東方病愛録   作:kokohm

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メディスン・メランコリーの愛

 

 本日より、習慣である日記を再開することにした。ようやく、幻想郷に来たことによる混乱と、それに付随したどたばたも収まった。まったく、上白沢さんと始めとした人里の方たちには頭が上がらない。

 

 しかし、習慣であったとはいえ、日記を手で書くのは大変久しぶりだ。小学生から書いてはいるが、高校生になって以降はパソコンで書くようになっていたので、手書きは本当に久しぶりのこと。面倒がらず、これからも続けられるようにしていきたい。

 

 

 

 

 今日、小さな女の子に会った。メディスン・メランコリーという小柄な少女だ。出会ったのが人里の外だったので、親とでもはぐれてしまったのだろうかと声をかけた結果、何とその少女が妖怪だと知って大変驚いた。本当に、この世界は油断ならないと改めて実感した。

 

 その少女、メディスンだったが、意外にも彼女は俺に危害を加えるようなことはしてこなかった。どうやら、妖怪と言っても全員が全員人を襲うわけではないらしい。もっとも、彼女はその気にならないと言っていたので、普通に襲われていた可能性もあったのだろうが。ともかく、無事に帰宅し、こうして日記を書く事が出来たので良しとしよう。

 

 

 

 

 今日、またもやメディスンと出会った。今回も、人里の外を少しばかり散策していた際のことだった。正面からばったりと、逃げようもないほどに見事に出会ってしまったので、どう反応するべきかということで非常に頭を回したような気がする。結果、前回のことも踏まえて警戒は少なめにして声をかけたところ、何とか彼女に襲われるということなく会話を行う事が出来た。

 

 その後、何故か彼女に話し相手として付き合って欲しいと頼まれた時は、非常に困惑した。妖怪相手に世間話でもすればいいのかと悩んでいると、彼女の方からその意図を言ってきた。正直、話が飛び飛びで理解が難しかったのだが、どうやら世間という物を知るために話し相手を欲していたらしい。おそらく、会話が微妙に編な調子だったのも、その辺りが原因なのだろう。ただ、その時はもう時間も遅かったので、続きは後日という流れになった。さて、どうするべきなのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 今日、メディスンに会いに行った。結局、彼女の話し相手をやってみるというのもありかと、そんな風に思ったのが理由だ。まあ、こうして日記が書けているのだから大丈夫だったのだが。

 

 彼女との会話は、何と言うか、見た目どおり子供を相手にしているようであった。基本的な部分は普通なのだが、所謂常識に疎く、時折解説のようなことをする羽目になった。まあ、これも会話に付き合う一環だと納得してやったけれど。中々面白かったので、また相手をすることになったが、果たして安請け合いして良かったのだろうかと今更ながらに疑問に思う。

 

 

 

 

 

 メディスンと交流するようになって、今日で一年を迎えることになった。何だかんだ、妖怪であるはずの彼女と長く付き合っていることに我が事ながら驚きを隠せない。案外、彼女との会話が楽しかったのが原因か。まあ、おかげで、人里の外に出ても他の妖怪に襲われることがなくなったのはよいことだが。

 

 あと、それを記念して彼女に贈り物をした。と言ってもそれほど高い物じゃない。香霖堂で売られていた、それほど珍しくもないネックレスだ。どうかなと思いつつ渡してみたが、どうやら喜んでくれていたようだったので良かったと思う。

 

 

 

 

 

 

 今日、彼女が包帯を巻いていたのには驚いた。それも、顔の左半分を隠すほどのものだ。何かあったのかと彼女に聞いてみたら、何でも他の妖怪との戦いで怪我をしてしまったらしい。未だに会話慣れしてない成果、話は少し分かり難かったが、それはまあ仕方ない。問題の怪我の程度だが、彼女曰く大したことはないらしく、これから治しに行くとのことだった。まあ、そちら関係に疎い以上、彼女の言葉を全面的に信用するしかないだろう。

 

 そんな状態の彼女だったが、何とプレゼントを貰うことになった。この間渡した分のお返しだと言っていた。怪我をしている中わざわざ渡しに来てくれた彼女の思いに答え、遠慮なくそれを受け取ってきた。まあ、帰ってから忙しかったせいで今の今までその正体を見られていないのだけれど。身体の一部分ぐらい大事な物らしいので、とても正体が気になるが、もう夜も遅い。とりあえず、明日の朝一番に確認することにしよう。

 

 

 

 

 

 

 昨日、メディスンから受け取ったプレゼントの中身は、何とも奇妙な物だった。大きさとしてはピンポン玉ぐらいだろうか? 基本的に白で、一箇所だけ青い丸が書かれた球体だ。青の中には、黒い丸もあるように見える。いまいち用途とか、正体とかがピンと来ない代物だが、彼女がわざわざくれたものだ。ありがたく受け取っておくことにした。

