IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第三十三話~3人の愚か者~

こりゃ一体どうなってやがる?

 

アリーナの端で展開された、理解不能なこの状況に、俺は内心かなり戸惑っていた。

打鉄を纏い、織斑ツインズに近寄る篠ノ之箒は、此方を睨み付けると、打鉄の近接ブレード『葵』を向けて言った。

 

「こんな卑怯で男の風情にも置けん試合、見ていられるか!私も参加させてもらう!」

 

なんと無茶苦茶な。つか、勝負に横槍入れんのが武士のやり方かよ。

 

「残念だが、それは許されねえよ。コレは、俺vs織斑ツインズの試合なんだ、部外者は引っ込んでいてもらいたいんだがねえ」

「私は二人の幼馴染みだ!よって部外者などではない!」

 

そう言って、篠ノ之箒はブレードを振りかぶって突撃してきた。織斑兄のように、ただがむしゃらに向かってくるだけの、単純且つ単調な攻撃だった。

 

「こんな闇雲な攻撃の仕方が許されんのは初心者までだぜ」

 

俺は鼻を鳴らし、右脚部のタイヤを出す。左足で踏ん張りながら、右のタイヤを思い切り回す。

砂埃が巻き上がり、俺の後ろへと、地面の土が飛ばされる。

篠ノ之箒が間合いに入り、ブレードを降り下ろそうとした時、俺は勢いをつけた右足で、篠ノ之箒を思い切り蹴り上げる。

 

「ゲブラァッ!?」

 

篠ノ之箒は、そんな声を上げながら吹っ飛ばされ、織斑ツインズの頭上を飛び越え、アリーナの壁に勢い良く激突する。

 

奴等が怯んでいる隙に、俺は上白沢先生に通信を繋げた。

 

「ちょっと先生、こりゃ一体何の真似ですか?」

『すまないが、これは織斑先生の指金だ。曰く、『私の弟ならこれぐらい対処出来る筈だし、ゴールドウィングのデータ取りにちょうど良い』だそうだ。長谷川先生と話をしていたら、いつの間にか篠ノ之が打鉄を纏って飛び出してな、誠に申し訳無いが、止められなかったよ』

 

オイオイ、そりゃ無茶苦茶な。つーか、あの女の指金かよ。何処まで腐った煩悩なんだよ、あの名誉ぐらいしか取り柄の無いアホンダラめが……………………って、ちょっと待てよ?彼奴が打鉄纏ってるってことはまさか!?

 

「ちょい上白沢先生!まさかとは思いますが、あの女、俺の打鉄を!?」

『いや、それについては安心してくれ。君の打鉄は、私がしっかり預かっている』

 

良かったあ~。もしあの女が使ってたらどうしようかと思ったぜ。

 

そうして一安心していると、上白沢先生が言った。

 

『取り敢えず、篠ノ之の処罰は此方で検討するから、君は3人を片付けて来なさい。あわよくば、大破させても構わない』

「はーい」

 

俺はそう答えて通信を切り、3人に向き直ると言った。

 

「テメエ等、よくもまあこんな汚い手ェ使ってきやがったなァ……………本来は織斑ツインズVS俺での模擬戦である筈なのにさァ…………無粋な横槍入れやがって。もう怒った。テメエ等3人纏めてスクラップにしてやるよ」

 

篠ノ之が纏っている打鉄には罪なんて無い訳だが、この際仕方無い。許せ、打鉄。

 

俺は、右手に大口径2連装機関砲、左手に手持ち式3連装ガトリング砲を展開し、一斉射撃を喰らわせながら突撃した。

雨霰と、横殴りに降り注ぐ弾丸の雨に晒され、3人のISはボロボロ、SEは瞬く間にゼロになり、織斑ツインズのISは強制解除され、篠ノ之のISはあちこちから煙を吹き出し、機能停止した。

ゴメンよ打鉄、君に罪は無い。

恨むなら、あまりにも身勝手が過ぎる篠ノ之箒を恨んでくれ。

 

『試合終了!勝者、黄昏狂夜!』

 

一応勝ったけど、マジであの打鉄には悪いことしちまったなあ~、せめて次は、認められる主に出会えよ。

俺はピットに戻りながら、罪無き打鉄に合掌した。南無(チーン)

 

 

 

 

 

 

 

さてさて、何時かのクラス代表決定戦の時のように、脚部からタイヤを出してカタパルトに着陸し、そのままタイヤを転がしながらピットに戻ってきた俺は、先生二人と話をしていた。

