IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中) 作:弐式水戦
さてさて、そんなこんなで迎えた翌朝。
そろそろ言うのも飽きてきたんだが(⬅オイコラ)、俺は何時も通り、学食に来ていた。
「よっ、兄貴!おはよーさん」
「おはよう、狂夜」
「ああ、おはよーさん二人共。昨日はありがとな、助かったぜ」
俺は二人からの挨拶を返し、昨日の礼を言った。
この二人が居なかったら、俺は晩飯抜きという地獄を味わい、空腹状態で床につくことになりかけてたから、二人はある意味恩人だ。礼ぐらいは言わなきゃな。
「いやいや、別に良いって、気にすんな!」
「ああ。あれぐらいはどうってことないさ、気にする必要はないぞ」
俺、この二人と友達になってホントに良かったとつくづく思うぜ。
「あ、そういや兄貴、昨日アリーナで操縦訓練してたんだよな?んで、別に急ぐ必要もないのに瞬間移動で来たろ?何かあったんか?」
「ああ、確かに瞬間移動で来ていたな」
「いやあ、実はな?
~少年説明中~
………………という訳なんよ」
俺は二人に、アリーナを出てから水色セミロングの女子生徒に後をつけられたことを話した。
二人は何故か、興味深そうに話を聞いていた。
一通り話し終えると、手を顎に当てて考えていたペパロニが口を開いた。
「もしかしたら、4組の代表じゃね?」
「「4組の?なんでまた?」」
ペパロニの案に、俺とアンチョビの声が揃った。
俺とアンチョビが尋ねると、ペパロニは探偵のようなポーズを決めてから言った。
「実はな?あの4組代表のコなんだけど……………
~少女推理中~
………………ってな訳で、兄貴の後をつけてたんじゃね?」
ペパロニの案は次の通りだ。
4組の子には専用機がなく、必然的に訓練機を使わなければならないのだが、予約制である上に中々使う機会が回ってこないため、操縦訓練があまり出来ないと。
んで、美鈴と早苗といった企業のパイロット二人を相手取って勝利を収めた俺に、何かしらのヒントを貰おうとして後をつけていたのではないかということなんだそうだ。
「……………てな感じでどうよ?」
ペパロニは自信ありげに言うが、何となく釈然としない。大体、教えてほしいなら聞きに来たら良かろうに、なんで後をつけるなんてストーカー染みたことなんざするのかねえ?
俺が頭を悩ませていると、アンチョビが口を開いた。
「まあ、大して難しく考える必要もないんじゃないか?今日もつけてくるならそれらしいことやってカマをかければ済む」
「まあ、そうしてみるか。おっと、さっさと飯食って教室行こうぜ。でねえと、あの横暴教師にグラウンド100周させられちまうぞ」
「だな」
「グラウンド100周はカンベンだぜ。アタシこの歳で死にたくねえし」
そうして、俺達はさっさと飯を済ませ、教室へと向かうのであった。
そして迎えた放課後、いよいよ作戦決行の時が来たようだ。
何時もなら真っ直ぐ寮へと帰るのだが、今日は態と遠回りしていた。
「(やっぱりついてきてやがるな………………数は二人か。昨日より一人増えてやがる)」
俺は暫く歩き回り、学園ものドラマでお馴染みの校舎裏に来ていた。
其所にあるのは、2脚程のベンチと2台の自販機、そして、人一人入るのが精一杯の隙間を空けて建っている倉庫、その隙間に置かれているゴミ箱だ。
俺は其所へと続く曲がり角を曲がり、瞬間移動で自販機と倉庫の隙間に転移し、ゴミ箱の影に身を隠す。そうとも知らず、俺をつけていた二人はゴミ箱の前を通過し、キョロキョロと辺りを見回し始める。
さて、始めましょうか。
俺は音を立てないように気を付けながらゴミ箱を飛び越え、ちょっとした替え歌を口ずさむ。
「尋ね人は誰ですか~、見つけにくい人ですか~」
「「ッ!?」」
俺が歌うと、二人はスゴい勢いで此方を向いた。
