ソードアート・オンライン00-A wakening of the Trailblazer-   作:〜レオス〜

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リボンズの戦闘を大幅に変えました


第十三話 終末ー結末ー

俺は先程まで血盟騎士団の本部にいた。

理由はヒースクリフとリボンズに呼ばれたからだ。キリトとアスナもいた。

用件はこうだ。75層の偵察をしていた。先遣隊がボス部屋を覗いてみたら跡形もなく消えてしまっていたということ。その部屋は結晶無効化エリアということ。

そのボス討伐に俺たちも参加してくれとの誘いだ。

俺たちは当然断る理由もなく、了承した。

 

集合は3時間後の75層コリニア市ゲートだ。

 

 

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俺は一旦自宅に帰った。

リズベットに攻略参加の意思を伝えにだ。

 

「戻ったぞ。」

 

「おかえり〜、呼び出しってなんだったの?また勧誘?」

 

店の開店前の準備をせっせことしているリズベットが出迎えてくれた。

 

「いや、それがだな……」

 

俺は今回のボス攻略がいつもの数倍危険でそれに参加するということを伝えた。

 

「……そんなに危ないの?」

 

「あぁ。死の確率は桁違いらしい、ヒースクリフの話では先遣隊が扉を入った瞬間やられたそうだ」

 

正直俺もどうなるかはわからない…

 

「…はぁ…どうせ止めても行くんでしょ!?だから止めないわよ、その代わり約束して。」

 

だが……

 

「あぁ、俺は死なない、生きて未来を切り開くからな。」

 

「うん……セツナがこの世界を終わらせて…約束よ…」

 

「あぁ……」

 

涙目になって手を伸ばしてきたリズの手をとり、そのまま抱き寄せ再び口付けをした。

 

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「そろそろ時間だ、じゃあ行ってくる。」

 

「気をつけてね。あとホラ、セツナ」

 

リズベットは俺に2本の剣を投げてきた。

 

「…これは?」

 

「セツナのGNソードを解析して作ったロングブレイド、ショートブレイドの新作よ。古いやつは置いていきなさい。」

 

「名前は……[GNソードII]…」

 

「それでやっつけて来なさい!あとGNソードも強化最大値までやっておいたから!」

 

「すまない…助かる。では行ってくる!」

 

俺はGNソードIIを装備し、走って75層に向かう。

 

「ホントに……死なないでね……」

 

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俺は集合場所についた。

 

そこにはキリト、アスナ、エギル、クラインが集まっていた。エギルが攻略に来るなんて珍しいな………

 

俺たちは集まって話をしているとざわざわとどよめきだした。

 

理由は明白だ、なんと今回の攻略にはヒースクリフだけではなくリボンズも来るからだ。

 

普段来たとしてもどちらか一方だが今回は2人の団長が参加とは………

 

「欠員は居ないようだな、よく集まってくれた。状況は既に知っていると思う。厳しい戦いになるだろうが、諸君の力なら切り抜けられると信じている。……解放の日の為に!」

 

「「「「おぉぉぉーーー!!!」」」」

 

「キリト、セツナ。君たちの《二刀流》、《セブンソード》そして《TRANS-AM》………期待してるよ。」

 

リボンズがこちらに来て笑いながらそう言う。

 

「は、はい…頑張ります。」

 

「…………」

 

「ふふふ……」

 

リボンズは笑いながら去ってゆく……彼はいったい……

 

リボンズがヒースクリフのところに戻るヒースクリフは、片手に何かを持って手を挙げた。

 

「では、出発しよう。……目標地点の場所までコリドーを開く」

 

そうすると周りがざわざわする。ヒースクリフさんが持っていたのは回廊結晶だったのだ。このアイテムは一時的にゲートを開く便利な物だ。希少な為、NPCショップでは売られていないのだ。それをあっさりと使用するあたり、この人がどれだけ攻略に力を注いでいるのかというのが解る。

 

「では、着いてきたまえ」

 

ヒースクリフがそう言い、ゲートを出現させると俺達はそのゲートに足を踏み入れた。

 

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ゲートを抜けたらそこはボス部屋の前だった。

 

「皆、準備はいいかい?今回のボスの攻撃パターンに関しては情報がない。基本的には僕たち血盟騎士団が前衛で攻撃を食い止めるのでその間に可能な限りパターンを見切って柔軟に対応してもらいたい。」

