ソードアート・オンライン00-A wakening of the Trailblazer-   作:〜レオス〜

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流石に今回は少しは刹那くんの出番ありますよ。
でもキリトメインなんだよな〜仕方ないか


第二十一話 妹と恋人-直葉と明日奈-

和人は未だ直葉の部屋の前から動けない、一方直葉も部屋でまだ泣いている。

 

あの頃から俺は家族との距離感さえ分からなくなった…俺はこの家の本当の子供ではない……そのことを知ったのは10歳のときだ。この人は本当は誰なんだ…この人のことを本当に知っているのか…?その違和感が俺をネットゲームに向かわせたひとつの原因だ。誰もがお互いのことを本当に知らない偽りの世界…そんな心地いい場所に俺は耽溺していった。だがSAOでの2年間は俺をひとつの真理に導いた。現実も仮想世界も本質的には変わらない。その人が誰かという疑問に意味はない。出来るのはただ…信じ…受け入れることのみ…認識する誰かが本当のその人なのだから。現実に帰った俺はスグの顔を見て心から嬉しいと感じた。俺は誓った…この数年間で出来たスグとの溝を全力で埋めようと…でも俺は………

 

和人は立ち上がる

 

俺が…スグに出来ること…

 

「スグ?アルンの北側のテラスで待ってるから」

 

和人は自分の部屋に戻る。

 

「あんなに酷いこといったのに……強いね…お兄ちゃん…私は…そんなに強くなれないよ…」

 

直葉はアミュスフィアを付ける

 

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ALO内、場所はドームの門前だ。

 

「はぁ……でも…なんて言えば…」

 

「リーファちゃん!」

 

「んっ?うわっ!」

 

「もう、探したよリーファちゃん。」

 

「レ、レコン?サラマンダーに捕まったんじゃ…?」

 

「全員毒殺して脱出しました。」

 

「毒殺って…」

 

「それで、リーファちゃんを追いかけてきたんだ。あれ?そういえばあのスプリガンはどうしたの?」

 

「えっと…ね……私、あの人に酷いこと言っちゃった…口にしちゃいけないこと言っちゃったの…私…馬鹿だ…」

 

リーファは涙をふく

 

「ごめんね、変なこと言っちゃって。」

 

リーファはドームから街へ繋がる階段を降りる

 

「あの人とは…もう会えないから、帰ろ…スイルベーンに」

 

「リーファちゃん…」

 

レコンはリーファを追いかけ、追い抜き、手を握る。

 

「リーファちゃんは泣いちゃダメだよ!」

 

「な、なに…?」

 

「いつも笑ってなきゃリーファちゃんじゃないよ!僕が…僕がいつでもそばにいるから!リアルでもここでも絶対1人になんかさせないから!」

 

「ちょっ!」

 

「ぼ、ぼ、僕…リーファちゃん、直葉ちゃんのことが好きだ!」

 

「え…あ…その……」

 

目の前を見るとキスを迫るレコンの顔が

 

「何すんのよ!」

 

リーファの拳がレコンの腹に入り、レコンが吹っ飛び階段から転がり落ちる

 

「ごめん!大丈夫!?」

 

「いったたたた…おかしいな…この展開なら僕に告白する勇気があるかないかだったのに…」

 

「あんたってほんとバカね」

 

「うぅ……」

 

「…あっははははははは!私もたまにはあんたを見習ってみるわ」

 

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同じくALO内、場所は変わる

 

「……お前と里香が時間をかけすぎるからキリトたちどっかに行ってしまったではないか…」

 

「いいじゃん別に!刹那にぃだって里香さんがマフラー編んでくれるって言ったらすごい嬉しそうだったじゃん!」

 

「うっ………それは…あと前から聞きたかったんだがなんで俺のこと刹那にぃと呼ぶようにしたんだ?最近はそう呼んでなかったと思うが…?」

 

「あーそれはね、あのユイってナビピクシーいたでしょ?あの子が刹那にぃのことお兄ちゃんって呼ぶからさ、この人は私のお兄ちゃんなんだぞーってことをわからせてやるために……………ってなんでこんな恥ずかしいこと言わせてんのよ!」

 

「そうか、俺も昔みたいにそう言われて嬉しいぞ」

 

