IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第二十三話~操縦訓練と説教!そして決意~

さて、またまた時は飛んで、今は放課後。俺は第3アリーナにて、操縦訓練をしていた。

いくらこの前の模擬戦で山田先生に勝ったからって、油断してはいけない。相手は企業のパイロットで、しかも二人居る。総当たり戦になるだろうし、時間によっては、最悪の場合、バトル・ロワイアルになる可能性も十分ある。

二人係で潰しにきたとしても、ある程度なら対処できるようにするべく、俺はキツいマニューバを常に考え、それを実行した。

 

相手の後ろに、いち早く回り込むための機動や、武器の展開速度の向上、陸に降りての乱闘になった時に備えての格闘術等も考えた。

 

 

因みに、使用している機体は打鉄だ。これについては葛城曰く、『本来、訓練機は専用機と比べてスペックは下だから、訓練機で慣れてから専用機を使った方が良い』とのこと。

 

てか、この打鉄もほぼ俺の専用機になってんだけどね。

 

そして、また一通りアリーナを飛び回って、俺は今日の訓練を終えた。

 

 

 

 

 

 

「よー!お疲れ兄貴!」

 

ISスーツから制服に着替え、ヨレヨレになりながら食堂に着くと、やはりと言うか何と言うか、ペパロニとアンチョビが居た。

俺も軽く会釈して、席に座る。

 

「お疲れ様だな、狂夜。中々ハードな練習をしていたではないか」

「ああ、終わった頃には汗だくだったぜ」

 

俺はそう言って立ち上がり、食券を買いに行く。

 

「おばちゃん、雑炊頼みます」

「あいよ、アンタ大丈夫かい?随分と疲れてるみたいだけど、無理するんじゃないよ?」

「アザッス」

 

おばちゃん、イイ人やわ~。今の時代では希少な、まともな女性だ~。

俺はそんなおばちゃん達に感動しながら、席に戻った。

 

「お?今日は随分と少食だな」

「ああ、疲れすぎて逆に食欲が沸かねえんだ」

 

俺はそう言って、雑炊を食べ始める。いつもは陽気なペパロニも、流石に心配そうな顔をしている。

 

「お大事にな、狂夜。頑張るのは良いことだが、それで体を壊したら本末転倒だ」

「そーそー、堅くなりすぎんなよ?兄貴」

「おー。ありがとよ、二人共」

 

俺は二人に礼を言って、残りを食べ終えた。

 

 

 

 

 

「あー、何か気持ち悪い」

 

寮の部屋に向かっている間も、気分は優れなかった。

 

「まあ、いきなりあんな訓練をしたんだ。体がついていけなかったんだろう。準備体操していたなら、話しは別だがな」

 

………………………あ

 

「え?まさか兄貴……………」

「ああ……………忘れてた」

「「駄目だこりゃ」」

 

ペパロニとアンチョビが声を揃えて言った。まあ、今回の落ち度は明らかに俺にあるわけだから、何も反論出来ねえんだよな。

そうこうしつつ、ちょっとした休憩スペースで休んでいると、俺達に話し掛けてくる人物が居た。

それも、つい最近聞き覚えのある声が。

 

 

「ちょっと宜しくて?」

 

そう、オルコットだったのだ。

 

「何の用だ。冷やかしに来たならさっさと帰れ」

 

睨みながらアンチョビが言うと、オルコットは両手を前に出し、落ち着けと言わんばかりのポーズを取りながら言った。

 

「そんな顔をしないでくださいな。私は貴女方二人に話があって来たのですから」

「「私とペパロニ(アタシとアンチョビ姐さん)にか?」」

 

ええ、と頷いて、オルコットは言葉を続けた。

 

「お二人共、そんな男と行動を共にして、苦痛ではありません?」

「「はあ?」」

 

いきなりすぎる一言に、ペパロニとアンチョビは呆気に取られた声を出した。

 

「一応、その言葉の意味を聞いておこうか」

「言葉通りの意味ですわ」

 

そう言って、オルコットは俺を、明らかに見下した目で一瞥してから言った。

 

「先日、貴女方と私の所属しているクラスである、織斑兄弟と篠ノ之箒さんが接触している場面を偶然見まして、話から、其所の男が出来損ないだとか呼ばれていましたわね。それって、織斑春馬のことではありません?私の国でも、噂はありますわ。『織斑先生、いえ、ブリュンヒルデの付属品』とね」

 

ウッワー、今明かされた衝撃の事実。あのイギリスで、そんな噂が流れてるとか。全く知らんかった。

 

「チラリと見せてもらった写真を見ますと、其所の男と瓜二つ、いえ、本人としか言いようがありませんわ」

「だから?」

 

腕を組みながらオルコットを睨み付けるペパロニに、オルコットは返した。

 

「だからも何も、そんな男と一緒に居るなんて、疲れるのではと思っただけですわ」

 

そう言って、再び俺のほうをチラリと一瞥してから言った。

 

「その男と、よく行動をご一緒しているのなら、言わずとも分かるでしょう?油臭そうな作業着、古ぼけたヘッドフォン、そして、『出来損ない』という肩書き。そんな男と一色単にされても、困るだけでしょう?」

 

オルコットが言うと、ペパロニがキレかかっていた。

 

「おいオルコット、テメエいい加減に」

「男は黙ってなさい。これは私達女の話し合いなのです…………………それで、どうなんですの?」

 

オルコットはそう言って、ペパロニとアンチョビへと向き直る。

先にペパロニが立ち上がり、オルコットへと近づくと、怒気全開の声で言った。

 

