ソードアート・オンライン00-A wakening of the Trailblazer-   作:〜レオス〜

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お久しぶりです!

今期アニメはいいですね、ガンダムが3つもあって

アニメの神様の0083
新作の鉄血のオルフェンス
BSのビルドファイターズ

ウハウハですよ!


第二十六話 引き金ーおもいー

 

ーーーー「笑う棺桶」…だと…

 

「笑う棺桶」とは…ヒースクリフやリボンズ、彼らとは違うカリスマ性を持ったプレイヤー『PoH』によって立ち上げられた殺人ギルドであった。レッドプレイヤーの集まり、あの世界で超一級の犯罪を犯したプレイヤーたちを集めたギルドということだ。殺人を快楽と思うようなプレイヤーの集まり、そんな危険なやつらは放っておけないとのことで血盟騎士団、聖竜連合などの数ギルド、そして俺やキリトのようなソロプレイヤーが集められ討伐に向かった。予定では奇襲をかけるため案外楽勝に終わるはずだった。だがこちらの情報がどこからか漏れていたため逆にこちらが奇襲をかけられることになってしまった。リボンズの手によりリーダーのPoHを排除、キリトと俺の手により幹部たちの無力化(・・・)。残りのギルドメンバーは何名かが死んでしまったがおおよそのメンバーは投降。それで笑う棺桶との決着は着いたはずだ…

 

「今更笑う棺桶が俺に何の用だ…あの時の復讐というわけか…?」

 

俺はそのボロマントを睨みつける。だがボロマントはそれに臆することもせずに続ける。

 

「復讐…そうとも、言うだろうな…お前は、ジョニーブラックたちを、殺したのだから、それに対しての、復讐と言っても、過言ではない…」

 

俺が…殺した…?

 

ジョニーブラック…?たち?

 

その言葉を聞いた瞬間、俺は強烈な嗚咽感を覚える。意識が遠くなるのを感じた、強制ログアウトされなかったことが奇跡に感じるほどの。

 

そうだ……俺はあの時…殺してしまったんだ…逆上して、幹部の1人を…そして錯乱して他のプレイヤーも…

 

受け入れたはずだった。そう、確かにあの世界の中では人殺しとしての意識を持っていた。だが忘れてしまっていた。あんなに苦しかったのに…あんなに…あんなに後悔したのに……

 

「雪崩…いや、セツナ、俺はお前を、必ず殺す、そして本当の力を、見せつけてやる、お前達に…」

 

そう言ってそのボロマントはどこかへ行ってしまった。俺はその男の放つ異様なプレッシャーから開放され地面に膝を着いた。

 

「笑う棺桶……」

 

俺が殺してしまったやつが俺に復讐をしにこのVRMMO世界に帰ってきたのかなどと考える。わかってる、ありえない。あの世界で死んだ者は現実世界でももう…でなければあんなに悩まなかった…

 

そのように考えているとまた違うことが頭の中に浮かんできた。

 

「本当の力」やつのその言葉が俺の中に引っかかった。それにやつのあの声…どこかで聞いたことのある声だ。

 

「………まさか!」

 

あいつが…あのボロマントが死銃だというのか…!?あいつが…笑う棺桶が…またこの世界から…現実世界の人間を殺していると…

 

そう考えると全身に寒気が襲ってくる。なんてことだ…また…奴らが…

 

全身が震える、強制ログアウトしそうになるのを何度も抑えた。プラスに考えるんだ…奴の…死銃の注意を引くのが当初の目的だ…それなら目的は達成された…そのはずだ…だがこれでは…

 

「あんたなんて顔してるのよ…そんなに苦戦したの?」

 

俺がうつむいていると頭上から声が聞こえた。その声の主は一回戦を戦い、勝ち抜いたシノンであった。

 

「シ、シノン…」

 

俺は今にも消えそうな声で言う。その様子を見てシノンは眉を潜めた。

 

「あんた…そんな様子じゃ予選突破なんて難しいわよ…じゃあ私も二回戦あるから、これであんたともお別れね、さようなら」

 

シノンは歩き去ろうとした。だがーーーー

 

「ちょっとあんた…何してるのよ…」

 

シノンは再びこっちを見てくる。そして視線を落とす。

 

…なぜ俺はシノンの手を…

 

俺は無意識にシノンの手を掴んでしまったんだ…今は誰かに頼りたいという俺の意志が…シノンの手を無意識に…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私が一回戦を終えて戻ってくると、試合開始前に私自身が必ず倒すと決めた相手が無様に地面に座り込んでいた。

 

どうかしたのかと思い近づいてみて声をかける。

 

「あんたなんて顔してるのよ…そんなに苦戦したの?」

 

心配してしまった、柄にもなく第三者を。それもよりによってつい先刻まで自分を女性だと騙していた相手を。

 

「シ、シノン…」

 

予想以上に深刻な状況にあるようだ…私が倒すと決めた相手はこんなにも弱気な人間だったのか…私が感じた強さは勘違いだったの?

