IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第十三話~結局、IS学園に行くことになりました~

さて、上白沢さんと山田さんを解体所の中に招き入れ、我が家の前へと連れてきた。

二人を連れて入ったら、桜花と氷華がどんな反応をするか、入る前から大体の予想はつく。

 

まあ、一応話し合いには応じるが、内心では帰れ帰れと言ってるだろうな。

そう思いながらも、俺は二人を家にあげた。

 

「ただいま~。桜花~、二人分のお茶淹れてくれ~」

 

中に入り、俺は桜花に呼び掛ける。

 

「二人分ですか?承知いたしました。直ぐに淹れてきます」

 

そんな声が聞こえた後、桜花が立ち上がり、台所へと歩いていく足音が聞こえる。

俺は二人を居間に案内した。

 

「あら、おかえりなさい」

 

其所では既に、氷華がテレビ番組を見ていた。氷華は此方を向いて言うと、何時ものクールな感じの表情が一瞬凍りついた。

 

「あ、主……………その二人はまさか……………?」

「ああ、その『まさか』だ」

 

若干引き気味に聞いてくる氷華に、俺は溜め息混じりに返す。

 

「マスター、お茶を淹れて来まし……………た」

お盆にお茶を淹れて来た桜花も、二人の姿を視界に捉えた途端、氷華と同じように表情が一瞬凍りついた。

 

「マスター、この二人は……………」

「言うな、考えるな。ただ、目の前の現実を受け入れてくれ」

 

お茶を淹れた湯呑みを乗せたお盆を持ちながら聞いてくる桜花に、俺は返す言葉が見つからず、訳の分からん返事を返す結果となってしまった。

 

 

 

 

 

「一応言っておきますが、俺はIS学園に入学する気はありませんよ?」

 

さて、落ち着きを取り戻した俺達3人は、テーブルを挟んで二人と向き合う形で座っていた。

IS学園に行くつもりはないとだけ言って、俺は桜花が淹れてくれたお茶を啜る。

両サイドをチラリと見ると、俺を挟む形で座っている桜花や氷華も頷いている。

まあ、この二人が来るまで、俺達はIS学園や政府とかを軽くディスってたからな。それですんなり入学しろって話しに頷く訳がない。

 

「そ、そんな!どうしてですか!?」

 

まさか拒否されるとは思わなかったと言わんばかりに、山田さんが声をあげて詰め寄ってくる。

つーか近い近い。離れろ落ち着けマジで。

 

「山田先生、落ち着いてください。此処は彼の家なんですから」

 

そう言って、上白沢さんが山田さんを落ち着かせる。

 

「失礼したね、黄昏君。だが、IS学園への入学は、君の保護という名目もあるんだ。学園に居れば、少なくとも3年間は身の安全を保証できる。学園の特記事項で、国や企業など、外部からの如何なる侵食も防げるんだ」

 

そう言って、上白沢さんはIS学園についての簡単な説明をしていく。

上白沢さん曰く、俺が入学する際には、織斑兄弟同様に、制服代や教科書代、学費等は全額免除され、1ヶ月毎に国から最低限の生活援助金が貰えるとかなんだとさ。

いやいや、そもそも俺達、その国にモルモットにされそうになったんですけど?

 

まあ、にしても予想通り、保護だとか上手い文句を揃えて言い寄ってきたな。

横をチラリと見ると、桜花や氷華も此方を向いており、二人も俺と同じように、予想通りと言わんばかりの表情を浮かべている。

 

「因にだが、何故IS学園に行きたくないのか、理由を教えてもらえるかな?」

 

俺達が互いに顔を見合わせていると、上白沢さんが、聞いてきた。理由ねえ、まあ、あるんだけどさ。

 

「先ず第一に、そもそもIS学園は女子校でしょう?つまり、女尊男卑主義者の巣窟って呼んでも過言じゃない訳だ。態々身を滅ぼしかねないような場所には行きたくないですよ。それに、俺の専用機のデータも取るつもりですよね?」

 

俺は目を細めて二人を見る。すると、落ち着いてから暫く黙っていた山田さんが口を開いた。

 

「専用機、持ってるんですか?」

「ええ、直ぐ其所にね」

 

そう言って、俺は桜花と氷華の方を向いて言った。

 

「俺から見て左に居る黒髪の子が、コア人格の桜花で、右に居る水色の髪をした子が、支援型AIの氷華です」

「こ、コア人格に支援型AIだって!?君の専用機は、そこまで最先端をいっているのか!?」

二人のことについて話すと、今度は上白沢さんが声をあげた。

 

「ええ。そもそも私達は、自立進化を経て今に至るんだから、何時までも兎の産物と一色たんにされても困るわ」

「それに、もう私の記憶からは、篠ノ之束に関するデータなどは全て消去しています。今の私達の所有権は、全てマスターこと、黄昏狂夜様にあります」

「は、はあ…………」

 

