「クシュンッ……あれぇ……風邪かなぁ……」のどの痛さと頭痛で目を覚ましたエレナは自分の体が妙に熱いことに気付いた。
「ん?どうしたのレナ……風邪?」エレナのクシャミで起きたフィーがエレナの額に手を当てエレナに熱があるのかを確かめる。
「ん、エレナすごい熱い。これは熱があるね……」エレナの額がとても熱くなっていたためエレナから瞬時に離れてエレナに伝える。
「やっぱり……げほっ……ハァハァ……」エレナは苦しそうに肩を上下させながら激しく咳をしている。
「レナ、今日欠席するでしょ。サラに伝えてくる。」パジャマから制服に着替えて部屋を出ようとする。
「ハァハァ……迷惑かけてごめんねフィー……今日やった授業の内容教えてね……げほっ……」風邪のせいで涙目になりながら、フィーに手を振る。
「ん、行ってくる、レナ風邪うつさないでね。ちゃんと寝とくように。」こんな時だけ姉のように振る舞っちゃって。そう思いながらも、心配してくれる暖かさをありがたく感じていた。
「はぁ……一人は寂しいなぁ……誰か来てくれないかなぁ……」布団をギュッと握ってそんなことを呟く。今日はフィーが返ってくるまでずっと部屋に一人でいないといけないため寂しさのあまり、風邪とは別の涙が出てくる。
「げほっげほっ……ハァ……ハァ……。」咳が出てまともに寝ることができないため、仕方なく持ってきたスーツケースから一枚の写真を取り出す。
「はぁ……よりによって、げほっ……なんでこの写真もって来たんだろう……」ある一枚の写真を取り出してため息交じりに笑う。
その写真には3人の男性と
「懐かしいなぁ……もうあれから5年も立ったのかぁ……」あのころのフィーはもっと純粋だったなぁ……、そんなことを思い出しながら、どこか遠くに行ってしまった三人のことを思い出す。
「ほんとぉ二人ともどこに行ったのかなぁ……げほっげほっ……
エレナの泣き声が第三学生寮に木霊する。いまは誰も第三学生寮にいないため、状況を気にすることなく大声で泣ける。自分を拾ってくれた義父が消えさらに自分が兄と慕っていた二人も消え、それだけにとどまらず、家族と思っていた人々すら自分達の前から消えていった。いくらフィーの前では強がっているとはいえ仮にもフィーと同じ15歳。悲しいことが起きれば涙が出るのは当たり前、そこをフィーの前でお姉さんぶって無理やり涙を抑えたため、悲しい、という感情が高まり誰もいないこの機会で堰を切って感情が爆発した。ということだ。
「ぅぐ……ぇぐ……」必死に鳴き声を消そうと口を手で押さえるがそれでも泣き声が消えることはない。
「ぅぐ……ぇぐ……げほっ……ハァハァ……」約10分ほど泣いたところで泣きやむ。
「はぁ……泣くなんて柄でもないなぁ……よし、もう寝よう……」盛大に泣いたことで疲れ、自分のベットに潜り込む。
――コンコン
扉をたたく音で目を覚ましたエレナは自分の愛用のRF社製の懐中時計で時間を確かめる、すると今はまだ学校は終わっておらず、昼休みの時間に入ったばかりだということに気付く。こんな時間に部屋を訪ねるのは誰だろうと思いながらも引っ切り無しに扉をたたかれるため再び寝ることもできず、しぶしぶ返事をする
「げほっげほっ……はぁい……ちょっと待ってくださぁぃ……」咳で苦しそうにしながらも部屋の扉を開けに行。途中で倒れそうになりながらも、何とか扉の前にたどり着き扉を開けるとそこには同居人のフィーではなくエリオットとエマが立っていた。
「あれぇ……なんでエマさんとエリオット君がいるんですかぁ?」熱のせいで意識がもうろうとしているのか微妙に呂律が回っていないがそんなことはお構いなしに二人は部屋に入ってくる。
「エマさん、エリオット君、あまり入らないほうがいいですよぉ……風邪をうつしても大変ですし……げほっげほっ……ハァハァ……」風邪がうつってはいけない、と二人の背中を押して部屋から追いやろうとするが、二人はそれをかわし部屋に置いてある机に持ってきたであろうノートを置く。
「大丈夫ですよ、私たちはエレナちゃんと違って体は頑丈ですから。フィーちゃんから聞きましたよ?エレナちゃんは昔からよく体を壊していたって。」エレナの頭を優しく撫でながら微笑みかけてくる。
「あっそうそう、私たちが来た理由は、フィーちゃんが、賢い人に任せたほうがレナもいいだろうし。って言ってたからですよ。」これから聞かれるであろうことを先に予測してその答えを述べる。
「エリオット君、私は下に降りてお粥を作ってきますからその間エレナちゃんに勉強を教えてあげておいてもらえますか?」突然、思い出したかのようにエマが言ってくる。
「わかった。委員長行ってらっしゃい。……さてと、それじゃあエレナ、
まずは『軍事学』からだね。えぇっと……」前回の復習を終えたあたりで、エリオットがエレナの異変に気付く。