 

「あんた…そんな様子じゃ予選突破なんて難しいわよ…じゃあ私は二回戦あるから、これであんたともお別れね、さようなら」

 

この人なら…私の求める強さを教えてくれると思ったのに…拍子抜けだったかな…

 

こえからこの人とは関わることはないだろうと思いその場から離れようとしたーーーーだがそれは叶わなかった。

 

「ちょっとあんた…何してるのよ…」

 

彼が…セツナが私の手を掴んで離さなかったから。振り払おうと思えば出来た。でもそれは出来なかった…なぜ?彼が今なお死にそうな、何かに押し潰されそうな顔をしているから?同情してるの?…この人も私と同じように見えない何かに怯えているように感じたから?いろいろと考えていると彼の身体が光だした。次の対戦相手のところに転送されたのだろう。

 

どのみちあの様子じゃ決勝戦までくるのは無理でしょうね…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーーーー予想外だった。彼は光剣とハンドガンだけで決勝戦まで生き抜いたのだ。光剣で致命傷になる箇所の弾をはじき、残りの弾を極力交わすというGGOの中では見た事のない動きをして。それは一瞬、まるで通り過ぎたあとには何も残らない雪崩のように…

 

どれが本当のセツナなのか…一緒に買い物をしているときの分かりづらいがそれでも伝わってくる笑顔、男だとバレて開き直ったのか人を食った飄々とした物腰、一回戦後に何かに怯えていたような弱々しさ、そして一瞬のうちに敵を斬り伏せる鬼神の如き姿……そしてなぜ自分がそんなことを考え続けているのか…何にせよ私も決勝戦まで勝ち抜いた。勝つにせよ負けるにせよこれで本戦への出場権を勝ち取ったことになる。だけどこの決勝戦は全力でやる。彼に宣言したのだ、敗北の弾丸の味を教えると…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

決勝戦へのステージへと転移が終了した。ステージは高速道路のようだ。

 

私は見渡しのいい場所、ひとまずはボロボロになったバスの中に隠れた。そして愛銃のへカートⅡを構え、スコープを覗いた。

 

多分あいつは物陰に隠れながら近づいてくるはず…チャンスは予測線が出ない最初の一発…少しでも顔を見せた瞬間そのムカつく顔を撃ち抜いてやる…!

 

私はなぜこんなにもあいつに勝ちたいんだろう…似ている?いやそんなことはない、私のこの気持ちがわかる人なんて…ましてや似ている人なんて…

 

そこで考えるのを止めた。視線の先で何かが動くのを感じたからだ。きっと彼だ。私はそう思いスコープを覗き、狙いを定めた。

 

「………なっ…」

 

私は驚きを隠せなかった。それは彼が予想とはまったく違う動きをしたからだ。彼は道路の真ん中をゆっくり歩いてこちらに進んできている。一歩、また一歩とこちらに近づいてくる。隠れる気はまったくないと言っているかのように。

 

私の…私の狙撃は隠れるに値しないって……予測線なんかなくたって交わせるって……

 

動悸が激しくなりサークルがそれに反応し、大きく動く。

 

「…けるな………ふざけるなああああああ!」

 

声を荒らげたのと同時にトリガーにかけていた指にも力が入り、弾を撃ってしまう。

 

その弾は彼の顔の横を通り過ぎ後ろのバスに当たる。

 

「はぁ…はぁ……くっ!」

 

彼はそれでも歩みを止めなかった。私は一発、また一発と撃っていくがこんなに冷静ではない状態では当たるはずがなかった。彼もそれを知っているかのように一歩、また一歩と近づいてくる。

 

「くっそ!」

 

私はバスから路上に降り、彼、セツナに向かって走り出す。そしてセツナから5mくらいの距離まで近づき銃口をセツナに向ける。するとセツナも足を止め、こちらを見てくる。

 

「………なんでよ…」

 

セツナはこの言葉に込められた意味と非難を感じ取ったようで、少し俯きながら答える。

 

「…俺の目的は明日の本戦に出ることだ、もうこれ以上戦闘する意味はない」

 