 

「「「「はいっ!」」」」

 

リボンズがそう言うと周りは声を揃え頷いた。

 

「では………総員!突撃!!」

 

ヒースクリフがボス部屋のドアを開け、剣を抜きボス部屋の中に向かい、それに俺たちも続いた。

 

中はドーム型の造りだった。俺達が中央に到着すると急に扉が閉まった。

やはり情報通り……

 

周りにはボスが見当たらずにただ静寂に包まれている空間だけであった。

俺は上空から嫌な殺気を感じた、上を見てみると赤い光が不気味に輝いている。

 

「上だっ!」

 

すると上から巨大な骸骨のムカデが落ちてくる。

 

「固まるな!避けろ!!」

 

俺たちがいたところはちょうど骸骨ムカデの落下地点だった。

 

俺の指事でほとんどは避けれたが3人取り残された。

 

「うぅ……」

 

「ひぃぃ…!」

 

「だ、だめだ……」

 

 

「止まるな!動くんだ!」

 

リボンズが指事したときにはもう遅く、3人は骸骨ムカデの鎌に切られ、飛ばされた。

 

俺とアスナとキリトが受け止めようとしたが受け止める寸前にポリゴン状になって消滅した。

 

「……っっ!」

 

「総員!あの鎌の攻撃には当たるな!おそらく即死効果がついているはずだ。」

 

ヒースクリフが叫ぶ。

 

「あの鎌を破壊する。アスナ、手伝ってくれ!」

 

「ならば私がもう一つを」

 

「俺たちは胴体への攻撃だ。行くぞ!」

 

キリト、アスナ、ヒースクリフが鎌を攻撃してるあいだに俺たちが胴体を攻撃する作戦だ。

 

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30分は経っただろうかなんとか両鎌を破壊し、止めもさすことができた。

 

だが……

 

「何人……死んだ…?」

 

「11……11人だ………」

 

「……これからまだまだあるってのに今回でもうそんなにやられたのかよ……」

 

他のプレイヤー達が俺達の後に続くように口を開いた。恐らく今回でこんなに苦戦するということはこれから更に上の層も今回、もしくはそれ以上だということだ。

 

そんなことを考えているとふと、ヒースクリフに目がいった。俺たちとは違い平然と立っていた。しかもHPはまだグリーンである。

 

 

あんなに長時間の苦戦をしたというのにもだ……

 

俺はそれを見てヒースクリフの方に向かった。

 

キリトも来たので俺達は顔を見合わせる、俺そのまま隠蔽スキルを使いヒースクリフに斬りかかりにいった。

 

まずキリトが片手剣のソードスキル《レイジスパイク》を発動させるといきなりのことで驚いたヒースクリフさんが盾で防いぐ、俺は短剣のソードスキル《ラピット・バイト》を無防備な所に放った。

 

普通のならこれで体力が減るであろう。だがコイツの場合はそうではなかった。

 

《Immortal Object》

 

コイツの目の前にはその文字が浮かんでいた。

 

「システム的不死…?どういうことですか団長……?」

 

アスナが驚きを隠せなく口元を手で覆いながら恐る恐るヒースクリフに問いかける

 

「………」

 

だがヒースクリフはアスナの問いかけを無視し、俺とキリトを鋭い眼光で睨む。

 

「見た通りだ。不死属性が付けられるのは基本的にはNPC、かユイみたいな例外、でもこいつはプレイヤー……つまりこのような調整が出来るものは限られてくる……」

 

「……この世界でゲームを進めていく内にある疑問が芽生えた。あいつは今どこから俺達を観察して世界を調節しているんだろうって。……でも俺は単純なことを忘れていたよ。それこそどんな子供でも知っていることを……他人がプレイしているRPGを傍から見ていてつまらないものはない……そうでしょうヒースクリフさん。……いや……茅場晶彦っ!」

 

俺に続けてキリトが言う。

ヒースクリフの正体が茅場晶彦であると、その事実に攻略組のメンバーからは驚きの声が

 

「……なぜ気付いたのか参考までに教えてもらえるかな?」

 

ヒースクリフはまるで開き直ったかのように微笑み聞く

 

「…前デュエルをした時、違和感を感じたんだ。普通のプレイヤーにはできない動作をだと」

 

とキリト

 

