IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第二十七話~遂に覚醒!『帝王の覇気』!~

「(あー、企業のテストパイロットって、マジパネエや………………)」

 

目の前が真っ暗闇になっている謎の空間で、俺は仰向けに、大の字で横たわっていた。

それも、ボロボロになった我が相棒、ゴールドウィングを纏っている状態で。

 

俺は、ゴールドウィングの現時点での損傷具合を確認する。

SE残量は20、よくまあ尽きなかったモンだ。ま、一部と言うより、ダメージの3分の1は俺が受けたからな、少なからず残りはするか。

だが、損傷具合はかなりのものだった。

 

バイザーは完全に砕け散り、胸部装甲にあるヘッドライトは片方が割れている。腕を覆う装甲も砕け、その時の切り傷か、血が矢鱈と流れている。脚部は幸いにも無事で、スラスターもまだ生きているようだ。それだけが救いって言えば救いだな。

まあ、後はボロボロ、解体所で初めて見た時以上の損傷具合だ。

つか、頭痛ぇ……………

 

そのまま敗けを認めるか?そうすれば、俺は医務室行きになるし、この痛みも少しはマシになるだろう。

だが、それで本当に良いのか?相手はかなりの実力者だったし、勝算はかなり薄い。

だが、それが敗けを認める理由になるか?…………否、ならない。なる訳がない。

 

俺は決めたんだよ、彼奴等に、男を見下している連中に、俺等男だって、まだ捨てたモンじゃねえって事を………………たとえ出来損ないでも、まだまだやれるってことをな!

 

なら、立たねえとな。まだ第一形態移行も済んでねえし、それに………………

 

「待っててくれてる奴等も居るしな」

 

俺はそう呟き、悲鳴を上げる体を騙して立ち上がる。

 

『マスター』

 

すると、突然桜花の声が聞こえた。それだけではない。

 

『主』

 

氷華の声も…………………

 

『狂夜』

 

葛城の声も………………

 

『『『兄貴(狂夜(君))!』』』

 

ペパロニやアンチョビ、主任さんの声も聞こえる。

 

そして……………

 

『フェルディナンド!』

 

我が最大の親友にしてライバル、イワンの声も聞こえる。

 

『『『『『『『『『将校!!』』』』』』』』』』

 

俺が率いてた戦車大隊の部下達も居る。

 

そして、俺の前世での記憶全てが、頭の中でフラッシュバックする。

 

なんだぁ、俺って結構恵まれてるんだなあ。つくづく思い出してきたぜ。

 

あの部下達には、大概俺が我儘言って、戦争がある程度終わったら撤退してもらい、イワンには、親友として共に遊び、はたまたライバル、否、敵の親玉同士として死闘を繰り広げた。

桜花には、転生してからの今までで、少し荒れかけていた俺を支えてくれた。氷華にも、何だかんだで結構支えられたなあ。葛城は………………まあ、これからか。

主任さんは、解体所に転がり込んだ俺を迎えてくれて、ペパロニやアンチョビも、こんな俺と仲良くしてくれた。

 

そんな奴等が居てこそ、俺はこの場に立ってんだ。

なら、此処でぶっ倒れてる場合じゃねえな。

 

そういや思い出したぜ。後2つあった、俺の呼び名が

 

確か、『ナチスの死神』と、『ベルリンの不死鳥』だったっけな

まあ、前者は置いといて後者だ。

 

不死鳥なら不死鳥らしく、何度でも甦って、あの場に立たねえとな。

 

上等だ

 

やってやろうじゃねえか

 

まだSEは残ってる、まだ可能性はあるんだ。まだ戦える、まだ暴れてやれる!

 

さあ、行こうぜゴールドウィング

 

見せつけてやるんだ、彼奴等に

 

『第二次大戦の二本角』の一角、『ドイツの帝王』、フェルディナンド・ポルシェの力を!

出来損ないと呼ばれた俺にもある、男の意地ってヤツを!

 

 

 

 

 

 

ーー稼働率急上昇、第一形態移行開始ーー

 

そして、俺はまた、眩い光に包まれた。

あの弾幕とは違う、力がどんどん溢れてくるような、そんな光に………………

 

 

 

 

 

 

 

さて、またしても場所を移して、アリーナの上空。二人が放った弾幕の直撃を受け、地面に叩き付けられる音が響き、観客席に座る誰もが狂夜の敗北を確信し、ペパロニ達5人は、悔しそうな顔をしていた。

 

 

 

その上空では、美鈴と早苗が息を切らしていた。

だが、それでいて鳴らない、狂夜のエネルギー切れ、敗退を知らせるアナウンスが流れないことに、二人は、まだ狂夜のSEが残っていることを悟った。

 

砂埃がゆっくり晴れてくると、ボロボロになりながらも立ち上がろうとする狂夜の姿があった。

 