ある程度予想された答えではあった。しかしだからこそ許せないという感情が強く胸に溢れ、さらなる言葉を押し出した。

 

「なら自分の銃で頭を撃ち抜けばいいじゃない!弾代が惜しかったの?それともわざと撃たれれば私が満足するとでも思ったの…!?」

 

俯き続けるセツナに一歩近づきーーーー

 

「たかがVRゲームのたかがワンマッチ!?アンタがそう思うのは勝手よ!でもその価値観に私まで巻き込まないでよ…!!」

 

震える声でそう叫んだ。自分が勝手なことを言っているのは自覚している。でもーーーーそれでも自分を止められなかった。自分の愛銃であるへカートを抱える両腕が震えるのを、顔がくしゃくしゃに歪むのを、そして両眼の縁から雫が零れるのを止めることは出来なかった。

 

「………俺も…俺もいつか誰かをそうやって責めた気がする……」

 

「……………」

 

セツナは俯いた顔をあげ、こちらを見る。そして頭を下げた。

 

「すまない…俺が間違っていた。たかがゲーム、たかがワンマッチ、だからこそ全力を尽くさなければならない…でなければ俺はこの世界に生きる意味も資格もない。俺は、それをわかっていたはずなのに……」

 

そこまで言うとセツナは顔を上げ、私の目を見て言った。

 

「シノン、俺に償う機会をくれないか。今から俺と勝負してくれ」

 

予想外の言葉に一瞬憤りを忘れて眉を寄せた。

 

「今から、って言っても……」

 

この大会は敵の位置がわからないところから開始される遭遇戦だ。それがこうして顔を合わせてしまったらどうやっても開始時に戻れるわけがない。

 

するとセツナは腰のハンドガンを手に取った。反射的にこちらも身構えてしまうがセツナは待ってくれと言い、一度スライドを引く。排出された弾薬を空中で器用にキャッチし、銃をホルスターに戻す。

 

「そちらもまだ弾は残ってるな?」

 

「………えぇ、一発だけ」

 

するとセツナは軽く笑って言った。

 

「ならば決闘スタイルでいこう。10m離れてそっちはライフルを、俺は剣を構える。この弾を投げて地面に落ちたら勝負スタート。どうだ?」

 

……呆れた。これが今の感想だ。先程までの憤りがいつの間にか薄れてしまっていることにも気付かず口を動かす。

 

「あのね…それで勝負になるとおもってるの?たった10mからなら、このへカートの弾は絶対に当たる。私のスキル熟練度とステータス補正、それにこの子のスペックが重なるから、なのよ。剣を動かす暇もない。結局はあんたの自殺と一緒じゃない」

 

「やってみないと判らないだろ」

 

不遜にもそう言い放ちセツナはにやりと笑みを浮かべた。

 

その表情を見た瞬間、背中にビリっとはしるものを感じた。

 

本気だ…こいつは本気で私とウエスタン・スタイルの決闘をして勝つつもりなんだ…システムを物ともしない何かが彼にはある…見たい…それを見たい。どうしても。

 

次の瞬間、私はこくりと頷き、言っていた。

 

「いいわ、それで決着をつけてあげる」

 

そして振り向き、セツナと反対方向に歩いてもう一度向き直った。

 

2人の距離は、正確に10m。抱えていたへカートを持ち上げ、ストックを右肩に押し当て、両足をしっかり開き構える。

 

「…行くぞ」

 

それを見たセツナは躊躇なく左手の指を弾く。

 

セツナも光剣を構え、集中する。

 

それはこちらにも伝わってくるくらいだ。一切の力みを感じない。緩い立ち姿。しかしそれでいて心臓をライフルに狙われているかのようなプレッシャーが彼から放たれる。

 

私もまた自らの感覚が急激に高まっていくのを自覚していた。

 

そしてついに、くるりくるりと回転していた弾薬が路面に近づきーーーー

 

キン。

 

と小さな音を響かせた瞬間、右手の人差し指がトリガーを引き絞った。

 

続く1秒のあいだに起きた幾つかの現象を、シノンは加速された意識の中で鮮やかな色彩とともに知覚した。

 

へカートの大型マズル・ブレーキからオレンジ色の光が迸り。

 

その向こうで、青白い雷閃が夕闇を斜めに切り裂き。

 

流星のように輝く小さな光が2つ、右と左に分かれて彼方へと飛んでいった。

 

斬ったのだ

 

合図とほぼ同時にセツナは光剣を斜めに斬り上げ、自分に命中するはずの弾丸を切断した。私が見た流星はセツナによって切断された弾丸の欠片だ。

 

有り得ない…!