麗奈…ネーナは顔を赤くしていた。

俺たちは現在キリトたちと別れて行動している。

 

「ねぇ、リーファたちと合流しなくていいの?」

 

「あとですればいい話だ、それより俺も世界樹攻略のために開発したい技…いや魔法か…魔法があるからな」

 

「へぇ〜どんなやつ?」

 

「俺がSAO時代に使ってたTRANS-AMといって自分のすべてのステータスを一定時間3倍にするという技だ、まんま再現出来なくても近いものが出来ればいい……」

 

「う〜ん…じゃあ肉体強化系ってことね、いろいろ試してみよっか♪」

 

「あぁ、頼む」

 

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またまた場所が変わるがALO内

 

キリトは1人で待っていた。

するとリーファがこちらに飛んでくる。

 

「やぁ」

 

「お待たせ」

 

「………スグ!」

 

「お兄ちゃん、試合しよ?あの日の続き」

 

「……今度はハンデなしだな」

 

お互いに剣を構える

 

「どうりでさまになってたってことね……行くよ!」

 

リーファはキリトに超速の突きを放つ、キリトはそれを防ぎ剣を横ぶりする。

 

…がそこにリーファはいなかった。

 

リーファは飛翔してかわす、キリトもそれを追いかける。

 

「「くっ…!」」

 

空中で激しく打ち合う。

 

リーファは小さな浮島に降り、剣を上段に構える。

キリトも同じく小さな浮島に降り剣を構える。

 

リーファが先に動く、飛ぶのではなく跳んだのである。上段に構えた剣を空中で手放す。

 

「っ!!?」

 

キリトも剣を離し、落ちてくるリーファを抱きしめる。

 

「はっ……?」

 

「なんで……」

 

「どうして…」

 

「俺、スグに謝ろうと思って…でも…言葉に出来なくて…せめて剣を受けようって」

 

「お兄ちゃんも…?私の方こそ…」

 

「……俺、ホントの意味ではあの世界から帰って来てないんだ、終わってないんだよ。彼女が目を覚まさなきゃ俺は現実に帰ってこれないんだ。………だから、今はスグのことをどう考えたらいいかわからないんだ。」

 

「うん……私待ってる、お兄ちゃんが私たちの家に帰ってくることを………だから…私も手伝う!」

 

「うん!」

 

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再びドーム前の門

 

「え〜と……どうなってんの?」

 

レコンが尋ねる。

 

「世界樹を攻略するのよ、この人とあんたと私の3人で」

 

「そう………ってええええええ!?」

 

「ユイ、いるか?」

 

「はい?どうしましたパパ?」

 

「あのガーディアンについてわかったことは?」

 

「ステータスはたいしたことありませんが、なんといってもあの圧倒的な数ですね。あれでは攻略不可能なレベルに設定されてるとしか……」

 

「総体では絶対無敵な巨大ボスと変わりないってことか?」

 

「はい、でもパパのスキル熟練度なら瞬間的な突破は可能だと思います」

 

「みんな…すまない、最後に俺のわがままに付き合ってくれ…なんだか…時間がない気がするんだ…」

 

「私に出来ることならなんでもする。それとコイツもね」

 

「えぇ〜?まぁ僕とリーファちゃんは一心同体だし。いてっ!」

 

リーファがレコンの頭を叩く。

 

「調子のんな!」

 

「すみません…」

 

リーファはキリトの前に手を出す。

 

「頑張ってみよ。」

 

レコンはリーファの手に手を重ねる。

 

キリトもそれに重ねる。

 

「待ってーーーーーー!」

 

ネーナが飛んでくる。

 

「はぁ…はぁ……」

 

「先輩!?」

 

「サラマンダー!」

 

「レコン、この人は私たちの知り合いだから大丈夫よ。先輩、セツナくんは?」

 

「セツナにぃは同じ片手剣を探して買ってくるって」

 

「何やってんだアイツ……」

 

「セツナにぃは追いついてくるから先に行こ!」

 

ネーナは3人の上に手を重ねる。その上にユイが乗る。

 

「あぁ…そうだな…みんな、いろいろ助かったよ……ガーディアンは俺とネーナがなんとかする。リーファとレコンは俺たちのヒールを頼む、ヒールだけなら狙われないはずだ。」

