IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第二十話~喧嘩売られーの、寮に行きーの~

「勝負?」

「はい。私とISで勝負してほしいのです」

 

いきなり何を言い出すのかと思えば、紅さんは突拍子もないことを言い出した。

 

「いきなりだな、どういう風の吹き回しだ?」

「どういう、と言われましても…………まあ、データ収集と言った感じでしょうか」

 

データ収集、ねえ………………まあ、俺の専用機には、一般的な企業や代表候補生が持ってるような専用機の常識は通じねえからな。なんせ、コア人格や支援型AIが人間の姿になって外出歩くんだから。

 

それに、俺は入学条件で、カタログスペック提出時以外には、不用意に専用機には関わるなと言ってるからな。言い方を悪く言えば、ゴールドウィングという得体の知れない未確認ISのデータを俺が独り占めしてるようなモンだから、国や企業としては、機体の情報が欲しい上に、たかが一人のガキである俺が持ってるのが許せねえんだろうよ。

んな訳で、あわよくば俺を引き込んでゴールドウィングをぶん取って、勝手にデータを盗み見て自分等の技術にしたり、俺をモルモットにして男性でも使えるようにしようとするだろうな。この時代の人間は頭の中がイカれてやがるな。しかも、ドイツからもそれらしい手紙があったのも思い出したし。

「はあ~あ、人間も堕ちるとこまで落ちたもんだぜ」

「え?何の話を?」

 

この時代の人間の考え方に失望し、溜め息混じりに呟いた俺を見て、紅さんは心配そうな顔をして言った。

「あ、いや!スマンスマン。ちょいと、この時代の人間について考えてたのさ」

「はあ……………」

 

状況がイマイチ飲み込めないのか、紅さんは生返事を返すだけだった。

いかん、話を変えねば!

 

「そ、そうそう!勝負云々の話に戻るけどさ」

 

そう言いかけると、紅さんも気づいたらしく、話題に反応した。

 

「あ、そうでしたね!それで、受けてもらえるんですか?」

 

そう言われ、俺は少し悩んだ。

別に勝負したところで、勝とうが負けようが、俺に何かしらのデメリットがあるとは到底思えんが、その逆もまた然りだ。少なくとも俺にメリットがあるとは思えん。

だが、下手に断れば後が怖い。

八雲重工の面子がどれ程の強さなのかが分からん以上、下手に数で攻めてきたら流石に苦戦は免れない。

大概の連中なら速攻で潰せるが、そもそも八雲重工が俺の敵であるかどうか自体が分からん。

まあ、一応企業っちゃ企業だから、少なくとも俺の味方じゃねえわな。

取り敢えず俺は、その申し込みを受けることにした。

 

「分かった、受けるよ」

「本当ですか?ありがとうございます!」

 

何故嬉しそうにする?コレは演技か?それとも彼女の本心か?うーむ分からん。

 

「では、日程等は、此方である程度決めておきますので」

 

そう言うと、紅さんは教室を出ていった。

 

 

 

「ヤレヤレ、何たって俺をターゲットにするんかねえ?」

 

俺以外は誰一人として居なくなった教室で、俺は独り言を溢した。

紅さんとの話で忘れそうになっていたが、俺は寮の鍵を受け取るために待っているのだ。それにしても遅い。

 

「お、お待たせしました、狂夜君!」

 

ヤレヤレ、やっとこさ来ましたか。

教室のドアの方を向くと、鍵らしきものを持った山田先生が入ってきた。

 

 

「お、遅くなってすみません。仕事があれこれとありまして……………」

「いやいや、別に気にすることはありませんよ、先生」

 

平謝りする先生に、俺は笑いながら答える。何故か、こう言った面では山田先生に勝てる気がしない。

つーかこの人、何か強く言ったら泣きそうなんだよな。この前上白沢先生と家に来た時だって、俺が入学を拒否ったら滅茶苦茶アタフタしてたし、終いには頭まで下げる始末だ。

コレで睨んだりしたら、間違いなくこの先生は泣く。根拠はないが、何故か断言出来る。

おっと、今はそんなこと考えてる場合じゃねえや。

 

「その手に持ってるものを見る限りでは、俺の部屋の鍵ですよね?」

 

そう聞くと、山田先生は頷いて言った。

 

「はい、そうですよ。条件にもあったように、狂夜君と桜花さん、氷華さんの3人分のベッドを置くつもりでしたが、葛城さんも加わったので、新たにベッドを1つ増やすのですが、少し問題がありまして……………」

