IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第二十六話~大苦戦どころか大ピンチ!え?意味は殆ど同じ?あ、そっか~

『試合、開始!』

「「はああああああっ!!!」」

 

試合開始のアナウンスが流れた瞬間、一斉に二人は俺目掛けて突っ込んできた。

二人の考えは恐らく、先に不確定要素である俺を潰して、それから八雲重工のテストパイロット同士での決戦に持ち込もうというやり方だな。

バトル・ロワイアルと言えど、大概の確率でこうなるよね、全く。

まあ、文句言えるようなモンじゃねえけどさ。別に誰かと共闘しようが勝手な訳だし。

 

とは言え、簡単に攻撃を喰らう程、俺は下手じゃねえ。左に平行移動して、二人の突進をかわす。

 

すると、今度は紅さんだけが向かってくる。東風谷さんは左へ飛び、武装の1つなのであろうアサルトライフルを展開し、何時でも撃てるように構えている。

 

俺は紅さんが立て続けに繰り出してくる拳や蹴りを左手でいなしながら、右手を3本指のマニピュレーターに変形させ、ソイツのチェーンガンを東風谷さんに向けて撃つ。

これで武器を落とせば万々歳、それが無理でも怯ませることぐらいは出来るだろう。

 

「ぐうっ!?」

 

あ、どうやら当たったようだ。惜しくも武器を落とすには至らなかったようだがな。

「私の攻撃を避けながら早苗さんを撃つなんて、貴方は本当に人間ですか?」

「勿論、生粋の人間だ、よっ!」

 

俺はそう言って、回し蹴りを喰らわせる。その瞬間に紅さんは体を少し反らしていたため、完全には当たらず、少し擦れるだけだった…………………そう、紅さんからすれば、そうなる筈だった。

 

「あらよっと!」

「ぐはっ!?」

 

そう、『筈』だったのだ。

俺は、紅さんが体を反らそうとする一瞬の隙を見て、右足の脚部からタイヤを出し、ソイツで紅さんを蹴り飛ばしたのだ。

タイヤって、こんな使い道もあるんだなあ。

 

「余所見厳禁ですよ、黄昏さん!」

「ぐおっ!?」

 

突然、背後から東風谷さんの声がしたかと思った途端、背中に衝撃が走った。

振り返ると、先程のアサルトライフルを構えた東風谷さんが視界に映った。恐らく、俺が紅さんに気を取られている隙に回り込み、こうして俺を撃ったんだろうな。

やっぱ、2vs1って疲れるよな。

 

「私達の攻撃は、まだまだ終わりませんよ!」

 

そう東風谷さんが言うと、二人が纏っているISの肩から、何やらコンテナみたいなのが現れ、次の瞬間にはそのコンテナのシャッターらしきものが一斉に開き、其所から何発ものミサイルが顔を出した。

 

「オイオイ、冗談がキツいぞコレ」

 

向けられる夥しい数のミサイルを見ながら、俺は悪態をついた。

そして無慈悲にも、それらは放たれた。

俺はミサイルから逃げ回りつつ、チェーンガンで狙い撃っていく。

我が相棒は、見た目の割にはかなり逃げ足が速いようで、今のところ、ミサイルの被弾は無い。

 

「チッ!やっぱ片手だけじゃ火器が足りねえや」

 

撃ち落としても撃ち落としても、立て続けに向かってくるミサイルに舌打ちをしつつ、俺はひたすら逃げ回っていた。

 

 

『何あの試合?ただあの出来損ない、ミサイルから逃げてるだけじゃん。ダッサ』

『そもそも、あんな錆びだらけのバイクが変形しただけのISで、よくもまあこの場に出て来れたわよね』

『まあ、誰も最初っから、あんなのが勝つなんて思ってもないけどね~』

『やられちゃえ!そのまま全弾被弾しちゃえ!』

『バイクもろともスクラップになりなさい!』

 

 

 

観客席から聞こえる不愉快な声にイラつきながら。

 

 

 

 

 

 

 

「アンチョビ姐さん、アタシ今、マジでキレそうなんスけど」

「ああ、実を言えば私もだ」

 

さて、場所を移して、此処は観客席。

狂夜にエールを送ってから観客席に来た5人は、観戦にちょうど良さそうな位置の席を確保し、座っていた。それから観客として来た同級生や上級生が座っていき、遂に試合が始まった。

