IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第三十一話~お前にはガッカリしたぜ~

さてさて、実習から時はすっ飛んで、今は放課後。

俺はペパロニとアンチョビの3人で、スマホで人気のゲームをして遊んでいた。

遊び始めてから、かれこれ30分経つ辺りまで遊んでいると、上白沢先生と長谷川先生が教室に入ってきた。

 

「ああ、黄昏君。まだ教室に居てくれたんだな。良かった」

「ん?何かあったんですか?」

 

ゲームを中断し、やり足りなさを隠しつつ訪ねると、長谷川先生が答えた。

 

「ああ、急で申し訳ないんだが、今から私達と一緒に、アリーナに行ってもらえないか?」「アリーナに?なんでまた?」

「それがな…………………

 

~教員説明中~

 

…………………と言う訳なんだ」

「はあ………………」

 

話の内容はこうだ。

 

実は、俺達3組でのクラス代表決定戦の後、1組でも同様に、織斑ツインズとオルコットとのクラス代表決定戦をやっていたらしく、その際、俺達の試合を織斑千冬も見ていたんだそうだ。

企業のパイロット二人を相手取り、最初こそ完全に劣勢だったものの、第一形態移行してからは物凄いスペックを発揮したゴールドウィングだが、俺が必要以上の干渉を全面的に拒絶しているため、『もう一度、ゴールドウィングで戦っているところを見せろ』と織斑千冬が言ったんだそうだ。

因みに対戦相手は、織斑ツインズとオルコットだとさ。コレはちょうど良い。態々喧嘩売りに行く手間が省けた。

 

「勿論、君が嫌なら無理強いはしない。どうだ?」

「良いですよ。ちょうど、やりたいことがあったんで」

 

俺がそう言うと、上白沢先生と長谷川先生が、何を言ってるんだと言わんばかりに首を傾げたが、取り敢えずアリーナに向かうことにした。

勿論、ペパロニとアンチョビも付いてきたけど。

 

 

 

 

 

 

 

「取り敢えず、最初の対戦相手はオルコットだ。ゴールドウィングを一回でも使うなら、打鉄を使っても良いそうだ」

 

アリーナに着くと、長谷川先生から試合の説明を受けた。

打鉄を使っても良いのか、ならば尚更ちょうど良い。この暫くの間に、オルコットが考えを改めてくれたかを確かめるチャンスだ。たとえ訓練機が相手でも、彼奴はちゃんとしたリスペクトを持ってくれるのか、はたまた改善したのは女尊男卑思考が抜けただけか、またまた、最初に会った頃から全く変わってないのか………………期待してるぜ?オルコット。

 

あ、因みにだが、アリーナの観客席には、今回は誰一人として生徒は居ない。居るとすれば、付いてきたペパロニとアンチョビぐらいだ。

 

「さて、早速始めるか、打鉄!」

『ええ!久し振りに貴方の専用機として戦えるわ!』

 

打鉄の待機形態である籠手から、嬉しさに満ちた葛城の声が聞こえる。

 

「黄昏君、オルコットがアリーナに出た。君も行きなさい」

「頑張れよ、兄貴!」

「応援してるぞ」

「ありがとよ、二人共」

 

そうして俺は、カタパルトに足を乗せ、勢い良くアリーナへと飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

「久し振りだな、オルコット」

 

アリーナに出ると、俺は真っ先にオルコットに通信を入れる。

 

「長谷川先生から聞いたよ。1組でもクラス代表決定戦やったんだってな…………んで、アレからどうだ?お前の中で何かが変わったりしたか?」

『………………確かに、一夏さんや秋彦さんのお陰で、男にも強い者が居ると分かりましたわ』「ほう、どうやら、女尊男卑思考から足を洗ってくれたみてえだな」

 

そう言うと、俺はどうやって言葉を続けたら良いのかを考え始めたが、先にオルコットが口を開いた。

 

『それにしても貴方、もしや訓練機で試合をするつもりですの?』

「ん?そうだが……………………何か問題でも?」

 

そう言うと、オルコットはニヤリと笑みを浮かべた。まるで、自分の勝利を確信したかのように。

 

『この試合、私の勝利で決定ですわね』

「ほう?その心は?」

『確かに、貴方は企業のパイロット二人を相手取り、勝利を収めた。コレは認めましょう。ですが、だからと言って、訓練機なんかで私に挑むとは…………負けた時の言い訳用ですか?』「…………………」

『今なら、まだ引き返せますわよ?降参するか、もう1つの専用機を使うかを選ばせてあげますわ。訓練機ごときに私が負ける筈がありませんもの』

 

