは……!」
加賀の悲痛な声が響き、捌ききれなかった爆撃機が彼女を襲う。一発、二発、避ける事もままならず当たると、服がはだけ、弓がひしゃげていた。これで、先手で戦力を削げた。このまま放置して、次は赤城を無力化するとしよう。
「私達を忘れて貰ってはこまります」
不意に大和の声が聞こえると、砲弾が飛来し、私は避けもせず艦載機に集中した。
別に避ける必要は無い。受ける必要も無い。なぜなら、壁なら五隻分あるのだから。
「サンセキメハ、オマエダ!」
赤城への爆撃が通ったのを確認して、私は砲を大和へと向ける。正直、三人目からはどうでもよかった。三人とも乗り気でなかったにせよ、結局は手を出したのだ。同じような物。犯罪と同じで、程度の違いしかない。
「曙、やはり無理があるのでは?」
「うるさい、できるのよ。提督が言ってたんだから……間違いなく、そうなのよ!」
私達の砲撃に対して回避行動を取り、一発に被弾を抑えたが、大和も勝ちを確信できないようで、曙に話しかけた。その曙も不機嫌な様子で、ムキになっているようにも見える。
可愛そうに、まだ提督を信じているのか。いつ捨てられるとも分からない相手なのだと、ちゃんと教えてあげないといけない。曙を守れるのは、私しか居ないのだ。
「アケボノ、ホラ、ワタシダヨ?」
「無明、貴女なのは知ってる。だからこそ、沈めてあげるの。貴女のために、そして私のために……」
もう一度話しかけると、曙は肩を震わせて返事をする。それがどういった意味かは私には分からない。それでも、こちらに向けられた砲だけが、それの意味する事を示していた。
もう、私の声は曙に届かないのだろうか。彼女はきっと、何かに騙されている。そうでなくては、こちらに攻撃する筈がない。
飛来した砲弾は私に当たり、弱い爆発音がする。曙が、私に砲撃したのだ。
「アァァ……ユックリ、ハナシアウジカンガヒツヨウカ……」
錯乱してはいけない。落ち着いて、やれることをするのだ。まずは、戦力のかなめである大和を落とす。気づくともう二隻やられていたが、構わない。私一人でも残れば、大和以外全員の相手ができるのだから。
「だから私は……嫌だったんだ!」
長門の砲撃が飛来するが、空母が盾となってそれを防ぐ。どれだけでも打ち込めばいい。その時間で、私達は確実に目標を落とす。
艤装を撫でると、爆撃機と雷撃機が一斉に放たれる。加賀と赤城を黙らせるのに多く使ってしまったが、ろくな対空装備が無い相手なら、特に困る事もない。
「分かりました……では、後の事はお願いしますよ」
大和は最後に全主砲をこちらへ放つと、それらを避けもせずに被弾する。激しい爆発音の後には、破れた服を抑えた大和が残り、主砲がひしゃげているのを確認して、木曽に目標を移す。
「次は俺か、いいよ、かかってこい」
「フザケルナ!」
人数は減ったが、残った艦で一斉に木曽へ砲撃した。しかし、木曽も避けるそぶりを見せずに、魚雷をありったけぶちまけてから被弾する。こちらの被害も甚大で、残るは私と空母一隻となっていた。
だが、構わない。どういう作戦かは知らないが、大和よりも性能が上であることは知っている。
「分かっている。来い」
長門はまっすぐ私を見ると、主砲を打ち鳴らし、私も同じように主砲をぶち込んだ。無論、こちらには一隻壁が残っているのだから、痛くも痒くもない。
そして、無事に残ったのは私と曙の二隻のみ。ギャラリーは居るが、これで十分だ。
「それじゃ、二人だけで話せるように、ここから少し離れましょ」
「……ワカッタ」
どういう風の吹き回しか、こちらの臨んだ事を曙から言い出してくれた。少し勘ぐる部分もあるが、私は曙を信じている。それに、闇討ちされても曙が相手なら、それほど脅威にはならない。
そしてそこからどれほど離れただろうか、五分か、そのくらい曙について行くと、五人は水平線に消えたいた。
「先にね、謝っておくことがあるから、聞いてほしい」
曙は唐突に立ち止まると、私へと振り返って話し始めた。何を言うかは知らないが、とにかく、聞いてほしいなら聞いてあげたい。
「私さ、無明を沈めるって作戦、知ってた。それでも、止めれなかった。そうしないと、ダメだったのよ。貴女が深海棲艦だったから……」
曙が話し始めたそれは、意外なはずなのに、すぐに納得できた。なぜこんなに納得できるのか、自分でもよく分からない。
「私達は深海棲艦を沈めるために生まれて、生活している。だから、それを拒む事はできない。それに……これは貴女のためだから」