「やはりそうか。あれは私にとっても痛恨だった。君の動きに圧倒されてついシステムのオーバーアシストを使ってしまった…」

 

やれやれ困ったものだ。とヒースクリフはため息混じりに言う。

 

「そんな……ことって……」

 

アスナはショックを隠せないようだった。数歩後ずさり膝を折る。

 

ヒースクリフは周りを見渡しこう行った。

 

「確かに私は茅場晶彦だ。付け加えれば、最上層で君達を待つはずだったこのゲームの最終ボスでもある。……最終的に私の前に立つのはキリトくんだと予想していた。全十種類存在するユニークスキルのうち、《二刀流》スキルは全てのプレイヤーの中で最大の反応速度を持つ者に与えられる。魔王に対する勇者の役割をさせるためにね。だが……」

 

ヒースクリフは俺のほうを今までにないほどに感情を顕にして見る。

 

「彼の邪魔のおかげでセツナくんまでも……私の前に…イノベイター…革新者に覚醒してくるとは……」

 

「イノベイター……だと…?」

 

俺がイノベイター?革新者?なんだそれは……

 

「それについては専門家である彼が詳しく説明してくれるだろう。」

 

混乱してるところに血盟騎士団の団員らしい男が

 

「貴様が俺達の忠実……希望を……よくも……よくもおぉぉぉおっ!!」

 

 

そう叫ぶと茅場晶彦に剣を構えて走るが茅場晶彦はなにやら見慣れないウインドウ、GM専用のウインドウだろう、を開いて操作するとそのプレイヤーは麻痺状態になった。

いや、正確にはそのプレイヤーだけじゃなく、俺とキリト以外が麻痺状態になったのだ。

 

「君たちには特別に私の正体を看破した報酬を与えよう。今この場で私と戦うチャンスを。無論、不死属性は解除しよう。そして見事倒した暁にはこのゲームをクリアとし、SAO、アインクラッド内の全てのプレイヤーを開放しよう」

 

ヒースクリフの提案にその場がさらにざわつく

 

「まさか茅場晶彦、ここで俺達と戦うというのか……?」

 

「俺達2人を相手に勝てると思っているのか……?」

 

俺とキリトが納刀していた剣を抜く。

 

「いや、いくら私がシステムのアシストを最大限に生かしても君たちのコンビに勝てるとは思っていないさ、私の相手はキリトくん、君だ。セツナくんには彼が適任だろう」

 

ヒースクリフの目線の先には、黄緑色の髪でまるで世界を見渡すかのような目を持った美形の少年。

 

もうひとりの血盟騎士団団長。リボンズが立っていた。

 

「まったく…晶彦はせっかちだね…」

 

何を…言っている……?

 

「さすがに私もこれは想定外だった、プランが崩れたがここで勝てば何も問題は無い」

 

「それもそうだね、まったく…毎回毎回君のワガママに付き合う僕の身にもなってくれよ」

 

お前らは何を言っているんだ……?

 

「ん、みんなに紹介が遅れたね。そうさ、僕こそこのゲームを晶彦と共に開発した人間、いやこの世界での神!リボンズ・アルマークさ。」

 

リボンズは両手を広げくつくつと笑いながら俺やキリト、そして地面に付しているプレイヤーたちに名乗った。

 

「キリトくんとセツナくん……二人が私達に勝ったらゲームクリアにしよう……どうかね?」

 

「……いいだろう。ここで決着をつける」

 

キリトは黒と青の剣をギュッと握りヒースクリフ、茅場晶彦の前に立つ。

 

「リボンズ・アルマーク……この世界を作り…監禁した。その罪、俺が償わせる。」

 

俺はGNソードⅡを握りリボンズの前に立つ

 

「え……キリトくん、セツナくん!?」

 

「アスナ…俺は死なないから…君を置いて死なないよ。約束しよう。」

 

「キリトくん………」

 

 

 

「キリト!セツナ!やめろぉぉぉおっ!!」

 

「駄目だ!セツナ!キリト!」

 

クラインとエギルさんがそう叫ぶと俺はエギルに目を向けた。

 

「エギル、今まで俺達のサポートをしてくれてありがとうな。俺は知ってたぞ、お前が儲けた金を殆ど全部中層プレイヤーの育成に注ぎ込んでいたのを。それにプロポーズのとき何も知らない俺にアドバイスをくれてありがとう。」

