IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第四十一話~打鉄弐式vsゴールドウィング!~

さて、遂に迎えたクラス対抗戦当日。

初戦は3組vs4組、2回戦が1組vs2組だ。

そう書かれた試合表を、久し振りに会った鈴と見たのだが、鈴曰く、『一夏とよりアンタ(俺のこと)と戦いたかったわね』とのこと。

まあ、何か残念そうにしてたから、『1組との試合で勝ちゃ良いじゃん』という俺の一言でエンジン全開になりましたけどね………………

 

それでまあ、俺は3組のピットに来ている。其所には俺と、待機形態から出した桜花達3人の他に、ペパロニやアンチョビと言ったいつメンのメンバー、久々登場(メタイ)の上白沢先生と長谷川先生が来ていた。

 

 

 

「それにしても意外だな。カタログスペックの提出以外は、武装データはおろか、稼働データの提示すら拒否していた君が、まさかデータの提供をするなんて」

 

上白沢先生は、俺が更識さんの専用機完成のために、ゴールドウィングのデータを送ったことに驚いていた。

まあ、無理もないか。

 

「自分でもそう思ってますよ。まあ、あれは緊急事態だったから仕方ないということで、納得していただきたいですね」

「ああ、君がそう言うなら、そうしよう」

 

そう話していると、どうやら更識さんがアリーナに出てきたらしく、俺も準備が出来次第、アリーナに出るようにとアナウンスが飛んだ。

 

俺は打鉄の待機形態である籠手を外し、上白沢先生に預ける。

そして、我が相棒、ゴールドウィングを展開する。すると、ISとしてのゴールドウィングは展開されず、俺の目の前にバイクとしてのゴールドウィングが置かれていた。どうやらクラス代表決定戦の時のような感じで試合に挑むことになるそうだ。

 

目の前に鎮座する我が相棒は、第一形態移行する前からすれば、完全に姿が変わっていた。

 

殆どが錆びて銅色に変色していたボディの全体色はパールホワイトに染まり、ヘッドライト部分の、逆三角形の形をしたパーツのみが黒に染まるというカラーリングになっている。

また、ヘルメットを入れるトランクには、ナチスドイツの鍵十字が描かれていた。

型式は相変わらず2006年型だったので、中年の人が乗りそうな型をしているのが少し残念だったがな。まあ、気にしてられるか。

 

俺はシートに腰を下ろし、既に差し込まれてあるイグニッションキーを回す。

カチッ!という音が鳴ると同時に、スピードメーターやタコメーター等の数字が光り、小さなモニターに、翼を広げる鳥のエンブレムが映し出される。

ハンドルの右にあるクラッチを操作すると、ゴールドウィングに積まれた、600馬力を誇るマイバッハエンジンが唸りを上げ、爆音を撒き散らしながら、後輪を挟むように伸びている二本のマフラーから白い煙が絶えず噴き出す。

 

アクセルを煽ってエンジンを吹かし、我が相棒のコンディションを確認する。

 

「(武装、駆動系、全システム異常無し)……………よっしゃ!何時でも行ける!」

 

そして俺は、ゆっくりとゴールドウィングをカタパルトの方へと向け、出撃の用意を済ませる。

 

「じゃあ、また後でな、兄貴!」

「応援してるぞ、狂夜」

「ああ!任せとけ!3人を頼むぞ!」

「あいよ!」

 

そうしてペパロニとアンチョビは、桜花達3人を連れてピットから出ていった。

今思ったんだが、もう3人を出しっぱなしにしても良くね?