だが、狂夜がゴールドウィングを纏い、美鈴からハンデをどうするかという相談を持ち掛けられた際、観客席に居た殆どの生徒が、狂夜にハンデをもらえと騒ぎ立てたのだ。

明らかに男を見下している発言にイラついていと言うのに、それからの試合で、生徒達は狂夜を見下す発言を、今も尚繰り返している。

狂夜を『兄貴』と呼び、アンチョビ並に慕っているペパロニからすれば、我慢ならない光景なのだろう。

 

「クソ、マジであの女共駆逐してやりてえ……………!」

 

握り拳を作り、ワナワナと震わせるペパロニを葛城が宥めた。

 

「まあ落ち着きなさい、ペパロニ。彼奴等に思い知らせるチャンスは、後でちゃんと来るから」

「葛城の言う通りだ。気持ちは分かるが、今は落ち着くんだ」

 

葛城に続いて、ペパロニに落ち着くように促したアンチョビに、ペパロニは渋々頷いた。

その時、桜花と氷華は試合の展開を見守っていた。

そして、ペパロニ、アンチョビ、そして葛城は視線を試合の方へと戻し、観戦に集中した。

 

 

狂夜が勝ったら、どうやって狂夜を馬鹿にした連中をイジッてやろうかと悪巧みをしながら。

 

 

 

 

さて、またまた場所を移して、其所はアリーナ。

狂夜は、次から次へと襲ってくるミサイルとの、壮絶な鬼ごっこを演じていた。

 

「クソッ!何だこのミサイル!?次から次へと襲ってきやがるし、何よりキリがねえ!」

 

チェーンガンで幾ら撃ち落としても、また向かってくるミサイルに、狂夜は舌打ちをしていた。

逃げ回るうちに、次第に高度が下がっており、狂夜がふと上を見ると、美鈴と早苗が戦っているのが見える。

 

「(彼奴等、中々来ないからおかしいなと思えばあんな所に…………………俺の相手はミサイルで十分だってか?まあ、一応合ってなくはないんだがな)」

 

そう悪態をつきながら、狂夜は追ってくるミサイルを睨み付けた。

 

「このままやってもキリがねえ。こうなったら一か八かだ……………!」

 

そう呟き、狂夜は降下する角度をさらに高くし、速度も上げていく。

実技試験で真耶にした時と同じように、地面に激突する寸前で体を起こし、水平飛行に移る。ミサイルは全弾が地面に激突して爆発、その爆風や破片で、狂夜のゴールドウィングの装甲の一部が取れ、また、バイザーも前部が割れ、その破片が顔に当たり、頬と目の真下から出血したが、狂夜は気にも留めない。

そのまま急上昇し、上空で戦っている二人の間に割り込んだ。

 

「よお、かなり遅くなっちまったな」

 

狂夜が言うと、二人は意外そうな顔をした。

 

『す、凄いですね。あれで終わらせたつもりだったのですが…………』

「マジかよ……………東風谷さん、流石にソレはないわ。結構傷ついたぞ」

 

狂夜は態とらしく泣き真似をするが、中性的な顔立ちと言えど、男なので意味はなかった。

 

「まあ、そういう訳でだ。ミサイルは片付けたんだ、俺も参加させてもらうぜ」

『で、ですが黄昏さん、血が…………!』

「あ?……………あ~あ、ホントだ。まあ、なんとかなるさ」

 

狂夜はそう言って、不敵に笑う。

 

「さあ、始めようか」

『もう、こうなったら……………』

『どうなっても知りませんからね!』

 

そうして、美鈴と早苗は狂夜目掛けて襲い掛かる。

 

「はああああああっ!!」

 

先に美鈴が動き出し、狂夜に先程のを上回る速度での拳や蹴りを喰らわせようとするが、狂夜は殆どをいなしていた。

早苗もアサルトライフルで応戦するが、狂夜はそれらも避ける。

 

「くっ!こうなったら仕方ありません!」

 

すると、美鈴と早苗が急上昇し、狂夜から距離を取る。そして次の瞬間、二人から夥しい数の、光る弾幕が放たれ、それらが狂夜を飲み込んだ。

 

 

 

 

 

そして数秒後、狂夜が地面に叩き付けられる音が響いた。

 

 

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