 

「……クソッ……!セツナ……俺はっ……!」

 

俺がそう言うとキリトもクラインに話をしていた。

 

「クライン……あの時セツナと一緒にお前を連れていけなくて済まなかった……」

 

「て……てめぇ、キリト!謝んじゃねえ!今謝んじゃねえよ!許さねえぞ!向こうで飯一つ奢ってからじゃねぇと絶対に許さねぇからな!」

 

「解った、約束するよ。次は向こうでな」

 

 

 

 

「俺たちから頼みがある。」

 

「言ってみたまえ。」

 

「無論負けるつもりはないがもしも俺たちが死んだらしばらくリズベットとアスナを死なないようにしてもらえないか?」

 

「………わかった。リボンズは?」

 

「僕も構わないよ。」

 

「キリト君駄目だよ!そんなの……そんなのないよっ!」

 

アスナの叫び声がフロアに虚しく谺響する。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺はリボンズ・アルマークとのデュエルとの前に1つ聞いた。

 

「リボンズ・アルマーク……イノベイターとはなんだ…?」

 

「くっくく…そうだね、まずイノベイターとはいずれ全ての人間が行き着かなければならないステージのことだ。革新者、そうとも呼ぶ。」

 

「行き着かなければならないステージ……」

 

「僕はそれを探すためにもこのゲームの開始に合わせてわざわざ海外から来たんだ。そして2人見つけた……それは君と…あとはPoHという男だ。」

 

「PoHだと!?」

 

「彼は素質はあったんだが覚醒まではいたらなかった。せっかくイノベイターの概要を説明してあげたのに……」

 

「貴様は……貴様はいったい……」

 

「僕かい?僕は人類最初のイノベイターさ……そろそろデュエルを始めようか、晶彦のほうはもう始まってるみたいだね。」

 

俺はキリトたちのほうを見る。

キリトの攻撃はことごとく茅場晶彦の盾に防がれてる。

 

「僕たちも始めようか、イノベイター同士による殺し合いを!」

 

リボンズが剣を抜刀して切りかかってくる。

俺はロングブレイドでその一撃を防ぎ、ショートブレイドですぐに反撃に出る。

 

「くっ!」

 

「甘いね!」

 

リボンズは回転しながらで避け、そのままの遠心力で剣を横に大振り。

 

俺はさっと身を屈めて剣の下に潜り、リボンズの足を払う。

 

が、リボンズは上に飛びそのまま剣を逆手に持ち替え両手で握り俺の頭上を狙い振り下ろす。

 

咄嗟に反応して後ろに下がったことにより致命傷は避けたが切っ先が少し足を掠めてしまった。

 

「はぁ……はぁ……」

 

たった数撃のやり取りなのに今までに味わったことのないほど神経をすり減らしていた。

 

「さすがはイノベイターといったところか、いい反応速度だ」

 

それに比べてリボンズは余裕そうにゆらりと体制を立て直す。

 

「いいよ、次は君からおいで」

 

指をクイックイと曲げ挑発してくるリボンズ

 

「くっ……!舐めるな!!」

 

GNショートブレイドの先端を起点とし内蔵されていたアンカーを射出する。

 

「へぇ、さすがはあの子の剣だ。オリジナルのGNソードよりもだいぶ使い勝手が良さそうだね」

 

リボンズは関心したように言う。だがそれを一歩横に避けた。

 

だが

 

「舐めるなと言ったはずだッ!!!」

 

そのままGNショートブレイドを横に思いっきり振り、鞭のように撓らせてリボンズを追いかける。

 

「へぇ…そんな使い方もあるんだ」

 

だがリボンズはアンカーを真っ二つに切り裂いた。

 

ここまでは予想できていた…リボンズであれば初めて見せた技ですら反応してくると

 

だから俺は咄嗟にショートブレイドを捨て、ロングブレイドで突貫していた。

 

GNショートブレイドを捨てた瞬間全身の血液が一気に沸騰するかのような感覚を覚えたが気にせず突貫する。

 

「っ!?」

 

さすがのリボンズも今の攻撃には反応が遅れたのか避けずに防御の姿勢をとった。

 

リボンズの剣と衝突したロングブレイドはヒビが入り一気に耐久値が持っていかれた。

 

俺は一歩後ろに下がり、ロングブレイドをブーメランのように投擲した。

 

リボンズはそれを剣を振り下ろし叩き割った。

 

その瞬間もまた先程と同じような感覚を得る。

 

ーーーなんだこれは…?