まあ、それは後で良いか。

 

「では黄昏君、頑張れよ」

「私達も、応援してるからな」

「了解です!」

 

俺はゴールドウィングのアクセルを煽り、マイバッハエンジンの爆音を轟かせる。

 

「さあ黄昏君、思う存分に暴れてきなさい」

「よっしゃあ!じゃあ、行ってくるぜ!」

 

俺はギアを入れてアクセルを強く捻り、ゴールドウィングを急発進させる。その勢いで前輪が浮き上がり、ウィリー状態になるが、構わず突き進み、カタパルト先端から勢いよく飛び出し、ISモードに切り替えた。

 

すると、ゴールドウィングは光を放ち、各パーツが分離、変形し、ISとしてのゴールドウィングの形を造り上げる。

そして、その中に俺が収まる形で入ると、各装甲が固定される。胸部装甲の一部であるヘッドライトが光り、背中に付けられている二本のマフラーから白い煙が絶えず噴き出される。

そして最後に、バイザーが俺の顔を覆う。

何処ぞの機動戦士のようなものではなく、顔の上半分、つまり、鼻から上が隠れる感じのバイザーだ。

 

 

『まさか、初戦で当たるとは思わなかった』

 

唐突に、更識さんが話し掛けてきた。

 

「だな、俺も全く同じ気分だぜ」

『………………打鉄弐式のこと、本当に感謝してる。多分、貴方が手伝ってくれなかったら、私はこの場には居なかったと思う。だから…………ありがとう』

 

更識さんは、照れながらも礼を言った。俺は手でバイザーを押し上げ、肉眼に更識さんを捉えて言った。

 

「礼には及ばねえよ、あれは緊急事態だったからな」

『ううん、それでもだよ。何かお礼しなきゃ、バチが当たってもおかしくないことなんだから』

 

更識さんは、首を横に振りながら言った。

お礼、か…………………よし。

 

「なら、お前の持てる力全てを俺にぶつけてくれ。それが、今のお前が俺に出来る、最高のお礼だ」

『うん、言われなくても……………最初から、全力で行くつもりだから!』

 

その言葉を皮切りに、試合開始を知らせるアナウンスが、アリーナ一帯に響き渡った。

 

「コイツは挨拶代わりだ!」

 

試合開始を知らせるアナウンスが響き渡ると同時に、俺はPanzer rifle タイプ『パンター』を展開し、発砲する。70口径という、砲身だけ見ればティーガーにも勝る長さの砲身から放たれた75mm弾は、真っ直ぐ打鉄弐式へと吸い込まれるように飛んでいく。

それを更識さんは、腰についている荷電粒子砲で打ち落とし、打鉄弐式の武装の1つである薙刀を展開し、一気に距離を詰めてくる。

俺は、既に次弾装填が終わっていたPanzer rifle タイプ『パンター』(長いので以降PR・P)をぶっ放す。

 

「っ!」

 

更識さんは、展開していた薙刀で防ごうとするが、それなりに俺に近づいており、さらに、PRシリーズは、今はIS仕様のライフルであるとは言え、元々は戦車砲。弾速だって、そんじょ其処らの銃器より格段に速いし、砲弾の威力も高い。

なんせ、PRのタイプは全て、ドイツ戦車の中でも破壊力の高い主砲を持つ戦車のだからな。

 

そして、至近距離で放たれたその砲弾を完全に防ぎきるのは、ほぼ不可能に近く、砲弾は、薙刀を押し退け、打鉄弐式にある右側の荷電粒子砲に着弾し、砲身を粉々に吹き飛ばした。

それで起きた爆発で、更識さんは横に吹っ飛ばされる。

「さて、じゃあ迫撃砲を喰らわせてやりますか!」

 

俺は、久々に高速切替を使い、右手に持っていたPR・Pを、大口径荷電粒子ライフルに切り替え、さらに、左手をマニピュレーターに変形させ、左マニピュレーター内蔵式荷電粒子砲を展開し、照準を合わせる。

 

--両武装、敵ISロックオン--と、バイザーのスクリーンに、その文字が映し出される。

 

「照準良し、Feuer!!!」

 

2度にも渡る爆音と共に、2つの砲口から砲弾が撃ち出され、更識さんに直撃する。

 

「ぐうっ!」

 

かなりの衝撃を喰らったのか、苦痛に表情を歪める。

 

「そっちがそう来るなら、此方だって!」

 