 

「りょーかい♪」

 

「うん!」

 

「はい!」

 

「行くぞ!」

 

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ドームの中に再びキリトはいる。

 

少し後ろにネーナ、そのさらに後ろにリーファとレコンが回復の準備をしている。

 

「行くぞネーナ!」

 

「よっしゃーーー!飛ばすわよー!」

 

キリトとネーナは次々とガーディアンを切っていく。

体力が減ると下の2人が回復してくれる。

 

「(いける…!ネーナの動きも想像よりいい…)!!?」

 

壁に埋まってる光の玉から数十…いや数百のガーディアンが出てくる

 

「なんて数なの……」

 

「怯むな!うおおおおおおおお!」

 

キリトは大群の中に突っ込み切り続ける。

 

「私も負けるもんかああああああああ!!」

 

ネーナも同じように突っ込む。

 

「ぬおおおおお!」

 

キリトは襲いかかるガーディアンを払い除ける。

 

「はああああああ!」

 

ネーナも倒していく、がそれ以上にどんどんとガーディアンが増えていく。

 

「……ちっ…キリがないわね…っ!!」

 

見るとガーディアンは剣を構え、一斉に突撃してくる。

 

「ぐあああああああ!」

 

「きゃああああああ!」

 

「!レコン!」

 

「うん!」

 

リーファとレコンがキリトとネーナを回復する。

 

するとガーディアンがリーファたちを狙う。

 

「なんで僕たちがターゲットされてるの!?」

 

「多分あいつらは外とは違うアルゴリズムを与えられてるんだわ、これじゃあ前衛と後衛にわけてる意味がない…」

 

リーファがガーディアンを倒しに行こうとするとレコンがリーファの手を握り

 

「待って!リーファちゃん…僕…良く分からないんだけど…これ、大事なことなんだよね?」

 

「うん…多分これはゲームじゃないんだよ、今は。」

 

「……………僕が!僕がなんとかしてみせる!!!」

 

「え!?」

 

レコンは補助コントローラーを押し、ガーディアンの軍団に突撃する

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」

 

レコンは緑の斬撃を飛ばす。

 

「バカっ!危ない!」

 

リーファはキリトとネーナの回復をする。

 

無防備なリーファにガーディアンが2体来る。

 

「リーファちゃん!」

 

レコンが斬撃を飛ばしガーディアンを倒す。

 

「レコン!もういいよ!危ないよ!」

 

レコンは一度リーファのほうを見て微笑み、補助コントローラーを投げ捨て詠唱を始める

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜……」

 

「これは…闇属性魔法…!?」

 

レコンは火の玉のようになっていた。

 

「〜〜〜〜〜〜!!!!」

 

詠唱が終わるとレコンを中心に大規模な爆発が起き、周辺のガーディアンを巻き込む。

 

爆発が開けるとそこにはレコンのものと思われるリメインライトが、そして大きな穴が空いていた。

 

「自爆魔法……?相当なデスペナルティなはずなのに…あんた…!ほんとバカだよ!」

 

「ネーナ!あいつの犠牲を無駄にするな!特攻するぞ!」

 

「うるさい!私に命令するな!」

 

キリトとネーナは穴に向かい全力で飛ぶ。

 

穴まで後少しというところでガーディアンが身を呈して穴への到達を防ぐ。

 

キリトとネーナは体制を崩す。するとそこにガーディアンたちは剣を刺してくる。

 

「ぐっ…ぐあっ!……ああああ!」

 

「くっ……ああっ………ああああああ!」

 

「…………そんな…」

 

レコンが命をかけて開けてくれた穴ももうふさがってしまう

 

「そんな……無理だよ……無理だよこんなの……」

 

リーファは2人の回復をする。

 

だが2人同時に回復させてる、それに2人のHPは赤だったので時間もかかる。そんなリーファに2体ガーディアンが攻撃しにくる

 

「「「「「「「「うおおおおおおおお!」」」」」」」」

 

すると下から大勢の声が聞こえてくる。

それはシルフの大部隊であった。

 

「シルフ部隊?」

 

「どうして……」

 

次は背中に人の乗ったドラゴンが来る。

 

「ケットシーのドラグーン部隊!?」

 

「すまない、遅くなった。」

 