「エレナ、聞いてる?」その場で座ったまま目を瞑っているため、熱のせいで寝てしまったのだろう、と思い軽くエレナの肩をゆすってみる。だがそれでも起きないため今度は少し強めにゆすってみる。それでもエレナは起きない。そこでやっとエリオットはエレナの本当の異変の気づく。エレナをゆするときにふとした拍子に肩に首筋に手が当たる。その際に感じた体温が、熱の患者であっても異常なほどに高くなっており、さらに大量の脂汗を全身にかいている。さらにそれだけにとどまらず、呼吸も早くなっている。自分だけではどうにもできないと思ったエリオットはとっさに下にいるエマに声をかけることにする。
「委員長!早くこっちに来て!エレナの様子がおかしいんだ!」そこまで言って、果たしてエマが来ただけでこの事態はどうにかなるのかと思う。二人は学生、学生といっても医学生ならばなんとかなるかも知れないがあいにく二人は士官学院に通う軍人の卵。一応医学も学ぶとはいってもそれは主に火傷や裂傷、銃創などの治療法。外傷に対する治療法が主で風邪などの治療法は学ばない。そこでエリオットは自分たちにできることは何か、と考えある一つの答えにたどり着いた。
「委員長!こっちに来るときにタライでも何でもいいから氷水を張って持ってきて!それとタオルを2~3枚!それとは別で、汗を拭くためのタオルを2~3枚持ってきて!あと飲み水!」そこまで言ってエリオットは自分のARCUSを取り出すとリィンに通信を入れた。
「もしもし!リィン君!昼休み中申し訳ないけど大至急ベアトリクス教官に第三学生寮に来てもらえるよう頼んで!えっ?クロウ先輩に絡まれてる?ちょっと代わって!」そこでエマが部屋に入ってくる。
「エリオット君!エレナちゃんはどうしたんですか!?」エマも入ってきた途端エレナの異常に気付く。
「分からない、僕がエレナに勉強を教えて5分くらいして、エレナが目を瞑ってるから寝てるのかな?と思って体をゆすってみたんだ。でも反応がなくて……ごめん委員長!いまちょっと別の用事があるからARCUS使うね。」そう言って今度は意識をARCUSのほうに向ける。
『よぅエリオットどうしたんだいきなり?』ARCUSの向こうから聞こえたのは何とものんびりした口調でクロウ・アームブラスト、エレナからは腕が飛んでいきそう、と言われている先輩が話しかけてくる。普段はどこか抜けている感じを醸し出すが、頼れる兄貴分としてⅦ組の面々に話しかけてきて、いい先輩、としての印象が強いが今はその態度がとても鬱陶しく思えた。
「クロウ先輩!早くリィンを解放してください!こっちはいまクラスメイトが大変なんです!」普段のエリオットからは想像できないような怒声がARCUSから聞こえたためだろうARCUSを通してでも狼狽えたことがわかる。まだ付き合いが短いが、それでもエリオットの性格は大体は把握している。普段、温厚な彼からは想像もつかない大声を聞けば誰でも本当に本人か?と疑うだろう。
『……どうしたんだ?エリオット、お前らしくもない。』単純に心配して掛けてくれたであろうこの言葉も今のエリオットからしてみれば邪魔でしかなかった。
「そんな心配いいですから!早くリィンを解放してベアトリクス教官のところに向かわせてください!」良心でかけてくれた言葉を突っ撥ねてエリオットはクロウにリィンを解放するように催促する。だがクロウも後輩に心配して掛けた言葉を突っ撥ねられ、頭に来たのだろう通信を一方的に切ろうとする。だがそこでエマがエリオットからARCUSを奪い取ってクロウに言葉をかける。
「クロウ先輩!エリオット君がすみません。でも今回限りは許してあげてください!今はそれどころではないんです!先輩もエレナちゃんは知ってますよね?エレナちゃんが高熱で倒れて呼びかけても反応がないんです!私たちではどうにもできなくて!だからベアトリクス教官を第三学生寮に呼んでもらうためにリィン君に頼んだんです!だから早くリィン君を解放してください!じゃないと……エレナちゃんが……」最後のほうは声が小さくなりほとんど聞き取れなかったがそれだけ急を要しているのだろう。そこまで聞いてクロウは自分もむきになっている場合じゃないと思いリィンを解放した。
しばらくすると今度はリィンの方から通信が入った。
「エリオット?いま保健室について教官に行ったらなるべく詳しい容態を教えてって!だからなるべく詳しく今のエレナの容態を教えてくれる?」リィンからそう言われエリオットは今のエレナの状況を見てみる。
「えぇっと、体温は、具体的な数値は分からないけど普通の風邪よりもずっと高いのだけは確かだよ。それと呼吸が早くて呼びかけに対しても反応がないんだ。最後に、汗をとてもかいてる。夏に長時間以上外で激しい活動をしたときみたいって言ったらわかる?こっちでは一応汗を拭くのと寝かせて頭に濡れタオルを乗せることくらいしかしてないけど……とにかく失礼だけど大至急で来るよう伝えて!」それじゃあ、と言って返事を待たずに一方的に通信を切る。
