IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第二十四話~ほぼ四面楚歌で迎える本番はキツいぜ~

……………………視線がキツい。

 

食堂に着き、また何時ものようにペパロニやアンチョビと、昨日の一件について話しながら朝食を摂っていた俺は、そう思っていた。

何と言うか、入学した辺りから、何と無く軽視的な視線を当てられてきたのだが、今回のは全く違う。

 

否、全く違うと言うより、さらに酷くなったと言った方が適切だな。

 

その訳とは……………………

 

「聞いた?黄昏君って子、昨日1組の代表候補生の子に喧嘩売ったんだって」

「え、何それ?自分もIS使えるからってイイ気になってるんじゃないの?」

「どの道に転んでも、男が女に勝てる訳ないのにね~」

「そう言えば、今週日曜に3組と1組でクラス代表決定戦やるんだって」

「じゃあその試合で痛い目見てもらわないとね」

「黄昏君の対戦相手、八雲重工のテストパイロットなんだって」

「うっわ、私始まる前から勝負見えたわ」

 

そう、女子の会話からしてお分かりいただけたかと思うが、昨日俺がオルコットにキレたことだ。

今のご時世、女が強い、女が偉い、男は格下なんて風潮が強いからな。大方、そんな存在である筈の女に真っ向から逆らって説教した俺が許せねえんだろうよ。

ヤレヤレ、これがフィクションの世界で良かったとつくづく思うぜ。

「昨日の一件から、狂夜の評価はダダ下がりか…………………全く、これが女尊男卑ってヤツか」「あー、アタシ見るだけでイラついてきた」

 

その様子を見ているアンチョビやペパロニも、機嫌の悪さは既にデッドゾーンを振り切っていた。

まあ、昨日俺がオルコットにキレた事も話したから、二人の女尊男卑嫌いに拍車がかかったんだろうな。

「まあまあ落ち着け、俺なら平気だ」

 

俺はそう言ったが、二人は収まらなかった。

結局、今日の朝飯は、味わうことも出来ないまま終わってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほんでもって遂に来てしまいましたよド畜生!」

 

今日は日曜日、すなわちクラス代表決定戦当日だ。

あれからというもの、俺は変わらず、放課後に打鉄を使って操縦訓練をしていた。

一応、今日使うのはゴールドウィングだが、第一形態移行《ファーストシフト》すらもされていない状態じゃ、まともにやって勝てる訳がない。なら、形態移行するまで、せめてもの時間稼ぎ、あわよくば、隙を突いて攻撃ってやり方かな、うまく行きゃ良いんだが。

 

「じゃあ、見送りは此処までだ。サンキューな、二人共」

 

此処は、アリーナへと出るためのカタパルトの前。ペパロニとアンチョビは、其所までついてきてくれた。

 

あ、因にだが、試合のやり方は、俺が考えていた『最悪の場合』。つまり、俺と紅さんと東風谷さんとのバトル・ロワイアル、所謂潰し合いだ。

つまり、この場では敵・味方のへったくれもなく、其所で2vs1に持ち込んでも、最初から潰し合おうがご自由にってヤツだ。

 

ああ、それからだが、上白沢先生は、既にアリーナの管制塔に行ってる。

因に、今日は1組でもクラス代表決定戦を行うらしく、織斑千冬に山田先生も、管制塔に居るんだとか。

織斑千冬に、『ISを寄越せ』と言われなきゃ良いんだがなあ。コイツのデータは殆ど極秘にしたし、あの女の事だ。

何かの検査をするとか何とか言ってゴールドウィングをぶん取り、後は情報を調べて織斑ツインズの専用機に、とか考えやがるだろうな。まあ、そん時はそん時で、学園に抗議してやろう。

つか、この約1週間、国の政府や企業からの手紙がまた舞い込み始めやがったよ。

それも、よりによって全部内容は同じ、『我が国(企業)のモルモットになれ』だったよ。

この試合終わったら、国1つ消してきて良いかなと思った俺を、誰が責められようか。

まあ、そんな手紙は1枚残さず焼却炉に放り込んでやった。よし、今度から俺宛で舞い込んできた企業や国からの手紙は、内容とか何から何まで問答無用で焼却炉送りにしてやろう。

 

そんな事を考えながらも、俺はペパロニとアンチョビに、見送りの礼を言った。

 

「いやいや、別に良いって、兄貴!」

「ああ。何も気にせず、思い切り暴れて来い」

「あいよ。後、3人を頼んだ」

 

俺はそう言って、桜花達3人を呼び出す。出てきた3人は、不安そうな顔をしていた。

 

「マスター………………本当に、お一人で大丈夫ですか?」

「無理するんじゃないわよ?」

「分かってるよ。まあ、後は暴れりゃ良いだけだ」

「軽いのね、緊張しないの?」

 