「ごめんネ〜全員の装備を整えるのに時間がかかっちゃってサ〜」

 

「……サクヤ!アリシャ!」

 

「ドラグーン隊!ブレス攻撃よーーい!」

 

「シルフ隊!エクストラアタックよーーい!」

 

「ファイヤーブレス!撃てええええええ!」

 

ドラグーン部隊のブレス攻撃でガーディアンが大量に倒れる。

 

「フェンリルストーム!放て!」

 

シルフ隊は剣先からレーザーのようなものを放つ。

 

「ありがとう!2人とも!」

 

「礼には及ばんよ、君たちにはお世話になったからな。」

 

「それに攻略の準備だって彼らから貰った大金で準備したんだヨ?」

 

するとサクヤは一息ついて……

 

「全員!突撃!」

 

「「「「「「「「「うおおおおおおおお!」」」」」」」」」

 

サクヤの合図で全軍がガーディアンに向かって突撃する。

 

「怯むな!行けええええええ!」

 

するとサクヤに向かってガーディアンが飛んでくる。

 

 

 

 

 

 

 

俺はそのガーディアンを火属性魔法で打ち抜く……

 

「来たのか!?」

 

「セツナにぃ!遅いよ!!」

 

「待ちかねたぞ、少年んんんんんんんんん!!!」

 

俺は片手剣を右手、左手に持つ。

 

「キリト!この上に行ければいいんだな!?」

 

「あぁ!そうだ、でも……」

 

「俺が切り開く!」

 

俺は上に向かい飛ぶ、だがガーディアンがすぐ来る。

 

「俺の道を!阻むな!」

 

2本の剣を使いガーディアンをなぎ払っていく。

 

「セツナ!」

 

キリトも敵を切っていく。

 

「2人に続け!」

 

ドラグーン隊、シルフ隊も次々と攻撃する。

 

「セツナにぃ!」

 

「ネーナ!やるぞ!」

 

「うん!」

 

ネーナが俺のとこまで来て俺の肩を掴み詠唱をする。

 

「〜〜〜〜〜……」

 

「セツナ、ネーナ……お前ら何を…やって…」

 

キリトは不思議そうに俺たちを見る。

 

「ネーナの魔法でTRANS-AMを再現する…そして!…」

 

「〜〜〜〜〜!」

 

ネーナの詠唱が終わるとセツナの身体が炎に包まれる。

 

「はああああああああ!」

 

セツナは超スピードでガーディアンを殲滅していく。

 

「す、すごい……」

 

「どうなっているんだ…?」

 

「全然見えないんだヨ!?」

 

みんなの視線が俺に集まる。

 

「キリト!一気に道を切り開く!その瞬間に突っ込め!」

 

「わかった!」

 

セツナの身体に纏われてた炎が2本の剣に集まる。

 

「TRANS-AM!ライザアアアアアアアアアアアアアアア!」

 

セツナの目が黄色くなり剣の炎が大きく伸び、それを横振りをする。するとその炎に当たったガーディアンは蒸発するように消滅していく。そこには大きな穴が

 

「キリト!行け!」

 

「行ってお兄ちゃん………行けええええええええ!」

 

「うおおおおおおおお!」

 

キリトはその穴に向かい全力で飛んだ。そしてついに天井に届く。

 

「……ふっ……全員反転、後退しろ。」

 

サクヤの合図でドラグーン隊とシルフ隊が帰っていく。

 

「飛んで……どこまでも空を翔けて…世界の果てまで…」

 

「………キリト、アスナを助けてこい。お前にしか出来ないことだ。」

 

「セツナにぃは行かなくてもいいの?」

 

「あぁ………これはキリトの問題だ、俺がこれ以上介入する必要はない……。俺はキリトからいい知らせがあったらすぐアスナのところに行けるように準備してるさ。」

 

「あー、近所の病院に入院してるんだもんね。」

 

「あぁ……(キリト、アスナを助けなきゃ俺たちの戦いは終わらないんだ…)」

 

俺とネーナはドームから出てログアウトする。

 

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「……くっそ…どうなってるんだ?」

 

キリトは剣を突き立て無理矢理こじ開けようとする。

 

「ユイ!」

 

「はい!パパ!」

 

ユイは天井に触り、情報を解析する。

 