「問題?何ですか?」

 

そう聞くと、山田先生は言いにくそうに言った。

 

「葛城さんも加わったので、必然的に、四人部屋となるんですが、生憎、部屋が用意できていないんです」

「あれま」

 

まあ、そうなるわな。聞いた話では、寮の部屋は基本的に二人部屋。なのに、その2倍の人数が入る部屋なんて、直ぐに用意できるもんか。

 

「一応、二人部屋が一部屋空いているんですが…………なんなら、私の部屋でも」

 

いやいや、それは流石に問題だろう。

にしても二人部屋か~、俺個人としては、四人部屋手配してもらっても二人部屋になっても、正直どちらでも構わんからな、さてさて、どうしたものか………………

 

『私達は別に構いませんよ?二人部屋でも』

 

悩んでいると、ヘッドフォンから桜花の声が聞こえた。山田先生が反応しないのを見ると、恐らく脳に直接話し掛けてきているのだろう。

自立進化したISってスゲーなあ~。

 

なんて思いながら、俺は考えるポーズを取りつつ、氷華と葛城の意見も訪ねた。

 

「(まあ、桜花は良いとして、他二人は良いのか?)」

『ええ、構わないわ。二人部屋なら、寝るときに誰がベッドを使うかは、3人で交代制にすれば良いだけの話だもの。少なくとも、見知らぬ人間と相部屋にされるよりかは遥かにマシよ。まあ、ルームメイトがペパロニやアンチョビなら、話は別だけど』

『氷華の言う通りよ、狂夜』

 

同じくヘッドフォンから氷華の声が聞こえ、葛城の声も聞こえる。

籠手なのに脳に直接話し掛けてくるとか、何かスゲーや。

 

「(まあ、氷華と葛城の言うことも一理あるな……………よし分かった、そうするか!)」

 

俺は3人に言って、山田先生の方を向いて言った。

 

「じゃあ、その二人部屋の方でお願いします」

「え、それで良いんですか?」

「ええ、態々部屋手配するより手っ取り早く済むのでね」

 

そう言って、俺は山田先生から部屋の鍵を受け取る。1015号室か、5の倍数だからキリが良いや。

 

「じゃあ山田先生、また明日」

「は、はい!」

 

そうして俺は、山田先生から着替え等が入ったカバンを受け取る。

 

「良いですか?たとえ狂夜君と桜花さん達が、一緒に暮らしてきた仲だとしても、節度は守ってくださいね?変なことしちゃダメですよ?あ、私にだったらいくらでも……………」

 

最後の一言が聞き取れんかったが、まあ、気にしない気にしない。

俺は顔を赤く染め、体をくねらせている山田先生を放置し、寮の部屋へと向かった。

 

 

 

 

 

 

「よし、此処が1015号室だな」

 

俺は山田先生から受け取った鍵を鍵穴に差し込んで回す。鍵が開く音が鳴り、俺は部屋の中へと足を踏み入れた。

部屋のドアを閉め、改めて部屋を見回す。

 

「はあ~、高級ホテルのスイートルームみてえだなあ~」

 

部屋を見回しながら、俺はそう感想を溢した。在り来たりな感想だろうが、この際は許してほしい。

「よし、3人共出てこい」

 

俺がそう言うと、ヘッドフォンと籠手が光り、光が収まると、桜花と氷華、そして葛城が、俺の前に立っていた。

 

「はあ~、久し振りの外の空気ね」

 

ウーンと伸びをしながら、氷華が言った。まあ、学園に居る間は、3人はあまり外を出歩く事は出来ねえからな。出せるとしたら、精々寮の部屋の中か、学園の外しかねえな。

少なくとも教室や廊下とかで出して話したりは出来そうにねえや。

まあ、もし紅さんと勝負する時に、アリーナの観客席にギャラリーが居るとしたら、何れにせよ、3人の事はバレちまうんだよな。

待てよ、ならば最初からコソコソ隠す必要なんか無いような気がするなあ。

 

3人の事は何れバラすとして、何時にするべきかを考えながら、俺は制服から、普段着代わりの作業着に着替える。

そして、桜花達3人に、今日は誰がベッドを使うかを決めておくように言ってから、3人をそれぞれISの待機形態に戻し、食堂へと向かった。

 

今日の夕飯は何にしようかな~♪

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