「エリオット君、どうですか?リィン君は何って……」エレナの汗を拭きながら自身も大粒の汗をかいているエマにいま保健室を出たところだからあと5分もすれば着くと思うよ、と伝えるとエリオットもエレナの看病に交じる。
「委員長、ひとまず床に寝かせるのもあれだし、ベッドに移そう。委員長はその間に水を変えてきて!」そういうとエリオットはアヒル座りで壁にもたれかかっているエレナをいわゆる
そしてエマが部屋に戻ってくると同時にベアトリクス教官とリィンが第三学生寮に走りこんできた。
「エリオット、委員長!ベアトリクス教官を連れて来たよ!」閉まっていた部屋の扉を勢いよく開ける。
「うぅん、これは不味いですねぇ……保健室に運ぶのも時間がもったいないですし、ここで治療しましょう。」そういうとベアトリクス教官は持ってきた医者鞄の中からどこに入るスペースがあるのか、というほど大きな機材を大量に取り出し設置した。その中には点滴のスタンドなどもあった。
「ふぅ……これでひとまず大丈夫でしょう。しかし、誰もいないのは心配ですねぇ……私が早退届を出しておきますから誰かここに残ってあげてください。」ここにいる3人を見回して誰が適任か話し合えと言う。
「それなら、エリオットがいいんじゃないか?さっきも先輩相手に物怖じせずに言えてたし。エレナの異変を一番最初に発見したのもエリオットだったからな。」リィンが何の悪気も無く言う。それに賛同するようにエマも
「そうですね、私もそれがいいと思いまう。」エマも笑顔で言ってくるため、何も言い返せなくなったためエリオットも承知する。
「大丈夫ですよ。エリオット君にもあとで勉強は教えてあげますから。」エマが最後にエリオットに勉強を教える。と言って部屋を出ていく。
「はぁ……大丈夫?エレナ。早く元気になってね。」そういってエリオットはベッドの横に椅子を持ってくると、エレナの頭を一撫でしてからエレナの部屋を見回す。
どうやら部屋はエレナとフィーの空間で区切ってあるらしくほとんど何もないフィーの部屋に比べ、エレナの部屋は写真や本などが大量に置いてあった。そんな中で床に落ちていたある一枚の写真に目が留まる。その写真はエレナとフィーが巫女服を着て立っており、その背後に3人の男性が立っている写真だった。
「へぇ……エレナもこんな服着るんだ……」誰に向けられたわけでもない呟きを発しているとエリオットも眠たくなったのかウトウトし始め、そして寝てしまった。
~~☆~☆~~
「ん……ふぁ~、あれ、僕寝ちゃってた?」窓から差し込む夕日で目を覚ましたエリオットは自分が寝てしまったことに今気づいた。
「ふぁ……なんでエリオット君が私のへやぁにいるのぉ?」どこか幼げな言葉づかいで語りかけてくるエレナにどこか不思議に思いつつもエレナの看病のために残った、と伝えた。
「そうなんだぁ……ねぇエリオット君、ギュッてしていい?」両手をエリオットの方に突出し真っ赤な顔で抱きついていいか?と聞いてくる。
「えっ?あ、ウワップ」エリオットの了解を待たずにエレナはエリオットに思いっきり抱きついた。
「え?!ちょっエレナ、」「私寂しかった……」エレナどうしたの?そう聞く前に抱きついてきたエレナから言葉が発せられる。
「私、昔から一人でいるのが寂しかった……暗くて、雨が降って、雷が鳴る中に一人でいることも何度もあった。今日みたいに風邪をひいて一人で部屋にこもることもあった。そんな時、誰かそばにいてくれるだけで、私安心できたの。今日も一人で泣きそうになってたらエリオット君が私の手を握ってくれてた。それがとても、うれしかった。」エレナに言われてはい馬手エリオットは自分がエレナが目を覚ますまで手を握っていたことを思い出す。
「うぅ……ひとりは寂しかったよぉ……ぇぐ……エリオット君もう少し、こうしてていぃ」エリオットに抱きついた状態で大粒の涙をぽろぽろとこぼしながらも笑顔でそういう。
「うん、いいよ、エレナ。君の思う存分。好きなだけ抱きついてていいよ。好きなだけ泣けばいいよ」それに対してエリオットも珍しく頼れるところを見せる。
そうして5分ほどするとエレナの泣き声が収まると、今度は規則正しい吐息の音が聞こえるようになる。
「あはは……エレナ寝ちゃったか。さて、僕は下に降りるかな。ってエレナが離れないや。」エレナにガッチリ抱きつかれエレナの腕から抜け出せなかったためエレナが手を放までずっとその体勢でいることになったエリオットは結局その後エレナがベッドに戻るまで1時間ほどたってから解放されたエリオットは何とか夕食に間に合ったとか。
なんか今回ぶっちぎりで最高字数更新しましたw
これから1週間ほど私事で更新できないため思い切って書きました。
この分に対して読みにくい等のことがあれば容赦なく感想に書き込んでもらって結構です。
誤字脱字報告・感想・アドバイスよろしくお願いします