「パパ、この扉はクエストフラグにより閉ざされてるわけじゃありません。システム管理者権限によるものです!」

 

「どういうことだ……?」

 

「つまりこの扉はプレイヤーには開けられません!」

 

「なっ!」

 

周りを見るとガーディアンが玉から出てくる。

 

「っ!……待てよ……あれは……」

 

キリトはアスナが落としてきたカードを取り出す。

 

「ユイ!これを使え!」

 

ユイはカードに触り情報を取り込む。

 

「コードを転写します!」

 

ユイが扉に触ると扉が一瞬光り、次の瞬間扉が開く。

 

「転送されます!パパ!手を!」

 

キリトがユイの手を握ると転送される。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「パパ!パパ!」

 

「ん……ここは?」

 

キリトが目を覚ますとそこは周りが真っ白な道の上だった。

 

「わかりません。マップデータがないので…」

 

「アスナの居場所はわかるか?」

 

ユイは目を閉じる

 

「近い…かなり近いです…はっ!こっちです!」

 

ユイは走り出す。

 

キリトも追いかける。

 

ユイは途中壁に手を当てそこの壁を破壊し、そこからの道を走っていく。

 

それを繰り返しているとついに外に出る。

 

そこはまさに世界樹の上、本来なら空中都市があるはずなのだが

 

「ここが…世界樹の頂上…ないじゃないか…空中都市なんて!なにがグランドクエストだ…全部嘘じゃないか…許されないぞ」

 

ユイがキリトの袖を引っ張る。

 

「あぁ、そうだ。全てはアスナを救い出してからだ。」

 

キリトは今自分のいる位置とほぼ反対の位置にある鳥籠を見て、そこに向かって走る。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

鳥籠の中、アスナは机に突っ伏していた。

 

「ママ!」

 

ユイの声を聞いてアスナは飛び起きる。

 

「ママ!!」

 

アスナは思わず泣いてしまう

 

ユイは壁を破壊してアスナに飛びつく。

 

「ユイちゃん!」

 

「ママ!」

 

「………ユイちゃん…」

 

「ママ…ママ…!」

 

2人が抱き合っているとキリトが部屋に入ってくる。

 

「………キリトくん…」

 

キリトとアスナはオデコをあわせて目をつむる。

 

「…ごめん…遅くなった…」

 

「…ううん…信じてた…きっと…助けに来てくれるって…」

 

オデコを放し、目を開ける。

 

「さぁ、一緒に帰ろう。」

 

「…うん」

 

「ユイ、アスナをログアウトさせられるか?」

 

ユイは首を横に振る。

 

「ママは複雑なプログラムで校則されています。ログアウトさせるにはシステムコンソールが必要です。」

 

「私、ラボラトリーでそれらしいもの見たよ」

 

「っ!!」

 

何かが来る。キリトはそう思い剣をいつでも抜ける体制になる。

 

すると嫌な感じが走る。

 

「な、何!?きゃっ!」

 

この場の重力が何倍にもなる。

 

「ぐ…ぐぐぐぐ…」

 

キリトはアスナ、ユイに手を伸ばす。

 

がそれすらも叶わないほどの重力がかかる。

 

「ユイ!この状況は!?」

 

ユイの周りにプラズマが走る

 

「パパ!ママ!何か!よくないものが!」

 

ユイは消滅した。

 

「「ユイ(ちゃん)!」」

 

「あ、アスナ…!」

 

キリトとアスナはお互いに手を伸ばす、後少しで届きそうになったところでまたさらに重い重力がかかる。

 

「いや〜驚いたよ、小鳥ちゃんの籠の中にゴキブリが迷い込んでいたなんてね。」

 

「お前は…須郷か!?」

 

「ちっ…ちっ…ここではその名で呼ぶのはやめてくれないか?妖精王オベイロン陛下と…そう呼べぇ!!」

 

オベイロンはキリトを蹴る。

 

「キリトくん!」

 

オベイロンはキリトの頭を踏む。

 

「どうだい!?まともに動けないだろ?次のアップデートで導入予定の重力魔法なんだけど、ちょっと強過ぎるかなぁ?」

 

オベイロンはキリトの頭に足を擦り付ける。

 

「やめなさい…卑怯者!」

 