更識さんは、奥の手と言わんばかりにマルチロックオンシステムのミサイルをぶっ放してくる。

このゴールドウィングは、高火力だけでなく、機動力も格段に高い。

俺はその機動力を使い、急降下、急上昇、急旋回や、他のマニューバを繰り出して回避を図るが、なんせマルチロックオンシステムのミサイルは誘導弾、当然何処までも追ってくる。

 

「これ以上逃げ回っても無駄か………………ならば、こうするまでだ!」

 

俺は瞬時加速で差をつけながら、未だに展開中である大口径荷電粒子ライフルと、左マニピュレーター内蔵式荷電粒子砲を撃ちまくり、ミサイルを撃墜していく。

残りが後20発にまで減ると、俺は両方の武器を収納、代わりに高周波ブレード『SS』を展開し、ソイツを思い切り振りかぶる。

 

そして、ミサイルの残り20発のうち、10発が此方に向かってきた時、振りかぶっていたSSを………………

 

「でりゃぁあっ!!」

 

思い切り振った。

すると、ブレードが描いたライン状の衝撃波が起こり、向かってきていた10発を、一気に薙ぎ払った。

 

「う、嘘っ!?そんなことが…………!?」

おーおー、驚いてやがる。

だが、驚きはまだまだ続くぜえ!?

 

俺は、向かってくる残りの10発目掛けて、瞬時加速で突進し、SSでミサイルをぶった斬る。

 

それによって起きた爆風を利用し、さらに瞬時加速。いつの間にか更識さんは、直線上から反れた場所に居たため、瞬時加速でついた勢いをそのままに保ち、緩やかなカーブを描きながら、更識さんへと突撃し、SSを振るう。

 

「こうなったら!」

 

そう言って、更識さんは薙刀を振りかぶるが、瞬時加速でついた勢いに、乗りに乗った状態で振るわれるSSには太刀打ち出来ず、俺が振るったSSは、更識さんの薙刀を薙ぎ払うと同時に、更識さん自身もブッ飛ばした。

だが、その際に打鉄弐式の脚部スラスターも破壊してしまい、更識さんは脚部から黒い煙を上げながら墜落した。

ってかヤベッ、助けねえと。

 

俺は、急降下して体勢を直し、更識さんを受け止めた。

 

「あ、ありがとう……………」

「いやいや、まさかスラスター潰しちまうとは思わなくてな。それに、そんな状態に陥ったら、助けねえとな(俺のせいだし………………( ̄▽ ̄;))。まあ、無事で何よりだ」

「っ!?」

 

そう言うと、何故か更識さんが顔を真っ赤にした。

それと同時に、試合終了と、俺の勝利を知らせるアナウンスが響き渡り、観客席から歓声が上がる。

 

俺は、更識さんを横抱きにしたまま、ピットに戻った。

 

 

 

「ねえ、黄昏君………」

「ん?どうした?」

 

ピットに戻る最中、顔を赤くしたまま、更識さんが話し掛けてきた。

 

「ちょっと、お願いがあるの………………」

「何だ?打鉄弐式の修理か?」

 

お願いと言われ、多分打鉄弐式の修理を手伝ってほしいとか言ってくると思いながら聞いてみたが、どうやらそうではないらしく「いや、それもあるけど…………」あるんかい!

 

そうして更識さんは、一層顔を赤くして言った。

 

「こ、これから………………お互いに名前で呼び合いたいの…………………黄昏君が私を呼ぶなら『簪』で、私が黄昏君を呼ぶなら、『狂夜』って……………ダメ?」

 

………………え?それだけ?

 

「いや、別に良いぜ。んじゃ、これからは狂夜って呼んでくれよな、簪」

「~~~~~ッ!!?(ボフンッ!)」

 

あれま、顔が爆発した。

 

何故こうなったのか分からぬまま、俺は更識さん改め、簪を一旦4組側のピットに連れていき、4組担任に引き渡した後、瞬間移動で3組側のピットに戻った。

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