 

 だが、これをそのまま持ち歩くというのも面倒な気がした。そのため、人に頼んでネックレスに加工してもらうことにした。結果として、上手い事仕上がったのでこれからは首にぶら下げておくことにする。ただ、加工を任せた相手がこれを不気味がっていたのは気になったが。目玉がどうこう、と言っていたが、まさかそんなことはないだろう。目玉はこんなに硬くない。

 

 

 

 

 

 

 今日で、幻想郷に来てから十年になった。時が経つのは本当に早い。もう立派なおっさんだということに若干脱力してしまうが、まあ仕方のないことだ。

 

 メディスンとの交流も、未だに継続している。こっちが順当に歳を食ったのに対し、あちらは少女の姿のままで変わりない。やはり種族が違うのだなと、僅かばかり寂しくも思う。もういい加減、彼女に世間を教える必要もない気がするが、しかし中々彼女との付き合いを止める気にもならない。もしかしたら、一生このままだったりするのだろうか。あるいは、それもまたいいのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 面倒なことになった。何と、見合いを勧められてしまったのだ。正直な話、面倒くさくて仕方がないのだが、しかし相手の言い分にも一理ある。いい加減、独り身のままふらふらとしているのも良くないのも分かる。どうしたものか。

 

 

 

 

 

 

 結局、見合いを受けることになった。しかも、こちらが返事をしたその日のうちにだ。面倒なことに、どうやら根回しは済んでいたらしい。このままだと、今日会ったばかりの相手とそのまま結婚してしまいそうだ。どうにも、相手も乗り気なようであったし。ただまあ、それほど悪い相手というわけでもない。いっそ、受け入れてしまうのもありなのだろうか。もっとも、このネックレスを不気味がられた事に関しては、些か感心しないことなのだが。

 

 

 

 

 

 

 メディスンについ、お見合いのことを話してしまった。口が滑ったとしか言いようがなかったが、まったくもって迂闊だった。おかげで、彼女の機嫌を取るのに大変苦労した。本当に、大変だった。

 

 

 

 

 

 面倒なことになった。少し前と同じ書き出しになったが、本当に面倒だ。まさか彼女に、メディスンと会っているところを見られてしまうなど、まったくもって一生の不覚だ。しかも、もう会わないでとうるさいことこの上ない。とりあえず、適当に誤魔化しておいたのだが、しかし本当にそろそろ潮時なのだろうか。

 

 遠からず、俺は彼女と家庭をもつことになる。そうなれば人付きいも増えることになるし、何より子供が生まれるだろう。そうなればこれまでのように、ひょいひょいと外に出てメディスンに会うということも難しくなるだろう。メディスンも大分世間に慣れてきたところでもあるし、いい加減教師役は必要ないかもしれない。今度、切り出してみようか。

 

 

 

 

 

 

 案の定、メディスンはこの交流がなくなることを嫌がった。どうしても駄目なのかと、仕舞いには涙を流していた。心苦しかったのは事実だが、ここで折れては意味はないと、心を鬼にして彼女の懇願を突っぱねた。

 

 最終的には彼女も納得してくれたのが、とある提案もしてきた。最後に、彼女が住む無名の丘とやらに招待したいと、そういうことだった。こちらが無理に交流を断ち切る手前、その申し出を断るのも気が引けた。そのため、彼女の最後の頼みを受け入れることにした。明日、彼女の案内でそこに向かう。何でも、そこにある花畑が大変綺麗らしい。彼女が望んだので、気恥ずかしいがこの日記も持っていこう。こんなものを読んで何になるのかと思うが、これも最後の頼みだ。明日からの日記は、また新しいものに書くことにして、この日記最後の文を書き終わることにする。

 




 はい、メディスン回です。日記風ですが、日付が書かれていないのは、まあ理由は幾つかありますが、単純に面倒くさかったから、ですかね。メディスンのキャラが頭の中で固まらなかったのがなあ……。

 今回は、ううん……、何か良く分かりませんね。狂気じみた部分はあるのですが、少なくとも日記には出ていないといった風。おそらく、彼は色々なことに気付いていなかったのでしょう。その結果が、彼の結末ということで。

 さて、次回。いよいよ六十話ですね。一応は、少女たちの、の三話目を書くつもりです。テーマとしてはまあ、バッドエンドかな? そんな感じのものを予定しています。ううん、デッドエンドの方が近いかな。分かりませんね。まあ、適当に書いて行くつもりです。しかしまあ、そろそろ狂気全開の話を書けるようになりたいものです。ではまた。
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