「ナメた口聞いてんじゃねえぞゴラア……………」

 

あ、キレやがった。

 

「さっきから黙って聞いてりゃピーチクパーチク喚きやがって……………テメエ、その縦ロールの髪の毛全部チョン切ってから火ィつけて燃やして、アドリア海にテメエごと捨ててやろうか?このクソ女」

「な、なんですってえ!?言うに事欠いて、わ、私を!く、クソ呼ばわりするなど………………ッ!」

「うるせえよクソ女。テメエだきゃあぜってェ許さねえ。テメエは服ごとズタボロにして、アドリア海に沈めてやるよ」

 

ペパロニはそう言って、オルコットの胸ぐらを掴み上げた。

つーか此処は本来、俺がキレるトコなんだろうが、ペパロニがぶちギレるのが一足早かったみてえだな。

取り敢えず、事態の収拾を図ろう。

 

「ペパロニ、もう良い。落ち着け」

 

俺はペパロニの肩に手を置いて言った。

 

「でも兄貴!このクソ女、兄貴を侮辱しやがったんだぜ!?」

「確かにそうだが、だからと言って、それがオルコットを殺って良い理由にはならねえよ。俺のために怒ってくれるのは嬉しいが、此処は抑えるんだ。流石に、妹分がこんな奴のために停学や退学やらになるのは、此方としても目覚めが悪いんだよ。分かってくれるよな?」

 

俺はそう言って、ペパロニを宥めた。すると、横からアンチョビも話に入ってきた。

 

「狂夜の言う通りだ、ペパロニ。その女を潰したい気持ちは分かるが、それは狂夜の役目だ。私達が口出しする幕じゃないんだ。此処は退いておくんだ。良いな?」

アンチョビの言葉も効いたのか、ペパロニはオルコットを乱暴に地面へと下ろし、渋々言った。

 

「…………………兄貴と姐さんが言うなら、そうするよ……………」

 

そう言って、ペパロニはオルコットを殺気混じりの目で一睨みし、戻ってきた。

 

「さあ、行こう」

 

そうして、アンチョビは未だに怒り心頭のペパロニを連れて、部屋に戻っていった。

俺はオルコットに近づき、話し掛けた。

 

「ペパロニは何とか抑えたが、別に俺達に感謝しろとは言わねえ。だが、これで分かったろ。女尊男卑思考に染まった奴の行く末が」

「……………………」

 

沈黙するオルコットに、俺はさらに言葉を続けた。

 

「お前はまだやり直せる筈だ、考え直せ。お前自身を滅ぼしたくなければな」

 

俺はそう言って、アンチョビ達の後を追うべく歩き出そうとしたが、愚かにも、オルコットは禁句を言った。

 

「たかが男風情が、私に説教など………………ッ!」

 

そう言ってオルコットは立ち上がり、俺を真っ正面から睨んだ。

 

「そうして私が弱ったところに浸け込むつもりだったのでしょう!?貴方の薄汚いやり方は既に見えていますわ!そんな小汚い手段しか使う脳のない貴方は、きっと前世でもクズでしたのね!そんな男はさっさと、この学園から消えて、何処かの研究所で解剖されると良いですわ!」

 

…………………あ?

 

「訓練ごときで不調を訴えるなどと言う情けない姿を晒していながら、よくもまあ偉そうに説教など出来たものですわね!研究所で解剖されるのが、油臭く、庶民以下で出来損ないな貴方にお似合いの終わり方ですわ!」

 

……………………こりゃ、ちっと泣かしとかなけりゃならんな。

 

『調子に乗るなよ、小娘』

「え……………グッ!?」

 

俺はオルコットの胸ぐらを掴み上げ、全身から黒いオーラを撒き散らしながら言った。

 

『なるべく穏便に事を済ませようとしていたら、まあ偉そうなことをベラベラと………………貴様に俺の何が分かる?そんなにズケズケと言える立場なのか?少なくとも、貴様に俺の全てを語る資格など無いと思うがな』

俺はそう言って、オルコットを床に下ろし、睨みながら言った。

 

『本来なら、この場で貴様を潰して、イギリスも滅ぼしてやるところだが、流石にそれは門違いだ。だから何時か、貴様に勝負を申し込む。俺の意思を貴様に見せるためにな。その時までに貴様が改心していたら、俺は貴様を見直そう。貴様の改心を期待しているぞ』

 

そうして、俺は歩き出そうとしたが、最後にと言葉を出してから、俺はオルコットの方へと振り向いた。

 

『人というのはな、生まれながらにして、皆等しく、生きる権利を持っている。どちらかが尊ばれ、どちらかが蔑まれる世界など、間違いでしかない。精々、それを忘れないことだ』

 

そう言って、俺は瞬間移動で部屋に転移した。

 

 

 

 

 

 

「マスター、カッコ良かったですよ♪」

「全くね」

「ねえ、狂夜~、あの時のもう一回やってよ~」

「…………………マジで勘弁してくれ」

 

その後、寮の部屋にて俺は、相棒達に滅茶苦茶言い寄られていた。

 

まあ取り敢えず、紅さんと東風谷さんとの試合と、オルコットとの試合……………両方共負けられねえな。

 

「なあ、3人共」

「「「何(何ですか)?」」」

 

俺が声を掛けると、3人は一斉に振り向いた。俺は3人を抱き締めて言った。

 

「試合、絶対に勝とうぜ」

 

そう言って3人を放すと、3人は互いに顔を見合わせ、此方を向いて言った。

 

「「「勿論ですよ!私達のマスター!!」」」

そうして俺達は、明日に備えて眠りについた。

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