「ワタシノ、タメ……?」
曙の話を素直に受け止めていいのだろうか。私をだますための嘘かもしれないし、私のためだと言われても、それは理解できなかった。
「貴女が深海棲艦だと気づいた提督は、もちろん本部に連絡したわ。そしたら、貴女を研究して、深海棲艦を探ろうって案が決定してしまったのよ」
「ワタシデ、ジッケン……?」
曙の語るそれは理解に易く、その話の結末が見えてしまう。
提督は、実験で受ける苦痛を計り、私を沈める事で楽にしようと考えたのだろう。だからこそ、あの六人も否定しきれなかった。
「ナゼ、ワタシニオシエナカッタ?」
「教えたら、暴れるかもしれないでしょ。私は、教えたかったよ……でも、もしもがある以上、それができなかった」
「……」
胸の奥から込み上げてくる物は何なのか、私には分からなかった。熱くて、苦しくて、ほんの少しだけ酸味の利いた味。これが、後悔という物なのだろうか。私は今、初めて後悔を知ったのだ。
だとしたら、私がしてきたことは何なのか。大和達への攻撃も、深海棲艦を使って暴れさせた事も。
全て、全てが八つ当たりでしかないではないか。
「この先に機雷がある。私の火力じゃ貴女を沈めさせれないから……せめて、そこまで話したい、かな」
曙が指さす方向を凝視すると、たしかに黒い塊が水中に潜んでいた。
もはや、何も疑うまい。
私は、小さく頷いた。
「貴女がここにきてよかったって、本当に思ってる。トラウマも何とかなる兆しができたし、私がここにきて、初めて仲良くなれた相手だったから」
私は何も返事をしない。返事をしてしまえば、胸の奥で抗っている憎悪が表に出そうだったからだ。それに、曙と歩いているのは、特異型戦艦無明であり、深海棲艦の私ではない。
「町に行って、一緒に買い物とかしてみたかったね。映画も見てさ、デートみたいだけど、それでも楽しいと思うの。それで、お土産を提督にもってくと、少し冷やかされながらも受け取ってくれる。まぁ、アイツはどうでもいいんだけどさ」
そう空想を語る曙は笑顔なのに、目じりに涙を溜めていた。
彼女はとても我慢強い。こうしている今でも、泣きわめきたいのだろう。しかし、そうすると私の意志が変わるかもしれない。だから、我慢するのだ。
「それでさ、赤城とか加賀も呼んで、服見せ合いっこして……」
そう思うと私は、そっと曙を腕に収めた。力はいれない。私の今の力が分からないし、これが温かいかすら、私には分からないのだ。
それでも、曙は焼けるように熱く、私の胸に顔を埋められたそれを見て、そっと頭を撫でる。
何となく、私が何者なのか分かった気がした。もしそうだとしたら、この気持ちにも理由が付く。
「私は、幸せ者だったんだね……」
「貴女、ちょっと!」
不意に零れた言葉を誤魔化すように、私は曙を跳ね飛ばして駆け出す。
もう、言葉を交わす必要は無いし、触れ合う事も無い。でも、二度とこうして会う事は無いのだろう。
そうだとしたら、それが一番の幸せに違いない。私はいつでも曙と居るし、曙は私と居てくれる。もう、一生離れたりはしない。
曙の指したそれに自分からかかると、大きな爆発がおきて電磁バリアがはじけ飛ぶ。しかし、無駄に頑丈なせいで、一撃では沈めなかった。
私は艦載機を艤装の口で繋ぎ止め、そっと槍を取り出す。もはや棒切れのそれでも、事を成すには十分だった。
「私は、忘れないから!」
曙は最後にそう言い、赤らめた目を片腕でこする。
曙には多分、分からないのだろう。しかし、分かってはいけない。潔く去るのもまた、私のやるべきことなのだ。
槍で艤装の口を貫くと、爆撃機が破裂し、一瞬の間で私を海へ返す。
その時の空は、とっくの昔に曙を過ぎ去っていた。
これにて「幸せの形」は完結となります。
急な展開に驚いた方も多々居るかと思いますが、順当な話の進み方だと確信しております。
その理由や根拠についてですが、本編では語られていない。それでいて、本編内にて起こっていた出来事がありました。
そちらについての解説、裏事情の説明等を記した物を活動報告にて掲載する予定です。
本日中か明日かは微妙ですが、そのくらいで投稿できるかと思います。
それに足して、MI作戦の歌詞について自己判断での解釈を掲載する予定です。そちらは、二日後か、明日か、そのくらいになるでしょう。
そちらまで含めて楽しんで頂ければ幸いです。
長らくおつきあい頂き、ありがとうございました。