IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第十六話~打鉄VSリヴァイヴ!帝王が演じる空中戦!~

カタパルトからアリーナへと飛び出した俺は、既にアリーナに出ていた山田先生と対峙していた。

『今日はよろしくお願いしますね、狂夜君』

 

ISのプライベートチャンネルで、山田先生が話しかけてくる。俺もよろしくお願いしますと返事を返す。

 

《では、山田真耶対黄昏狂夜の実技試験を開始する。黄昏狂夜の勝利条件は、相手のSEを3割に減らすか、武装を破壊すること、山田真耶の勝利条件は、黄昏狂夜のSEが0になった時とする》

 

一応のハンデという訳か。まあ個人的意見としちゃ、俺も山田先生のSEが0になるまで戦いたいんだがな。

まあ、それについては今度、模擬戦に誘えばいっか。受けてくれるかは別として。

 

《では、始め!》

 

アナウンスが始まりを告げると共に、山田先生は俺から距離を取り、右手にアサルトライフルを展開し、牽制攻撃を仕掛けてくる。

俺は急いでスラスターを吹かし、急上昇してかわす。

 

『最初の攻撃をかわすとは、なかなかやりますね!』

 

山田先生はそう言いながら、射撃してくる。俺はひたすらにアリーナを飛び回り、弾をかわしていく。

今の所は被弾数ゼロ、初めてにしちゃ上出来か?まあ、態と外してる弾もあるだろうがな。

 

『狂夜君は凄いですね。本当に今まで、ISを動かしたことがないんですか?』

「まあね。昨日は基本的知識を詰め込めるだけ詰め込んで、後はなるようになれですよ!」

 

俺はそう返し、また飛び回る。ISのハイパーセンサーが、若干焦りの色を見せている山田先生を捉える。

今は両者共にSEは満タン。だが、山田先生は射撃を全て外しているので、実質的に無駄弾となるが、此方は弾数は満タン。

一応、現段階では此方が有利な訳だが、何時手痛いしっぺ返しを喰らうか分からんから、油断は出来ねえな。

 

そう考えつつ、俺は今までの山田先生の戦い方をまとめる。

 

始まって早々の牽制攻撃、それから、何か誘導してるような射撃スタイル。

粗方射撃はかわしているが、態と外してる弾もあった。

 

つまり、山田先生は物理型か射撃型かと言えば後者で、それも、『狙って当てる』射撃スタイルではなく、『撃って誘導する』射撃スタイルだ。

 

まあ、射撃スタイルが分かったと言っても、現段階では『だからどうした』の一言で封殺される。此処は1つ、前世であった空中戦スタイルでやってみますか。

 

「取り敢えずは一発、Feuer!」

 

俺は、右手にアサルトライフル『焔備』を展開し、山田先生へと撃つ。

 

『ぐうっ!?』

 

どうやら初弾命中したらしく、山田先生が大きく体勢を崩した。

俺はそのまま突撃し、当たるスレスレで体を捻り、山田先生の周りを旋回する。それから挑発代わりに右手に持っていたラファールのアサルトライフルを蹴り飛ばし、離脱する。

ライフルは下に落ち、ガシャン!と音を立ててアリーナの地面に叩きつけられる。

まあ、ここまで来た訳だが俺の勝利条件の1つは、『相手の武装を破壊する』ことなので、蹴り飛ばしたからって試合は終わらない。

 

『くっ!この!』

 

流石に苛立ったか、山田先生が猛スピードで追い掛け、後ろから武装の1つなのであろうマシンガンを展開し、乱射してくる。

これが、俺が望んでいた戦闘、『空中戦』のやり方、『追撃戦《ドッグファイト》』だ。

 

俺は機体を猛スピードで飛ばしながら、後ろから横殴りの雨のように襲い掛かってくる弾丸を避けていく。

 

「さて…………俺の得意技の1つを見せてやるか!」

 

俺は打鉄のスラスターを一瞬止め、上体を思い切り反らす。

そのコンマ一秒にもならない絶妙なタイミングを合わせ、スラスターを思い切り吹かす。

すると機体は、俺の頭を軸にスライドするかのような軌道を描きながら上昇、下降し、山田先生の後ろへと回り込む。

 

『なっ!?その技は…………!?』

 

急に後ろに現れた俺を見た山田先生が驚愕の表情を浮かべている。

まあ無理もねえか。なんせ、さっきまで前を飛んでいて、弾丸を避けまくっていた奴がいきなり消えて、気がつきゃ後ろに居たんだからな。

 

つか、山田先生の反応を見る限りでは、もしや俺がさっきやった技の事を知らねえのか?

