IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第二十九話~試合後の変化~

クラス代表決定戦の後、俺は上白沢先生に助けられながら、医務室へとやって来た。

それから養護教諭である八意 永琳(やごころ えいりん)先生に会い、挨拶する暇すらなく頭と腕に包帯を巻かれ、今はベッドで寝ている。

 

「兄貴、何だかんだありながらも、ケッコー酷い怪我だったからなあ、問答無用で安静にしてろって言われるって」

「そうかねえ?」

 

そして今、俺は見舞いに来てくれたペパロニ達と雑談中だ。

5人が入ってきた途端、泣きながら飛び付いてきた桜花にはビックリしたぜ。それから暫く泣いてたからなあ。慰めるのに苦労したし、その時に桜花を抱き締めてたんだが、何故か氷華や葛城がむくれてたからなあ、マジ解せぬ。

 

だがまあ、今ではすっかり泣き止んだから良しとしようか。

 

「にしてもペパロニ、お前ケッコー言いまくったなあ。アリーナの観客席に居た女子のほぼ全員が、顔真っ赤にしてたぜ?」

 

俺は、あの時ペパロニが女子を弄り倒したことについて言った。

 

「まあまあ、兄貴もスカッとしたろ?」

「否定はしない」

 

そう返事を返し、俺達のお喋りは暫く続いた。

 

 

「そういや桜花、ゴールドウィングのダメージレベルはどうなってんだ?第一形態移行の前って、ほぼ大破していたろ?」

 

そう聞くと、桜花は微笑みながら言った。

 

「その辺りについてはご安心ください、第一形態移行した際に、SE及び機体の損傷は全て回復したので、機体や武装の展開・解除や、駆動系についても異常ありません」

 

へえ~、ISってつくづくスゲーんだなあ。形態移行しただけでダメージ回復とか、とんでもねえ機体じゃねえかよ。

 

そうこうしてるうちに時は流れ、今は午後6時。そろそろ腹減ってきたなあ。

そう思っていると、ドアが開いて上白沢先生と八意先生が入ってきた。

 

「黄昏君、具合はどうだ?」

「ええ、もう十分動けますよ」

 

俺はそう答え、起き上がると、腕を軽く回して見せる。それを見た二人は微笑み、退出許可をくれた。

俺は八意先生に礼を言って、ペパロニ達5人と共に医務室を後にした。

 

 

 

 

 

「いやあ、しっかし兄貴、マジで強かったなあ~。アレ、何だっけ?手からぶっ放したデカイ砲弾」

「ああ、『宿命の砲火』か?」

「それそれ!アレなんか凄かったぜ!どうやったらあんなモン撃てんだ?アタシでも出来るか?」

「残念ながら、ソイツは無理だな」

「そりゃ残念」

 

さてさて、医務室を後にした俺達は、桜花と氷華、葛城を各々の待機形態に戻したため、何時もの3人になった状態で、学食に向かっていた。

 

「なあ、狂夜。アレはゴールドウィングの単一仕様能力なのか?『宿命の砲火』とやらも、あのオーラも」

 

学食まで後少しの所に差し掛かった時、アンチョビが不意に、そんなことを聞いてきた。俺は、首を横に振って否定し、適当に、『喧嘩修行していたらこうなった』と言って誤魔化した。

まあ、その直後に二人からのツッコミを喰らったのは言うまでもないがな。

 

「悪い、少し疲れたから休むわ」

 

俺はそう言って、オルコットと初めて会った、例の休憩スペースのソファに腰を下ろした。

十分動けると言って出てきたが、流石にまだだったか…………………頭も若干いてえし、動くには早すぎたか。

 

「ちょい兄貴、大丈夫か?何か辛そうだぜ?」

「ああ……………まだ動くには早すぎたみてえでな。何か頭痛してきやがった」

「あ~あ」

 

オイコラアンチョビ、今のリアクションはねえだろ。『ヤベッ!』みたいな反応してるが、もう聞こえたからな。今度覚えてやがれよ?

 

「な、何だ!?何やら寒気が……………!?」

「あれま、何故だろうな~?不思議だねえ~」

 

寒気に震えるアンチョビを、俺は笑って眺めながら、ゴールドウィングの待機形態であるヘッドフォンを外し、眺めた。

 

最初の古ぼけた感じから一転、第一形態移行後の待機形態であるヘッドフォンは、新品同様になっていた。

 

どっかの店で売ってるような中古品より、さらに古そうな感じを見せていた、錆びた鉄のような色をしていた全体の色は、フレームは漆黒に、耳当ての部分の右側には、紫の耳当てに、金色で『帝』と書かれ、左側にはナチスのエンブレムである鍵十字が描かれている。

さらにフレームには、金色で『GOLD WING』と書かれ、何となくゴージャスな雰囲気を醸し出していた。

 

まあ、前世ではドイツ軍将校だった訳だし、『ドイツの帝王』って呼ばれてた訳だし、待機形態にそんな感じのペイントが施されるのも頷けるな。

 

 

さて、暫く休むと、次第に頭痛は治まっていき、今では、普通に歩けるぐらいには回復していた。

俺は、もう十分に動けるようになったと二人に伝え、再び学食へと歩き出した。

 

 

 

 

 

「………………で、何だ?この状況は」

 

学食に着いた途端、一斉に向けられた視線に、俺はかなり戸惑っていた。

 

「なあ、ペパロニ、アンチョビ…………この状況どうすりゃ良いの?」

「私に聞かないでくれ、と言うか、事の発端はペパロニからだろう」

「ちょい姐さん!?まさか全責任をアタシ一人に擦り付ける気っスか!?」

「どっちもどっちだろうが、全く…………ホラ、さっさと飯食おうぜ。腹ペコなんだよ俺は」

そう言って、俺は二人を急かしておばちゃんの元へと向かった。

 

