――月――日
人里で一人の男性と目が合った。偶然で、距離もあったので特に話してはいない。
しかし、妙に気にかかる。あの男性の顔が頭から離れない。
何故?
三日後、取材の予定を入れる。
――月――日
再び、例の男性を見かける。取材中であったので、すぐにその場を離れる。
今日は取材にならなかった。身が入っていない、と相手に言われているような感覚があった。気にしすぎだろうが、無視も出来ない。
あの男性のことを考えていたのが原因だろう。何故考えてしまう?
はたてに相談? 無理。
明日、椛と会うときにでも訊いてみる。
――月――日
三度、例の男性の姿を発見。つい、その後をつける。どうやら人気があるらしい。よく人に呼び止められていた。
一軒の家に入っていく。おそらくは自宅だろう。やはりこの里の住人であったらしい。流石に家を訪ねるわけにも行かないので、そこまででその場を離れた。
最近取材帳が日記然としている気がする。いいのだろうか?
一週間後、頼んでいた筆記用具が入る。買いに行く事を忘れずに。
――月――日
例の男性と偶然茶屋で会う。向こうから話しかけられたので、適当に話をする。
思いの外有意義な会話が出来たと思う。どうやらかなり理知的な人物らしい。しかし妙に知識があったような気も?
彼と話した後、確かな充足感を覚えた。しかし、その後に寂寥感のようなものもあった。どちらも、何故?
椛の言う通りなのだろか?
――月――日
彼の事をそれとなく調べてみる。有名人のようだから、おそらく調べるのは難しくないと思う。
名前は…………であると判明。なんとなく口に出してみる。変に口に残る。今までにない感覚。
どうやら外来人であるらしい。あの知識量も納得。幻想入りしたのは最近らしいが、もうここに馴染んでいる。精神が強いのだろう。
――月――日
彼の追跡を行う。理由は自分でも分からない。彼と見かけたら、何故かそうしたくなった。
――月――日
意を決し、こちらから話しかけてみた。前回の事を覚えていたらしく、すんなりと会話を始める事が出来た。
私が新聞記者であると言うと、思いの外食いつかれた。興味があるとのこと。明日にでも新聞を持っていく。
ついでに他にも回ってみる。
――月――日
定期購読の契約が取れた。彼のお眼鏡にあったらしい。これでどうどうと彼に会いにいける。
他を回るのを忘れた。仕方ない。
――月――日
名で呼ばれた。私が驚くと彼は気まずそうだった。
名で呼ばれる事を了承する。その方が楽とのこと。
私も呼ぶべきだろうか?
――月――日
これで四回目。結構仲も深まってきたかと思う。出かけるのに誘う? 要検討。
――月――日
写真を取る事を提案。しかし拒否される。苦手とのこと。
でも諦めきれない。
――月――日
取材中に彼と遭遇。難解だと思っていた取材が彼のおかげで円満に終わった。縁が多いらしいと感心。正直羨ましい限り。
――月――日
彼の家にいく。おすそ分け。
家に彼がいない。無駄足。
――月――日
彼の好物が判明。練習の必要あり。
――月――日
彼の写真を取る。良い笑顔だった。私だけの幸運の品として大事にする。
――月――日
彼の家に向かう。今日の新聞は自信作だと思う。
彼の家ではたてと遭遇。知り合いであったらしい。少し気に入らない。
早々に退出。彼がはたてに笑うのをみるとむかむかとした。
――月――日
彼にはたての事を訊かれた。適当に答える。
聞き返すとはぐらかされた。警戒の必要あり? 不快。
――月――日
明日は縁日。取材の予定あり。
彼を誘ってみる?
――月――日
彼とはたてが待ち合わせをしていた。浴衣を着飾るはたてが憎たらしい。あの能天気な顔を思い浮かべると不愉快になってくる。
取材は散々。今回は失敗だろう。
――月――日
彼の様子がおかしい。上の空である事が多くなった。もしや?
だとしたら許さない。
――月――日
みた。かれとはたて。
だきあっていた、何故。
何故。
何故?
――月――日
決めた。
――月――日
にとりさんから工具を借りる。用途を聞かれたが無視。
おそらくこれで十分。
――月――日
準備完了。
――月――日
決行。
――月――日
はたての死体が見つかった。
彼は泣かなかった。やっぱり心が強い。
――月――日
彼が泣いていた。人前では泣かなかっただけのようだ。
涙を流されるのは不快。でも私の前で泣いてくれたことは嬉しい。
複雑。
――月――日
彼の家に通いだして十日。彼もようやく立ち直ってきたらしい。その調子。
――月――日
だいぶ元気になったよう。これなら大丈夫?
――月――日
夜、寝ている彼が彼女の名前を呟くのを聞いた。まだ終わっていないのか。
――月――日
どうしようもないと結論。月並みだが、時間が解決させるのを待つ。待つのには慣れている。
――月――日
今日で半年。
――月――日
一周忌。彼に頼まれ一緒に飲む。これほど美味しくないお酒は初めてかもしれない。
――月――日
吹っ切れたと彼が言った。本当だろうか?
でも、何となく本当のようにも見える。もう少し観察。
――月――日
彼が笑う事が多くなった。やはり吹っ切れたらしい。良いことだ。
後もう少し?
――月――日
これは夢だろうか?
――月――日
夢ではなかった。
ようやく願いが叶ったらしい。嬉しいとしか言いようがない。
――月――日
とんとん拍子で話が進んでいく。そうか。これが、私が望んだものなんだ。
やっと、正しい道に乗ったということか。
――月――日
明日はとうとう式当日。これほど明日を待ち望んだことはない。ここに来るまで長かった。
明日、私は幸せになる。
――月――日
とうとうこの取材帳も一杯になった。途中から日記だったが、まあいいだろう。
これは記念にとっておくことにする。彼にも見られないような場所に保管しておこう。
誰かに見られたら、その時は――
「――見ましたね?」
はい、文の回その二です。何となく思いついて、前に書いた奴の裏話というか、表というか、そういう話にしてみました。形式としてメモ帳にでも書き連ねるという風にしてみたのですが、やはり短いですねえ。短文をちょこちょこ書く方式だとそうなるのも当然ですけど。ま、これは今回限りでしょうね。やるならもうちょっとちゃんとした日記形式ですね。あ、日付を書いていないのは、幻想郷の暦をどうしようか悩んだからです。一々日付を考えるのも面倒だったし。
まあ、今回の話って書いてみたけれどあんまりなあといつも以上に思っています。ろくに表現できてないのがやっぱりね。場合によってはこの話は消すかもしれないです、と言うだけ言っておきます。多分消さないと思いますけどね、面倒ですから。
次回はまあ、また思いついたときにでも。流石に次回は通常通り、普通の文を書きます。ただ、最近はとんといいのを思いつかないので、やっぱり次回までは長くなると思います。申し訳ないですと先に謝っておきます。ではまた。