 

弾の軌道に山を張り、一か八かで剣を振ったならむしろ理解できる。でも私は彼の中心ではなく左脚を狙っていたのに…

 

へカートような大口径銃は追加効果で腕や足でも充分HPを全損させることが出来る。だけどそんなことあいつが知ってるとは到底思えない。

 

なん…で……!

 

という一瞬の驚愕の隙にセツナは10mという距離を稲妻のようなダッシュで詰めてくる。

 

後ろに回避しようと飛んだが先程のへカートの衝撃もあり、うまく足が動かず後ろによろめいた。

 

斬られる!

 

そう予感しつつも瞼だけは閉じなかった。見開いた両眼の先で巨大な夕日を背景にしてーーーー

 

そして全てが静止した。

 

セツナの左手が背中を支えているからだ。

 

そして右手は仰け反る私の無防備な喉元に光剣の刃をぴたりと捉えていた。

 

「ど………どうして私の照準が予測できたの?」

 

エネルギーブレードの向こうで唇が小さく動いた。

 

「スコープのレンズ越しでもお前の眼が見えた」

 

眼?視線ってこと…?それで私の…へカートの弾道を読んだと?強い…もうVRゲームの枠を越えている…

 

「それほどの強さがあって、あなたは何に怯えるの?」

 

セツナはわずかに瞳を揺らして、何かに耐えるような声で答えた。

 

「こんなのは強さじゃない。ただの技術だ」

 

それを聞いた途端喉元の刃の存在を忘れ、激しく首を振った。

 

「嘘、嘘よ!テクニックだけでへカートの弾を斬れるはずがない!あなたは知ってるはず…どうすればその強さを身につけられるの!?私は…私はそれを知るために…」

 

「ならば聞くが」

 

突然セツナが低く、だがとても意思の篭った声で囁いた。

 

「もしその銃の弾丸が、現実世界のプレイヤーを本当に殺すとしたら…殺さないと自分や誰か大切な人が殺されるとしたら。その状況で、それでもお前は引き金を引くことが出来るか!?」

 

「……………!!」

 

知っているの!?

 

一瞬そう思った。この男は私の過去を黒々とした闇に染める、あの出来事を知っているのか。

 

ーーーーいや違う、多分彼も……昔……

 

背中を支える左手が固くこわばり、すぐに緩んだ。そしてセツナは力なく首を振り、呟いた。

 

「…俺にはもう出来ない。だから俺は強くなんかない。俺はあの時斬った人数だって覚えていない………受け入れたつもりになっていたが、本当はただ…目をつぶり、耳を塞いで、何もかも忘れていただけなんだ……」

 

その言葉の意味は解らなかった。だが一つだけ確かなことは、セツナがその内側に私と同種の闇ーーーー恐怖を隠している。そしておそらくは待機ドームで埋めたはずの闇が再び溢れてしまうような何かがあったのだ。そう、何かが。

 

私の空いた左手は見えない糸に引かれるように持ち上がり、光剣の刃越しにセツナの褐色がかった肌、頬に近づいた。

 

指先が触れる。その寸前ーーーー

 

不意にセツナの表情にそれまでの感じが戻った。瞳の奥にはまだ痛々しい光が残っているようだが、それでもセツナは小さく首を振ると、私の手を遮るように言った。

 

「ーーーーということで、決闘は俺の勝ちでいいな?」

 

「え……?あ、ええと…」

 

気持ちが切り替えられずぱちぱちと瞬きをしているが、セツナはそのまま続けた。

 

「なら降参してくれ、女を斬るのはあまり好きではない」

 

そのあまりに気障で無礼で格好つけた言いぐさにようやく自分の現状を再認識した。つまり左手と喉元の光剣に拘束され、動けないところをほぼ密着状態で覆い被さられている情けない有様とーーーーそしてこの光景がありのまま、待機ドームや総督府ホール、そしてグロッケン中の酒場に生中継されているのだという事実を。

 

たちまち頬にかあっと血が上るのを意識しながら、セツナから離れ、食いしばった歯の奥から唸るように言った。

 

「あんたともう一度戦うチャンスがあることを感謝するわ!明日の本戦!私と遭遇するで絶対生き残るのよ!」

 

そしてセツナに背を向け、リザイン!と大声で叫んだ。

 

試合時間、18分52秒。

 

第3回バレット・オブ・バレッツ予選トーナメントFブロック決勝戦、終了。




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