IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第十七話~試合終了!専用機が増えちゃった!?~

さて、山田先生との勝負に勝った俺は、気絶した山田先生を抱き抱えながらピットに戻った。

射出口に降り立ち、そのままカタパルトを逆走する形で歩き、上白沢先生の所に行った。

 

「お疲れ様、黄昏君。物凄い勝負だったね」

 

戻ってきた俺に労いの言葉をかける。俺は山田先生を地面にゆっくりと下ろし、一礼する。

上白沢先生は、未だに気絶している山田先生に近づき、呟いた。

 

「それにしても、初めてISを動かしたのにここまでやるとはね。山田先生や私でも出来ないような挙動を何度もやっただけでなく、君の勝利条件を両方共達成してしまうとは、こんな結果は誰が予想したかな……………まあ、山田先生が自信喪失しなければ良いんだが…………」

「両方共?てことはまさか……………?」

「ああ、その『まさか』だ」

 

上白沢先生はそう答え、続けた。

 

「君の勝利条件は、山田先生の武器を1つでも破壊するか、山田先生のSEを3割に減らすこと。このどちらかだけでも良かったんだが、君は武器を破壊しただけでなく、SEを3にまで減らしていたからな。三割どころか一割も残っていないよ。なのに君は、SEがほんの少ししか減っていないと言うからさらに驚きだよ」

 

そう言って、上白沢先生は苦笑いした。

 

 

 

その後、俺は上白沢先生から、後程ISについてのマニュアルと、IS学園の参考書を渡されることを伝えられた。

上白沢先生曰く、その参考書は電話帳並みに分厚いんだそうだ。

まあ、ある程度読んでおけば、最初の授業にはついていけるから大丈夫だとも言っていたのだが、不安だなあ~。電話帳並みに分厚いとか、下手すりゃ3年間で習う事全て書いてあるんじゃね?

 

「ああ、そうだ。君が纏っている打鉄についてなんだが…………」

 

ふと、思い出したかのように言われた打鉄の話題に、俺もハッとする。

今思えば、俺が今、この場に居るのは元はと言えばこの打鉄から始まったんだよな。

一応、本当の専用機としてゴールドウィングがあるけど、それについてなら、隠して生きてりゃ何の問題も無かったからな。

 

そう考えていると、上白沢先生は言った。

 

「まあ、それは長い間放置されていたらしいISだから、整備科の生徒を呼ぶか、私がパイロットを勤めている企業で預かって整備して、再びこの学園の訓練機として頑張ってもらおうかと思うんだ。取り敢えず、打鉄を解除してくれないかな?」

「ああ、それは良い考えですね。良いですよ」

 

俺は上白沢先生の案に頷き、打鉄を解除しようとした。その時だった。

『そんなの嫌よ!』

「「!?」」

 

突然、上白沢先生の案を真っ向から拒絶する声が響いた。打鉄は解除されたが、解除された打鉄は、俺や上白沢先生の視界には映らなかった。

そうでありながら、俺は腕に違和感を覚えた。

俺は腕時計や籠手とかはつけない主義で、腕に感じるのは、長袖シャツの袖の感触や、腕に当たる風ぐらいだ。

視線を、違和感を感じる右腕に移すと、深緑の籠手がついていた。

 

『せっかく、私を己の体のように使ってくれる人に会えたのに、それを引き離すって言うの!?私だって、心に決めた主と空を飛び回りたいのに!一緒に戦いたいのに!!』

 

その籠手から、怒りを含んだ叫び声が飛ぶ。

俺は、籠手を見ながら唖然としていた。

これは、予想だにしない急展開だ。自我を抑えられている訓練機が、ここまで声を上げるとは、誰が予想しただろうか?

 

「………………こ、こうなるとは予想外だ。恐らくコレが、ISのコア人格の声……………」

 

表情を驚愕の色に染めた上白沢先生が、籠手となった打鉄をジロジロと見ながら言う。

そもそも訓練機は、ちょっとした事をすれば、今のような待機形態にすることが出来るらしいが、それでも人の手が必要だ。そんな事をISが、訓練機が成し遂げてしまった。

こんな事態は前代未聞だろうな。

 

「黄昏君、取り敢えずは私服に着替えてきなさい。話は後だ。私は桜花さん達を呼んでくる」「あ、お願いします」

 

俺はそう言って、更衣室に入った。

 

 

「あ~、まさかあんなことになるとは思わなかったぜ」

 

私服に着替え、解体所での作業着姿になった俺は、籠手を見ながら呟いた。

畳んだISスーツを持って更衣室から出ると、丁度上白沢先生が、桜花と氷華を連れてきた所だった。

それに山田先生が居るのを見ると、どうやら復活したみてえだな。良かった良かった。

 

「マスター、初勝利おめでとうございます!」

「いやあ、凄かったわね!一晩程度の勉強とイメトレだけであんなにも戦えるなんて!」

 

二人は俺に詰め寄り、さっきの模擬戦の感想を口々に言う。

普段は大人しい桜花や、クールな感じの氷華でさえ、こんなに興奮するぐらいの戦いだったんだなあ。

 

暫くすると、二人は落ち着いたようで、顔を赤くしながら離れた。つか、何故に赤くなるんよ?