そうして、上白沢さんと山田さんは呆然としていた。

まあ、確かに今の段階では、支援型AIを積むことが出来ても、それやコア人格が人間の体を持って表の世界に出てくるなんて事例はないからな。呆然とするのも無理ないか。

 

「それと、現段階では第一形態移行《ファーストシフト》は済んでいませんが、稼働時間は其処らの代表や候補生を遥かに上回っていますよ。なんせ、マスターは約6年前から私達を動かしていたんですからね」

 

そう言って、桜花は何故か、自慢気に胸を張る。つか、今更なんだけど桜花って、意外とスタイル良いんだよね。あ、氷華が妬ましそうに桜花を見てる。何処をとは言わねえけどな。

 

「つまり、黄昏君はその時から専用機を……………?」

「まあ、そういうことになるわね」

 

おずおずと訪ねてくる上白沢さんに、氷華が淡々と答えた。

 

「ならば尚更、IS学園に入学を……………」

「それとこれとは話が別です」

 

入学を勧めようとする山田さんの言葉を遮り、俺は嫌だと言った。

すると、山田さんは半泣きになりながら、テーブルに頭突きするような速度で頭を下げた。

って、オイオイ!?

 

「お願いします…………!現段階で、男性でISを動かすことができるのは、織斑君ご兄弟を除けば、世界中でも狂夜君にしかできないことなんですよ!?」

「ちょ、ちょい待て!先ずは頭上げて!マジ頼むから!」

 

俺は焦りながら、山田さんの肩を掴み、顔を上げさせる。にしても、まさか頭下げてまで頼んでくるとは思わなかったぜ。桜花や氷華まで、驚きすぎて目を丸くしてるし。

 

つか、俺が頭を上げさせると、山田さんは何やらブツブツと小声で呟き、俺を視界に入れた瞬間に顔を真っ赤にして反らす。

それからチラチラと横目で此方を見ると、やがて意を決したかのように顔を向け、目を閉じて顎を少し上げる。え、何してんの?

 

「ちょっと山田真耶!何主にキスねだってるのよ!」

「そ、そうです!場所を慎んでください!」

 

ん?何故か桜花と氷華が声張り上げてるぞ?キス?何のこっちゃ?

そうこうしていると、山田さんは我にかえったのか、さっき以上に顔を真っ赤にしながら言った。

 

「わ、私ったら何てことを……………ゴホンッ!兎に角、狂夜君に入学してもらわなければ困るんです!狂夜君を守るためでもあるんです!だからどうか、IS学園に入学してください!」

 

そう言って、山田さんは再び頭を下げる。それに続くように、上白沢さんも言った。

 

「私からも頼む。それに、確かにIS学園には、君と織斑君ご兄弟を除けば、男子生徒は誰一人として居ないから肩身は狭いだろうし、女尊男卑思考に染まった生徒や教員も居る。だが、全員がそうであるわけではない。中には良識を持っている生徒や教員も居るから、少なくとも悪いことばかりではない。それにだが、君に関する資料を読ませてもらったのだが、君は学校に行ったことがないようではないか。流石に学校生活を体験せずに社会に出るのは辛いし、学校生活ならではの行事もある。思い出作りの一環として、受けてもらえないか?」

 

上白沢さんが言うと、頭を下げていた山田さんが急に頭を上げて言った。

 

「か、上白沢先生の言う通りですよ!一生に一度しかない学園生活を楽しめる年齢なんですから、このうちに私達と青春しましょうよ!ね?」

 

……………どうやら、もうこの時点で拒否権はないようだな。まあ、少なくとも二人はイイ人みたいだから、取り敢えずは話を受けるか。

 

「分かりました、入りますよ」

「ほ、本当ですか!?」

 

俺がそう言った途端、山田さんがまた、ズイッと近づいてきた。

 

「山田さん、近いから、先ずは離れて」

「あっ!すいません!」

 

あれま、ま~た顔真っ赤にしちまってまあ。

 

「まあ、取り敢えず幾つか、条件があります」

「条件?それは何だ?」

 

聞いてくる上白沢さんに、俺はこう答えた。

 

「俺の専用機、ゴールドウィングには必要以上に関わらないでください。カタログスペックぐらいなら出しても構いませんが、検査するから渡せとかの要望は一切受け付けませんので」「分かった」

「次に、其所が寮制である場合は、俺達3人の同室、それ以外のルームメイトは拒否させてもらいます」

「良いだろう。他には?」

「部活動はしませんのでそのつもりで」

「あ、ああ。分かった」

「まあ、これぐらいですかね」

 

俺はそう言って、冷めてしまったお茶を飲み干した。

 

「では、これからよろしく頼むぞ、黄昏君、桜花さん、氷華さん」

「「「はい、よろしくお願いします。上白沢先生、山田先生」」」

 

 

こうして、俺達は結局、IS学園に通うことになりました。

 

因みに、それから後に主任さんが笑いながら入ってきたのだが、俺と桜花、氷華の3人で主任さんを速攻で取っ捕まえて、少しばかりO☆HA☆NA☆SHI☆したのは余談である。

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