「(黄昏さん、貴方は強かった。恐らく、私達が入試を受ける時に戦った、ロシア代表の教官よりも………………)」

「(貴方には、敬意を払うべきなのでしょうね………………ですがコレは勝負なのです。すみませんが、此処で退場してもらいます)」

 

美鈴と早苗は、それぞれそう思いながら、ゆっくりと、アリーナの地面に降りた。

 

 

「まだ……………まだだ……………俺はまだ、戦える…………!」

 

「「!?」」

『『『『ーーッ!?』』』』

 

突然聞こえた狂夜の声。その声には、何の迷いすら無かった。

狂夜はよろけながらも立ち上がる。

その顔--否、正確には頭--からは血が流れ、腕の出血もあった。

彼の黒い目には、さっき以上の闘志が、炎のように燃え上がっていた。

 

「貴方は何を馬鹿言ってるんですか!?そんなボロボロの血塗れで、戦える筈がありません!もう止めてください!」

「さ、早苗さんの言う通りです!そこまで頑張ったんですから、もう休んでください!」

 

二人は叫ぶが、狂夜は首を横に振るばかりだ。

 

「そんなモン知るか」

「「ッ!?」」

 

不意に、狂夜がそう言い放った。その途端、アリーナの地面が揺れ始める。

 

「俺はなァ、決めたんだよ……………今時の風潮で蔑まれてる男ばかりじゃねえって事を、男の意地を、あのバカ共に見せつけてやるって…………本格的に戦えなくなるまで、戦いは止めねぇってなァ!!」

狂夜の足元から、彼を中心に渦巻くように風が吹き上がり、血で一部が赤く染まった、獣耳のような形をした特徴的な髪を揺らす。

全身から蒼白いスパークがバチバチと音を立てながら迸り、吹き上がる風も、その強さを増していく。

上空では気流が乱れ、雲の流れも一部が速く、また一部が遅くなり、さらには、また一部が渦を巻く。

「こ、この凄まじい気の嵐は………………ま、まさか彼が!?」

 

あまりにも予想外の事態に、美鈴と早苗は勿論、アリーナの観客席に居た生徒全員や、管制塔に居た慧音や、次に控えてある、1組のクラス代表決定戦のために来ていた、織斑千冬や、山田真耶もが絶句する。

 

そうしている間にも、上空の気流は乱れに乱れ、仕舞いには雷雲まで発生し、アリーナの地面に立て続けに落雷し始める始末。

 

「はァァァァァァ……………………!」

 

そして狂夜の声が聞こえ始め、ゴールドウィングからも、ボロボロになったマフラーから、マイバッハエンジンの唸り声が上がる。

そして、一本の一際大きな雷が落ち、これまた一際大きな爆音をアリーナ一帯に響かせた時、その瞬間はやって来た。

 

 

 

『ガァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!』

 

「「ッ!?」」

『『『『ーーーッ!?』』』』

 

雷の爆音に呼応するように、狂夜はさっきの雷の爆音を上回る程の雄叫びを上げ、はたまたそれに呼応するように、ゴールドウィングのマフラーから、マイバッハエンジンの爆音とも呼べる雄叫びが上がり、白い煙が勢い良く噴き出され、彼は眩い光に包まれ、さらに続けて爆音を撒き散らし、生徒全員と教員一同が、各々の目を覆った。

 

 

 

光が晴れると、其所には2つの変化を遂げた狂夜の姿があった。

 

1つ目は、彼の姿だ。

全身から赤い炎のようなオーラを撒き散らし、血で一部が赤く染まった黒髪も真っ赤になり、黒目も赤い虹彩に黒の瞳孔となる。

 

そして2つ目は、彼の専用IS、『ゴールドウィング』だ。

 

ボロボロになっていた装甲は元通りになり、錆びて銅色になっていたボディは、パールホワイトに胸部装甲の上一部が黒になった、白黒のISとなっていた。

 

『さあ、最終ラウンドと行こうぜ……………!』

 

顔は相変わらずの血塗れだが、一切の疲労や戸惑いを感じない、真っ直ぐな目で、狂夜は二人を見詰めた。

 

 

「……………分かりました。ならば全力で、貴方を倒させてもらいます!」

「怪我しても、恨みっこなしですよ!」

 

そうして臨戦態勢に入った二人を見て、狂夜は満足そうな笑みを浮かべて言った。

 

『そう来ねえと面白くねえ……………最高だぜ………美鈴、早苗。思い切りやるから覚悟しとけよ?』

 

「…………え?」

「あ、あの、黄昏さん……………い、今…………私達を名前で……………?」

 

美鈴と早苗が、顔を赤くしながら暫くふためくが、やがて落ち着きを取り戻し、二人顔を見合わせて頷き合い、同時に狂夜の方を向いて言った。

 

「「勿論ですよ、狂夜さん!」」

 

そうして、最終ラウンドが幕を開けた。

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