キリトの頭から足を離す。

 

「いやいや、それにしても桐ヶ谷くん。いやキリトくんと呼ぶべきかな?どうやってここまで登ってきたんだい?さっき妙なプログラムが動いていたが?」

 

キリトの背中の剣を取る

 

「…!飛んできたのさ…この羽でな」

 

「ふ〜ん、まぁいいどちらにせよ君の頭に直接聞けば済む話だ。君はまさか、僕が酔狂でこんな仕掛けを作ったと思ってるのかい?300人にもおよぶSAOプレイヤー…彼らの検診的な貢献によって思考、記憶操作の研究はすでに8割型完了した。かつて!誰も成し遂げなかった人の魂の直接制御という神の力を後少しでものに出来る!まったく仮想世界さまさまだよ!うっひひひひ…ははははははは!」

 

「須郷!」

 

「あなたのしたことは許されないわよ…絶対に!」

 

「えぇ〜?誰が許されないのかな?残念ながらこの世界に神はいないよ、僕以外にはね!」

 

オベイロンはアスナに剣を向ける。

 

「さてぇ!君たちの魂を改竄する前に楽しいパーティーといこうか!」

 

オベイロンは指を鳴らす。

 

するとアスナの目の前に鎖付き手錠が落ちてくる。

 

オベイロンはアスナに手錠を付ける

 

「須郷!貴様何を!」

 

須郷はこちらを向き、不敵な笑みを浮かべ指を上にあげると手錠のつけられたアスナは宙吊り状態になる。

 

「ははっ…ハイ!」

 

重力がさらに重くなる。アスナの顔は苦痛で歪む。

 

「いひっ!いい!いいねぇ!やっぱりその顔はNPCの女じゃ出来ないよね!」

 

オベイロンはアスナの髪の匂いを嗅ぐ

 

「はぁ〜…いい香りだ…現実のアスナくんの香りを再現するのに苦労したんだよ…病室に解析機まで持ち込んだ僕の苦労をたたえて欲しいなぁ」

 

オベイロンはアスナの頬と自分の頬を重ねる。

 

「おい!須郷!」

 

キリトは立ち上がろうとする。

 

「まったく…観客は黙って見てろ〜いろいろい…」

 

オベイロンはキリトの剣を再び持ち、キリトを蹴る。再び倒れたキリトに剣を深くさす。

 

「キリトくん!!」

 

「システムコマンド!ペインアブソーバー、Lv10からLv8へ!」

 

「ぐっ…!あああああああああああ!」

 

「痛いだろ?段階的に強くしてやるから楽しみにしてるんだね。もっともLv3以下にすると現実にも影響があるはずなんだけどね」

 

オベイロンはアスナの身体を撫で始める。

 

「須郷!貴様!」

 

「大丈夫だよ、キリトくん…私はこんなことで傷つけられたりしない…」

 

「そうでなくちゃ…なるべく長引かせてくれたまえ!!」

 

オベイロンはアスナの上の服を破る。

 

「くっ……」

 

「くふふふ、今僕が考えてることをおしえてあげようか?まずはここでじっくり君と楽しむ。そのあと君の病室に行く。大型モニターに今日の録画を流しながら現実の君とじっくり楽しむ。君の本当の体でね…」

 

「ひっ!?」

 

「あひゃひゃひゃひゃ!…くひひひひひひひ…」

 

「う…うぅ…」

 

アスナは耐えきれず涙を流す。オベイロンはそれを舐める

 

「甘い…甘いよ!甘い!!」

 

オベイロンはアスナの顔を舐め回す。

 

「須郷!貴様!貴様ぁ!絶対に…!絶対に殺す……!」

 

オベイロンはキリトに見せつけるようにアスナを舐め回す。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

これは報いなのか…?俺はゲームの中では無敵でアスナを自分の力で助け出せると思ってた。なんの力もないのに……

 

逃げ出すのか?

 

………

 

逃げ出すのか?