そうしていると、上白沢先生が話し掛けてきた。

 

「黄昏君、今から理事長室に行こう。理事長が君に話があるそうだ」

 

そうして、俺達は先に歩き出した上白沢先生と山田先生に続き、理事長室に向かった。

 

 

 

 

 

さて、理事長室に着いた俺達は、扉の前で立っていた。

 

「学園長、上白沢です。黄昏狂夜君を連れてきました」

「入ってください」

 

大した間もなしに返事が返され、上白沢先生が扉を開き、俺達は理事長室に足を踏み入れた。

其所には、壮年の男性が立っていた。その人は優しそうな笑みを浮かべながら言った。

 

「IS学園にようこそ、黄昏狂夜君。私は轡木 十蔵(くつわぎ じゅうぞう)。此処の理事長をしています」

 

驚いたなあ、女子校であるIS学園に、まさか男性が居て、さらにその人が理事長だとか、今のご時世、しかも女だらけのこの学園で、上に立つ存在が男ねえ。

そう思ったら、何か楽になってきた。

 

「さて、今回の件についてなんだけど、その打鉄は、君の専用機の1つにしようと思っているんですよ」

「はあ…………俺の専用機、ですか」

 

何ともパッとしないまま言いながら、俺は右腕についている籠手を見た。

 

「その打鉄は、かなり前から格納庫の隅に放置されていましてね。今回の男性を対象とした抜き打ち検査で格納庫から引っ張り出され、検査の後は、また同じように、格納庫の隅に押し入れ、そのまま手付かず状態でしたから、あのままでいるより、君に使われた方が、その打鉄も幸せだろうと思うんです。受け取ってもらえますかね?」

 

へえ~、まあ、あの検査で見た時も、非固定浮遊部位の装甲にヒビいってたからな。それに、今日の模擬戦で、格納庫でコイツを見た時も、あの試験の時と全く同じ姿だったからな。

訓練機って烙印を押され、自我を抑えられたコイツ等にしちゃ、耐え難かったんだろうな。

だとしたら、答えは1つしかない。

 

「分かりました。その話、受けましょう」

「ありがとう」

 

こうして、俺の専用機に、新たに打鉄が加わった。

 

「では黄昏君、入学前に、これを一通り読んでおいてくださいね」

 

そう言って、理事長は俺に、何やら分厚い本を2冊渡してきた。

 

「あ、あの、理事長……………これは?」

「ISのマニュアルと、IS学園の参考書です。上白沢先生から聞いていませんか?」

「あ~、そういうことでしたか……………\(^o^)/オワタ」

 

渡された2冊の本を抱えながらorz状態になった俺を誰が責められようか。

 

「まあ、最初の30ページぐらいを読んでおけば、最初の授業にはついていけるから大丈夫ですよ」

「そうですか……………」

 

でも、結局は全部習うんですよね、これ。

 

「まあ、今日はお疲れ様。上白沢先生、山田先生。暫く休みを与えますので、彼等と外食してきなさい。もう昼ですからね」

 

優しい理事長だなあ~。

 

「分かりました、理事長。では皆、行こうか」

「「「「は~い」」」」

 

こうして、俺達は理事長室を後にし、IS学園から出た。

 

 

 

 

 

 

「さて、では何処にしようか」

 

IS学園から出てきた俺達は、歩きながら話していた。話題は勿論、何処で食べるかだ。

「なら、あの店にしませんか?」

 

唐突に、山田先生が挙手しながら言った。

 

「山田先生、『あの店』って?」

「あれ?知らないんですか?この辺りでは結構有名な店なんですが…………良いでしょう、教えてあげます!」

 

エッヘンと言わんばかりに胸を張りながら、山田先生は言った。

 

「イタリア料理店、『アンツィオ』です!」

 

イタリア料理かあ~、美味そうな響きだなあ~。

一応食ったことはあるにはあるんだが、なんせその頃はまだ、俺が織斑春馬だった頃の話だし、店違うし、居心地滅茶苦茶悪かったから、味なんて全く覚えてねえんだよな。

 

そうこうしてるうちに、今日の昼飯を食べるところはアンツィオに決まり、俺達は、その料理店目指して歩き出した。

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