 

「やってくれたね、なかなか速かったよ今のは……僕も本気を出さなきゃいけないみたいだね」

 

今まで本気ではなかったのか…末恐ろしいやつだ…

 

恐怖からなのかはわからないが口元が緩む。

 

残りは短剣2つと長刀2本、GNソード……

 

「遠慮なく行かせてもらう!」

 

リボンズは先程までとは比べ物にならないほどのスピードで迫ってきて、剣を下から大きく振り上げる。そして瞬間逆手に持ち替え、後ろに反って避けた俺の胸元を狙って剣が振り下ろされる。

 

「くっ!?」

 

横に転がるように避け、そのままの勢いで短剣を2本、リボンズの足に向かい投擲する。

 

「そんなもの!」

 

リボンズ は一蹴するだけでその短剣を粉々に破壊した。

 

「うっ……!?」

 

痛みとは少し違う高揚感が俺を襲った。

 

だがそんなことに狼狽えている暇はなく、リボンズの猛攻は続く。

 

「はあああああッ!」

 

リボンズのほうも本気を出してきたのか、剣の筋が最初と段違いだ。

 

あまり慣れない長刀2本では捌くだけで精一杯だ。

 

 

 

 

見えてはいるのに

 

 

 

 

違和感に気付いたのは長刀が残り一本となった時だ。

 

リボンズの動きは最初の頃でさえ見極めるのは困難だった。だが今となってはどうだ、明らかにあいて最初よりも数倍速い。俺の反応速度なんてとうに越えている。だがなんであの高揚感と関係が?

 

「そうか、そういうことだったのか…」

 

俺は残りのHPがついにレッドゾーンに入ったときだった。

 

長刀が破壊され、残りはGNソードだけになった。

 

俺の膝は折れていた。最後の一撃を叩き込もうとしたリボンズは剣を振り上げる。

 

「これで文字通り、ゲームオーバーだ!」

 

剣を振り下ろされる瞬間、その剣はまるでスローモーションのようだった。

 

 

 

 

刹那の瞬間。リボンズの剣を持つ手が切り落とされた。

 

そしてリボンズの目の前にいたはずのセツナはリボンズの背に立っていた。

 

「な、なんだと……!?この僕が、神であるはずの僕が、イノベイターであるだけのコイツに……???」

 

リボンズは驚きの顔を隠せない。そして後ろを見る。

 

そのセツナの背中が大きく、とても大きくリボンズには見えた。

 

そしてセツナは振り向き

 

 

 

 

そして俺は振り向き

 

「勘違いしていた。俺のユニークスキル、セブンソードは7つのスキルを繋ぐだけではない。7つの剣を繋げ段階を追って強くなるスキルだということだ」

 

「な、なんだと……?」

 

「……いや、これは違うな…剣が破壊された瞬間、色々な思いが伝わってきた……リズが必死になって作ってくれた武器、それにあの4本も手に入れたときのこと……見てないはずの光景や既に思い出すのが困難なほど昔のこと…あぁ、これは人の想いを繋げるんだ…」

 

「何を勝手なこと……!!!!」

 

リボンズの声に怒りが混ざり続ける

 

「君にその剣を与えたのも僕だ!君の力は僕のおかげであると言っても過言ではない!だからそのスキルも「それは違う」なっ!?」

 

リボンズの話を遮り俺は続ける。

 

「これは茅場晶彦からの力だ。たしかに貴様は俺やPohなどのイノベイターになりうる者に力を貸していたかもしれない。だが貴様は制作自体には関わっていないだろう。茅場晶彦からこのスキルを授かったのには意味がある。俺に貴様を倒して欲しいという茅場晶彦の意思を感じる、貴様を越えろとの茅場晶彦の願いが!」

 

GNソードを抜刀し、切っ先をリボンズに向ける。

 

「さぁ決着のときだ、リボンズ。人と人ではなく、イノベイターとしての」

 

「……いいだろう、やってやる!」

 

俺はGNソードに左手を添える。するとGNソードからTRANS-AMとは違う。純粋な緑色の光が俺の身を包む。そしてそれがGNソードの先端に収縮され一層輝きを増す。

 

