IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中) 作:弐式水戦
さて、桜花を傷つけようとしやがった日本政府のクズ共を八つ裂きにした俺は、家に転移して桜花を慰めていたわけだが、桜花は泣き疲れたのか寝てしまったので、俺は桜花を抱き抱え、2階の部屋へと連れてきたわけだが、其所に居たのは……………
「あら、おかえりなさい主。あの日本政府の煩悩共の始末は上手くいった?」
布団を敷きながら、俺が日本政府のクズ共を八つ裂きにしたことについて尋ねてくる女の子が居たのだ。
その女の子は、前の髪が暗めの水色、後ろが鮮やかな水色という、少し変わった髪をしている子で、着ている水色のワンピースや目付きなどから、控えめでおっとりした感じの桜花とは違い、クールで少し気が強い雰囲気を感じさせる女の子だった。
てか、この子誰?
「ちょっと主、何ボンヤリしてるのよ?さ、布団なら敷いてあるから、早く桜花を寝かせてあげなさい」
「え?あ、ああ。そうだな」
女の子に言われ、俺は桜花を布団に横たえた。だが、桜花の魘されているような表情は相変わらずだ。そのため俺は、桜花の手を握り、優しく頭を撫でる。そして、桜花は少し楽そうな表情を浮かべ、スヤスヤと寝息を立て始めた。
それを見届けてから、俺は女の子へと向き直った。
「なあ、時に訪ねるが、お前は誰なんだ?」
俺がそう聞くと、女の子は意外そうに目を丸くした。
「あら、桜花から聞いてないの?」
「え、桜花から?何も聞いてねえけど」
俺がそう答えると、女の子は呆れたような声で溜め息をついた。
「あの子、私のこと伝えるのサボったわね……………まあ、あんな出来事があれば、それも仕方のないことだけど」
そう言って、女の子は言った。
「まあ、桜花が私のことを伝え忘れていたようだから、改めて名乗るわ。私の名は氷華(ひょうか)。貴方の専用機、《ゴールドウィング》の支援型AIにして、バイクとしてのゴールドウィングの………………魂よ」
…………………はい?
「……………詰まる所、お前さんはバイクとしてのゴールドウィングにとり憑いた怨念とかのオカルト的なヤツってことか?」
「随分と大雑把なまとめ方だけど、強ち間違ってはいないわね」
俺は、氷華から色々と、ゴールドウィングの魂であることについての説明を聞いた訳だが、まさか俺が初めてゴールドウィングを見つけた頃、つまり、ざっと6年前から宿っていたということには驚かされた。
因みに、今日まで姿を見せなかった理由は、俺が桜花や主任さんとばかり話しているから、タイミングを見つけられなかったんだとさ。
それが理由かとツッコミを入れた俺は悪くない筈だ。
「んで氷華よ、なんたってお前は、今更ながら出てきたんだ?そりゃ、桜花以外の仲間ができた訳だから嬉いっちゃ嬉しいが」
俺がそう訪ねると、氷華は少し顔を赤くしながら言った。
「貴方にお礼を言うためよ」
「礼?俺に?何についての礼なんだ?」
そう言うと、氷華は間を開けてから答えた。
「貴方が私を修理してくれたことについてのお礼よ」
そう言って、氷華は話し始めた。
話によると、氷華は元々、ある女性ライダーのバイクだったんだが、その女が女尊男卑主義の塊みたいな女で、バイク店に売られていた、このゴールドウィングも、女が店から半ば盗むような形で女のバイクになったんだと。
だが、その女の卑劣さは酷く、何らかで故障したらポンコツだとか罵声を浴びせながら蹴り、そしてバイク店に持っていってタダで修理させ、それを繰り返しているうちに嫌気がさしたのか、この解体所に捨てるように置き去りにしたんだとさ。
「だから私は、もう二度と道路を走れないんじゃないかって思っていたのよ。そしてうちひしがれていた時に、貴方がやって来て、私を修理してくれた。おかげで私は、また塘路を走ることができる。それに、桜花というISのコア人格までが加わったから、道路だけでなく、空を駈けることもできる。だから、ありがとう」
そう言って、氷華は笑顔を見せた。クールな雰囲気からは想像できないような笑顔だった。
それを見て、俺も笑って言った。
「成る程な。そっちの事情については分かったよ。それに、俺だって、お前らには感謝してんだよ。あの時、この解体所にお前が居たから、そして、桜花が居たから、俺はこうして生きていられんだ。此方こそ、ありがとな」
「べ、別に良いわよ…………」
俺も礼を言うと、氷華は顔を赤くして、顔を背けた。感謝されることに慣れてないんだな。
「じゃあ、桜花が起きるまで暇だし、適当に喋っとくか」
「ええ、そうするしかなさそうね」
そうして俺達は、それぞれの過去について色々と話し合った。まあ、詰まる所、悲惨な過去を経験した者同士の傷の舐め合いって感じだろうな。
そうして話しているうちに夜になり、桜花が漸く起きた。まあ、桜花は起きて早々俺に紹介しなかったとかで氷華からお説教受けてたけどな(笑)。
それから、俺達は夕飯を食べ、何時ものように寝るわけだが、今日は起きた出来事が出来事なので、余っていた1つの部屋に布団を敷き、3人で川の字になって寝た。
翌朝、起こしにやって来た主任さんに見られ、散々イジられたのは余談である。