…………………ガッカリだ、本当にガッカリだ。

コイツから女尊男卑思考が抜けたのは、純粋に嬉しいと思う。

だが、今のコイツは、ただ見下す対象が『男』から『訓練機』に変わっただけだ。

そんな奴を見直せるか?尊敬出来るか?否、出来る訳がない。

 

「不合格だな、オルコット」

『何がですの?』

「お前から女尊男卑思考が抜けた事については嬉しい。だが、お前は男を見下さなくなった代わりに、今度は訓練機を見下し始めた。どちらにしろ、お前から『見下す』と言うのは消えなかったんだな…………………もういい、お前とは分かり合えないと言う事が分かっただけでも大きな収穫だ。こんなクソつまらねえ勝負、ちゃっちゃと終わらせてやるよ。テメエが見下した訓練機に完膚なきまでに潰される屈辱、存分に味わうがいい」

 

そう言った途端、オルコットの眉間がピクつき、試合始まってもないのに青色のライフルを向けてきた。

打鉄が、ロックオンされたことを知らせる。

つかこれ、フライングだよね間違いなく。

 

『試合開始!』

 

そのアナウンスがアリーナ一帯に響き渡った瞬間、オルコットはライフルをぶっ放した。

蒼白い光線を見る限り、ありゃ普通のライフルじゃねえ、レーザーライフルに近接ブレードだ。

オルコットは立て続けにライフルを撃ってくる。俺はライフルの銃口を睨み、放たれた瞬間に機体を捻って回避する。

そのお陰で、現在被弾数ゼロだ。

 

「さあ、踊りなさい!私、セシリア・オルコットと『ブルー・ティアーズ』の奏でる円舞曲《ワルツ》で!」

 

自信満々の表情で、オルコットは高らかに言う。

俺は攻撃を避けながら、ブルー・ティアーズとやらの武装を見る。

先程のレーザーライフルに、レーザービット4機に、ミサイルビット2機だそうだ。

 

俺は何も言わず、ただひたすらに避ける。

ライフルを何発か撃ちまくると、次はレーザービットを差し向けてくる。

それから、ビットでレーザー撃っては戻し、ライフルで撃っては、またレーザービットを差し向けの繰り返しだ。

コイツ、どちらかに意識を集中させなきゃならねえ。つまり、マルチタスクが出来ねえんだな。

 

「そうと分かれば、此方のモンだな」

 

俺はそう呟き、瞬時加速でオルコットとの間合いを一気に詰める。

 

「なっ!?こ、これでは………………」

「ミサイルビットが使えないってか?」

「ッ!!」

 

俺がそう言うと、オルコットは悔しそうな顔をした。

 

「さて、早速だが速攻で決めさせてもらいたい所だが、少しばかり頭に来てるから、潰させてもらうぜ」

俺はそう言って、近接ブレード『葵』を展開し、非固定浮遊部位である、フィンアーマーを斬りつけてボロボロにし、さらにアサルトライフル『焔備』を展開し、脆くなった部分目掛けてぶっ放す。レーザービット4機がついたままのフィンアーマーは、粉々に砕け散った。

「そ、そんな……………ティアーズが………………!」

「武器壊されただけで狼狽え過ぎなんだよ小娘」

「きゃあ!?」

 

俺は次に、腰についているミサイルビットを斬りつけ、破壊する。さらに、瞬間移動でオルコットから少し離れ、レーザーライフル目掛けて焔備をぶっ放した。

まだエネルギーは残っていたからか、ライフルは爆散、後は、近接ブレードのみだな。

最早、完全な詰み《チェックメイト》だ。

 

「い、インターセ………………」

「言わせるかよアホンダラ」

 

俺は近接ブレードを展開しようとしたオルコットに近づき、右腕目掛けて回し蹴りを喰らわせる。さらには体勢を崩した直後に焔備をぶっ放し、ブルー・ティアーズとやらのスラスターに命中させ、破壊する。

そして止めに、

 

「大口叩く割には大したことねえんだな、ガッカリしたぜ」

 

と言って、オルコットの足を掴んで一振り回した後、そのままオルコットを地面に投げ、叩きつけた。

 

『試合終了!勝者、黄昏狂夜!』

 

そして、俺の勝利を知らせるアナウンスが響き、俺は上白沢先生から通信で誉められ、少し照れ臭い気分になりながら、アリーナの地面に降り立ち、ISが解除され、気絶してるオルコットを抱え上げ、ピットに向かった。

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