リボンズも、切っ先をこちらに向ける。

 

そして一瞬、音がなくなり

 

「「はああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッ!!!!!!!」」

 

俺達は走り出した。

 

 

まったく、強いな君は…さしずめ純粋種と言ったところかな……ふぅ…かなわないな……

 

 

 

 

 

 

リボンズの胸を俺のGNブレイドが貫通する。だが同時に彼の剣も俺を貫通した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして2人は粒子になって消えた。

 

 

 

ほぼ同時にキリトのほうも決着がついたらしいが、俺にはそっちを見る余裕はなかった。

 

[アインクラッド標準時 11月7日14時55分

、ゲームはクリアされました。繰り返します。アインクラッド標準時………]

 

俺の意識はそこで途絶えた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺が目が覚めた場所は透明な床の上だった。

 

「ここは……?そうだ……キリトは……みんなは………?」

 

俺は辺りを見渡すがみんなの姿が見えなかった。すると俺の目の前にいきなり《最終フェイズ実行中 現在60%完了》と書いてあるウインドウが表示された。

 

俺にはよく理解できず、ウィンドウを無視する。すると後ろから声が聞こえた。

 

「セツナ……?」

 

この声はいつも聞いていた声、俺の心の中でいつも響いていた声……

 

「リズベット!」

 

リズベットが走ってくる。俺もリズベットに向かって走りお互いに抱きしめる。

 

「セツナ……約束通り、終わらせてくれたんだ。」

 

「あぁ……終わらせた…全て…」

 

 

 

「いい雰囲気のところ悪いね……ちょっと話いいかな?」

 

そこには研究服を着た二人の男が立っていた。

ひとりは本などで良く見た顔だ。

 

もうひとりは先程まで俺が殺しあってた人物の顔だ。

 

「茅場晶彦……リボンズ・アルマーク……」

 

俺はリズベットを後ろに庇うようにする。

 

「茅場晶彦……俺が宣言したことを覚えているか?」

 

「あぁ、私を殴り飛ばすんだろ?つい先程も殴られたがな……」

 

「そうか…」

 

俺は思いっきり茅場晶彦を殴った。

 

リズベットはいきなりで驚いていたが

 

「これで気は晴れた…今このゲームはどうなっている…?」

 

「現在、アーガス本社地下5階に設置されているSAOメインフレームの全記憶装置のデータ完全消去の作業を行っている……あと10分ほどでこの世界の全てが消滅するだろう」

 

「あそこにいた人たちはどうなったの……?」

 

「それには心配は及ばない。先程"生き残った全プレイヤー"、6147人のログアウトが完了した」

 

「…死んだ者たちは…やはり……?」

 

「……彼らはもうこの世にいない……だから蘇らせることはできない」

 

「………そうか……」

 

「ゲームクリアおめでとう、セツナ。それとリズベットもセツナのサポートをよく頑張った。君のおかげでセツナは僕に勝てたんだから。」

 

「は、はぁ……」

 

「セツナ、君に僕の夢を託すよ……じゃあ頑張ってくれたまえ…純粋種のイノベイターくん」

 

そういうとリボンズは風のように消えた。

 

「まったく…勝手な男だ。」

 

「キリトやアスナはどうなった?」

 

「彼らにも話をつけてある。………………では私もそろそろ消えるとするか……」

 

茅場晶彦もリボンズと同じように風のように消えた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺とリズベットは崩れゆくアインクラッドを見ていた。

 

「いろいろ……あったな……」

 

「えぇ……」

 

「自己紹介……するか?」

 

「え?」

 

「自己紹介だ。現実で会ったとき誰だかわからなくなるだろ。」

 

「ふふふ、まさかセツナからそんなこと言ってくるとはね。」

 

「う、うるさい!」

 

「はいはい、素直じゃないのね。私は篠崎里香、多分今17歳よ。」

 

「俺は聖永 刹那、多分16歳だ。」

 

「年下だったのね。しっかりしてるから年上だと思ってたわ。」

 

「逆に俺もリズベット……里香が年上だったとはな。」

 

「えへへへ…あっちでもずっと一緒に居ようね、刹那!」

 

「あぁ…」

 

俺たちは肩を寄せあったままアインクラッドと共に消滅した。


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