 

そうじゃない…現実を認識するんだ。

 

屈服するのか?かつて否定したシステムの力に

 

仕方ないじゃないか…俺はただのプレイヤーで向こうはGMなんだから…

 

それはあの戦いを汚す言葉だ…私にシステムの力を上回る人間の意志の力を見せ、未来を悟らせた…我々の戦い…

 

お前は………

 

立ちたまえ…キリトくん…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その頃オベイロンはアスナの下半身に夢中になっていた。

 

「ぐっ……ああっ……」

 

キリトは少しずつだが立ち上がる

 

「こんな魂のない攻撃に、あの世界の刃は

 もっと重かった!もっと痛かった!」

 

キリトはなんとか立ち上がる。すると剣も抜け落ちる。

 

「やれやれ…妙なバグがのこっているなぁっ!」

 

オベイロンはキリトに裏拳を放つがキリトにあっさり止められてしまう。

 

「システムログイン…ID ヒースクリフ…」

 

キリトの周りにいくつかウィンドウが出てくる。

 

「な、なんだそのIDは!?」

 

「システムコマンド、管理者権限変更。IDオベイロンをLv1に」

 

「僕より高位のIDだと?僕は創造者だぞ!?この世界の!神!」

 

「そうじゃないだろ…?お前は盗んだんだ、世界を!その世界の住人を!盗み出した玉座の上で踊ってた泥棒の王だ!」

 

「この…ガキィ…この僕に向かってぇ……システムコマンド!オブジェクトID!エクスキャリバーをジェネレート!いうこと聞けぇ!このポンコツがぁ!神の!神の命令だぞぉ!」

 

「待っててくれ、アスナ…すぐ終わるから」

 

「うん……」

 

「システムコマンド!オブジェクトID!エクスキャリバーをジェネレート!」

 

キリトの目の前にエクスキャリバーが出現する。

 

「……コマンドひとつで伝説の武器を召喚か…」

 

そしてそれをオベイロンに渡す。そしてキリトは落ちていた自分の剣を持つ。

 

「決着をつける時だ。泥棒の王と鍍金の勇者の。システムコマンド!ペインアブソーバーをLv0!逃げるなよ。あの男はどんな場面でも臆したことはなかったぞ。あの茅場晶彦は。」

 

「かや……茅場!!そうか…あのIDは……なんで死んでまで僕の邪魔をするんだよ!あんたはいつもそうだ!何もかも悟ったような顔をして!僕の欲しいもの何から何まで端から攫って!」

 

「須郷…お前の気持ちも少しはわかるぜ。俺もあいつに負けて家来になったからな。でも俺はあいつになりたいとは思わなかった。お前と違ってな」

 

「……この…ガキがああああ!」

 

オベイロンの攻撃は素人のそれだった。キリトは軽くそれをいなし、頬に軽く傷を付ける。

 

「痛ああああああああ!」

 

「痛いだ…?お前がアスナに与えた苦しみはこんなもんじゃない!」

 

キリトは剣を振り下ろす、オベイロンは剣を持っているほうの手で身を守ろうとするが手ごと切り落とされる。

 

「いひゃあああああああ!手がぁ!僕の手がぁ!」

 

「セツナの親父さんやお袋さんだってなんでお前なんかのために殺されなきゃいけなかったんだ!」

 

キリトは剣を横に振る。

 

「おわああああああ!」

 

オベイロンの下半身が消滅し、残った上半身は地面に倒れる。

 

キリトはオベイロンの髪を持ち、上に投げる。

 

「きっ…!」

 

「おわっ!…おわあああああああ!」

 

キリトは剣を落ちてくるオベイロンにさす。

 

串刺し状態になったオベイロンはそのまま消滅した。

 

 

「ふぅ……」

 

キリトはアスナの鎖を切る、するとアスナの手錠も消えた。

 

身体の体勢が安定しないアスナをキリトは抱きしめる。

 

そして抱きしめ、お互いの顔を合わせるとキリトは泣き出してしまう。

 

「う…うぅ…う………」

 

「信じてた、ううん、信じてる。今までもこれからも。君は私のヒーロー。いつでも助けに来てくれるって。」

 

アスナはキリトの頭を優しく撫でる。

 

「違うんだ…俺には何の力もないんだ…うぅ……で、でも……そうなれるように…頑張るよ」

 

「うん…!」

 

「さぁ、帰ろう。現実世界はもう夜だ。でもすぐに君に会いに行くよ。」

 

「うん、待ってる。現実世界で一番最初に会うのはキリトくんがいいもん。あぁ…とうとう終わるんだね、帰れるんだね。現実の世界に…」

 