 

前世で何回かメッサーシュミットに乗ってアメリカ空軍やイギリス空軍と戦った時、両軍共にしょっちゅう繰り出してた技だから、俺的には大して珍しくもないし、あんなに驚かれる程高度な技でもない筈なんだけどな。

 

そうこうしてる間にも、またさっきのような追撃戦に戻っており、俺はマシンガンを乱射しながら追い掛けてくる山田先生から逃げまくっている。

すると、一瞬だけだが弾幕が薄れ、下への逃げ道が現れる。それを見逃さず、俺は一気に降下していくと、当然ながら山田先生も、急降下して追ってくる。

 

俺はアリーナの地面スレスレで体勢を戻し、滑空していくが、其所で重大なミスをしてしまった。

俺の軌道上に、さっき蹴り飛ばしたラファールのアサルトライフルが落ちていたのだ。

俺がライフルの真上を通過し、それを追ってくる山田先生は、落ちているライフルに気づき、すかさずライフルを拾い、撃ってくる。

俺は、上昇しながらもバレルロールで弾丸をかわしていく。弾が撃たれなくなった一瞬の隙をつき、さっきのように上体を反らし、上昇してくる山田先生と向かい合う。

だが、今回はそれだけではない。

 

俺は上体を横に捻り、肩をアリーナの地面に向けるような姿勢になると、膝を少し曲げ、スラスターを吹かす。

すると俺は、パイロンの周りをドリフトしながら回る自動車のように回る。それによって描かれる円の間を、山田先生が通過していく。山田先生も気づき、直ぐに体勢を立て直して急上昇し、凄い速さで接近してくる。

そして漸くブレードを展開し、斬りかかってくるが、俺はすかさず横に移動してかわす。

 

そして再び、俺は山田先生から逃げ回る。

 

「(そろそろ山田先生の銃器が弾切れを起こす。その時を狙うか…………)」

 

早く弾切れを起こせと思いながら逃げ回ること3分。遂に山田先生の銃器が弾切れを起こした。

俺はそれを確認すると、再び大技に打って出た。

両脚部のスラスターのうち、右のスラスターへの意識を強め、逆に左のスラスターへの意識を弱める。

左右の出力が均等ではなくなった機体は、出力が強く出ている右のスラスターに押されるように、右にスライドしていく。

そしてまた、山田先生と向かい合い、俺は動きを止める。

 

『ハア……ハア…………す、凄いですね、狂夜君は……………ま、まさか…………あんなにも翻弄されるなんて思いませんでした』

 

顔を真っ赤にして、肩で息をしている山田先生が話しかけてくる。つーか今思ったが、山田先生って滅茶苦茶胸デカイんだな。息する度に揺れてるし。ま、今更だが。

 

「まあ、この試合が始まる前に、色々とイメトレしてましたからね。後はどうやれば機体が思い通りに動くかと考えるだけですよ」

 

俺はそう返す。一番良い答えはそれしかなかった。

 

『い、イメトレ…………ですか…………それはそれで…………凄いですね…………』

 

山田先生が喘ぎ喘ぎに言う。つか、少し遊びすぎたかな?そろそろ終わらせるか。どうやらむこうも終わらせるつもりみたいだし。

 

『では狂夜君………………コレが、私の最後の攻撃です!』

 

そう叫び、山田先生はライフルを収納し、隠し持っていたグレネードランチャーを展開する。

 

「グレネードランチャーか……………最後の一撃らしい武器ですね……………良いでしょう、その勝負、乗ったぜ!」

 

俺は焔備を収納し、近接ブレード『葵』を展開し、構える。

そして、脚部のスラスターに意識を集中し、山田先生がグレネード弾を撃つのを待つ。

 

そして、山田先生がグレネード弾を撃った三秒後…………

 

「コレで最後だ………………うおりゃあ!!」

 

俺は渾身での瞬時加速で勢いよく飛び出し、グレネード弾へと突撃する。

 

『そ、そんな…………瞬時加速《イグニッションブースト》すらも使えるなんて……………!』

 

山田先生が驚愕の表情を浮かべている。それも気に留めず、俺は葵を振り上げ、グレネード弾が間合いに入った瞬間、勢いよく縦に降り下ろし……………

 

 

……………………グレネード弾を文字通り、『真っ二つ』にぶった斬った。

 

『なっ!?』

 

本日で何度目になるのだろう驚愕の表情を、山田先生は顔に映す。

 

そして、俺がグレネード弾から少し離れた瞬間に、グレネード弾は爆発を起こす。

その爆風を利用し、俺は山田先生に突撃する。

山田先生は二発目を撃とうとするが、時既に遅し。先に間合いに入っていた俺が、腹部に回し蹴りを喰らわせる。

 

『ぐうっ!?』

 

山田先生が揺らいだ瞬間に葵を振り、グレネード弾の発射器をぶった斬り、破壊する。

衝撃があまりにも強すぎたのか、山田先生はそのまま気絶し、落下する。SEはまだ少なからず残っているから死にはしないだろうが、アリーナの地面に叩きつけられたら、少なくとも怪我は免れない。

俺は急降下して山田先生を受け止める。

 

少しして、試合終了のブザーがアリーナ一帯に鳴り響いた。

 

《試合終了!勝者、黄昏狂夜!!》

 

そして、俺の初陣での勝利を知らせるアナウンスも響いた。

 

黄昏狂夜、初勝利なり!

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