「おばちゃん、カレー頼みます」

「あいよ!と言うかアンタ、頭と腕に包帯なんざ巻いて、顔にまで絆創膏貼って……………何処で怪我したんだい?」

「無理するんじゃないよ?ホレ、カレーお待たせ」

「分かってますよ」

 

あ~、やっぱり学食のおばちゃんは優しいなあ~。

 

「ホラ、二人もさっさと注文しな」

「あ、そだな!………………助かったぜ」

「ペパロニ…………これに乗じて話をナアナアにしようとしているな?……まあ、良いか」

 

何やらブツブツと聞こえたが、俺は先に席を取ることにした。

カレーが出される少し前に、俺は学食全体を一通り眺めており、良さそうな席に目をつけていたのだ。幸いにもまだ空いていたので、俺は真っ直ぐその席に向かい、腰を下ろした。

 

「(そういや、美鈴や早苗は大丈夫かなあ?少なくとも怪我はしてないように見えたが…………)」

 

そう考えながらペパロニ達の到着を待っていると、何やら女子生徒が近づいてきた。恐らく誰かと相席でもするのだろうと、俺は窓の外を眺めていた。

 

「あ、あの!黄昏君!」

「あ?俺に用があったのか?」

 

意外にも、その女子生徒は俺に話し掛けてきた。何だ?まさか、あの試合は不正だとか言いに来たのではあるまいな?等と考えながら、俺は次の言葉を待った。

 

「その、今日の試合だけど……………」

 

やっぱか……………そう思っていた時だった。

 

「あ、あの時の黄昏君、カッコ良かった!!」

「……………は?」

 

なんと、カッコ良かったと言われてしまった。

頭の中で何があったのかを一通り整理し、取り敢えず礼を言っておこうと、その女子生徒の方を向くと、女子生徒は顔を真っ赤にして、手をモジモジとくねらせていた。

 

「まあ、何だ……………ありがとさん」

「~~~~~~ッ!?じゃ、じゃあね!」

「は?え、ちょっ!?」

 

オイオイ、何だ何だ?いきなり顔をさらに赤く染め上げて、何があったんだ?

その女子生徒は、遠くに居た他の女子生徒のトコに走り寄り、何やらブツブツ呟いて、そのまま去っていった。マジでどうなってやがんだ?

 

「お~、遂に兄貴がフラグを建てたぜ~」

 

訳が分からず頭を捻っていると、ニヤニヤしやがらトレイを持ったペパロニとアンチョビが近づいてきた。

「フラグ?何だよそりゃあ?」

「さあ、何だろな~♪」

 

そんなこんなありながらも、俺達は夕飯を食べ始めた。

 

 

結局、フラグとやらについては、ペパロニやアンチョビも、全く答えてくれなかったのは余談である。

 

 

 

 

「あ、そうだ。アタシ等が晩飯待ってる時に、偶然上白沢先生に会ってさあ、後で話があるから飯食ったら部屋に居てくれだとさ」

「話?」

「ああ。なんでも、クラス代表についての話だそうだ」

「それかあ~」

 

正直な所、あまり乗り気ではない。この際だから美鈴や早苗にでもやらせりゃ良かろうに。

 

「なんでも、3組代表は兄貴が適任だと、二人が辞退したんだとさ。まあ、兄貴に負けた時点で辞退のへったくれもないけどさ」

「あ~、確かにそりゃそうなるわな」

 

俺は苦笑いしながら、お冷の残りを飲み干した。

 

 

 

 

 

「じゃ、またな~」

「「ああ(おう)!」」

 

さて、それから学食を後にした俺達は、寮の廊下で別れ、俺は部屋に入った。

ヘッドフォンや籠手から、桜花と氷華、葛城を出し、4人で団欒していると、ドアをノックする音が聞こえた。恐らく、上白沢先生だな。

 

俺はドアに向かい、開ける。

 

「やあ、黄昏君。こんな時間にすまないね」

 

ペパロニが言った通り、上白沢先生がやって来ていた。

取り敢えず中に入れ、話を聞く。

 

「さて、取り敢えずだが黄昏君、クラス代表決定戦、お疲れ様。あの試合から、女尊男卑思考の人間は減ってきたよ。余程効果が強かったんだろうね」

「まあ、そうでしょうな……………んで、本題は?」

 

そう訪ねると、上白沢先生は言った。

 

「ああ、3組のクラス代表だが……………黄昏君、君に頼みたい」

 

やはりそう来たか…………

 

「まあ、君との勝負に負けたのだから辞退も何もないが、紅や東風谷が、クラス代表は君がやるべきだと言ってきてな。まあ、君の体調次第では、クラス対抗戦では代理を立てるが、実質的なクラス代表は、君にやってほしい。一応辞退は出来るが、頼めるか?」

 

ふーむ、どうするか……………正直な所、あまり乗り気ではないが、だからと言って辞退して、美鈴や早苗に押し付けるのもアレだな…………よし!

 

「分かりました。やりましょう、クラス代表」

「そうか、ありがとう」

 

そう言って、上白沢先生はニッコリと微笑んだ。

 

「その答えを聞けたことだし、私はおいとまするとしよう。じゃあお休み、黄昏君。明日、具合が悪ければ、私に連絡してくれ」

 

そう言って、上白沢先生は連絡先を書いたメモ用紙を渡してきた。

 

「了解です」

 

そうして上白沢先生を見送り、俺は中に入った。

すると、桜花達3人が、誰がベッドで寝るかを巡ってじゃんけんをしていた。

 

「俺は先に寝るから、決まったら電気消してくれな」

 

俺は、3人にそう言ってベッドに寝転がると、そのまま死んだように眠った。

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