水色セミロングの女子生徒の隣に居た、何かのほほんとしてそうな女子生徒も、コレばかりには驚いているようだ。
ふむ、リボンの色からして1年生か……………ならば敬語は要らねえな。
「よお」
俺はニヤニヤしながら声を掛ける。二人は暫くの間、呆然と此方を見ていたが、やがてゆっくりと頭を下げた。
「其所の水色セミロングの嬢さんは、昨日ぶりかな?」
「え!?」
まさか、バレてないと思ってたのか、水色セミロングの嬢さんは声をあげた。
「まさか、気付いてたの?」
「当たり前だ、あれぐらい直ぐに気づく」
そう言うと、水色セミロングの嬢さんは俯いた。多分、俺が怒るとでも思ってるんだろうな。
隣に居る女子生徒がアワアワしてるし…………………仕方ねえや。
「まあ取り敢えず、なんで俺の後をつけてたんだ?それなりに理由はあるんだろ?」
「うん、ちゃんと理由があるの………………聞いてくれる?」
「ああ、言ってみろ」
そうして、俺は嬢さんの話を聞くことにした。
内容はこうだ。
先ず、彼女の名は更識 簪(さらしき かんざし)、隣に居た女子生徒は、1組で更識さんの幼馴染み、布仏 本音(のほとけ ほんね)なんだそうだ。
更識さんは、ペパロニが言ったように4組のクラス代表兼日本代表候補生で、近々専用機を渡される予定だったのだが、織斑ツインズに人員を回され、更識さんの専用機開発が凍結されたらしいのだ。
そのため、開発途中で装甲やら何やらが継ぎ接ぎだらけの専用機を引き取り、自分で造ろうとしていたのだが、整備科志望で、それなりに腕の立つ布仏さんの手を借りても限界があり、上手くいかなくなったんだと。
おまけに、武装の稼働データもないからどうしようもなくなると言う、正に踏んだり蹴ったりな状況に陥ったんだそうだ。
そんな中、昨日の昼休みに俺が、カタログスペックを提出するために整備室でゴールドウィングのデータを調べている最中に、専用機製作のために整備室に来た時、彼女の専用機に積まれる予定だった武装が、幾つか俺のゴールドウィングに積まれているのを偶然見たらしい。
おまけに、クラス代表決定戦にて、全く関係無い武装が多数含まれているとは言え、多彩な武器を持つコイツを見て、何かを感じ取ったらしい。
んで、俺に手伝ってもらうために後をつけてきてたという訳だとさ。
「ふーん、そりゃ大変だねえ」
俺はそう呟き、頭の後ろで手を組んだ。
「そ、そういう訳なんだけど………手伝ってくれますか……………?」
「まあ、そっちの言い分は分かったけど、後をつけ回すってのは如何なモンかと思うぜ?後つけ回されて『専用機造るの手伝って』って言われて、『はい、良いですよ』なんて返事、普通なら返ってこねえぞ」
「うぐっ!」
図星つかれたと言わんばかりに、更識さんは凹んでしまう。
やり過ぎたかと思っていると、布仏さんが口を開いた。
「で、でもね?かんちゃんは専用機造るために頑張って、でも上手くいかなくて………それで~、それで~……………」
あ~あ、テンパってやがる。何か罪悪感を感じてしまうのだが。
布仏さんは、何とかして俺を説得しようとして、更識さんは相変わらず俯いている。
仕方ねえな。
「分かった分かった、手伝ってやるから頭上げろ」
「ふえ?」
「……………良いの?」
俺が半ば呆れながら言うと、更識さんは此方を向いた。布仏さんも、驚いたような顔をしている。
「ああ、手伝ってやるよ。だからそんな顔すんな」
そう言った途端、二人は大喜びで飛び跳ね始めた。
「(という訳で3人とも、良いか?)」
俺は飛び跳ねてる二人を見ながら、我が相棒達に言った。
『今回はまあ、仕方ありませんね。構いませんよ』
『私もよ、主。国の能無し共やブリュンヒルデ(笑)に見られるよりかは遥かにマシだもの』『桜花や氷華に同じくよ、狂夜』
「(あいよ)」
そして俺は、未だに飛び跳ねてる二人を見ながら、事件の解決をペパロニとアンチョビに知らせるのだった。