篠ノ之には、クラス対抗戦後に反省文50枚の処分が下されたそうだ。

流石に軽すぎないかと訪ねると、上白沢先生曰く、『委員会が判断したからどうしようもない』だそうだ。

まあ、言わばブリュンヒルデ(笑)と天才(笑)を怒らせたくないんだろうよ。何時かの日本政府のクソ共だって、似たような理由で俺をモルモットにしようとしてたからな。

 

そして今、上白沢先生は電話中だ。何でも、彼奴等に回収班だとさ。

 

「………………はい、分かりました。ありがとうございます」

 

どうやら電話は終わったそうだ。

 

「3人の回収が終わったそうだ」

 

にしてもスゲエなあ、態々回収班出すなんて。

俺は、こんな理不尽が過ぎる事態を起こしたクソ女を恨みつつ、そんなことを考えていた。

 

 

 

 

 

 

「す、凄いですね。まさか、3人纏めて、一気にSEをゼロに……………」

「ああ…………(まあ、私の弟だから、コレぐらい出来て当然だがな)」

 

此処は、織斑兄弟側のピット。

モニターで試合を見ていた二人は、そんなことを話し合っていた。

と言うより、千冬は自分が篠ノ之箒の行動を許したのだが、それが真耶に知られていないのは、恐らく隠れて篠ノ之箒を格納庫へ連れていったのだろう。

 

「それにしても、狂夜君のISは凄いですね。紅さんと東風谷さんとの模擬戦でもそうでしたが、織斑君達のISのスペックも軽々と上回るスペックですよ、アレは」

 

真耶がそう言うと、千冬は立ち上がり、呟いた。

 

「少し、確認する必要があるな」

 

そうして、千冬は反対側のピット、つまり狂夜達のピットへと向かって歩き出した。

 

「はあ………………また織斑先生の悪い癖が…………と言うか、狂夜君の入学条件に、『専用機に無闇に関わるな』って書いていたのに………………」

 

そう呟く1年1組副担任、山田真耶は、深い溜め息をついた。

 

「狂夜君、2月の事もまるで覚えてないし、このまま織斑先生が変にちょっかい出して狂夜君を刺激して、彼が学園を辞めるなんて言い出したらどうするんですか」

 

 

 

 

 

そしてまたしても、真耶は憂鬱そうに溜め息をついた。

 

それを狂夜が知ることになるのは、まだ先の事になるだろう。

 

 

 

 

 

 

その頃、狂夜達の居るピットへと歩みを進めている千冬は………………

 

「(あのISは、明らかにスペックが高過ぎる……………強力な火器を備え、一夏や秋彦のIS、白式や白椿に積まれている武器、雪片弐型を軽々と受け止めてしまうブレード…………恐らくだが、ドイツで行方不明になってから……………いや、もしかしたらそれより遥かに前から手に入れていたに違いない。どうしたものか……………)」

「あれ?千冬姉さん」

「おお、一夏に秋彦、それに篠ノ之も。何処へ行くんだ?」

 

狂夜達の居るピットへと向かう廊下を歩いていた千冬は、一夏、秋彦、そして箒と鉢合わせした。

 

「彼奴が居るピットだよ。あのISはスペックが高過ぎる。きっと不正でもして改造したんだ」「出来損ないが、一夏や秋彦に敵う筈がありませんからね」

 

随分と身勝手極まりないことを言う二人に、一夏も同意するかのように頷く。

 

それから、千冬は秋彦から、先程の戦闘について詳しく聞いた。

3人の纏っていたISのSEを瞬く間にゼロにした、大口径2連装機関砲に、手持ち式3連装ガトリング砲、そして、一夏と秋彦の専用機に共通して積まれている、唯一の武装、雪片弐型を軽々と受け止めてしまうブレード等、千冬が考えていた武装についての話が次々に出てきた。

 

「そうか………………ちょうど良い。私も彼奴に用がある。彼奴のISの検査をするために渡させる。ついてこい」

 

そうして千冬が先頭に立って歩き出し、3人も後に続いた。

 

「(不正、か………………中々使えるキーワードが出てきたな。コレを理由に回収して、あわよくば、一夏か秋彦のどちらかに渡すとしよう。流石に、あんな高スペックなISは、彼奴には勿体無いだろうからな。何故か彼奴に渡った打鉄で十分だろう)」

 

千冬は先頭を歩きながら、ゴールドウィングを纏って戦う二人の姿を思い浮かべていた。

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