「いろいろ変わっててびっくりするぞ?」

 

「いっぱいいろんなとこ行こうね。」

 

「あぁ…」

 

再び2人は抱き合う。

するとアスナの体が光だし、足元から消えていった。

 

「………これで、すべてが終わったのか…そこにいるんだろ、ヒースクリフ。」

 

「久しいな、キリトくん。」

 

「生きていたのか?」

 

「そうであるとも言えるし、そうでないとも言える。私は茅場晶彦の意識のエコー、残像だ。」

 

「相変わらずわかりにくいことを…まぁとりあえず助かったよ。」

 

「礼など不要だ。君と私は無償の善意などが通じる中ではなかろう。もちろん代償は必要だよ。常にね」

 

「何をしろというんだ?」

 

すると上から光り輝く卵のようなものが降りてくる。

 

「これは…?」

 

「それは世界の種〈ザ・シード〉だ。芽吹けばどういうものかわかる。その後の判断は君に任せよう。消去し、悪れるのもよし。だがもし君があの世界に憎しみ以外の何かを抱いていたのなら………では私は行くよ、セツナくんにもよろしく伝えといてくれ。……また会おうキリトくん」

 

そう言い茅場晶彦は消えていく。

 

それと同時に眩い光が広がっていく。

 

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光が開けるとそこは今までアスナがいた鳥籠の中だった。

 

「ユイ!大丈夫か!ユイ!」

 

「パパ!」

 

ユイが空中から現れキリトに抱きつく。

 

「無事だったか!」

 

「はい!パパのナーヴギアに避難したので!ママは?」

 

「帰ったよ、現実世界に。」

 

「そうですか!よかったぁ…本当に…」

 

キリトはユイの頭を撫でる。

 

「また直ぐに会いに来るよ。……この世界はどうなるんだろうな…?」

 

「私はパパのナーヴギアの中にいるのでいつも一緒です!」

 

「そうか…じゃあ俺は行くよ。ママを出迎えに」

 

「はい!……パパ!大好きです!」

 

キリトはユイの頬にキスをしてログアウトしていった。

 

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現実

 

目を開けると目の前に直葉がいた。

 

「わっ!ごめんね!あんまりにも遅いから!」

 

「ごめんな、遅くなって。」

 

ナーヴギアをとる。

 

「全部終わったの?」

 

「あぁ、終わったよ。何もかも。」

 

「…よかった!」

 

直葉は笑う。和人はその姿をリーファと重ねる。

 

「本当に…本当にありがとな、スグがいなかったら俺なんも出来なかった。」

 

直葉が和人に寄り

 

「ううん、私嬉しかった。お兄ちゃんの世界でお兄ちゃんの役に立てて。」

 

和人は優しく抱きしめる

 

「取り戻したんだね、アスナさんを」

 

「あぁ…ようやく帰ってきた。………スグ、俺……」

 

「行ってあげて、きっとお兄ちゃんを待ってるよ!」

 

「刹那にも終わったって連絡しなきゃな…」

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和人は自転車で病院に向かう。外は雪が降っている。

 

「じゃあお兄ちゃん、アスナさんによろしくね!」

 

「あぁ!今度ちゃんと紹介するよ!」

 

キリトは病院へと自転車を急がせた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺は自室で和人からの連絡があるのを待っていた。

 

ピリリリリー!

 

携帯が鳴る。メールだ。

 

文面は『全て終わったよ。俺はこれからアスナに会いにいくから。』

 

そうか…あいつのほうは全て終わったか……あとは俺の……

 

俺は麗奈のいるリビングまで行き。

 

「麗奈、俺は病院に行ってくる。多分俺たちのほうもこれで全て終わる。いや、終わらせてくる。俺の手で!」

 

「私も行くよ、病院までそんな遠くないしさ♪」

 

麗奈はあまり連れてきたくないんだが……こいつにも知っておいてもらったほうがいいか……

 

「風邪ひかないようにあったかくして行くんだぞ?」

 

「らーじゃっ♪」




次はいよいよフェアリィダンス編最終回です!

このあとはエクストラエディションの話とキャラ紹介してGGO編かな?

それかしばらく更新休もうかな〜、迷いどころ

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