特別回。順に魔理沙、映姫、チルノ、輝夜となっています。
その八.想われて
……熱い。お腹が、焼けているかのように様に熱い。
「お、お前が悪いんだぜ……」
どうして、こうなったんだっけ。……駄目だ、思い出せない。
「お前が、私以外を見ているから。私がいるのに、他のやつにデレデレするから」
魔理沙の声が聞こえる。……魔理沙って誰だっけ……? …………ああ、そっか。友達だ。良く遊んでいる、親友だ……。
「私はお前の…………なのに、お前は……」
聞こえない。魔理沙の声が、段々と遠くなっていく。
「でも、安心しろ。今すぐ、治し……からな。これでお前も…………たって、信じているぜ」
……冷たい。熱いのに、冷たい。……意識が、薄れていく。
「これからはずっと……いような。私の家に…………から、そこで……」
…………眠い、なあ。
その九.黒
――おや、貴方ですか。お久しぶりですね、と言っても、霊魂の状態では話すことも出来ませんか。
……ふふっ、まあいいでしょう。数十年ぶりの再会です。審議に入る前に、少しばかり私の独り言に付き合ってください。ああ、ご安心を。今、ここにいるのは私達だけです。決して、貴方の過去を他人に語るような真似はしませんから、ゆっくりと私の言葉を聞いていてください。
……私と貴方が初めて会ってから、どれ位経ちましたかね。いえ、覚えてはいますよ? ただ、こういう時はぼかしたほうがらしい、というだけですので。まあ、それはともかくとして。確か、博麗神社での宴会でしたね、私達が会ったのは。貴方は一人、面白くなさそうに酒を飲んでいたのを覚えています。
――知っていましたか? 私、あの時から貴方の事が好きだったんですよ。俗に言う一目惚れですね。表に出すようにはしてなかったので、知らなかったでしょうね。白黒はっきりつけるはずの私が、理屈抜きの一目惚れなんて、まったくおかしな話でしょう?
ま、それも結局、意味のないことでしたけど。何せ、貴方には恋人がいましたからね。貴方があの宴会の場で、愛する恋人と仲睦まじく語り合っているのを見て、私の恋は早くも終わってしまいましたよ。……ええ、まったく。終わってしまったまま、何十年も経ってしまいましたね。
…………ああ、そうそう。貴方の判決ですが…………、
――黒、です。
それもただの黒じゃありませんよ? 地獄での罪の浄化も、転生による放浪も許しません。未来永劫、私の傍に居続けるのです。自由移動も、自由意志も、何もかもを与えません。
貴方はただ、永遠に、私と共にいるのです。ふふふ………………。
その十.全ては凍った
……夢。そう、これはあたいの見ている夢だ。
「……もう、ここに来ることは出来ない」
「――何で!?」
あたいが叫ぶ。それに、あいつは顔を伏せながら言う。
「……会うなと、世話になっている人たちから言われた。この間、お前と一緒に居たのを見られたんだ」
妖精と一緒に居ては危ないと、そう言われたんだとあいつは言う。
「あたいより、そいつらの方が大事なの……?」
「……こっちに来てから、随分と世話になっている。意を曲げてでも、これ以上心配をかけたくない」
あいつの顔は苦しそうに歪んでいる。それを分かっていながらも、あたいは納得できていない。
「だ、だけど。こっそり会うくらいは……」
「無理だ。もう、一人で人里を出ることは出来ないだろう。今日だって、これで最後だと無理を言って出てきたんだ。この次はない」
「じゃ、じゃあ……」
「もう無理なんだよ、チルノ。――今日で、俺達はお別れだ」
そう言って、あいつは立ち上がる。それにあたいは、すがるようにその手を取る。
「待って! お願いだから、待って!」
「……」
「もうイタズラもしない! 人間には迷惑をかけない! だからあたいと――」
「――さよなら」
あたいの手を振りほどいて、あいつは外に出て行こうとする。
「ま――」
――その時、何故あたいはそんなものを手に取ったのだろう。思わず、何を考えたわけでもないのに、あたいはそれを手に取った。
「待って……。待って――!」
そして、それを――
「……ん、んん」
そこで目が覚めた。ぼんやりとしたまま辺りを見渡す。あたいの家だ。いつも通り、いい感じに空気が冷えている。
「――おはよう」
傍らに寝るあいつに声をかける。まだ眠いのか、あたいの声に動くことなく、目を閉じて眠ったままだ。
そう、結局あいつはここを選んだ。あたいの隣に、いる事を選んだのだ。あんな夢など、所詮は悪い夢。これが、現実だ。
「ねぼすけだなあ、本当に」
そう、あたいは笑う。そして、そのねぼすけの身体をぎゅっと抱きしめる。
「じゃあ、あたいももう少し寝ようかな」
ひんやりとした心地よさに、段々と意識が遠くなっていく。
「――おやすみ」
……おやすみと、あいつの声が聞こえた気がした。
その十一.永久に
「ずっと一緒に居ましょうね」
そう、彼女は言った。だから俺も、ああと頷いた。彼女の言うずっとが、どういう意味なのかは、俺なりに分かっているつもりだった。だけど、それでもいいと思ったから、俺は確かに頷いた。
……だけど、どうしてだ?
「輝夜……」
何故、俺は彼女に? 何故、彼女は俺を? 知らぬ間に、俺は彼女を? ……何故?
「私ね、考えていたの。ずっと、ずっとね」
何を?
「私は、貴方と一緒に居たい。でも、貴方を私達と同じ存在にするのは嫌だった。貴方に、同じ罪を与えたくはなかった」
でも、俺にはその覚悟はあった。だから、君の言葉に頷いたのに。
「でも、ようやく答えを見つけたの。貴方と、永久に一緒にいる方法を」
……それは、何だ?
「――貴方を、食べてしまえば良いんだって」
……え?
「妖怪みたい、なんて思う? 思うわよね。でも、もう他にはないのよ」
待て、待ってくれ。何で、口が動かないんだ。彼女を、止めないといけないのに……。
「貴方は私の中に入る。私は永遠に生きる。つまり、私と貴方は永遠になれる。ね? 良い考えでしょう?」
何故だ、何故、何故そんな……?
「――私と、永久に
待ってくれ。待って…………。
はい、六十話目の記念回です。ちょいと短いですが、どうかご容赦を。今回のテーマとしては、まあ、バッドエンドというか、デッドエンドというか、そんな感じですね。元の予定にない話が半分くらいあるので、ちょいと方向性はおかしくなっているかもしれません。全体的に独占欲による結果、故意、そして過失といったところでしょうか。魔理沙が始めから狂っていて、チルノは彼を殺してしまったことで狂い、映姫は不気味で、輝夜は苦悩の末、といったところですかね? ぶっちゃけ、私もよく分かっていません。相変わらず、キャラたちに勝手に動いてもらった形です。本島ならもう一話ぐらい書いた方がバランスが良いんでしょうけど、いまいち乗らないので今回はここまでということで。
さて、次回。どうしましょうかね。リクエストから正邪とか、まあ一応は考えていますけど、どうなるか。実のところそこまで正邪って好きなキャラじゃないんですけどね、なんとなくアイデアは振ってきたのでまあ、書こうかなあ、どうしようかなあって感じです。あ、ついでなんで書いておくと、おそらく月の姉妹に関しては今後リクエストを貰っても書かないと思います。個人的にあまり好きではないのが主理由ですが、そうでなくともこういうのと致命的に合わないと考えているもので。ファンの方はすみません。……とまあそんなところで、今回はこんな感じでした。ではまた。