不安そうな顔をして聞いてくる桜花と氷華に言うと、葛城も聞いてきた。

緊張、ねえ………………

 

「これでも結構してるぜ?テンパらないか不安なくらいに」

「そのようには見えないけど……………まあ良いわ。頑張ってね、狂夜」

「おー」

 

俺はそう答えると、打鉄の待機形態である籠手を外し、葛城に渡す。そうして、ペパロニとアンチョビは、桜花達3人を連れて、アリーナの観客席に向かった。

 

「さて、5人が行ったところだし、そろそろやるか、相棒」

俺は5人を見届けるとそう呟き、ヘッドフォンに意識を向ける。

すると、ヘッドフォンは光を放ち、次の瞬間にはゴールドウィングが装着されて………………

 

「……………なんでやねん」

 

………………なかった。ISとして展開されず、代わりにバイクとして展開されていた。

俺の視界には、殆どが錆びて銅色になり、ほぼ唯一、ヘッドライトだけがそのままの状態でいるゴールドウィングが鎮座していた。

俺はゴールドウィングに近づき、ヘッドライトを撫でながら言った。

 

「こうして、お前を外に出すのはかなり久し振りだな。最後に出して走ったのは、この学園に向かう時、だったか?あの時も相変わらずの大爆音で。流石は600馬力のマイバッハエンジン積んでるだけのことはあるな」

 

そうして暫く目を閉じ、そして開くと、ゴールドウィングのシートに跨がり、既に鍵穴に差し込まれてあるイグニッションキーを回す。

カチッ!と音が鳴り、スピードメーターの下にある小さなモニターに、ゴールドウィングの象徴である、翼を広げた鳥と、その下に英語で、《GOLD WING》という文字が映し出される。

「さあ、相棒。こんな頼りねえ主だが、ちっとばかり付き合ってくれよォ?」

俺はそう言って、クラッチを操作する。

ギュルギュルと音が鳴り、次の瞬間には、まるで怪物の雄叫びのような大爆音を撒き散らした。

後輪を挟む形で伸びているマフラーからは、絶えず白い煙が噴き出され、エンジンを載せ変えるまでは大したこともなかったマフラーの振動も、このマイバッハエンジンに載せ変えてからは、少しではあるが、強く振動している。

アクセルを捻る度に、一際大きな音を立て、煙を激しく噴き出す。

ーーエンジンの作動状況、正常。SE、満タン。展開時に異常を来す確率、0%。全システム、正常。第一形態移行未達成により、武装の大部分をロックーー

 

俺の脳内に、そんな感じの機械じみた声が響く。

どうやら思い切り暴れてやれるらしいが、武装の殆どは使えないそうだ。理由はさっきの通り、まだ第一形態移行してないからだとさ。まあ、それでも使える武装はあるみたいだから、まだマシな方か。

「さあ、我が相棒よォ!お前にとって初の戦いだァ!思い切り暴れてやろうぜ!」

 

俺はそう言って、ゴールドウィングのエンジンを吹かし、マフラーサウンドを撒き散らしながら、カタパルトの上に来た。

すると、上白沢先生からの通信が入った。

 

『用意は出来たか?黄昏君』

「勿論、バッチリですよ」

 

そう答えると、上白沢先生は微笑しながら言った。

 

『それは何より。さて、これから試合を始める。君には悪いが、時間の都合上で、試合形式をバトル・ロワイアルにすることが決定した。やりにくいとは思うが、その辺りは上手く切り抜けてくれ。そして…………』

 

そう言いかけると、少し間を空けてから、上白沢先生は言葉を続けた。

 

『今、君は大半の生徒から見下されている。理由はまあ、言わずとも分かるとは思うがな』「………………まあね。企業のテストパイロット二人に喧嘩売ったのに加え、代表候補生にも喧嘩売ったから、こうなるとは思ってましたがね」

『ああ。だからこそ、君に伝えておく』

「何ですか?」

 

そう聞くと、上白沢先生は、何時もの調子でありながらも、何処かに力強さを感じさせるような感じで言った。

 

『君の対戦相手は、実は私の同僚でもある。だが、手加減は無用だ。生徒達に見せてやりなさい。君の、男の意地というものを』

「……………Jawohl.」

 

俺は、久々に使うドイツ語で答え、ゴールドウィングのアクセルを強く捻り、マイバッハエンジンの雄叫びを響き渡らせる。

 

『二人は既に、アリーナに出ている。さあ、行ってきなさい!』

「Jawohl!!では、黄昏狂夜、ゴールドウィング、派手に暴れてくるぜ!」

 

そうして、俺はゴールドウィングのアクセルを全開にし、アリーナへと続くカタパルトを爆走し、勢い良く飛び出した。

 

「『ゴールドウィング』ISモード、展開!」

 

そして俺は、光に包まれた。

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